FXニュース:米FRBパウエル議長が発言を継続

2023年2月08日
FXニュース:米FRBパウエル議長が発言を継続

 

東西FXニュース – 2023年02月08日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • ディスインフレ発言でドル全面安
  • 米ミネアポリス連銀総裁はタカ派
  • 今夜のFOMCメンバー発言に注目
  • 欧州ECB独連銀総裁は利上げ発言

今日2023年2月8日水曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値131円38銭前後から高値130円72銭前後の値幅約66銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は130円88~89銭付近で、昨日17時の前東京終値比で約1円29銭の大幅な円高ドル安であった。

今日の値動きの主な要因は、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場時間に、注目の米国連邦準備制度理事会 (FRB) のジェローム・パウエル議長のワシントン経済クラブでの発言があり、前回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の後の会見時と同じく、米国の「ディスインフレ(インフレ沈静化)のプロセスが始まっている」という発言を繰り返したために、先週末の市場予想以上の米国賃金インフレ継続を示した堅調な米雇用統計や経済指標を受け米利上げ継続のタカ派発言が期待されて上昇していたドルが、パウエル議長のこの発言後に、最新経済指標を受けても市場が想定していたほどのタカ派には転じていないと利益確定などで売られて大幅に下落した影響が大きくかった。

パウエル議長の米国のインフレ鈍化予測を受け、米利上げ長期化予想が減退し、米国ニューヨーク債権市場では米10年債の利回りが指標となる米国長期金利が3.6%台後半から3.59%台付近に低下し、日米金利差の縮小により米国市場開始時には一時132円台で推移していたドルは円相場で一時130円47銭付近に急落し、ユーロなどの主要通貨に対しても一時全面安を記録した。

ただし、パウエル議長は、「米国のインフレ鈍化のプロセスは始まったが、まだ先は長い。今年はインフレが大幅に鈍化する見通しだが、インフレを(目標の)2%に近づけるには、来年までかかるだろう」、そして「プロセスには紆余曲折あり、さらなる利上げが必要となる可能性もある」というややタカ派寄りの発言も付け加えており、先週末の様な堅調な米国雇用統計やインフレ継続や好景気を示すデータが続けば、「一段の利上げを行い、その後に十分かどうか見極める必要」もあるとしたことでは、安値からのドルの買い戻しで131円台中盤に1円近く戻す抵抗も入った。

しかし、その後に発表された最新の米国経済指標の前年12月の米国消費者信用残高は、前月の279.6億ドルと前回上方修正の331.1億ドルと市場予想の250.0億ドルに対して115.6億ドルと大幅に低下しており、ライブストリームからニュース版のパウエル議長の「ディスインフレ」発言継続の報道拡散もあり、再びじわじわとドルが売られ始めた。

そのため、今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場は、円の安値132円14銭付近から高値130円47銭付近の値幅約1円67銭で、今朝のニューヨーク終値は131円5~15銭付近で、前日同時刻比では約1円55銭の大幅な円高ドル安になっていた。

その今朝までの米国市場トレンドを受け継いで始まった今日の日本の東京外国為替市場でも、早朝のニュースで米国連邦準備制度理事会 (FRB) のパウエル議長の「ディスインフレ」発言の方が注目されており、米雇用統計の影響を受けて市場が想定していたよりはパウエル議長のタカ派色は弱かったと市場では受け止められ、円買いドル売りが優勢であった。

また今朝9時前には、日本の最新経済指標の発表もあり、前年12月の国際収支・貿易収支は、前回の-1兆5378億円と市場予想の-1兆1157億円に対し-1兆2256億円で、前回よりは赤字額は改善されたものの市場予想には届かず、また季調前の国際収支・経常収支も、前回の1兆8036億円と市場予想の984億円に対して334億円で、季調済も前回の1兆9185億円と市場予想の1兆2363億円に対し1兆1821億円であったことも、円安の影響が考えられるために、円を買い戻す動きなども出ていた。

ただし、今朝10時前の日本市場の仲値決済に向けては、9時台に今日の日本市場での円の高値でドルの安値の一時130円72銭付近を記録したために、輸入実需の安値のドル買いで円が売られて下げ、11時台には今日の日本市場での円の安値でドルの高値の131円38銭付近を記録し、昼頃にも131円台前半で推移した。

