FXニュース:米連邦公開市場委員会が利上げ減速

2023年2月02日
FXニュース:米連邦公開市場委員会が利上げ減速

 

東西FXニュース – 2023年02月02日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • パウエル議長がディスインフレ発言
  • 欧州中央銀行は大幅利上げ継続予想
  • 英国中央銀行も今夜新政策金利発表

今日2023年2月2日木曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値128円77銭前後から高値128円17銭前後の値幅約60銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は128円64~66銭付近で、前日17時の前東京終値比で約1円53銭の大幅な円高ドル安であった。

ただし、今夜その後の欧州英国市場では、17時台後半に一時129円台も記録した。

今日の値動きの主な要因は、日本時間の今朝未明4時に米国連邦公開市場委員会 (FOMC) が0.25%の利上げ減速を発表し、4時半からの記者会見で米国連邦準備制度理事会 (FRB) のジェローム・パウエル議長が米国のディスインフレ (インフレ沈静化) に関する発言をしたことで、今後の更なる米利上げ減速と停止時期に関する市場予想に影響を与え、米国長期金利が低下し、日米金利差縮小予想による円買いドル売りで大幅な円高ドル安になった。

市場トレンドの動向の解説では、まず昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場で、昨夜22時15分に発表された最新の米国経済指標の1月の米国ADP雇用統計が、前月の23.5万人と市場予想の17.8万人に対して10.6万人に悪化しており、米利上げ抵抗要因の米国景気懸念により米国長期金利が低下し始めて、ドル売りが起き始めた。

昨夜23時45分の1月の米国製造業購買担当者景気指数 (PMI) の改定値は、前回と市場予想の46.8に対して46.9でやや買い戻しも入ったものの、続いて24時に発表された1月の米国ISM製造業景況指数は前回の48.4と市場予想の48.0に対し47.4に低下し、前年12月の米国建設支出の前月比もマイナスになったことでもドルが売られて、129円台前半に下落した。

そして、28時に米国連邦公開市場委員会 (FOMC) が市場予想通りに0.25%の利上げ減速を発表したが、同時発表の声明では、米国のインフレを徐々に目標の2%に戻す目的で「十分抑制的な金融政策スタンスを実現するために、目標レンジの引き上げを継続することが適切だとみている」と、今後の利上げ継続に言及していたことなどから、カナダ銀行の様な次回の利上げ停止はないと受け止められ、一時は129円台後半へドルが買い戻された。

しかし、28時半から始まった恒例の米国連邦公開市場委員会後の記者会見がライブ中継されると、米国連邦準備制度理事会 (FRB) のジェローム・パウエル議長が、米国の「ディスインフレ(インフレ沈静化)のプロセスが始まった」と発言し、様子を見ながら次回の会合で決めるという発言をし、また質問回答でも状況次第では今後の利上げ停止も特に否定はしなかったことなどから、期待されていた様なタカ派の発言は出ずに、むしろハト派寄りと市場では受け止められ、ドルが売られて生放送中に128円台へと下落した。

ただし、弁護士でもあったパウエル議長は、馴染みの記者団との雑談に対しても慎重に言葉を選んでおり、「カナダの様にはならないけどね」という風に、まだ次回の利上げ停止の予定はないものの、「最近のデータで米国のディスインフレのプロセスが始まってきたことが確認できたことで、景気への影響なども考慮し、徐々に様子を見ながら、次回やその次の会合で決めていく」という、「今はまだ(カナダ銀行の様には)特に決めていない」という姿勢を通しており、今後の利上げ継続の可能性もあることからは、ドル暴落にはならずに買い戻しも混ざっていた。

しかし、今回の0.25%の利上げ幅の減速に関して、パウエル議長は「元々は0.25%が通常の利上げ幅で、今までが倍以上に急ぎ過ぎていたのが、普通になっただけだよ」という非常に落ち着いた見解を示していたが、今回は9割を超える市場予想の中間値が0.25%の利上げ減速予想で大方当たっていた反面、約1割弱の0.5%のタカ派の米国利上げ継続予想で買われていたドルが売られる結果となった。

市場への影響力の強い米国連邦準備制度理事会 (FRB) のパウエル議長の発言が、今後の更なる米利上げ減速と停止時期に関する市場予想に影響を与えたことでは、「次回やその次の早期利上げ停止の可能性を否定しなかった」というハト派寄りの部分がタカ派好きの米国市場では「タカ派ではなかった」と意識され、米国株式市場では金利上昇への警戒緩和で決算期の株価が上昇でリスクオン市場になり、米国ニューヨーク債権市場では米10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時3.38%付近に低下し、日米金利差縮小予想による円買いドル売りで、前日比で1円を超える大幅な円高ドル安になった。

