FXニュース:日米金利差の円安記録続伸

2023年9月07日
FXニュース:日米金利差の円安記録続伸

 

東西FXニュース – 2023年9月7日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米ISM非製造景況感が上昇
  • 米長期金利4.3%台を記録
  • 原油先物高で米金利先高感
  • 株安リスク回避の円買いも
  • 政府と日銀の為替介入警戒
  • 英利上げ長期化予想が減退

今日2023年9月7日木曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値でドルの高値の147円87銭前後から円の高値でドルの安値の147円42銭前後の値幅約45銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は147円44~45銭付近と、前営業日同時刻の昨夜17時の147円38~40銭付近の前東京終値比で約6銭の円安ドル高であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場で、昨夜22時45分に発表された最新米国経済指標の8月の米国サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) の改定値は、前回と市場予想の51.0に対し50.5で、8月の米国総合購買担当者景気指数 (PMI) の改定値も前回と市場予想の50.4に対し50.2と、前回と市場予想をやや下回り、ドル売りが先行したが、いずれも好景気と不景気を分けるボーターラインの50をいずれも上回る好景気側であったことでは、昨夜23時前にドルは円相場で一時147円16銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録して下げ止まった。

続いて、昨夜23時に発表された最新米国重要経済指標の8月の米国サプライマネジメント協会(ISM)非製造業景況指数の総合が、前回の52.7と市場予想の52.5を上回る54.5に上昇したことで米国景気好感による主要通貨に対するドル買いと、米国ISM非製造業景況指数の個別指数の雇用と新規受注と価格なども上昇したことで、堅調な米国景気とインフレ圧を背景とした米国連邦準備制度理事会 (FRB) の金融引き締め長期化予想で米国長期金利が上昇し、日米金利差拡大による円売りドル買いの影響などで、ドルは円相場で147円台後半に上昇した。

また、前日の米国市場でサウジアラビアの計画的な原油減産のニュースで米国WTI原油先物価格の期近物が昨年2022年11月以来の高値記録を一時再び更新したことを受けて、車が生活に欠かせない米国では原油高によるインフレ圧が意識され、根強い米国のインフレ圧による米国政策金利の先高感によっても米国長期金利が一時4.3%台に上昇し、円安要因の日米金利差拡大による円売りドル買いが進行し、午前4時40分頃に一時147円74銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。

しかし、昨夜に米国と陸続きの隣国の北米カナダの中央銀行にあたるカナダ銀行 (BoC) が、市場予想通りに政策金利を現状5.00%の据え置きを決定し、声明文で「北米カナダ経済は、インフレ圧を緩和するために必要な低成長期に入った」と景気減速を表明する一方で、カナダのコアインフレが高止まりを示し続ければ、「必要に応じて、加政策金利を更に利上げする用意がある」と、次回以降の追加利上げの可能性は否定しなかったものの、隣国の米国の市場予想にも影響を与え、今月に予定されている次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) では、米国新政策金利を現状維持で据え置きの市場予想が優勢であったことや、米国市場の高値が昨日の日本市場で記録した日通しの高値を超えられなかったことでは、ドルの利益確定売りや持ち高調整の抵抗が混ざった。

また、昨日の日本市場で日本政府の神田真人財務官が、円安牽制発言をしていた国際ニュースを受けて、米国市場でも日本政府と日本銀行 (日銀 / BoJ) の為替介入警戒による持ち高調整での安値の円買いも入っていたこともあり、前米国市場と比較すると、円相場がやや反発していた。

同時進行だった米国ニューヨーク株式市場でも、米国政策金利の先高感から米国株価下落時のリスク回避で、ドルから買える低リスク通貨の円が買われた影響が抵抗要因になっていた。

そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の147円16銭前後から円の安値でドルの高値の147円74銭前後の値動きで、今朝6時頃のニューヨーク終値は147円66銭付近と前営業日同時刻の前ニューヨーク終値比で約6銭の小幅な円高ドル安をつけていた。

今朝9時頃から始まった今日の日本の東京外国為替市場では、4.3%台を記録した米国長期金利の上昇を受けて日米金利差拡大による円売りドル買いが再開したことに加えて、今朝の日本市場の仲値決済に向けても、輸入コストの先高感などから日本企業の輸入実需の円売りドル買い需要が優勢でドルが円相場で上昇し、今朝9時45分頃に一時147円87銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録し、昨日の日本市場で記録した年内高値を超えて連日で昨年2022年11月上旬以来の今年最大の円安ドル高の記録を再び更新した。

しかし、日本市場で年内高値記録を続伸したことでは、日本政府と日本銀行 (日銀 / BoJ) による為替介入への警戒感が高まり、利益確定売りや持ち高調整の抵抗が入り始め、輸出企業の円買いドル売りもあったことでは、円相場は反発を始めた。

また、今日の日本の東京株式市場では、欧米やアジアの株価トレンドの影響もあり、日経平均株価 (Nikkei 225 / JP225) が大幅に下落し、午後15時15分に3万2991円8銭の終値をつけ、前日比で249円94銭安の大幅安で大引けしたことでも、日本株安時のリスク回避のリスクオフでの国内第一安全資産の低リスク通貨の円買い需要があり、円相場が今朝の下げ幅を縮めた。

