FXニュース:今月開催予定のFOMCでの1%の大幅利上げ予想はやや減退

2022年7月15日
FXニュース:今月開催予定のFOMCでの1%の大幅利上げ予想はやや減退

 

東西FXニュース – 2022年7月15日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米卸売物価指数(PPI)上昇率が前月比で1.1%に加速
  • 米FRBウォラー理事と米連銀ブラード総裁が0.75%利上げ支持
  • 欧景気懸念と伊ドラギ首相辞任でユーロリスク増の等価割れも
  • 英国史上初の赤警報発令の猛暑予報で病院等の人手不足が深刻に

今日2022年7月15日金曜日の東京外国為替市場のFXの対ドル円相場の為替レートは、9時から17時の東京外為取引時間の円の安値が139円8銭前後から高値138円55銭前後の値動き幅約53銭で、17時の今日の東京外国為替市場の終値は138円89〜91銭前後で、前日に一時139円38銭の1998年以来の約24年ぶりの円安ドル高の記録を更新した後なので、前日の同時刻比では約22銭の円高ドル安であった。

ただし、昨夜から今朝の米国ニューヨーク外国為替市場では、対ドルの円相場は、一時139円38銭の、1998年9月以来の安値を記録していた。

その原因は、昨夜に発表された最新米経済指標の米卸売物価指数(PPI)6月分の上昇率も前月比1.1%増で、前月5月の0.9%増や市場予想の0.8%を超えており、一昨日の予想以上の米消費者物価指数(CPI)上昇時に続き、米連邦準備理事会(FRB)が今月下旬に開催予定の次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、インフレ対策の積極的な利上げ加速で通常の4倍の1%の利上げをするのではないかという市場予想が強まり、米長期金利が上昇し、日米金利差拡大予想のドル買い円売りが加速したことにある。

しかし、FRBのウォラー理事や米セントルイス連銀のブラード総裁は、7月のFOMCでは0.75%の利上げ継続を支持すると発言したことで、1%利上げ予想がやや減退し、高値に達していたドルの利益確定売りや、安値の低リスク通貨の円の持ち高調整の買いなどの円安抵抗が入り始めた。

その流れを受けて始まった今日の日本の東京外国為替市場でも、米市場での米連邦準備理事会(FRB)の大幅利上げ予想の減退を受け、今朝は139円台の高値圏のドルの利益確定売りと持ち高調整の安値での円買いが優勢となった。また、日本時間の朝の取引で米長期金利も低下してきていたために、日米金利差拡大予想での円安ドル高にも一時抵抗が起きた。

日本市場では、今日は15日で日本の貿易企業の決済日の集中しやすい5と10のつく日の五十日にあたるため、前日に一時139円38銭の記録的な円安ドル高に達したFXニュースを受けて、今朝10時頃の仲値決済では日本の輸出企業の高値でのドル売りの円買いの方が優勢で、今朝10時過ぎには138円77銭付近に円が買われた。

しかし、大きな流れでの円安ドル高は継続しており、世界的な資源高や物価高のインフレが長期深刻化しているため、日本を除く世界の主要通貨の中央銀行による積極的な金融引き締めや利上げは今後も継続する予想が強く、FRBも例え今月は0.75%持続の可能性が高くても、金利抑制の日本銀行(日銀)との金融政策の方向性の違いから長期的な円安要因が続いていることから、今日の円の高値でドルの安値においては、再び円が売られてドルが買われる逆抵抗も入った。

また、今夜もこの後の米国市場では最新米経済指標の小売売上高などの発表が予定されており、一方、日本は来週月曜が海の日の祝日で連休前の市場で、今日は積極的な売買よりも持ち高調整や慎重な様子見の動きも目立ち、日本時間には比較的小幅な動きになっていた。

しかし、午後になって時差で朝の欧州英国市場が日本市場に参入すると、再び米FRBの大幅利上げ予想減退のドルの利益確定売りと持ち高調整の低リスク通貨の円買いが入り始めた。

