FXニュース:米FRB高官達の発言で利上げ継続予想

2023年2月09日
FXニュース:米FRB高官達の発言で利上げ継続予想

 

東西FXニュース – 2023年02月09日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米NY連銀ウィリアム総裁がタカ派発言
  • 米FRBのクック理事とウォラー理事も
  • 米利上げ停止予想減退で長期金利上昇
  • 米インフレと日銀総裁人事は様子見も

今日2023年2月9日木曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値131円82銭前後から高値131円7銭前後の値幅約75銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は131円12~13銭付近で、昨日17時の前東京終値比で約24銭の小幅な円安ドル高であった。

今日の値動きの主な要因は、昨日の東西FXニュースでも予告していた通り、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場時間に、米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官のクック理事やウォラー理事、米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁と米ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁などのタカ派寄りの発言が相次いで早期の米利上げ停止予測が後退し、米利上げ継続予想が優勢になり、前日までにパウエル議長の「ディスインフレ(米国インフレ沈静化)」発言で一時低下していた米長期金利が一時3.69%付近に上昇し、日米金利差拡大時の円売りドル買いが入り、今朝までにドルが上昇していた影響が今日の日本市場に影響を与えたが、今後の米国経済指標の最新インフレデータなどにもよるために、その後の欧州英国市場では、高値のドルの利益確定売りや様子見などの抵抗が増した。

世界市場トレンドの動向では、まず昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場時間に、米国連邦公開市場委員会 (FOMC) で投票権を持つ米国ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁が、日本時間で23時15分頃から米国経済紙のウォール・ストリート・ジャーナル (WSJ) 主催のイベントに参加し、米国政策金利であるフェデラルファンド (FF) 金利を5.00~5.25%に向けて今年利上げすることを「非常に妥当と考える」というタカ派発言をした。

さらに、「数年に渡り充分抑制的な金融政策を継続する必要がある」という見解を付け加えたことで、米早期利上げ停止予想が減退し、米利上げ継続予想が強まった。

最近の米雇用統計を受けた変更の可能性については特に言及しなかったが、「年内に金利がピークに近づく公算が大きく、目標に到達するためにより小さなステップで動くことはできる」という米利上げ長期化時の利上げ減速は示唆していた。

続いて、23時半頃には米国連邦準備制度理事会 (FRB) のクック理事も、「一連の金融引き締めによる経済とインフレへの効果を検証する間、より小さなステップで動くことは適切だ」と、小幅利上げ継続の可能性を示した。

24時半頃には、同じく米国連邦公開市場委員会 (FOMC) で投票権を持つ米ミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁も、最終的な米国政策金利の到達点のターミナルレート (TR) は、5.4%もしくは経済指標次第では更に高金利に到達する必要があると依然考えていると言及しており、昨年12月の政策金利予測のTR中央値は5.1%であったために、タカ派発言と受け止められた。

27時45分頃には米国連邦準備制度理事会 (FRB) のウォラー理事も講演で発言をし、「一連の利上げが効果を表し始めている兆しはあるが、経済指標は望んでいた程のスピードでの鈍化にはまだ至ってはいない」ことから、「しばらくの間、引き締めスタンスを維持する必要がある」とタカ派寄りの発言をした。

先週末の堅調な1月の米国雇用統計の賃金インフレ継続などを受けて、米国のインフレ抑制は、「長い戦いになるかもしれない」、そして、「一部の人々が予想しているよりも、より長い期間の高金利の維持が必要になる可能性がある」という、米利上げ継続と長期化の可能性も示すタカ派の発言もしていた。

これらの米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達の発言で米利上げ継続予想が強まり、米国市場で米長期金利が上昇し、一時3.69%付近のおよそ1カ月ぶりの高利回りを記録し、日米金利差拡大時の円売りドル買いなどでドル円は欧州市場での130円台から米国市場での131円台にドルが上昇していた。

同時進行の米国ニューヨーク株式市場では、米金利上昇警戒の米株価低下時のリスク回避の安全資産のドル買いも相まってドルは上昇推移したが、今後の米物価動向などの最新データや、各国中銀の動きや新日銀総裁人事なども影響を与える可能性があるために、ドルは前日の高値付近に達すると、高値のドルの利益確定売りや持ち高調整の抵抗などが入ったことでは、前日比で比較的小幅な円安ドル高の範囲には留まった。

また、米国ニューヨーク債権市場では、米長期金利の指標となる米10年債入札があったことも影響を与えていた。

そのため、今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は円の高値131円5銭付近から安値131円55銭付近の値幅約50銭で、今朝の米ニューヨーク終値を131円40~50銭付近の前日同時刻比で約35銭の円安ドル高でつけていた。

今朝8時50分には日本の最新経済指標が発表されており、前週分の対外対内証券売買契約等の状況の対内株式は前回の3795億円に対し-186億円に低下したが、対外中長期債では前回の-7154億円と前回修正の-7131億円に対し1兆1275億円に上昇し、強弱入り混じる結果であった。また同時刻に発表された日本銀行 (日銀 / BoJ) の1月マネーストックM2の前年同月比は、前回の2.9%に対し2.7%であった。

今朝までの米国トレンドを引き継いだ今日の日本の東京外国為替市場では、今朝9時台から米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達のタカ派発言連続の日本語訳ニュースを受けて、米利上げ継続予想が強まり、円安要因の日米金利差拡大予想による円売りドル買いが入り、今朝9時55分頃の仲値決済に向けた日本の貿易企業の輸入実需の円売りドル買いも相まって、今朝10時台に一時131円82銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。

