FXニュース:米国景気減速で長期金利低下

2023年12月04日
FXニュース:米国景気減速で長期金利低下

 

東西FXニュース – 2023年12月04日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米製造業PMI改訂値が想定以下
  • 米ISM製造業景況感も予想以下
  • 米FRBパウエル議長発言影響
  • 米利上げ終了予想のドル売り
  • 日米金利差縮小時の円買いも
  • 欧利下げ転換予想ユーロ売り

今日2023年12月4日月曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の146円23銭前後から円の安値でドルの高値の147円3銭前後の値幅約80銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は146円98~99銭付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の148円27~28銭付近の前東京終値比では約1円29銭の大幅な円高ドル安であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、先週金曜の夜の英国ロンドン外国為替市場では、欧州市場で欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 理事会メンバーの仏中央銀行のフランス銀行 (BdF / Banque de France) のビルロワドガロー総裁が、「何らかの衝撃が起きない限りは、欧州利上げは終了した」と発言したことをきっかけに、欧州利下げ転換予想の高まりにより、ドルや円に対する欧州ユーロ売りが進行していた。

しかし、続いて始まった先週金曜の夜から土曜の朝までの先週末の米国ニューヨーク外国為替市場では、先週金曜の夜23時45分に発表された最新米国経済指標の11月の米国製造業購買担当者景気指数 (PMI / Purchasing Managers’ Index) 改定値が前回の49.4と市場予想の49.5に対し市場予想を下回る前回横ばいの49.4で、続いて深夜24時に発表された11月の米国サプライマネジメント協会 (ISM / Institute for Supply Management) 製造業景況指数も前回の46.7と市場予想の47.6に対し市場予想以下かつ前回横ばいの46.7であったことで、米国景気減速感が意識され、米国利上げ終了予想によるドル売りが再燃し、対ドルの欧州ユーロが下げ幅を縮めると同時に対ドルの円相場が上昇した。

午前1時頃から始まった市場注目度が高かった米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のパウエル議長の発言では、市場は先週のFRBの元タカ派のウォラー理事のハト派発言の影響による早期の米国利下げ予想の牽制のタカ派発言が期待されていたが、市場予通りに「米国利下げの時期について推測するのは、時期尚早」と早期の米国利下げ観予想牽制のタカ派寄りの発言をした時間にはドルが一時買い戻されたが、元々FRBの中でも中道派で知られるパウエル議長は、「米国利上げが行き過ぎて必要以上に景気を減速させるリスクと、米国インフレ抑制のために十分な利上げを実施しないリスクとの、リスクバランスはより均衡してきている」ことにも言及し、更に10月までの6カ月間の米国主要インフレ指標のデータは平均2.5%で、FRBが目標とする2%に近付いてきたことを指摘し、大学の講演であったために「米国金融政策が予想通りに米国景気を減速させていることは明らかであり、米国政策金利はかなり制約的な領域に入っている。我々は効果を実感しつつある」とハト派寄りの発言もしたことが市場での先ほどの米国景気減速感と相まって、米国利上げ終了予想が高まり、米国長期金利が低下し、日米金利差縮小時の円買いドル売りが強まった。

パウエル議長の最初の発言機会は、有色人種比率が多い米国ジョージア州アトランタのスペルマン大学の対話式の講演であったため、学校関係者や生徒達の質問に答え米国雇用市場で有色人種と白人の雇用環境の差が縮まったことや生徒へのアドバイスと、パンデミックを含めて低所得者等の生活への影響などに配慮したアドリブの発言もしていたが、ニュースメディアで公開された講演原稿では、「FRBの金融引き締めの効果はまだ十分に現れていない」ことに言及し、その上で、「これまでの米国インフレに対するFRBの強力な対応はFRBの信頼性を維持し、将来のインフレ期待を安定的に保ち、これほどまでに速く現在の地点まで来ることができたが、米国金融引き締めの過不足リスクが均衡している現在の状況下では、米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) は、慎重に進める」としており、FRBが今後、米国追加利上げを実施する必要があるかどうかは、「データが教えてくれるであろう」と、以前と同じ「今後データ次第」という中道的な姿勢を保ったことでは、市場が期待していた程のタカ派寄りの発言が出なかったという点では、週末市場ではタカ派発言への期待値で買われていたドル売りが出たほか、米国長期金利が一時4.195%台と9月8日以来の低利回りになったことから、日米金利差縮小の円買いドル売りが優勢で、先週土曜の午前3時35分頃に一時146円66銭付近の9月12日以来の円高ドル安の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。

ただし、米国株式市場ではFRB議長の慎重姿勢による金利警戒感の緩和の影響もあり、米国主要株価三指数が軒並み上昇し、米国S&P総合500種 (S&P500) が年初最高値の終値をつけたことでは、安全資産の米国債や低リスク通貨の円売りの抵抗もやや入った。

先週は、週間の米国主要株価三指数がいずれも5週連続高を記録したほか、ナスダック総合 (NASDAQ composite) と前述のS&P500の先月11月の上昇率は、2022年7月以来で最大を記録し、ダウ工業株30種 (DJI / Dow Jones Industrial Average) も前営業日に2022年1月以来の今年の最高値の終値を記録していた。

