FXニュース:米欧英利上げ後の停止時期予想

2023年2月03日
FXニュース:米欧英利上げ後の停止時期予想

 

東西FXニュース – 2023年02月03日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米インフレ鈍化で早期利上げ停止予想
  • 米雇用統計発表を今夜に控えた調整も
  • 欧中銀0.5%利上げ後のラガルド発言
  • 英中銀0.5%利上げ後の終了時期予想

今日2023年2月3日金曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値128円83銭前後から高値128円45銭前後の値幅約38銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は128円60~62銭付近で、前日17時の前東京終値比で約5銭の小幅な円高ドル安であった。

今日の値動きの主な要因には、昨日未明の米国と昨夜の英国と欧州の各中央銀行の利上げ発表後の会見等で、今後のインフレピークアウトによる利上げ終了停止時期の市場予想が影響を与えており、欧米の長期金利低下時の円買いなどが起きたことが挙げられる。

市場トレンドの動きとしては、まず日本時間で昨夜21時の英国ロンドン外国為替市場時間に、英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE) が0.5%の利上げを発表したが、声明に「インフレが英国を含めた多くの先進国で、ピークに達した可能性がある」という表現があり、英国でもインフレ鈍化や景気懸念などにより、今後の利上げ終了時期が近い可能性が指摘された市場予想が浮上し、結果的に英ポンドが円やドルに対して売られて下げていた。

続いて、昨夜22時15分には欧州中央銀行 (ECB) 理事会も0.5%の利上げを決定した。米国同様に声明文では次回の利上げ継続が示唆されてはいたものの、発表後のラガルド総裁の会見発言はタカ派ではなく、欧州もインフレのピークアウトや景気への影響の懸念などにより、状況次第では今後の利上げ終了時期が早まる可能性があるという市場予想が出て、会見前に上昇していた欧州ユーロが利益確定などでドルや円に売られて下落した。

欧州中央銀行 (ECB) のラガルド総裁は会見で「インフレ見通しに対するリスクは、特に短期的により均衡が取れたものになってきている」と欧州のインフレへの警戒感を以前よりも和らげており、市場では予想していたほどのタカ派ではないと受け止められていた。

特に、ラガルド総裁が、次回3月の0.5%利上げ後には経過を見ていく予定であることに言及したことに加え、状況によっては、「3月の利上げは撤回不可能ではない」というハト派の発言したことがきっかけとなり、欧州長期金利が急落してユーロ売りの原因となり、日欧金利差縮小予想で対ユーロの円相場が上昇し、影響の波及で対ドルなどでも円高になった。

昨夜の欧州英国市場の後半から時差で始まった今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場では、昨朝未明の0.25%の米国の利上げ減速後の米国連邦準備制度理事会 (FRB) のパウエル議長の米国インフレ沈静化に関する「ディスインフレのプロセスが始まった」という発言を受けた米国の早期利上げ停止予想による米国長期金利の低下により、日米金利差縮小予想の円買いドル売りなどが継続し、一時128円8銭付近の円の高値でドルの安値を記録した。

同時進行中だった米国ニューヨーク株式市場が米企業の決算シーズンのピーク時期で、米株価が上昇していたことから、リスクオンの安全資産のドル売りがあったこと等も影響した。

米国ニューヨーク外国為替市場で発表された昨夜22時半の前週分の米国新規失業保険申請件数は前回の18.6万件と市場予想の19.5万件よりも改善された18.3万件で、米国失業保険継続受給者数も前回の167.5万人と市場予想の168.4万人に対して165.5万人に減少し、米国雇用市場は堅調と見られたが、同時発表の10~12月四半期の米国単位労働コストの速報値は前期比年率で前回の2.4%と前回修正の2.0%と市場予想の1.5%に対して1.1%に低下しており、市場予想以上の賃金インフレ鈍化の可能性を示したことでは、米国のインフレ鈍化による早期利上げ停止予想のドル売りが継続したことも影響を与えていた。

そして、今夜この後には米国の最新の重要経済指標の米国雇用統計の発表イベント予定もあり、もしそこでも更なる米国の賃金インフレ鈍化のデータや利上げ抵抗要因などがあれば、米国の早期利上げ停止予想が強まるかどうかが注目されており、イベント前の持ち高調整やイベントリスクによるドルの買い控えや様子見などの値動きへの影響も見られた。

そのため、持ち高調整での高値の円の利益確定売りや安値でのドルの買い戻しと、前述の英国ポンドや欧州ユーロなどの他通貨に対するドル高の円相場への影響の波及などの抵抗もあったものの、今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場の終値は128円65~75銭付近で、前日同時刻比で約25銭の円高ドル安であった。

その後に始まった今日の日本の東京外国為替市場では、今週末の日曜が5日にあたるため、今日が実質的に日本の貿易関連企業の決算日が集中しやすい「5と10がつく日の、五十(ゴトー)日」で、今朝9時55分頃の仲値決済に向けては輸入実需の円売りドル買いと輸出企業の円買いドル売りが交錯した。

