FXニュース:米債務上限引き上げに基本合意

2023年5月29日
FXニュース:米債務上限引き上げに基本合意

 

東西FXニュース – 2023年05月29日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米PCEコア指数が市場予想以上
  • 米FRB利上げ長期化予想強まる
  • 米FRB高官のタカ派発言も影響
  • 日米株高時のリスクオン円売り
  • 昨年11月以来の円安ドル高記録

今日2023年5月29日月曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値140円92銭前後から高値140円23銭前後の値幅約69銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は140円43~45銭付近と、前営業日同時刻の前東京終値比で約90銭の円安ドル高であった。

今日の為替相場の値動き要因と世界FX市場のトレンド動向は、日本時間で先週末の金曜の夜21時半に米国ニューヨーク (NY) 外国為替市場で発表された最新重要米国経済指標の4月の米国個人消費支出 (PCE) の前月比が前回の0.0%と市場予想の0.4%に対し0.5%に上昇し、PCEデフレーターの前年同月比も前回の4.2%と市場予想の4.3%に対し4.4%に増加、さらにエネルギーと食品を除いた個人消費支出 (PCE) コア・デフレーターの前月比も前回と市場予想の0.3%に対し0.4%に上昇し、前年同月比でも前回と市場予想の4.6%を超える4.7%で、4月の米国個人所得も前回の0.3%に対し市場予想通りの0.4%の上昇を見せ、米国の賃金インフレの傾向も継続していたことなどから、米国連邦準備制度理事会 (FRB) が重視する経済指標データが想定以上の米国のインフレ圧の根強さを示したことで米国利上げ長期化予想が強まり、日米金利差拡大による円売りドル買いが優勢になった。

同時発表だった4月米国耐久財受注も市場予想の-1.0%に反して1.1%と堅調で、続いて23時に発表された5月の米国ミシガン大学消費者信頼感指数の確報値も前回と市場予想の57.7を上回る59.2で米国景気好感により米国株式市場では米国主要株価が上昇し、安全資産の米国債売りで利回りが指標となる米国長期金利が上昇し、米株高時のリスク選好のリスクオン市場になり、低リスク通貨の円が売られてドルが買い戻された。

また、金曜の米国CNBCのテレビニュースに米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の米国クリーブランド連銀のロレッタ・メスター総裁が出演し、米国物価指標などを受けて、「米国のインフレは今だに高すぎるし、鈍化も遅い」という懸念を示し、追加のデータも待つとしながらも、「もう少し、追加の利上げが必要になると思う」というタカ派の発言をしており、これまでにも米国セントルイス連銀のブラード総裁や米国ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁、そして、米国連邦準備制度理事会(FRB)のウォラー理事などの次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) で投票権を持つメンバーを含めた米国連邦準備制度理事会(FRB)高官達の米国利上げ長期化の可能性を示唆するタカ派発言が相次いだ一方で、日本銀行 (日銀 / BoE) は金利抑制の大規模緩和金融政策を当面維持の市場予想が優勢であることなどから、日米の金融政策の方向性の違いによる日米金利差拡大予想の円売りドル買いも加わった。

堅調な米国経済指標と米国連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ長期化予想などを受けて、米国長期金利の指標となる米国10年債の利回りは一時およそ2カ月半ぶりの高利回りを記録し、米国の金融政策の影響を受けやすい米2年債利回りも上昇し、日米金利差拡大による円売りドル買いが継続した。

さらに、同時進行だった米国株式市場では、米国連邦債務上限問題の解決に向けて米国主要株価も上昇しており、以前の株安時のリスク回避で買われていた安全資産の米国債が売られたことでも利回りが上昇し、低リスク通貨の円売りが勢いを増した。

先週金曜に米国財務省は米国連邦債務上限が引き上げられなければデフォルトが起きる可能性の見通し時期を以前の早ければ6月1日から6月5日に延長し、週末の協議継続予定も相まって祝日連休前の米国株式市場では警戒感が後退したほか、米国政府と米国野党の協議合意に向けての進展への期待が高まっていたことでも、米国ニューヨーク株式市場ではダウ平均株価が一時400ドル近くも大幅に上昇し、ナイト・セッションの日経平均先物も一時3万1560円付近の前終値比600円高と大幅上昇を見せ、米国主要株価指数や日経平均先物価格の上昇による日米株高時のリスクオン市場では低リスク通貨の円売りとドル買いが強まり、先週末土曜の午前3時前には一時140円73銭の2022年11月23日以来のおよそ半年ぶりの円安ドル高の米国市場での円の安値でドルの高値を記録した。

ただし、先週末の米国市場では、5月29日の月曜日は米国の戦没将兵追悼記念日のメモリアルデー (Memorial Day) の連邦祝日で、祝連休前の利益確定売りや持ち高調整が抵抗要因となり、米国市場で高値を記録後のドルには、世界市場での買い要因が続く一方で利益確定売りの抵抗も混ざり、140円台中盤付近からやや横ばいに近い揉み合いになった。

そのため、先週金曜の夜から土曜の朝までの米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場は、円の高値139円67銭前後から安値140円73銭の値動きで、先週末の土曜の朝6時頃のニューヨーク終値を140円60銭付近の前日同時刻の前ニューヨーク終値比で約54銭程度の円安ドル高で終えていた。