また、日本時間15時の欧州の朝の速報で発表された最新の6月統計分の欧州自動車工業会(ACEA)の欧州連合(EU)新車販売台数が、前年同月比で15.4%も減少していたことで、欧州景気減速が増長し、欧州ユーロ圏のドイツ長期金利が低下し、つられて米長期金利も低下したため、日米欧金利差縮小時のドル売り円買いやユーロ売り円買いが起きた。

欧州市場の影響で今日の対円のドルの安値の138円55銭付近を午後に記録したため、その後には今日の安値になったドルが再び買われる機会はあったものの、今夜の米経済指標発表前のイベント前のドルの持ち高調整などもあり、夕方近くであったために17時に同時刻の前日比で約22銭の円高ドル安の138円89〜91銭付近で今日の東京終値をつけた。

ユーロは、昨夜の日本市場の後の欧州英国市場でも、ユーロ対ドルが1対1のパリティ(等価)割れの0.9952ドル付近の、2002年12月以来の安値を記録していた。

原因は、欧州エネルギー問題などによる欧州景気減速懸念のユーロリスクが深まる中で、米連邦準備理事会(FRB)などの主要国の金融引き締めで、欧米金利差拡大予想と世界景気減速懸念が欧州市場で強まり、リスク回避でユーロを売って、世界的に流動性の高い安全資産のドルや低リスク通貨の円を買う動きが優勢になった。

また、昨夜に欧州ユーロ圏のイタリアのドラギ首相が、左派の五つ星運動による政権不信任を受け、安定した政権運営の継続が困難になったことから辞任を表明し、欧州景気懸念にイタリアの政治不安も加わり、ユーロリスク売りが更に強まった。

ユーロは、前述のドイツ長期金利の影響やユーロリスク要因などで、今夜17時の東京終値でも139円28~30銭で、前日比で約31銭の円高ユーロ安であった。また、同時刻のユーロ対ドルは、1.0029~1.0030ドルの前日比で約0.07セントのドル高ユーロ安の今日の東京終値だった。

世界景気懸念のリスク回避の安全資産には、ユーロリスク売りのドルや円買いの他にも、欧州から地理的にも近い永世中立国のスイスフランや、金利の高い英ポンドが買われる機会もあり、今夜17時の東京外国為替市場の終値では、スイスフランは141円62〜68銭の前日比で約38銭の円安スイスフラン高であった。英ポンドも17時には164円34〜40銭で、前日比で約4銭の円安ポンド高だった。

しかし、その後の英国ロンドン市場では、記録的なインフレによる英景気懸念や政治の先行き不透明感などに加えて、異常気象の猛暑予報で英国史上初の赤警報が首都を含む地域に来週に向けて発令され、最近再び増加傾向のあった新型コロナなどに加えて、熱中症などでの労働者不足懸念も浮上し、英景気懸念による英ポンド売りの安全資産の低リスク通貨の円買いもあり、東京終値の後の18時台には、円高ポンド安に市場反転した。

一方、貿易先の中国や世界リスク市場の影響を受けやすいと考えられているオーストラリアの豪ドルは、17時の今日の東京終値は93円47〜51銭で、前日比で約28銭の円高豪ドル安であった。中国はコロナ再流行で、先日からも再規制が懸念されていたところだったが、今日発表された中国の経済指標の4~6月の実質国内総生産(GDP)は前年同期比0.4%増で、市場予想を大きく下回っていた。

世界市場では、今夜から明日の米国ニューヨーク市場で発表される最新の米国経済指標の小売売上高などが注目されており、今後も最新のFXニュースには注意が必要である。

そのため、日本市場の後で米国市場の前の欧州市場では、米ドルのイベント前の買い控えや様子見などで、イベント時間が近づくにつれ、19時台には東京前日比ではユーロドルが一時ドル安ユーロ高のレンジ付近でも取引されていた。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年7月15日の日本時間(JST)19時12分(英国夏時間(GMT+1)11時12分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:12の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 138.71 〜 138.72 -0.38(円高)
ユーロ/円 139.29 〜 139.31 -0.30(円高)
ユーロ/ドル 1.0040 〜 1.0042 +0.0004(ドル安)
英ポンド/円 164.08 〜 164.14 -0.22(円高)
スイスフラン/円 141.63 〜 141.69 +0.39(円安)
豪ドル/円 93.62 〜 93.66 -0.13(円高)


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