FXニュース:米消費者予想インフレ率鈍化

2024年1月09日
FXニュース:米消費者予想インフレ率鈍化

 

東西FXニュース – 2024年1月9日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米国長期金利が一時4%割れ
  • 米FRB高官の予想牽制発言も
  • 米主要株価三指数軒並み続伸
  • 国内長期金利低下と日本株高
  • 一時低下後の米長期金利反発

今日2024年1月9日火曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値でドルの高値の144円26銭前後から円の高値でドルの安値の143円42銭前後の値幅約84銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は144円4~5銭付近と、昨夜17時の世界市場の144円41~42銭では約37銭の円高ドル安で、連休前の日本市場の前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の145円4~5銭付近の前東京終値比では約1円の大幅な円高ドル安であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、昨夜22時からの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時144円48銭付近から始まり、昨夜22時20分頃には一時144円58銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録したが、米国コモディティ市場でサウジアラビアの原油価格引き下げを受けた原油先物価格が3%超も大幅に下落し、島国の日本の貿易赤字リスク減少により低リスク通貨の円が買われるとともに、車社会の米国インフレ警戒感が緩和されたことでドルが売られた。

また、米国ニューヨーク連銀が発表した先月12月の米国消費者調査 (Survey of Consumer Expectations) でも、1年先の米国消費者期待インフレ率の予想物価上昇率 (Consumer Inflation Expectations) が11月の中央値の3.4%から3.0%に低下し、2021年1月以来の低水準を記録したほか、3年先も2.6%に下げ、5年先も2.5%に鈍化したため、米国インフレ鈍化による利下げ予想から米国長期金利が開場前の一時4.06%台付近から一時3.96%台付近に向けて大きく低下し、日米金利差縮小時の円買いドル売りや欧州ユーロなどの主要通貨に対してもドルが売られ、ドルは円相場で午前1時12〜13分頃にかけて一時143円66銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。

しかし、同時進行中だった米国ニューヨーク株式市場では、米国主要株価三指数が軒並み揃って上昇したため、米国株価上昇時のブル・マーケット (強気市場 / Bull Market) のリスクオン (リスク選好 / Risk-on) では、安全資産の米国10年債価格上昇後の利益確定売りや、低リスク通貨の円売りが抵抗要因になったことでは、ドルは円相場で144円台に反発した。

午前4時には、最新米国経済指標の11月の米国消費者信用残高の前月比が発表され、前回の51.3億ドルと市場予想の90.0億ドルに対し237.5億ドルと大幅に増加しており、高金利でも買い控えない米国消費マインドの強さが観測されていた。

また、米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官達の発言の影響もあり、今年の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) から投票権を持つことになる昨年はハト派で有名だった米国アトランタ連銀ボスティック総裁が、地元アトランタ州のロータリークラブで講演し、「我々は現在、インフレ目標の2%に向けた道を進んでいるが、その道を外さないことを目的としており、インフレ抑制を確実に継続するためにFRBは金融引き締めの姿勢は崩していない」と発言し、「現時点では、米国インフレへの勝利を宣言することは、時期尚早」と、市場の早期の米国利下げ予想を牽制する動きとなり、午前3時台後半から報道が世界的に広がるにつれて米国長期金利が一時4.03%台に向けて反発して下げ幅を縮め、主要通貨に対してもドルが買い戻されて下げ幅を縮小し、午前5時14分頃に一時144円27銭付近に反発したが、米国長期金利が直前に4.06%台付近に上昇していた時の市場始まりのドルの高値圏よりは、4.03%台付近ではやや低い市場終値になった。

このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の144円58銭前後から円の高値でドルの安値の143円66銭前後の値動きで、今朝7時前頃のニューヨーク終値は144円23銭付近と、米国市場の前営業日同時刻の昨日の朝の前ニューヨーク終値の144円63銭付近と比べ約40銭の円高ドル安をつけていた。

今朝7時台のアジア・オセアニア市場の世界ニュースでは、昨年は米国連邦準備制度理事会 (FRB) のタカ派代表の様に昨年にもう一回の米国追加利上げの必要性を説いていたボウマンFRB理事が、今年は「現在の金融政策は米国インフレ率を目標の2%に抑制する上で十分に抑制的」という認識も示した一方で、「米国インフレ鈍化が停滞した場合には、追加利上げの用意がある。米国インフレの上振れリスクは、依然として残っている」というタカ派姿勢も崩してはいなかったことを受けては、市場では今年3月の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) での早期の米国利下げ予想がさらに減退し、米国政策金利のフェデラル・ファンド (FF / Federal Funds) 誘導目標レートの市場予想値ツールの米国シカゴ・マーカンタイル取引所 (CME / Chicago Mercantile Exchange) のフェドウォッチ (FedWatch) では、3月の早期の米国利下げ予想値は、0.25%の小幅利下げ予想値が確定値以下でさらに減少した57.3%付近で推移し、0.50%の大幅利下げ予想は2.7%に後退する一方で、金利据え置き予想値は40.0%に上昇しており、今朝8時51分頃のアジア・オセアニア市場では、ドルは円相場で一時144円28銭付近に再上昇していた。