週が明けて月曜になり、米国と英国とスイス市場は今日が祝日連休で休場であるが、今朝早朝のオセアニア市場や日本市場などの他の世界市場や平日開場であるため、週末も続いていた米国政府のバイデン大統領達と米国野党の共和党のマッカーシー下院議長達が27日の土曜日付けで、米国連邦債務上限引き上げ協議で基本合意に至り、承認されれば米国債の一部がデフォルト (債務不履行) にならずに解決に向かう見通しとなったというニュースがあったことで、週明けの今朝早朝には堅調な米国経済指標と米国連邦準備理事会 (FRB) の米国利上げ長期化予想の日米金利差拡大と日米株高時のリスクオン市場が相まっての低リスク通貨の円売りとドル買いが勢いを増し、今朝9時過ぎの今日の日本の東京外国為替市場では、一時140円91〜92銭付近の2022年11月23日以来の円安ドル高を記録し、今日の日本市場での円の安値でドルの高値になった。

ただし、今朝9時55分の仲値決済に向けては、今日は貿易先の米国は祝日連休中であることから日本企業の輸入実需でのドル買い需要は少なく、今朝早朝には半年ぶりと言われる前営業日比で大幅な円安ドル高になっていたことや月末が近いことなどもあり、日本の輸出企業や投資系などの高値のドルの利益確定売りや安値の円買いの抵抗が強まった。

しかし、先週末の日経先物と同様に、今日は日本の株式市場で日経平均株価が一時600円以上も上昇し、日米株高を受けたリスクオン市場では低リスク通貨の円が売られる機会もあったことでは、前営業日比での円安ドル高の範囲内の抵抗に留まった。

なお、今日の午後15時台に日経平均株価は終値3万1233円54銭の前営業日比317円23銭高で大引けした。

午後からの欧州市場の参入でも、今日は欧州周辺の大市場である英国ロンドン外国為替市場が春の公休日 (Spring Bank Holiday) の祝日休場で、スイス市場も聖霊降臨祭の月曜日 (Whit Monday) で祝日休場中であるために市場流動性は減っていたものの、開場中の欧州本土市場では高値のドルの利益確定売りと安値の円買いの抵抗から始まったことでは、15時24分頃に一時140円23銭付近の今日の日本市場での円の高値でドルの安値を記録した。

しかし、前営業日終値比では円安ドル高の範囲内の抵抗で、再び円売りドル買いも入ったが、今夜この後の米国市場も連休で休場予定のため、実需によるドル需要が少なかったことでは、今朝早朝の前日比で1円を超える大幅な円安ドル高からは今日の日本市場で対ドルの円相場は下げ幅を縮めていた。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は140円43~45銭付近で、前営業日の先週金曜17時の前東京終値比では約90銭の円安ドル高になった。

なお、今夜この後の米国市場は休場のため、特に経済指標などの発表予定や実需はないものの、世界的に流動性の高いドルには世界市場からの投資目的などでの売買が継続している。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は150円67~69銭付近で、前営業日の先週金曜17時の前東京終値比で約81銭の円安ユーロ高であった。

主な原因は、対ドルでの円安が他の主要通貨であるユーロ円にも波及したことに加えて、日本株高時のリスク選好市場では、低リスク通貨の円売りでユーロが買われやすく、先週末の米国市場でも一時150円93銭付近の円安ユーロ高を記録していた。加えて、日欧金利差拡大による円売りユーロ買い要因もあった。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0728~1.0730ドル付近で前営業日の先週金曜17時の前東京終値比では約0.12セントのユーロ安ドル高であった。

主な原因は、先週金曜に発表された米国経済指標を受けて米国連邦準備制度理事会 (FRB) の利上げ長期化予想が強まり、先週末の米国ニューヨーク外国為替市場では米国長期金利の指標となる米国10年債の利回りは一時3.856%付近の3月10日以来の高利回りを記録し、ユーロドルも一時1.0702ドル付近の3月20日以来のユーロの安値でドルの高値を記録していた影響があった。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は173円31~37銭付近で、前営業日の先週金曜17時の172円28~34銭付近の前東京終値比では約1円3銭の円安ポンド高であった。

主な原因は、先週末の英国ロンドン外国為替市場で発表されていた最新英国経済指標の英国小売売上高が、前月比で0.5%上昇して市場予想を上回り日英金利差拡大予想が続く中で、先週末の米国市場では前述の日米株高時のリスクオンの低リスク通貨の円売りで英ポンドも買われ、さらにドルやユーロなどの他の主要通貨に対する円安の影響も波及したことなどで、英ポンドの円相場も一時173円74銭付近の2016年2月以来のおよそ7年3カ月ぶりと言われる大幅な円安ポンド高を記録していた。

その後の今日の日本市場では利益確定売りや、今日の午後からの英国市場が休場で英ポンドの現地実需が少なく円相場は下げ幅を縮めたものの、ドルやユーロなどの他の主要通貨に対しても円安であったために、大幅な円安ポンド高の範囲内に留まっていた。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2023年5月29日の日本時間(JST)19時2分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替時間の夏時間 (GMT+1 / BST) 11時2分) の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:02の為替レート 日本市場前営業日17時の前東京終値時間比
ドル/円 140.21 ~ 140.22 +0.68 (円安)
ユーロ/円 150.27 ~ 150.29 +0.41 (円安)
ユーロ/ドル 1.0716 ~ 1.0718 -0.0024 (ドル高)
英ポンド/円 173.12 ~ 173.18 +0.84 (円安)
スイスフラン/円 155.18 ~ 155.24 -0.18 (円高)
豪ドル/円 91.68 ~ 91.72 +0.03 (円安)


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