FXニュース:日銀修正予想で円相場急伸

2023年9月11日
FXニュース:日銀修正予想で円相場急伸

 

東西FXニュース – 2023年9月11日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 日銀総裁も円安牽制発言か
  • 国内長期金利が一時0.7%
  • 日本株安時のリスクオフも
  • 米長期金利上昇時の金利差
  • 米株反発時にはリスクオン
  • 中国人民元対ドル安定声明

今日2023年9月11日月曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値でドルの高値の147円14銭前後から円の高値でドルの安値の145円91銭前後の値幅約1円23銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は146円19~20銭付近と、前営業日同時刻の先週金曜日17時の147円38~40銭付近の前東京終値比で約1円19銭の大幅な円高ドル安であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と世界FX市場のトレンド動向の分析は、先週金曜の日本市場では日本政府の口先介入による為替介入警戒感があったものの、先週金曜の夜から土曜の朝までの先週末の米国ニューヨーク外国為替市場では、日米金利差拡大による円安ドル高が進行し、先週の円相場での年内高値圏にドルが上昇していたが、週末の9月9日土曜の朝の日本時間午前5時頃から発行された日本の読売新聞のインタビュー記事で、日本銀行 (日銀 / BoJ) の植田総裁が、マイナス金利解除について、「物価上昇に確信が持てれば選択肢」と発言し、「現状では粘り強く金融緩和を維持」しつつも、「年内にも判断できる材料が出揃う可能性があることも示唆した」と、円安要因の金利抑制の大規模緩和金融政策の早期の修正予想を強める異例の口先介入記事とも市場では受け止められたことで、日米金利差拡大予想の減退により、急速に円の買い戻しが強まり、今朝早朝6時頃からの週明けのオセアニア市場では、ドル円チャートが、先週末のニューヨーク終値の147円台後半から今週の始値の146円台後半に円相場急伸の大きな「窓開け」を見せて始まった。

時間に沿った世界市場の解説は、まず日本時間で先週金曜の夜から土曜の朝までの米国ニューヨーク外国為替市場では、先週金曜の夜23時に発表された最新米国経済指標の7月の米国卸売売上高の前月比が、前回マイナス圏の-0.7%と前回修正の-0.8%と市場予想の-0.2%に対し、プラス圏の0.8%に大幅に改善され、米国景気好感により円相場でドルが上昇していた。

同時進行だった米国ニューヨーク株式市場でも、前日までは中国の規制強化の影響で続落していた米国ハイテク株などが下げ止まったことで、米国株安時のリスク回避のリスクオフで買われた安全資産の米国債や低リスク通貨の円が売られて、米国長期金利の指標となる米国10年債の利回りも一時4.20%台まで低下後には下げ止まって回復し、一時4.26%台に上昇したことに伴って日米金利差拡大による円売りドル買いが進行し、先週土曜日の午前4時10時頃には一時147円87銭付近と、前日に記録した昨年2022年11月以来の今年の最大の円安ドル高記録に横並んだ米国市場の円の安値でドルの高値を記録していた。

ただし、今週には米国連邦準備制度理事会 (FRB) が「データ次第」として重視することが知られている最新米国重要経済指標の8月の米国消費者物価指数 (CPI) や米国小売売上高などの発表予定を控えているため、前日高値を超えなかったことでは、週末を控えた利益確定や様子見の買い控えの抵抗も入り始めた。

来週の日米の金融政策会合を控える中で、最近のエネルギーインフレ圧が意識され、米国連邦準備制度理事会 (FRB) の金融引き締め長期化による米国政策金利の高止まり予想が根強い中で、マイナス金利の大規模緩和金融政策継続予想のあった日本銀行 (日銀 / BoJ) との日米金利差拡大予想が円安要因となっていたが、先週土曜の朝5時頃から発行され始めた日本語の読売新聞の記事で、日銀の植田和男総裁の就任後初の単独インタビュー記事が掲載され、2%の物価安定目標の実現が見通せるタイミングでのマイナス金利政策の解除の可能性に関する口先介入とも受け止める発言があったことで、日本語版が翻訳され始め、日銀修正予想による円買いが始まりかけるところで、土曜の朝6時頃の先週末の終値を迎えた。

そのため、先週金曜の夜から土曜の朝までの先週末の米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値は147円30銭前後から円の安値でドルの高値の147円87銭前後の値動きで、先週末の土曜の朝6時頃のニューヨーク終値は147円80〜83銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値比で約53銭の円安ドル高をつけていた。

先週末の土曜の朝7時頃には英語などに翻訳された日銀総裁インタビュー関連の国際記事が出回り始めたため、週末の中東市場の値動きや週末中に溜まったオーダーなどがあり、週明けの今朝早朝の6時頃からのオセアニア市場では、日銀のマイナス金利修正の早期修正の可能性から日米金利差縮小予想によるまとまった円買いドル売りで、ドル円チャートに大きな窓が開き、146円97銭付近の始値へと対ドルの円相場が一時大幅に急伸していた。

また、週末中には、米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の後のパウエル議長の恒例の記者会見に毎回出席して質問している米国経済紙ウォールストリート・ジャーナル (WSJ) の担当者のニック・ティミラオス記者が、「米国連邦準備制度理事会 (FRB) は、今後の利上げについては慎重になっている」とソーシャル・メディア上でツイートしていたことも話題になり、円だけでなくユーロなどの主要通貨に対してもドルが売られた影響も出ていた。

今朝9時頃からの今日の日本の東京外国為替市場でも、金利抑制が円安要因である日銀の大規模緩和金融政策の早期修正の可能性が示唆されたことを受けた円買いが継続したため、今朝9時頃の一時147円14銭付近が今日の日本市場の円の安値でドルの高値になり、今日の日本市場では対ドルの円相場が上昇した。

