FXニュース:米消費者物価指数 (CPI) 控え調整が

2023年2月14日
FXニュース:米消費者物価指数 (CPI) 控え調整が

 

東西FXニュース – 2023年02月14日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 日本の最新四半期GDP年率0.6%増
  • 政府が植田日銀新総裁人事案を提示
  • 欧米日株上昇時のリスクオンの影響
  • 欧州委員会が経済見通しを上方修正

今日2023年2月14日火曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値132円47銭前後から高値131円79銭前後の値幅約68銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は132円9~11銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で横ばいレンジ圏に近い約3銭の僅差の円高ドル安であった。ただし、今夜20時半頃の英国ロンドン外国為替市場では、僅差で円安ドル高に市場反転もしている。

今日の外国為替相場の値動きの要因には、日本時間で今夜この後の22時半の最新の米国重要経済指標の1月の米国消費者物価指数 (CPI) の発表イベントを控え、FXトレーダー達のドルの持ち高調整や結果が分かるまでの買い控えなどが影響を与えていた。

時間に沿った世界FX市場トレンドの動向としては、まず昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場では、昨日の日本市場や欧州英国市場のトレンドを受け継ぎ、先週金曜の夜に日本銀行 (日銀 / BoJ) 新総裁候補の植田和男氏が「現状では金融緩和の継続が重要」という発言をした影響により、日銀の早期の金融緩和修正予想の減退し、金利抑制の大規模緩和継続予想の増進したことで日米金利差拡大予想の円売りドル買いが優勢で、一時132円91銭付近のおよそ1カ月ぶりの大幅な円安ドル高を記録した。

しかし、米ドルには前述の通り、今夜発表予定で米国連邦準備制度理事会 (FRB) が重視する最新重要経済指標の1月の米国消費者物価指数 (CPI) のイベント前リスクがあったことで、高値をつけた後のドルには利益確定売りや持ち高調整の抵抗が入り始め、円は下げ幅を縮めた。

米国ニューヨーク債権市場でも、米10年債の利回りが指標となる米長期金利が3.76%付近に上昇後、トレンド転換を示すダブルトップを描いた後に3.70%付近下げたことにもやや連動する様な形になっていった。

同時進行中だった決算報告期の影響が続く米国ニューヨーク株式市場でも、欧米株価の上昇時にリスクオンのブルマーケットになり、以前のリスク回避で買われていた安全資産のドルや低リスク通貨の円が、持ち高調整などで売られた影響も出てきていた。

そのため、今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場の終値は132円42~45銭付近で、先週金曜の前ニューヨーク終値比で約1円の大幅と小幅のボーダーライン付近の円安ドル高であった。

今朝8時50分には、内閣府が日本の最新重要経済指標の前年10~12月四半期の物価変動の影響を除いた実質国内総生産 (GDP) の速報値を発表し、前期比では前回の-0.2%と前回修正の-0.3%と市場予想の0.5%に対して0.2%増加し、年率換算では前回の-0.8%と前回修正の-1.0%と市場予想の2.0%に対して0.6%増加しており、市場予想ほどの伸びではなかったものの、日本の景気のプラス圏への上昇が確認され、今日の米国消費者物価指数 (CPI) の発表イベントリスクのあるドルに対して安値からの円買いが入り始めた。

今朝9時から本格的に始まった今日の日本の東京外国為替市場では、今夜の米国消費者物価指数 (CPI) 発表イベントを控え、持ち高調整の円買いドル売りが優勢になった。

11時頃には、日本政府が日本銀行 (日銀 / BoJ) の黒田東彦総裁の後任人事に、経済学者で元日銀審議委員の植田和男氏、副総裁には氷見野良三前金融庁長官と内田真一日銀理事という後任人事案を本日付けで国会に提示し、衆参両院の同意を経て内閣で任命をする予定で、現職の黒田東彦総裁の4月8日と副総裁の雨宮正佳と若田部昌澄両氏の3月19日の任期満了までの3月半ばまでに同意を目指す意向を示した。

植田和男氏は米国のマサチューセッツ工科大 (MIT) の経済学博士修了の東大教授の経歴を持つ国際派のマクロ経済学者で、1998~2005年に日銀審議委員としてゼロ金利政策導入時に立ち会った人物として知られており、ゼロ金利の終了時にも立ち会うのではという市場期待が、前述の「現状では金融緩和の継続が重要」という発言前の先週金曜の日本市場での円の一時急騰に繋がった。発言後も、時間をかけていずれは金融修正を行うのではという期待が、長期視野の日本市場には依然として残っており、今日正式に日本政府からの提示があったことで円買いの市場反応もやや出ていた。

ただし、2000年の金融政策決定会合ではゼロ金利政策解除に反対した経緯もあり、現在も性急なゼロ金利政策の解除には慎重な姿勢を示すのではないかという見解もあり、今日の提示時には、大きな円買いの市場反応には繋がらなかった。

副総裁に指名を受けた氷見野良三前金融庁長官は、旧大蔵省から金融庁に移り、国際金融規制を行うスイスのバーゼル銀行監督委員会 (BCBS) や金融安定理事会 (FSB) の経歴を持つ、これまた国際派で、やや中立的な印象がある。

