FXニュース:米雇用統計上昇一部下方修正

2024年1月08日
FXニュース:米雇用統計上昇一部下方修正

 

東西FXニュース – 2024年1月8日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米ISM非製造業景況指数低下
  • 米FRB高官の金融正常化発言
  • 米長期金利上昇と下落の影響
  • 欧英景気懸念と低リスク通貨

今日2024年1月8日月曜日の日本の東京外国為替市場は成人の日の祝日休場であるが、世界市場の9時頃から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値でドルの高値の144円80銭前後から円の高値でドルの安値の144円9銭前後の値幅約71銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値相当時間は144円41~42銭付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の145円4~5銭付近の前東京終値比では約63銭の円高ドル安であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、先週末の米国ニューヨーク外国為替市場では先週金曜の夜22時頃に対ドル円相場は一時145円9銭付近から始まったが、先週金曜日22時30分に発表された最新米国重要経済指標の先月12月の米国雇用統計は、米国非農業部門雇用者数変化 (NFP / Non-Farm Payroll) の前月比が前回の19.9万人と前回下方修正の17.3万人と市場予想の17.0万人に対し21.6万人に上昇し、米国失業率 (Unemployment Rate) も市場予想の3.8%に対し前回と横ばいの3.7%と堅調さを保ち、米国平均時給 (Average Hourly Earnings) も前月比が市場予想の0.3%に対し前回同様の0.4%で、前年同月比では前回の4.0%と市場予想の3.9%を上回る4.1%に上昇し、堅調な米国雇用統計の最新データを受けて、米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の3月の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の早期の米国利下げ予想が後退し、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が発表前の一時4.03%台から一時4.09%台に急上昇したため、日米金利差拡大による円売りドル買いや、欧州ユーロなどの他の主要通貨に対してもドルが一時高騰し、先週金曜日22時31分頃にドルは円相場で一時145円98銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。

しかし、市場高値を記録後のドルには利益確定売りが入り始めたほか、米国雇用統計の詳細内容では、米国非農業部門雇用者数変化 (NFP) の前月分が以前の19.9万人から17.3万人に前々月に続いて下方修正され、過去2カ月間では合計7.1万人も下方修正されたことや、米国失業率も米国雇用統計では市場予想の3.8%よりも強い前回と横ばいの3.7%となったものの、実際の労働参加率は0.3%減少したとの細部データが話題になり、米国長期金利が反落し、先週金曜の夜22時55分頃に一時4.00%台付近に低下したことから、日米金利差縮小時の円買いドル売りにより対ドルの円相場などが反発し、他の主要通貨に対しても米国長期金利低下時のドル売りがあったため、この頃のドルは円相場で上昇前の元の水準付近に戻すという金融・証券用語の「往って来い」の状態になっていた。

そこに、深夜24時に発表された最新米国重要指標の先月12月の米国サプライマネジメント協会 (ISM / Institute for Supply Management) 非製造業景況指数の総合が、前回の52.7と市場予想の52.6に対し50.6に低下し、不景気と好景気のボーダーライン (境界線 / Borderline) に近づく大幅な悪化と受け止められたことで、米国長期金利が一時3.95%台に急落したため、日米金利差縮小時の円買いドル売りや欧州ユーロなどの他の主要通貨に対するドル売りの勢いが更に増し、上昇後の損切りのストップロス (SL / Stop-Loss) や戻り売りのストップリミット (Stop-Limit) などを引っ掛けた荒い値動きで一時急落したため、ドルは円相場で深夜24時26分頃に一時143円81銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。

ただし、深夜に同時発表されていた最新米国経済指標の先々月11月の米国製造業新規受注は、前月比が前回マイナス圏だった-3.6%と前回上方修正の-3.4%と市場予想の2.1%に対し、プラス圏の2.6%に上昇して改善していたことや、米国雇用統計の中でも米国平均時給が前年同月比では前回4.0%と市場予想3.9%を上振れする4.1%に上昇する賃金インフレ圧も意識され始め、一時急落後の米国長期金利が4.04%台に向けて反発し、市場安値後のドルの買い戻しが入ったことでは、ドルは円相場で先週土曜の午前3時24分頃に一時144円90銭付近に買い戻された。

