FXニュース:米FRBパウエル議長発言控え

2023年12月01日
FXニュース:米FRBパウエル議長発言控え

 

東西FXニュース – 2023年12月01日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • FRBハト派とタカ派と中道派
  • 来年早期の米利下げ予想後退
  • 米PCEデフレーター予想通り
  • 米ダウ工業株が今年の最高値
  • 日米金利差拡大と持ち高調整
  • 欧インフレ鈍化で利下げ予想

今日2023年12月1日金曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の147円60銭前後から円の安値でドルの高値の148円32銭前後の値幅約72銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は148円27~28銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の147円3~4銭の前東京終値比では約1円24銭の大幅な円安ドル高であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、昨夜の英国ロンドン外国為替市場では欧州インフレ鈍化を受けた欧州利下げ時期に関する市場予想が再燃し、欧州ユーロ売りと欧州に連動しやすい英国ポンド売りでドルが買われた影響が円相場にも波及し、ドルが円相場で上昇していたが、月末要因の持ち高調整や買い戻しの抵抗を交えながら、昨夜22時頃からの米国ニューヨーク外国為替市場が始まった。

昨夜22時半に発表された最新米国重要経済指標の10月の米国個人消費支出 (PCE / Personal consumption expenditures) デフレーターの前年同月比は、前回3.4%に対し市場予想通りの3.0%で、食品とエネルギー除くコアPCEデフレーターは、前年同月比が前回の3.7%に対し市場予想一致の3.5%で、前月比は前回の0.3%に対し市場予想通りの0.2%といずれも市場予想通りの鈍化を示し、10月の米国個人消費支出 (PCE) の前月比も前回の0.7%に対し市場予想通りの0.2%で、同時発表の10月の米国個人所得の前月比も前回の0.3%と前回修正の0.4%に対し市場予想通りの0.2%に鈍化し、いずれも市場の想定通りであったが、昨夜22時25分頃には米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.2%台に下げていた影響もあり、昨夜22時半頃には瞬時反発ではあったがドルは円相場で一時147円20銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。

ただし、市場予想通りの結果に加えて、同時発表だった米国雇用市場関連の最新経済指標の前週分の米国新規失業保険申請件数は、前回の20.9万件と前回修正の21.1万件と市場予想の22.0万件に対し21.8万件と市場予想よりも強く、前週分の米国失業保険継続受給者数は前回の184.0万人と前回修正の184.1万人と市場予想の187.2万人に対し192.7万人と市場予想よりも弱く強弱が入り混じったことでは、すぐに安値後のドルの買い戻しや、欧州市場でのユーロ売りドル買いの影響の波及などでドルは再び上昇に転じた。

続いて、昨夜23時45分に発表された11月の米国シカゴ購買部協会景気指数は、前回の44.0と市場予想の45.4に対し55.8と大幅に上昇し、米国長期金利が4.3%台に上昇したほか、好景気はインフレ圧となりやすいため、ドル買いが強まった。

また、この日の米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達のタカ派発言のニュースが市場で話題になり、米国サンフランシスコ連銀のデイリー総裁は、「現時点では、米国利下げについては全く考えていません。FRBが米国利上げを終了したかどうかを考えるのには、時期尚早ではないでしょうか」と発言したほか、これまではFRBの中でもハト派で知られていた米国ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁が、同連銀のカンファレンス講演で「依然として先行きは極めて不透明であり、我々FRBの決定は、引き続き今後のデータ次第である。米国経済の現在のリスクの高すぎる米国インフレと景気減速リスクの双方のリスク・バランスを考慮する必要があり、私の見解では現在の米国政策金利のフェデラル・ファンド (FF) 目標レンジはピークかそれに近い水準であるとしているが、私の予想以上の物価上昇圧や不透明性が続く場合には、米国追加利上げが必要になるかもしれない」と発言し、米国インフレ率の見通しを今年3%、来年2.25%、再来年に目標の2%に近づくとしたことで、先日のFRBのウォラー理事のハト派発言のサプライズ以来高まっていた来年早期の米国利下げ予想が後退し、米国長期金利が更に上昇し、日米金利差拡大による円売りドル買いが起きた。

このため、昨夜23時47分頃にドルは円相場で一時148円52銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。

午前1時の英国市場のロンドン・フィキシング (ロンフィク / London Fixing) に向けた月末の円買いフローは抵抗要因になり、米国市場で安値を記録後の円相場はしばらく下げ渋ったが、午前1時のロンフィク後からは、日米金利差拡大の影響もあり、再び対ドルの円相場が下落した。

同時進行していた米国ニューヨーク株式市場でも、米国好景気の指標などを受けて米国ダウ工業株30種 (DJI / Dow Jones Industrial Average) が前日比で500ドル以上の大幅高に上昇し今年の最高値を記録するなど、安全資産の米国債売りに伴う利回り上昇で米国長期金利が上昇し日米金利差が拡大したほか、ナズダック (NASDAQ) のみ小幅低下したものの他の米国主要株価三指数のダウやS&P500の上昇によるリスク選好のリスクオンの低リスク通貨の円売りや月末のドルの買い戻しなども為替相場に影響を与えた。

ただし、今夜この後には米国連邦準備制度理事会 (FRB) の中でも中道派として知られているパウエル議長の発言予定があり、これまでにタカ派だったウォラー理事のハト派発言や、ハト派だったニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁のタカ派発言のサプライズがあったため、中道派だったパウエル議長が今回はタカ派とハト派のどちら寄りの発言をするのか、また早計な市場の米国利上げ終了予想や早期の利下げ転換の市場予想などを牽制するのかなど、注目が集まり始めたことでも、月末要因のドルの持ち高調整とともに様子見の値動きも混ざり始めた。

そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場は、円の高値でドルの安値の147円20銭前後から円の安値でドルの高値の148円52銭前後の値動きで、今朝7時頃のニューヨーク終値を148円20銭付近の前営業日同時刻の前ニューヨーク終値比で約96銭の円安ドル高をつけていた。

今朝8時半には、日本の最新経済指標の発表があり、10月失業率は前回と市場予想の2.6%に対し2.5%に改善され、10月有効求人倍率も前回と市場予想の1.29に対し1.30と前回と市場予想以上に堅調であった。

同時発表だった7〜9月の第3期四半期法人企業統計調査のソフトウェア含む全産業設備投資額は、前回の4.5%に対し前年同期比が市場予想通りの3.4%であった。

今朝9時頃からの今日の日本の東京外国為替市場では、今朝の日本の雇用市場の指標を受けた日本景気好感の円買い需要や、今夜のパウエル議長の要人発言イベントを控えたイベント前のドルの持ち高調整などが入り、今朝9時55分の日本市場の仲値決済では月末決算後で実需勢の売買は控えめであったため、午前10時10分頃に一時147円60銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録したが、市場安値後のドルは再び反発を始めた。

午後15時15分には、今日の東京株式市場で日経平均株価 (Nikkei 225 / JP225) が3万3431円51銭の終値と、前日比55円38銭安で大引けしたことでは、ややリスク回避のリスクオフの低リスク通貨の円買いの抵抗も交えた。

しかし、夕方からの欧州英国市場の本格参入では、昨夜からの欧州インフレ鈍化による欧州利下げ時期に関する市場予想が出ていたことから欧州ユーロに対するドル買いの影響が円相場にもドル上昇圧として波及したほか、米国長期金利が3.3%台に乗せて上昇していたことでも、日米金利差拡大による円売りドル買いも入り、午後16時54分頃にドルは円相場で一時148円32銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は148円27~28銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の147円3~4銭の前東京終値比では約1円24銭の大幅な円安ドル高になった、今夜この後には、最新米国経済指標の発表予定や次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達の発言予定があり、日本時間の今夜の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜23時45分に11月の米国製造業購買担当者景気指数、深夜24時に 11月の米国ISM製造業景況指数と10月の米国建設支出、同じく深夜24時頃から米国シカゴ連銀グールズビー総裁の発言予定、25時頃から注目度の高いFRBのパウエル議長の発言予定と、続いて28時頃からも再びパウエルFRB議長の発言予定があり、同時刻頃からFRBのクック理事の発言も予定されている。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は161円55〜56銭付近と、日本市場の前営業日同時刻にあたる昨夜17時の161円1〜3銭付近の前東京終値比で約54銭の円安ユーロ高であった。

主な要因は、今日の対ドル円相場の前日比で大幅な円安の影響が他の主要通貨でもある欧州ユーロにも波及したが、昨夜の欧州インフレ鈍化の経済指標を受けた欧州利下げ時期予想で欧州ユーロもドルに対して売られていたために、ユーロ円の下げ幅はドル円よりも小幅域に留まっていた。

また、その後の今夜17時50分に発表された欧州ユーロ圏の最新経済指標では、フランスの11月の仏製造業購買担当者景気指数 (PMI) 改定値が前回と市場予想の42.6に対し42.9で、今夜17時55分発表のドイツの11月の独製造業購買担当者景気指数(PMI) 改定値も前回と市場予想の42.3に対し42.6で、今夜18時の欧州ユーロ圏総合の11月の欧州製造業購買担当者景気指数 (PMI) 改定値も前回と市場予想の43.8に対し44.2と前回と市場予想を上回っていたが、好景気と不景気のボーダーライン (境界線) の50は下回っていた。

なお、今夜20時半頃からも欧州中央銀行 (ECB) のラガルド総裁が連日で発言している。

前述のユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0894〜1.0896付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の1.0950〜1.0952ドル付近の前東京終値で約0.56セントのユーロ安ドル高であった。

主な要因は、前述の通り、欧州のインフレ鈍化を示す経済データを受けて、来年の欧州利下げ転換時期に関する市場予想が再燃しており、欧州ユーロが対ドルで売られたことが為替相場に影響を及ぼしていた。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンドの円相場の終値は187円31〜37銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の186円65〜71銭付近の前東京終値比で約66銭の円安ポンド高であった。

主な要因は、先述の今日の対ドル円相場の大幅円安の影響が英国ポンドにも波及したほか、今日の午後16時に発表された最新英国経済指標では、11月の英国ネーションワイド住宅価格の前月比が前回の0.9%と市場予想の-0.4%に対し0.2%で、市場予想ほど英国の住宅インフレは鈍化していなかった。

また、今夜18時半に英国ロンドン外国為替市場で発表された11月の英国製造業購買担当者景気指数 (PMI) 改定値も、欧州同様に前回と市場予想の46.7に対し47.2と市場予想を上回ったが、好景気と不景気の境界の50は下回っていた。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2023年12月1日の日本時間(JST)20時32分(チャート画像の時間帯は、日本から時差で9時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の冬時間 (GMT / JST-9) の11時32分頃。なお、サマータイム制のある米国市場も現在冬時間で、日本との時差が14時間遅れのJST-14 / GMT-5になっている) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:32の為替レート 日本市場前営業日17時の前東京終値時間比
ドル/円 148.10 〜 148.11 +1.07 (円安)
ユーロ/円 161.29 〜 161.31 +0.28 (円安)
ユーロ/ドル 1.0889 〜 1.0891 -0.0061 (ドル高)
英ポンド/円 187.30 〜 187.36 +0.65 (円安)
スイスフラン/円 169.35 〜 169.41 +0.90 (円安)
豪ドル/円 97.97 〜 98.01 +0.40 (円安)


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