同じく副総裁指名の内田真一日銀理事は、日銀で金融政策を立案する企画局に長く在籍した内部の局長で、黒田東彦総裁の大規模緩和金融政策のマイナス金利や長短金利操作のイールドカーブ・コントロール (YCC) の導入に携わった人物として知られており、やや黒田派ではないかという見方がある。

日本政府は、現在の日銀の黒田総裁の大規模緩和金融政策やイールドカーブ・コントロール (YCC) について、今後の検証や見直しを日銀新総裁と進めていきたいという意向を示しており、新総裁の人事が注目されていた。

今朝からの今夜の米国消費者物価指数 (CPI) 発表イベント前のドルの持ち高調整や買い控えも進み、午後14時台には今日の日本市場の円の高値でドルの安値の131円79銭付近にまで円相場が上昇し、前東京終値比では円高ドル安に転じていた。

ただし、午後からは欧州英国市場の本格参入があり、15時台には昨日下げていた日経平均株価が今日は大幅に上昇回復を示したことでリスクオン市場になり、昨日の日本株安時に買われていた低リスク通貨の円が売られたことなどから、前東京終値比で横ばいレンジ圏付近に向けてドルが反発した。

しかし、今夜の1月の米国消費者物価指数 (CPI) のイベントリスクによる、ドルの持ち高調整や様子見などの値動きも混在しており、今夜22時半の結果発表が注目されている。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は132円9~11銭付近で、昨夜17時の前東京終値比では横ばいレンジ圏に近い約3銭の僅差の円高ドル安になった。そして、今夜20時半頃の英国ロンドン外国為替市場では、僅差で円安ドル高に市場反転もしている。

今夜この後には、日本時間で22時半の重要経済指標の1月の米国消費者物価指数 (CPI) とコアCPIの発表イベントに続き、米国連邦準備制度理事会 (FRB) 関係者達の発言予定もあり、23時半から米リッチモンド連銀のバーキン総裁の発言、25時から米ダラス連銀のローガン総裁の発言、25時半からは米フィラデルフィア連銀のハーカー総裁の発言、28時5分からは米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁の発言予定があり、25時以降の3名の高官達は米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権も持っていることから、FXトレーダー達が米CPI発表後の値動き予想材料として注視している。また、明日にも米国小売売上高の発表予定がある。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は141円76~79銭付近で、昨夜17時の前東京終値比では約63銭の円安ユーロ高であった。

ユーロドルも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0732~1.0733ドル付近で、昨夜17時の前東京終値比では約0.50セントのユーロ高ドル安であった。

主な原因は、昨夜の欧州英国市場で、欧州連合 (EU) の欧州委員会が経済見通しを発表し、欧州ユーロ圏の2023年の実質成長率を0.9%と、前年11月の前回の見通しから0.6ポイント上方修正したことを受けて、欧州経済の先行きの見通し上昇による景気好感のユーロ買いドル売りが入り、また今夜の米国のCPIイベントを控えた持ち高調整もあり、それまでのユーロ安ドル高からユーロ高ドル安に転じていた。

ユーロは円相場でも、前日からの日欧金利差拡大予想もあり、円安ユーロ高になっていたが、今日の午後16時に発表されたドイツの1月の独卸売物価指数 (WPI) の前月比が前回の-1.6%に対して0.2%のインフレを示しており、欧州利上げ継続予想のユーロ買いが継続した。

今夜19時には、欧州ユー圏の最新重要経済指標の10~12月四半期の欧州域内総生産 (GDP) の改定値の発表があったが、前期比は0.1%増で前年同期比は1.9%増の前回と市場予想通りの横ばいであった。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は160円33~39銭付近で、昨夜17時の前東京終値比では約25銭の円高ポンド安であった。ただし、今夜その後の英国ロンドン外国為替市場では、円安ポンド高に市場反転している。

原因は、今日の夕方に英国政府の統計局が最新の英国雇用統計を発表し、1月の英国失業率は前回の4.0%と前回修正の3.9%に対し3.9%の横ばいで、前年12月のILO方式の英国失業率も、前回と市場予想通りの3.7%の横ばいであったが、1月の英国失業保険申請件数は前回の1.97万件と-前回修正の0.32万件に対し-1.29万件に改善した。

また、前年10~12月期のボーナス除く英国賃金も、市場予想以上に前年同期比で上昇し、英国のインフレの高止まりにより、英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE) の利上げ継続予想が優勢になり、ポンド買いが起きたことなどが影響していた。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2023年2月14日の日本時間(JST)20時39分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替時間 (GMT) 11時39分)付近の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:39の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 132.21 〜 132.22 +0.09 (円安)
ユーロ/円 142.24 〜 142.26 +1.11 (円安)
ユーロ/ドル 1.0757 〜 1.0759 +0.0075 (ドル安)
英ポンド/円 161.26 〜 161.32 +0.68 (円安)
スイスフラン/円 143.91 〜 143.97 +0.05 (円安)
豪ドル/円 92.12 〜 92.16 -0.06 (円高)


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