このため、先週金曜の夜から土曜の朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の148円26銭前後から円の高値でドルの安値の146円66銭前後の値動きで、今朝7時のニューヨーク終値は146円82銭付近と前営業日同時刻の前ニューヨーク終値比で約1円38銭の円高ドル安をつけていた。

週が明けた今朝9時頃からの日本の東京外国為替市場でも、米国利上げ終了予想を受けた日米金利差縮小時の円買いドル売りが先行し、今朝9時31分頃にドルは円相場で一時146円23銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

また、欧州利上げ終了予想による欧州ユーロ売りでも円相場が上昇した影響も対ドル円相場に波及していた。

しかし、今朝9時55分の日本市場の仲値決済に向けた日本企業の輸入実需の円売りドル買いが入ったほか、仲値決済時には輸出系の売買も交錯したが、今日の週明けの日本市場の取引では時間外の米国債市場で米国長期金利が4.20%台付近から4.25%台付近に向けて反発上昇した影響の日米金利差拡大時の円売りドル買いも入り始め、ドルは円相場で反発上昇をして下げ幅を縮めたため、午後からの欧州英国市場の参入後の午後17時の東京終値直前に一時147円3銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。

今日の東京株式市場では、円高時に海外の投資家達が日本株の利益確定売りで持ち高調整のドルの買い戻しをしやすくなっていたこともあり、主要貿易先の米国の景気減速懸念もあり、日経平均株価 (Nikkei 225 / JP225) が大幅に下落したことでは、日本国内からはリスク回避のリスクオフの低リスク通貨の円買いが入る一方で、高値の円の利益確定売りとドルなどの買い戻しも混在していた。

また、夕方の欧州市場では、今日の午後16時半に発表されたスイスの消費者物価指数 (CPI) の前月比も、前回の0.1%と市場予想の0.0%に対し-0.2%と市場予想よりも鈍化した影響で、近隣の欧州ユーロが対ドルや対円で売られたことなども対ドル円相場に波及していた。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は146円98~99銭付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の148円27~28銭付近の前東京終値比では約1円29銭の大幅な円高ドル安になった。

そして、その直後の今夜17時7分頃の英国ロンドン外国為替市場では、ドルは円相場で一時147円11銭付近まで上昇後、低下に転じている。

今夜この後には、最新米国経済指標の発表予定があり、日本時間の経済指標カレンダーの今夜のスケジュールは、深夜24時に10月の米国製造業新規受注が発表される予定であるが、米国連邦準備制度理事会 (FRB) の高官達は来週の次回米国連邦公開市場委員会 (FOMC) を控えた発言自粛期間のブラックアウト (Black Out) 期間に入るため、特に発言は予定されていない。ただし、今夜23時頃から欧州中央銀行 (ECB) のラガルド総裁の発言予定はある。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は159円59〜61銭付近と、日本市場の前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の161円55〜56銭付近の前東京終値比で約1円96銭の大幅な円高ユーロ安であった。

主な要因は、先述の先週金曜の欧州中央銀行 (ECB) 理事会メンバーのフランス中銀総裁の欧州利上げ終了発言を受けた日欧金利差予想の欧州ユーロ売り円買いの影響に加えて、ドルに対する円高の波及と、欧州利下げ時期予想で欧州ユーロが対ドルでも売られた影響が円相場にもユーロ安として波及したことで、大幅なユーロ安になった。

このため、ユーロドルも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0856〜1.0858ドル付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜17時の1.0894〜1.0896ドル付近の前東京終値で約0.38セントのユーロ安ドル高であった。

ただし、今日の午後16時に発表された欧州ユーロ圏主要国ドイツの最新経済指標の10月の独貿易収支は前回の165億ユーロと前回修正の167億ユーロと市場予想の172億ユーロに対し178億ユーロに上昇していたことでは、欧州景気懸念緩和による欧州ユーロの買い戻しも混ざっていた。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンドの円相場の終値は186円18〜24銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の187円31〜37銭付近の前東京終値比で約1円13銭の大幅な円高ポンド安であった。

主な要因は、欧州通貨の影響を受けやすい英国ポンドも円相場で売られたほか、今日のドルや欧州ユーロなどの主要通貨に対する大幅な円高の影響が英国ポンドにも波及していた。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2023年12月4日の日本時間(JST)20時57分(チャート画像の時間帯は、日本から時差で9時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の冬時間 (GMT / JST-9) の11時57分頃。なお、サマータイム制のある米国市場も現在冬時間で、日本との時差が14時間遅れのJST-14 / GMT-5になっている) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:57の為替レート 日本市場前営業日17時の前東京終値時間比
ドル/円 146.52 〜 146.54 -1.75 (円高)
ユーロ/円 159.28 〜 159.29 -2.27 (円高)
ユーロ/ドル 1.0869 〜 1.0870 -0.0025 (ドル高)
英ポンド/円 185.84 〜 185.90 -1.47 (円高)
スイスフラン/円 167.92 〜 167.98 -1.92 (円高)
豪ドル/円 97.46 〜 97.50 -0.46 (円高)


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