今朝9時頃からの祝日連休明けの今日の日本の東京外国為替市場のドル円は一時144円26銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値付近から始まったが、日本市場の連休前の先週末の米国雇用統計上昇の一部下方修正と米国ISM非製造業景況指数低下などの米国経済指標を受けた市場時差遅れの円買いドル売りが先行して円相場が上昇し、今日の日本市場での時間外の米国債取引でも米国長期金利が一時4.01%台に再低下したため、今朝11時6分頃にドルは円相場で一時143円42銭付近の今日の日本の円の高値でドルの安値を記録した。

しかし、時間外の米国債券市場では、先述の早期の米国利下げ予想の後退の影響などにより米国長期金利が再び4.02%台に反発して下げ幅を縮めた一方で、日本国債の利回りが指標となる国内長期金利が低下し、また今日の日経平均株価 (Nikkei Stock Average) が大幅に上昇したことを受けて、リスク選好の低リスク通貨の円売りでドルが買い戻され、午後からの欧州英国市場の参入もあり、夕方には米国長期金利が一時4.04%台に上昇し、日米金利差拡大によりドルは円相場で144円台に反発し、今朝の下げ幅を縮めた。

このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は144円4~5銭付近で、昨日17時の世界市場の144円41~42銭では約37銭の円高ドル安になった。

また、日本市場の連休前の前営業日同時刻の先週金曜日17時の145円4~5銭付近の前東京終値比で約1円0銭の大幅な円高ドル安になっていた。

ただし、その後の英国ロンドン外国為替市場でも、米国長期金利が一時4.05%台に上昇した時などに主要通貨に対するドルの買い戻しが続き、今夜17時16分頃にはドルは円相場で一時144円32銭付近にも上昇したが、テクニカル分析的な200日移動平均線の143円38銭手前付近からは利益確定売りが入り始めた。

今夜この後には、最新米国経済指標発表や米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の発言予定と米国債入札予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜22時30分に昨年11月の米国貿易収支、26時頃からバーFRB副議長の発言予定、27時に米国3年債の入札などが予定されている。

一方、今日の欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は157円82〜83銭付近と、昨夜17時の世界市場の158円6〜8銭付近と比較すると約24銭の円高ユーロ安で、日本市場の連休前の前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の158円44〜45銭付近の前東京終値比では約62銭の円高ユーロ安であった。

主な要因は、先述のドルに対する円相場の上昇の影響が他の主要通貨である欧州ユーロに波及したほか、昨夜の原油先物価格低下時の影響により日本の貿易赤字リスクが減少し、主要通貨に対する低リスク通貨の円の価値が高まっていた。

また、今日の午後16時には欧州ユーロ圏主要国ドイツの最新経済指標が発表され、11月の独鉱工業生産は、前月比が前回の-0.4%と前回修正の-0.3%と市場予想の0.2%に対し-0.7%に悪化し、前年同月比も前回の-3.5%と前回修正の-3.4%と市場予想の-4.0%よりもさらに低下した-4.8%だったことでは、欧州景気懸念も続いていた。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0954〜1.0956ドル付近で、昨夜17時の世界市場の1.0944〜1.0945ドル付近と比較すると約0.10セントのユーロ高ドル安で、日本市場の連休前の前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の1.0922〜1.0924ドル付近の前東京終値時間比では約0.32セントのユーロ高ドル安であった。

主な要因は、先週末の米国経済指標を受けた円相場に対するドル安圧が今日の日本市場で継続したことが波及したほか、昨夜の米国長期金利が一時4%を下回った欧米金利差の影響などが残っていた。また、日米株価上昇時のリスクオンではユーロ買いも入っていた。

また、今日の夕方16時45分に発表された欧州ユーロ圏のフランスの最新経済指標では、11月の仏貿易収支が前回の-85.97億ユーロから-84.55億ユーロに赤字額がやや改善されたほか、11月の仏経常収支も前回の-29億ユーロと前回修正の-34億ユーロに対し-28億ユーロと改善されていた。

しかし、今夜の英国ロンドン外国為替市場では、米国長期金利の再上昇や欧州景気懸念などでドルが買い戻されて、今夜21時頃には小幅なユーロ安ドル高に市場反転している。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のポンド円相場の終値は183円55〜61銭付近で、昨夜17時の世界市場の183円44〜50銭付近と比較すると約11銭の円安ポンド高であったが、連休前の日本市場の前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の183円75〜81銭付近の前東京終値比では約20銭の円高ポンド安であった。

主な要因は、昨日は安全資産としてのリスクオフでの低リスク通貨の需要が観測された一方で、今日は連休明けの日本市場で日経平均株価が大幅高のまま大引けしたリスクオンに転じたため、リスク市場に比較的弱い英国ポンドに対する円相場に影響を与えていた。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年1月9日の日本時間(JST)21時00分(チャート画像の時間帯は、日本から時差で9時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の冬時間 (GMT / JST-9) の12時00分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 21:00の為替レート 世界市場の昨日の日本時間JST 17:00比
ドル/円 144.06 〜 144.07 -0.35 (円高)
ユーロ/円 157.48 〜 157.50 -0.58 (円高)
ユーロ/ドル 1.0931 〜 1.0932 -0.0013 (ドル高)
英ポンド/円 183.16 〜 183.22 -0.28 (円高)
スイスフラン/円 169.20 〜 169.26 -0.62 (円高)
豪ドル/円 96.41 〜 96.45 -0.34 (円高)


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