FXニュース:日銀の早期金融緩和修正予想が減退

2023年2月13日
FXニュース:日銀の早期金融緩和修正予想が減退

 

東西FXニュース – 2023年02月13日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米国消費者態度指数が市場予想超え
  • 米長期金利上昇時の日米金利差拡大
  • 米消費者物価指数 (CPI) が明日発表
  • 欧米金利差予想のユーロ安ドル高も

今日2023年2月13日月曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値132円30銭前後から高値131円45銭前後の値幅約85銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は132円13~14銭付近で、前営業日17時の前東京終値比では約1円69銭の大幅な円安ドル高であった。

今日の為替相場の値動きの要因と市場トレンドの動向は、前回の東西FXニュースでもお伝えした通り、先週金曜の英国ロンドン外国為替市場では日本市場の午後と重なる現地午前に、日本政府が日本銀行 (日銀 / BoJ) の次期総裁に経済学者で元日銀審議委員の植田和男氏を起用する人事を固めたというニュースが報道されたことで、円がこれまでの円安要因であった日銀の金利抑制の大規模緩和金融政策の修正期待で主要通貨に対して一時129円台後半まで急騰した後に、日本時間の金曜の夜のニュースで植田和男氏が「現時点では金融緩和の継続が重要」と発言したことが原因となり、早期の日銀金融緩和修正予想が後退し、高値圏からの円の利益確定売りと安値圏からのドルの買い戻しが起きていた。

更に、英国市場の午後から始まった米国市場では、最新の米国経済指標と米連邦準備理事会 (FRB) の高官達の発言もあり、早期の米国利上げ停止予想が減退したことで米長期金利が上昇し、日米金利差拡大予想による円売りドル売りが進み、円は一時の高騰時からの上げ幅をドルに対して縮めていき、円高ドル安から円安ドル高への市場反転域に近づいた。

日本時間で先週金曜の夜から土曜の朝までの米国ニューヨーク外国為替市場で深夜24時に発表された最新の米国経済指標の2月の米国ミシガン大学消費者態度指数の速報値は、前回の64.9と市場予想の65.0に対して約1年ぶりの高水準の66.4に上昇し、米国の消費者による1年先の米国インフレ率の予測値も高く、米国インフレが高止まりをする可能性があるという市場予想が強まり、米国連邦準備制度理事会 (FRB) による早期の米利上げ停止予想が減退すると同時に米利上げ継続予想が優勢になり、一時は3.68%付近にまで低下していた米長期金利が3.75%付近に向けて大幅に上昇したことで、日米金利差拡大による円売りドル買いが起き、日本市場で一時大幅上昇後の円相場は、米国市場でもその上げ幅を縮めた。

続いて、28時に発表された1月の米国月次財政収支も、前回の-850億ドルと市場予想の-630億ドルに対して-388億ドルと、想定以上に赤字額が改善されたことで、米国の利上げ抵抗要因となる米国景気懸念も緩和され、米景気好感もドルの買い戻しの一因となった。

そのため、先週末の土曜の朝までの米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場は、円の高値130円58銭前後から安値131円60銭前後の値動きをし、先週末の米国ニューヨーク外国為替市場のドル円の終値を131円35~45銭の前日同時刻比で約15銭の小幅な円高ドル安でつけていた。

週が明けて始まった今日の日本の東京外国為替市場でも、先週末の米国トレンドを受け継いた米長期金利上昇時の日米金利差拡大による円売りドル買いが継続したため、朝9時過ぎに今日の日本市場での円の高値でドルの安値の131円45銭付近からの開始となった。

日本市場でも日銀の金利抑制の大規模緩和金融政策の早期修正予想がやや減退したことで、円売りドル買いが優勢になっていた。

今朝9時55分頃の日本市場の仲値決済に向けても、日本企業の輸入実需の円売りドル買いがあった一方で、日本の輸出企業によるドル売り円買いや、明日に発表が予定されている米国の重要経済指標の消費者物価指数 (CPI) 発表のイベントを控えていることでは、今朝からのドルの上昇分の短期の利益確定売りの円の買い戻しの一時抵抗なども混ざったものの、円相場ではその後にもドルの上昇トレンドが続いた。

明日の朝8時50分には日本の重要経済指標の前年10〜12月四半期の日本の実質国内総生産 (GDP) の速報値の発表予定があるが、明日の夜には欧州ユーロ圏のGDP改定値と、何よりも世界市場で現在重要視されている米国の最新重要経済指標の1月の米国消費者物価指数 (CPI) の発表のイベント予定があることで、市場予想値での円売りドル買いや持ち高調整なども進んでいた。

日本市場では明日の夜22時半の米消費者物価指数 (CPI) の発表を控え、米国インフレの警戒感が強く、また日銀新総裁による早期の金融緩和修正予想が後退したこともあり、米長期金利上昇を受けた日米金利差拡大予想による円売りドル買いが優勢であった。

政府の日銀の新総裁及び新副総裁の人事案は、明日に国会に提出される予定で、岸田政権は現状の金融政策の継続と市場安定のバランスを保ちながら、円安要因である大規模緩和の金融政策の修正を慎重に時間をかけてゆっくりと進めていく意向ではないのかと市場では受け止められ始めていたことで、円売りドル買いが継続していた。