ドルに対しての円相場は、今夜の米国雇用統計発表を控えたイベントリスクの様子見なども混じってやや横ばいに近い動きに転じた。

先述の欧州中央銀行 (ECB) のラガルド発言を受けた欧州利上げ長期化予想の減退により、今朝はイベント後のユーロに対する円相場が前日比で1円を超える大幅な円高ユーロ安になっており、ユーロはドルに対しても下げていたことも、ドル円の横ばいに近い値動きに影響を与えていたが、米長期金利低下時の日米金利差縮小時の円買いドル売りもあったことから、横ばいレンジ圏に近いが、今朝までの米国市場でのトレンドの影響もあり、やや円高ドル安の傾向が見られていた。

今日は日本銀行 (日銀 / BoJ) の黒田東彦総裁が、衆院予算委員会に出席したニュースがあり、今後の日本の賃金インフレ動向に関して、「かなり上昇すると見ている」と発言したが、インフレ抑制のための大規模緩和金融政策の再修正などは特に念頭になく、黒田総裁は日本の物価インフレが今後は落ち着くと見ており、また賃金上昇で対応可能とみなしているというような従来通りの姿勢であったため、特に円買いを強めることにはならなかった。

ただし、今夜この後の22時半に発表予定の最新の米国重要経済指標の1月の米国雇用統計を控えた持ち高調整や早期の利益確定と、イベントリスクによる買い控えの様子見などの値動きは継続しており、ドル円は横ばいに近い小幅な値動きを午後にも続けていた。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は128円60~62銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約5銭の横ばいレンジ圏に近い小幅な円高ドル安になっていた。

今夜この後には、最新の米国経済指標の発表予定などがあり、日本時間で22時半に前述の世界のFXトレーダー達が注目している重要度の高い1月の米国雇用統計の米国平均時給、米国失業率、米非農業部門雇用者数、米製造業雇用者数などが発表され、23時15分には1月の米国サービス部門購買担当者景気指数、23時45分には1月の米国総合購買担当者景気指数、24時には1月の米国ISM非製造業景況指数、そして28時半には米国連邦準備制度理事会 (FRB) 関係者の米国サンフランシスコ連銀のデイリー総裁の発言予定や、米国ニューヨーク株式市場では決算報告継続なども予定されており、イベント時の値動きには注意が必要である。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は140円15~17銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約1円28銭の大幅な円高ユーロ安になった。ユーロドルも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0898~1.0900ドル付近で、昨夜17時の前東京終値比で約0.95セントのユーロ安ドル高であった。

先述の通り、昨夜の欧州中央銀行 (ECB) 理事会のラガルド総裁の発言の影響力が強く、欧州利上げ長期化予想の減退により、昨夜の欧州利上げ後に欧州長期金利が低下し、今日は日欧金利差縮小時の円買いユーロ売りや、ドル買いユーロ売りが優勢だった。

今日は欧州ユーロ圏の最新経済指標の発表があり、16時45分のフランスの前年12月の仏鉱工業生産は前月の2.0%と市場予想の0.2%に対し1.1%であった。

日本市場終了後の欧州市場では17時50分にフランスの1月の仏サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) の改定値が発表され、前回と市場予想の49.2に対して49.4で、17時55分のドイツの独サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) の改定値も前回と市場予想の50.4に対して50.7で、欧州ユーロ圏総合の1月の欧サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) 改定値も前回と市場予想の50.7に対し50.8にいずれも改善していたことでは、東京終値後にユーロが買い戻されて円相場での今日の下落幅をやや回復していた。

また、今夜19時に発表された欧州ユーロ圏総合の12月の欧州卸売物価指数 (PPI) の前月比が、前回の-0.9%と市場予想の-0.4%に対し1.1%に上昇しており、前年同月比は前回の27.1%と市場予想の22.5%に対し24.6%で、想定よりも欧州インフレがまだピークアウトしていない可能性もあることからも、安値のユーロの買い戻しなどが入っている。

英国ポンドは、今夜17時頃の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は156円85~91銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約66銭の円高ポンド安になった。

前述の昨夜の英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE) の0.5%の利上げ決定時の声明やベイリー総裁の発言により、英国でもインフレ鈍化などにより、今後の利上げ終了時期が近付いている可能性が指摘され、英ポンドが円やドルに対して売られて下げた影響が残った。

ただし、今夜18時半に発表された最新の英国経済指標の1月の英国サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) の改定値は、前回と市場予想の48.0に対し48.7に改善されたことでは、今夜の英国ロンドン外国為替市場では安値のポンドの買い戻しも入っており、欧州ユーロ同様に円相場で下落幅を縮めている。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2023年2月3日の日本時間(JST)20時19分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替時間 (GMT) 11時19分)付近の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:19の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 128.48 〜 128.50 -0.17 (円高)
ユーロ/円 140.41 〜 140.43 -1.02 (円高)
ユーロ/ドル 1.0927 〜 1.0928 -0.0066 (ドル高)
英ポンド/円 157.46 〜 157.52 -0.05 (円高)
スイスフラン/円 140.66 〜 140.72 -0.21 (円高)
豪ドル/円 90.64 〜 90.68 -0.50 (円高)


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