午後からの欧州英国市場の参入でも、欧州景気懸念のリスクオフで世界的な安全資産でもある米国債が買われた影響もあり、一時4.3%台を記録した米国長期金利が一時4.26%台に向けて下げに転じたことによるドルの利益確定売りや安値圏からの円買いなどもあり、午後16時53分頃に一時147円42銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

一方で、今日の国内ニュースでは、日本銀行 (日銀 / BoJ) の中川順子審議委員が、高知県の金融経済懇談会で挨拶し、日銀の2%の物価安定の目標について、「持続的、安定的に達成されたと判断するには、至っていない」ことなどから、現状の大規模緩和金融政策を「維持することが適当」と発言していたことでは、円は147円台の推移を続けていた。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は147円44~45銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の147円38~40銭付近の前東京終値比で約6銭の円安ドル高になっていた。

今夜この後には、最新米国経済指標の発表予定や米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達の発言予定があり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時半に4〜6月の第2四半期の米国非農業部門労働生産性と単位労働費用の確報値、同時刻に前週分の米国新規失業保険申請件数と米国失業保険継続受給者数、23時頃から次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の米国フィラデルフィア連銀のハーカー総裁の発言予定、24時に米国週間原油在庫、24時45分頃から同じく次回のFOMC投票権を持つ米国シカゴ連銀のグールズビー総裁の発言予定と、28時半頃から同じく投票権ありの米国ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁の発言予定、28時45分頃からは次回のFOMC投票権は持たないがハト派で知られる米国アトランタ連銀のボスティック総裁の発言予定と、29時55分頃から次回のFOMC投票権有りの米国連邦準備制度理事会 (FRB) のボウマン理事の発言予定などが相次ぐ予定である。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は157円98~99銭付近と、前営業日同時刻の昨夜17時158円12~13銭付近の前東京終値比で約14銭の円高ユーロ安であった。

主な要因は、欧州景気懸念が高まっているが、今日の午後に発表された欧州ユーロ圏主要国のドイツの最新経済指標の7月の独鉱工業生産の前月比も市場予想以下で、フランスの7月の仏経常収支と仏貿易収支も前回よりも赤字であったことから、インフレとスタグネーション (景気停滞) が同時に起きる欧州スタグフレーション懸念に加え、欧州リセッション (景気後退) 懸念もあったことで、世界的に流動性の高い安全資産のドルや低リスク通貨の円に対してユーロが売られる値動きの方が強かった。

一方で、昨夜に欧州中央銀行 (ECB) 理事会メンバーのオランダ中銀のクノット総裁が、「9月の欧州利上げの可能性を、市場は過小評価している」と発言し、一時は欧州ユーロが日欧金利差拡大予想などで買われた影響もあったが、イタリア中銀のビスコ総裁は、「欧州利上げは、停止できる水準に近づいてきている」と発言したこともあり、ECB内部で意見が分かれていると市場では受け止められており、景気懸念は利上げ抵抗要因でもあることから、欧州利上げ長期化予想も減退していた。

そのため、ユーロドルも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値1.0713~1.0715ドル付近と、昨夜17時1.0727~1.0729ドル付近の前東京終値比で約0.14セントのユーロ安ドル高だった。

なお、今夜の欧州市場で今夜18時に発表された欧州ユーロ圏総合の最新重要経済指標の4〜6月の第2四半期欧州ユーロ圏域内総生産 (GDP) の確定値も、前期比が前回と市場予想の0.3%に対し0.1%に低下し、前年同期比も前回と市場予想の0.6%を下回る0.5%で、欧州周辺の景気懸念が継続している。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は183円81~87銭付近と、昨日17時の184円99銭~185円5銭付近の前東京終値比で約1円18銭の大幅な円高ポンド安であった。

主な要因は、欧州周辺の景気懸念が英国にも影響を及ぼしているほか、昨夜に英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE) のベイリー総裁が、英国議会の財務委員会の年次報告で、「英国の利上げサイクルの頂点に、かなり近づいたと考えている」と発言し、英国利上げ長期化予想が減退しており、これまでに日英金利差拡大予想で買われた英国ポンドが売られて円が買い戻されていた。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2023年9月7日の日本時間(JST)19時20分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替市場時間の夏時間 (GMT+1 / BST) 11時20分) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:20の為替レート 日本市場前営業日17時の前東京終値時間比
ドル/円 147.47 〜 147.49 +0.09 (円安)
ユーロ/円 157.94 〜 157.96 -0.18 (円高)
ユーロ/ドル 1.0707 〜 1.0711 -0.0020 (ドル高)
英ポンド/円 183.71 〜 183.77 -1.28 (円高)
スイスフラン/円 165.25 〜 165.31 -0.35 (円高)
豪ドル/円 94.14 〜 94.18 +0.10 (円安)


注意:

本ウェブサイトに記載されている全ての情報またリンク先を含めた情報は、情報提供を目的のみとしており、取引投資決定、及びその他の利用目的のために作成されたものではありません。取引投資種、外国為替取引業者の選択、売買価格投資等の全ての最終決定については、利用者ご自身のご判断において行われるようお願い致します。

当社は、当サイトに掲載した情報によって万一閲覧者が被った直接・間接的に生じた損失に関して一切責任を負わないものとします。また、当社および当社に情報を提供している第三者は一切責任を負うものではございませんので ご了承ください。万が一、当サイトの提供情報の内容に誤りがあった場合でも、当社は一切責任を負いません。当社はこのウェブサイトの掲載内容を予告なしに変更または廃止することがございますので、あらかじめご了承おきください。