そのため、今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場は円の安値129円87銭前後から高値128円55銭前後の値動きをし、今朝7時頃のドル円のニューヨーク終値は128円90~98銭付近で、前日同時刻比で約1円14銭の大幅な円高ドル安であった。

その後に始まった早朝のアジア・オセアニア市場でも、米国トレンドを受け継いだ日米金利差縮小予想のドル売りが入り、また今朝9時からの今日の日本の東京外国為替市場でも、9時半頃に128円17〜18銭付近の今日の日本市場での円の高値でドルの安値を記録した。

ただし、今朝9時55分の日本市場の仲値決済に向けては、日本企業の輸入実需による円売りドル買い注文が入り、円相場でドルは反発した。

また米国の利上げ減速でも、今回も0.25%の米国の実質的な新政策金利の上昇があったために、市場予想の範囲内で日米金利差が拡大したことからは、持ち高調整などでも安値のドル買いが入っており、10時台には128円台後半へとドルは円相場での下げ幅を縮めた。

時間外の米国債権市場では、今朝は低下していた米国長期金利が午後にはやや下げ止まりをしたことでも、午後からの欧州英国市場の参入では、今夜発表予定の欧州中央銀行 (ECB) 理事会や英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE) の新政策金利などの発表イベント前の持ち高調整やリスク回避でもドルが買われたが、今夜の欧州英国市場で17時台後半や18時台に一時129円台前半に回復する以前に、日本市場では17時の東京終値をつけた。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は128円64~66銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約1円53銭の大幅な円高ドル安になった。

今夜の欧州英国市場では、ドル円は17時台後半と18時台に米長期金利に反応して一時129円台も記録したが、20時頃には再び128円台後半に押し戻されている。

今夜この後にも最新の米国経済指標などの発表予定があり、日本時間でのスケジュールは21時半に1月の米国チャレンジャー人員削減数、22時半に10~12月四半期の米国非農業部門労働生産性と単位労働コストの速報値、同時刻に前週分の米国新規失業保険申請件数と失業保険継続受給者数、24時に前年12月の米国製造業新規受注指数が予定されている。

また、決算報告シーズンがピークを迎える米国株式市場では、明日の朝までの米国ニューヨーク株式市場の終了後に、米国のアップル、アマゾン、グーグルで知られるアルファベットなどの大手の決算が発表される予定であることも投資家達に注目されている。

欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円の終値は141円44~45銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約19銭の円高ユーロ安であった。基軸通貨のドルに対する大幅な円高の影響が、他の主要通貨であるユーロにも波及した。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0992~1.0994ドル付近で、昨夜17時の前東京終値比で約1.12セントの大幅なユーロ高ドル安であった。

原因は、米国が今朝0.25%に利上げ減速をしたことに対して、今夜この後の22時15分に発表予定の欧州中央銀行(ECB) 理事会の欧州の新政策金利には0.5%の大幅利上げ継続の市場予想が優勢であるために、欧州と米国との金利差が意識されており、ユーロ高ドル安になっていた。

今日の午後16時には欧州ユーロ圏のドイツの最新経済指標の発表もあり、前年12月の独貿易収支は、前回の108億ユーロと市場予想の93億ユーロに対して100億ユーロで市場予想以上であったことも、利上げ抵抗要因の景気懸念緩和のユーロ買いの一因になった。

今夜この後には、日本時間の22時15分に欧州中央銀行 (ECB) 新政策金利の発表と声明公表の予定があり、また22時45分からラガルド総裁の定例記者会見の予定があり、世界のFXトレーダー達が今後の値動き予想のために注目している。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は159円17~23銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約22銭の円高ポンド安であった。今日の円相場では基軸通貨のドルに対する大幅な円高が英国ポンドに波及していた。

今夜この後には日本時間の21時から英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE) の新政策金利発表や議事要旨公開やベイリー総裁の発言予定もあるが、英国も利上げ継続予想がある一方で、抵抗要因の英国景気懸念も根強く、イベントリスクに加えて英国の景気減速予想も出ていることから、今日の日本市場では持ち高調整が進んでいた。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2023年2月2日の日本時間(JST)20時8分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替時間 (GMT) 11時8分)付近の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:08の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 128.88 〜 128.90 -1.29 (円高)
ユーロ/円 141.58 〜 141.60 -0.05 (円高)
ユーロ/ドル 1.0984 〜 1.0988 +0.0104 (ドル安)
英ポンド/円 158.68 〜 158.74 -0.71 (円高)
スイスフラン/円 141.54 〜 141.60 -0.27 (円高)
豪ドル/円 91.76 〜 91.80 -0.14 (円高)


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