午後からの欧州英国市場の参入では、米長期金利上昇や高止まりを受けて、ドルがユーロなどの他の主要通貨に対しても買われた影響も、円相場にドル高として影響が波及し、15時台に今日の日本市場での円の安値でドルの高値の132円30銭付近を一時記録した。

ただし、15時15分には日経平均株価が、主要取引先である米国の金利上昇警戒や米中関係悪化懸念などもあり、27,427円32銭の前営業日比243円66銭安の大幅安で大引けしたことでは、その後には日本株安時のリスク回避の低リスク通貨の円の買い戻しが入り、やや反発した抵抗もあったが、132円付近までに留まり、再び日米金利差拡大予想によるドル上昇トレンドに戻した。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は132円13~14銭付近で、前営業日の先週金曜17時の前東京終値比で約1円69銭の大幅な円安ドル高になった。

明日の夜22時に米国重要経済指標の米国消費者物価指数 (CPI) の発表を控えており、今夜この後には、重要度の高い米国経済指標の発表予定はないが、今夜22時には、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) でも投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) のボウマン理事の発言予定があることが、FXトレーダー達に注目されている。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は141円16~18銭付近で、前営業日の先週金曜17時の前東京終値比で約1円5銭の大幅な円安ユーロ高であった。

主な原因は、前述の日銀新総裁人事報道を受けた円の一時急騰後の買い戻しが、ドル同様に金利上昇傾向のユーロに対しても起きており、日欧金利差拡大予想も影響を及ぼしていた。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0682~1.0684ドル付近で、前営業日の先週金曜17時の前東京終値比で約0.59セントのユーロ安ドル高だった。

米経済指標などを受けた先述の米利上げ継続予想による米国長期金利上昇時に、日欧金利差によるユーロ売りドル買いが影響を及ぼしたこともあり、今朝10時半過ぎには一時1.0656ドル付近の1月9日以来の約1カ月ぶりと言われる日本市場でのユーロ安ドル高も記録した。

また、先週の土曜に欧州中央銀行 (ECB) 理事会のメンバーであるイタリア中銀のビスコ総裁が英国ウォーリック大学のイベントで、「現在ディスインフレが必要なのは明らかだが、欧州ユーロ圏の民間及び公的な債務規模を踏まえると、不必要で過度な実質金利の上昇を避けるよう注意しなければならない」と発言し、欧州のリセッション(景気後退)を回避しながら欧州インフレ率を下げることは可能であるとおう意見を述べ、欧州政策金利の最終金利到達点であるターミナルレート (TR) は、米国よりも欧州の方が低くなるという市場予想が強まっており、今朝の日本市場でドルに対してユーロが売られた一因となっていた。

英国ポンドも、ドルやユーロと同様に、先述の日銀の金融緩和修正予想の減退などにより、円相場で買い戻しが進み、今夜17時の今日の東京外国為替市場のポンド円相場の終値は159円36~42銭付近で、前営業日の先週金曜17時の前東京終値比では約95銭の円安ポンド高であった。

ただし、ドルに対してはユーロ同様にポンドも売られて下げたために、景気懸念も強い英国ポンドはドルやユーロと比較すると17時時点では大幅な円安ポンド高にはならなかったが、今夜その後の英国ロンドン外国為替市場では、20時台には円相場がさらにドルに対して前日比2円安に下落を続けたために、ポンド円も1円超の大幅な円安になっている。

スイスフランは、今夜16時半にスイスの最新経済指標の1月消費者物価指数 (CPI) が発表され、前月比が前回の-0.2%と市場予想の0.4%に対し0.6%に上昇しており、元々の物価が高いスイスで想定以上のインフレ継続を示したこともあり、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対スイスフラン円相場の終値は143円24~30銭付近で、前営業日の先週金曜17時の前東京終値比で約1円5銭の大幅な円安フラン高であった。

オーストラリアの豪ドルも、日銀修正関連の円相場での買い戻しが入り、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対豪ドルの円相場の終値は91円56~60銭付近で、前営業日の先週金曜17時の前東京終値比で約62銭の円安豪ドル高で、今日の東京終値では主要通貨に対する全面的な円安傾向が目立っていた。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2023年2月13日の日本時間(JST)20時16分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替時間 (GMT) 11時16分)付近の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:16の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 132.53 〜 132.54 +2.09 (円安)
ユーロ/円 141.53 〜 141.55 +1.42 (円安)
ユーロ/ドル 1.0679 〜 1.0681 -0.0062 (ドル高)
英ポンド/円 159.64 〜 159.70 +1.23 (円安)
スイスフラン/円 143.54 〜 143.60 +1.35 (円安)
豪ドル/円 91.81 〜 91.85 +0.87 (円安)


注意:

本ウェブサイトに記載されている全ての情報またリンク先を含めた情報は、情報提供を目的のみとしており、取引投資決定、及びその他の利用目的のために作成されたものではありません。取引投資種、外国為替取引業者の選択、売買価格投資等の全ての最終決定については、利用者ご自身のご判断において行われるようお願い致します。

当社は、当サイトに掲載した情報によって万一閲覧者が被った直接・間接的に生じた損失に関して一切責任を負わないものとします。また、当社および当社に情報を提供している第三者は一切責任を負うものではございませんので ご了承ください。万が一、当サイトの提供情報の内容に誤りがあった場合でも、当社は一切責任を負いません。当社はこのウェブサイトの掲載内容を予告なしに変更または廃止することがございますので、あらかじめご了承おきください。