午前3時30分頃からは今年の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の米国リッチモンド連銀のバーキン総裁の発言があり、「米国のインフレが目標の2%に抑制される説得力のある道筋をたどっているとの確信と自信が高まるにつれて、米国政策金利を通常の水準に戻すことに概念的に異論はない」とし、米国雇用統計では米国労働市場は安定した軟化パターンを見せて「正常化」しているのであって、「経済が正常化すれば、金利も正常化すべきだ」と米国政策金利の利下げを示唆する発言内容からは、ドルの買い戻しには抵抗が混ざった。

しかし、その後も米国政策金利のフェデラル・ファンド (FF / Federal Funds) 誘導目標の市場予想値を示す米国シカゴ・マーカンタイル取引所 (CME / Chicago Mercantile Exchange) のフェドウォッチ (FedWatch) では、今年3月の早期の米国利下げ予想値は、0.25%の小幅利下げ予想値が70%の確定値を下回る60.9%付近に低下しており、0.50%の大幅利下げ予想値は2.9%に減少した一方で、金利据え置き予想が36.2%付近に上昇しており、米国長期金利は午前5時台には一時4.05%台後半付近に再上昇したことでは、ドル円も144円台後半に戻した。

また、週末の米国ニューヨーク株式市場で米国主要株価三指数が揃って前日比で小幅高の終値をつけたことでも、利益確定を含めた安全資産の米国債売りや低リスク通貨の円売りに影響を与えていた。

しかし、ドル円のポジションでも、今年の年明け新年市場で世界的な円安ドル高が進行した後であったため、週末の利益確定や持ち高調整の反動も混ざっていたことでは、ドル円は144円中盤付近に留まった。

このため、先週金曜の夜から土曜の朝までの先週末の米国ニューヨーク外国為替市場では、対ドル円相場は円の安値でドルの高値の145円98銭前後から円の高値でドルの安値の143円81銭前後の値動きで、先週土曜の朝の先週末のニューヨーク終値は144円63銭付近と前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の144円63銭と同水準の横ばいレンジをつけていた。

週が明けた今週の世界市場では、今朝早朝のアジア・オセアニア市場で米国雇用統計を受けたドル買いの値動きがあり、今日の日本市場は「成人の日」の祝日で休場ではあるが、今朝9時頃からの日本の東京外国為替市場時間相当のドル円は一時144円72銭付近が始値になり、今朝9時3分頃に一時144円80銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。

しかし、先週末の米国市場のトレンドと同様に、一見は堅調に見えた米国雇用統計の一部の下方修正や、米国ISM非製造業景況指数総合の悪化などの強弱混じった米国重要経済指標を受けては、今週の1月11日に予定されている米国インフレ関連の最新米国重要経済指標の米国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) などに注目が集まり始めて、イベント週を控えた早期の利益確定売りや持ち高調整なども入り始めた。

今日のアジア市場では、上海総合指数や香港ハンセン指数が軟調であったことも、株安時のリスクオフ (リスク回避 / Risk-off) で低リスク通貨の円買い需要があったほか、午後からの欧州英国市場の参入では、世界的な安全資産の米国債買いに伴う利回り低下の影響もあり、今朝は一時4.06%台に上昇していた米国長期金利が午後には4.04%に下げた後、夕方には一時4.01%台付近にも向けた一時急落も見せたため、午後16時頃にドルは円相場で一時144円9銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