午後には日本の経済指標の1月の景気ウオッチャー調査の現状判断DIが発表され、前回の47.9と前回修正の48.7と市場予想の48.2に対し48.5で、先行き判断DIも前回の47.0と前回修正の46.8と市場予想の47.6に対し49.3にやや上昇していた。

また、今日は岸田文雄首相が衆院予算委員会で、日本銀行 (日銀 / BoJ) の黒田東彦総裁の後任人事に関して、「金融市場に与える影響などについて細心の注意を払いつつ人選をしている」と発言しており、様子見に近い横ばいの値動きが混ざったほか、やや円が売られて、今朝つけたドルの高値圏の131円30銭台に再び近づいた。

しかし、午後からの欧州英国市場の参入では、米国トレンドの巻き返しが起き、先週末の堅調な米国雇用統計を受けてパウエル議長のタカ派期待で買われていたドルが、日本市場での高値圏から再び利益確定売りや持ち高調整などで売られて下げ始めた。

また、今日のニュースではバイデン米大統領が一般教書演説で、中国やロシアに対して結束する必要性を強調していたことなどが取り上げられており、米国の対中露関係などへの懸念も意識されていた。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は130円88~89銭付近で、昨夜17時の前東京終値比では約1円29銭の大幅な円高ドル安になった。

今夜この後には、最新の米国経済指標や米国連邦準備制度理事会 (FRB) 関係者達の発言予定があり、日本時間のスケジュールは、まず今夜21時に米国MBA住宅ローン申請指数、23時15分に次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) で投票権を持つ米国ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁の発言予定、23時半には同じくFOMC投票権を持つFRBのクック理事の発言予定と24時にはバーFRB副議長の発言予定があり、24時には前年12月の米国卸売売上高の発表と米アトランタ連銀のボスティック総裁の発言予定、24時半に週間の米国原油在庫、26時半にFOMC投票権を持つ米ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁の発言予定、そして27時には米長期金利の指標となる米10年債入札予定もあり、27時45分にはFOMC投票権を持つFRBのウォラー理事の発言予定などが、為替相場の市場予想や値動きに影響を与える可能性があることから、FXトレーダー達に注視されている。

昨日までにもミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は、米国のインフレ抑制のために「政策金利を5.4%に引き上げる必要がある」とタカ派の発言しており、パウエル議長を中立派としても、他の投票権を持つFOMCメンバー達がタカ派発言の連続コンボなどをした場合には、再び米利上げ継続予想のドル買いに繋がる可能性もあり、また逆にハト派発言があればドル売りが続く可能性もあることなどから、発言時や発言後の値動き予想材料になっている。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は140円79~81銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約93銭の円高ユーロ安であった。

原因はまず、基軸通貨のドルに対する今日の前日比での大幅な円高が、ユーロ円にも円高として影響が波及していた。そして、昨夜の欧州市場ではドイツの経済指標や決算シーズンの欧米株式指数の低下時にも、低リスク通貨の円が買われていた値動きもあった。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0751~1.0753ドル付近で、昨夜17時の前東京終値比で約0.27セントのユーロ高ドル安であった。パウエル議長のディスインフレ発言では、ドルはユーロに対しても売られて下げていた。

また、昨夜は欧州中央銀行 (ECB) のナーゲル独連銀総裁の発言もあり、欧州のインフレ率を目標の2%に戻すためには「一層の大幅利上げが必要」と言及していたのだが、それに続いての今朝未明の米国連邦準備制度理事会 (FRB) のパウエル議長の「ディスインフレ」発言であったために、欧米金利差予想も今日の為替相場の値動きに影響を与えていた。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は158円38~44銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約55銭の円安ポンド高であった。英国ポンドも欧州ユーロ同様に、パウエル議長のディスインフレ発言でドルに対して買われて上昇しており、日英金利差拡大予想などもあって円相場に影響が波及した。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2023年2月8日の日本時間(JST)20時21分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替時間 (GMT) 11時21分)付近の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:21の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 130.79 〜 130.80 -1.36 (円高)
ユーロ/円 140.41 〜 140.46 -1.31 (円高)
ユーロ/ドル 1.0736 〜 1.0738 +0.0012 (ドル安)
英ポンド/円 158.12 〜 158.18 +0.29 (円安)
スイスフラン/円 142.26 〜 142.32 +0.15 (円安)
豪ドル/円 91.19 〜 91.23 +0.09 (円安)


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