来週には日銀金融政策決定会合も予定されているが、植田和男総裁のインタビュー記事を受けて、賃金と物価の好循環データが今年年内に揃う可能性が言及されたことを受けて、日銀総裁は物価安定の目標の実現にはまだ距離があり、「現状では粘り強く金融緩和を続ける」とも発言していたものの、メディアや金融市場では日銀による早期の金融政策修正予想が急速に高まり、今朝の日本の債券市場では日本の長期金利の指標となる国内新発10年国債の利回りが上昇し、一時0.7%付近の2014年1月以来の高利回りを記録した。

±1.0%までのイールドカーブ・コントロール (YCC) の柔軟化以降も、以前は従来の±0.5%超えでは日銀の臨時の公開市場操作の国債買い入れの指し値オペの通知が出ていたことがあったが、今朝10時10分には臨時の追加の国債買い入れオペの通知が出なかったこともマイナス金利修正の大規模緩和金融政策の修正予想を強めた。

ただし、日本銀行 (日銀 / BoJ) は、今週の9月14日に幅広い担保を裏付けとして資金を供給する定例の公開市場操作である共通担保資金供給オペの予告の通知は今日発表しており、一時円売りが増える抵抗が混ざった。

しかし、日本市場と時間帯が近いアジア市場では、中国人民銀行 (PBC) が今日、人民元相場の安定に向けた声明を発表し、ニュースを受けて中国人民元が対ドルで買われて一時急伸した影響も、円相場にドル下落圧として波及していた。

また、今日の日本の東京株式市場では、日本のマイナス金利の年内解除の可能性から国内長期金利が上昇したことを受けて、将来の金利上昇の日本企業の決算等への警戒感などもあって市場では株売りの反応があり、日経平均株価が大幅に下落し、午後15時15分に3万2467円76銭の終値と、前営業日比で139円8銭安の大幅安で大引けしたことでも、日本株安時のリスク回避で国内第一安全資産の低リスク通貨の円が買われたため、午後15時15分頃に、一時145円91銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

午後からの欧州英国市場の参入では、来週の日銀金融政策決定会合では当面は大規模緩和金融政策が継続するとの市場予想もあり、一方で、根強い欧米のインフレ圧などから米国長期金利が4.29%付近に上昇したことで、日米金利差拡大により、日本市場の高値後の円売りと安値後のドル買いの抵抗が入り始めたことでは、ドルは円相場でやや反発したものの、今朝の窓開き以降は大幅な円高で推移しために、今日の下げ幅をやや縮める範囲に留まった。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は146円19~20銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜17時の147円38~40銭付近の前東京終値比では約1円19銭の大幅な円高ドル安になっていた。

今夜の英国ロンドン外国為替市場では、19時頃には146円台後半にドルが円相場で買い戻されている。

今夜この後には、重要度の高い最新米国経済指標の発表予定はないが、日本時間の26時に米国3年債の入札予定などがある。

今週は、明後日の9月13日の米国消費者物価指数 (CPI) や、翌14日の米国小売売上高や米国生産者物価指数 (PPI)、15日の米国ミシガン大学の米国消費者信頼感指数の速報値など、注目度の高いデータとなる米国経済指標の発表予定を控えており、更に今週9月14日には欧州ユーロ圏の欧州中央銀行 (ECB) の金融政策発表や、来週には日米の金融政策の発表予定の大きなイベントも控えているため、持ち高調整や様子見なども入り始めている。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は156円81~82銭付近と、前営業日同時刻の先週金曜日17時の157円82~87銭付近の前東京終値比で約1円3銭の大幅な円高ユーロ安であった。

主な要因は、週末の植田総裁のインタビュー記事の発言を受けた早期の日銀修正の可能性による市場予想の影響で、今日はドルだけでなく主要通貨に対して円相場が大幅に上昇した。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0725~1.0727ドル付近と、先週金曜17時の1.0707~1.0709ドル付近の前東京終値比で約0.18セントのユーロ高ドル安だった。

主な要因は、欧州景気懸念のユーロ売りもあったものの、他の主要通貨であるドル円での大幅なドル安の影響が、ユーロに対しても波及していた。

また、今週木曜日に予定されている次回の欧州中央銀行 (ECB) 理事会の市場予想では、欧州の根強いインフレ高止まりにより、ECBが追加利上げを決める可能性が一部で五分五分と見られており、来週の米国の追加利上げの市場予想値よりも高いことで、欧米金利差予想によるドル売りユーロ買いに影響を与えていた。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は183円6~12銭付近と、先週金曜17時の184円15~21銭付近の前東京終値比で約1円9銭の大幅な円高ポンド安であった。

主な要因は、日銀のマイナス金利解除の可能性の国際的な報道を受けて、今日はドルやユーロなどの主要通貨に対する大幅な円高が進行し、ポンド円にも影響が波及していた。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2023年9月11日の日本時間(JST)19時30分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替市場時間の夏時間 (GMT+1 / BST) 11時30分) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:30の為替レート 日本市場前営業日17時の前東京終値時間比
ドル/円 146.85 〜 146.86 -0.53 (円高)
ユーロ/円 157.57 〜 157.58 -0.25 (円高)
ユーロ/ドル 1.0728 〜 1.0732 +0.0021 (ドル安)
英ポンド/円 183.87 〜 183.93 -0.28 (円高)
スイスフラン/円 164.72 〜 164.78 -0.68 (円高)
豪ドル/円 94.35 〜 94.39 +0.08 (円安)


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