ただし、今日の日本市場のドルの高値からは、日本の輸出企業の円買いドル売りや、時間外の米債権市場での米長期金利の上昇が一段落してきたこともあり、高値圏のドルの利益確定売りや安値での円買いなどの持ち高調整の抵抗が入った。

また、日本市場でも、今後の米国の米国経済指標のインフレ動向データや、日本銀行 (日銀 / BoJ) の黒田東彦総裁の4月の任期満了を控えた次期の新日銀総裁人事などに注目が集まっており、持ち高調整に加えて様子見の動きもあったことから、横ばいに近い小幅な値動きが混ざった。

午後になり、14時45分に米国ブルームバーグが、「日銀総裁人事、アベノミクス転換示唆なら調整難航も—自民党議員」というニュースを報道し、黒田東彦総裁の後任候補には、黒田派の雨宮正佳副総裁の他にも、黒田総裁の任期初期5年間に副総裁だった中曽宏大和総研理事長と、白川前総裁の頃に副総裁だった山口広秀日興リサーチセンター理事長なども有力候補として挙がっていることを伝え、アベノミクスの金融緩和路線の大転換期を想像させるような人選を政府が提示した場合には、自民党内での調整が難航する可能性があると複数の自民党議員が匿名で語ったと伝わり、人選によっては日銀の大規模金融緩和金融政策の再修正や金融改革の可能性もあるために、一時ドルが買われた後に円買いドル売りが強まった。

ただし、「難航する可能性がある」ということもあり、日本市場での反応は長続きしなかったが、午後の同時間帯から始まった欧州英国市場の参入では、昨夜の欧州英国市場で一時130円台だったドル円が今日は131円台で推移していたために、ドルの利益確定売りが入った。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は131円12~13銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約24銭の小幅な円安ドル高であった。

また、今夜の欧州英国市場では、18時過ぎにドル円は一時130円80銭付近を記録し、19時台には130円74銭付近も記録したが、安値のドルの買い戻しも入り、20時台には再びドル円は131円台付近でも推移している。

今夜この後にも米国経済指標の発表予定があり、22時半に前週分の米国新規失業保険申請件数と米国失業保険継続受給者数、27時には米30年債入札予定もある。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は140円69~71銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約11銭の小幅な円高ユーロ安であった。

今日の午後16時に欧州ユーロ圏の最新経済指標の発表があり、主要国ドイツの1月の独消費者物価指数 (CPI) の速報値は、前年同月比が前回の8.6%と市場予想の8.9%に対し8.7%の市場予想以下であった。今日の午後の日銀報道もあり、日欧金利差縮小予想で一時ユーロに対して円が買われた頃に今日の東京終値を円高ユーロ安でつけた。

ただし、その後の今夜の欧州市場では前日比レンジ付近から、20時台には僅差の円安ユーロ高にも転じている。

ユーロドルも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0734~1.0735ドル付近で、昨夜17時の前東京終値比で約0.24セントの小幅なユーロ安ドル高であった。

ユーロドルには、前述の米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達の米利上げ継続予想による米長期金利上昇時のドル買いの影響が見られたほか、欧州中央銀行 (ECB) のフランス中央銀行のビルロワドガロー総裁が、「今年上半期には欧州インフレはピークを迎え、その後は低下していく」という、欧州版のディスインフレ発言したことも影響していた。

ただし、午後16時のドイツの1月の独消費者物価指数 (CPI) の速報値は、前年同月比では先述の想定以上のインフレ鈍化ではあったが、前月比では前回の-0.8%と市場予想の0.8%に対して1.0%であったことでは、高値のドル売りで安値のユーロ買いも入った。

そのため、今夜の欧州英国市場では、昨夜と比較した午後の高値圏からのドルの利益確定売りで実需のあるユーロの買い戻しなどが継続したや、米長期金利上昇が止まって下げに転じたことなどから、今夜20時台には僅差でユーロ高ドル安にも転じている。

また、今夜17時半頃には、欧州連合 (EU) 内においても独自通貨を持つスウェーデンの中央銀行にあたるスウェーデン国立銀行 (Sveriges Riksbank) が新政策金利を発表し、市場予想通り0.5%の大幅利上げを決定していた。これも、東京終値後の欧州系の大幅利上げ継続予想による市場反転に影響を与えていた。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は158円59~65銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約5銭の小幅な円安ポンド高であった。

今日の午後のドルの利益確定売りではポンド買いが入っていた影響の波及もあったが、今夜18時45分から英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE) のベイリー総裁の発言があり、「今年はインフレ率が急速に低下すると予想」はしているが、「英労働市場は非常にタイト」などの発言があり、欧州系の大幅利上げ継続時の英国の今後の利上げ予想による日英金利差なども今日の値動きに影響を与えていた。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2023年2月9日の日本時間(JST)20時42分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替時間 (GMT) 11時42分)付近の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:42の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 131.02 〜 131.03 +0.14 (円安)
ユーロ/円 140.99 〜 141.01 +0.19 (円安)
ユーロ/ドル 1.0760 〜 1.0762 +0.0002 (ドル安)
英ポンド/円 159.04 〜 159.10 +0.50 (円安)
スイスフラン/円 142.49 〜 142.55 -0.20 (円高)
豪ドル/円 91.43 〜 91.47 +0.47 (円安)


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