午後16時の英国ロンドン外国為替市場では、欧州ユーロ圏主要国ドイツの最新経済指標の発表があり、昨年11月の独製造業新規受注は、前月比が前回の-3.7%と市場予想の1.1%に対し0.3%と市場予想を下回ったほか、前年同月比でも前回の-7.3%と市場予想の-3.4%に対し-4.4%の市場予想以下で、欧州景気懸念により世界的な安全資産の米国債が買われるリスクオフの値動きが強まった時間の影響などもあり、米国10年債の債券価格上昇に伴う利回り低下による米国長期金利の低下時には金利差売買でドルが売られやすかった。

ただし、同時発表だったドイツの最新経済指標の同11月の独貿易収支は、前回の178億ユーロと前回修正の177億ユーロと市場予想の180億ユーロを上回る204億ユーロであったことでは、市場安値後には世界的に流動性の高い安全資産でもあるドルの買い戻しなどの抵抗も入り始めたが、米国ダウ先物も一時低下を見せていたことでは、米国株安時のリスクオフによる低リスク通貨の円買い需要も続いていた。

このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値相当時間には144円41~42銭付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜の夜17時の145円4~5銭付近の前東京終値比で約63銭の円高ドル安になった。

今夜この後には最新米国経済指標や米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の発言予定があり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜26時30分頃から米国アトランタ連銀のボスティック総裁の発言予定と、29時に昨年11月の米国消費者信用残高が発表される予定である。

一方、今日の欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値相当時間は158円6〜8銭付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の158円44〜45銭付近の前東京終値比で約38銭の円高ユーロ安であった。

主な要因は、今日の前述の対ドルでの円相場の上昇の影響が他の主要通貨である欧州ユーロにも波及したほか、今夜19時には欧州ユーロ圏総合の最新経済指標の発表も続き、12月の欧州経済信頼感は前回の93.8と前回修正の94.0と市場予想の94.2を上回る96.4に上昇し、同月の欧州消費者信頼感の確定値も前回の-15.1から-15.0に僅かな改善を見せたものの、同時発表だった11月の欧州小売売上高は、前月比が前回の0.1%と前回上方修正の0.4%に対し市場予想通りの-0.3%に悪化し、前年同月比では前回の-1.2%と前回上方修正の-0.8%と市場予想の-1.5%に対し-1.1%と市場予想ほどではないもののは悪化したことで、欧州景気懸念も燻っている。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値相当時間は1.0944〜1.0945ドル付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の1.0922〜1.0924ドル付近の前東京終値時間比で約0.22セントのユーロ高ドル安であった。

主な要因は、今日の夕方に米国長期金利が一時4.017%付近に低下したことを受けては欧州ユーロなどの主要通貨に対してもドルが売られたが、今夜その後の欧州経済指標を受けた欧州景気懸念の燻りでは、世界的に流動性の高い安全資産でもあるドルの買い戻しの抵抗も混ざっている。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のポンド円相場の終値相当時間は183円44〜50銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の183円75〜81銭付近の前東京終値比では約31銭の円高ポンド安であった。

主な要因は、ドルやユーロなどの主要通貨に対する今日の円高の影響の波及に加えて、リスク市場に弱い豪ドルなどに対しても円高圧があり、先週末には欧州英国株も前日比で安値で終値をつけていたことなどから、今日は日本市場が祝日休場で実需はなかったものの、安全資産としてのリスクオフでの低リスク通貨の需要は観測されていた。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年1月8日の日本時間(JST)20時55分(チャート画像の時間帯は、日本から時差で9時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の冬時間 (GMT / JST-9) の11時55分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:55の為替レート 日本市場前営業日17時の前東京終値時間比
ドル/円 144.53 〜 144.54 -0.51 (円高)
ユーロ/円 158.10 〜 158.15 -0.34 (円高)
ユーロ/ドル 1.0938 〜 1.0940 +0.0016 (ドル安)
英ポンド/円 183.50 〜 183.56 -0.25 (円高)
スイスフラン/円 169.71 〜 169.77 -0.56 (円高)
豪ドル/円 96.62 〜 96.66 -0.50 (円高)


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