FXニュース:米FRBが0.25%の利上げを決定

2023年5月04日
FXニュース:米FRBが0.25%の利上げを決定

 

東西FXニュース – 2023年05月04日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米利上げ後停止示唆と景気警戒
  • 米国債利回りの長期金利は低下
  • 米地銀報道で金融システム不安
  • 米金利高止まり予想の米株安も
  • 欧米株安時リスク回避の円買い
  • 欧中銀(ECB)理事会発表控え

今日2023年5月4日木曜日の日本の東京外国為替市場はゴールデンウィークのみどりの日の祝日休場ですが、海外FX市場や世界市場は通常営業のため、9時から17時頃までの外為取引相当時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値134円81銭前後から高値134円15銭前後の値幅約66銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値相当時間の対ドル円相場は134円66~67銭付近で、昨夜17時の135円78~79銭付近と比較すると約1円12銭の大幅な円高ドル安であった。また、一昨日の前営業日の17時の137円59~60銭付近の前東京終値比では、約2円93銭の大幅な円高ドル安になった。

今日の為替相場の値動きの要因と海外FX市場および世界市場のトレンド動向の分析は、まず日本時間で昨夜から今朝までの米国ニューヨーク (NY) 外国為替市場で昨夜21時15分に発表された最新米国重要経済指標の米国ADP雇用統計は前回の14.5万人と市場予想の14.8万人に対し29.6万人と好調で、22時45分の4月のサービス部門と総合の米国購買担当者景気指数 (PMI) の改定値はやや市場予想に及ばなかったものの、23時の4月の米国ISM非製造業景況指数の総合は前回の51.2と市場予想の51.8を上回る51.9であったことでは、この時間のドル円は135円台で堅調に推移していた。

しかし、日本時間の今朝未明3時頃に、世界中が注目していた重要イベントの米国連邦準備制度理事会 (FRB) の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) 終了後の米国新政策金利と声明の発表があり、今回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) では市場予想通りの0.25%の利上げを決定したものの、同時発表の声明では、前回の「幾分かの追加的な金融政策引き締めが適切になるかもしれない」とされていたタカ派部分が削除され、「米国のインフレ率を長期的に2%に引き戻すのに充分な金融政策スタンスを達成するため、どの程度の追加の金融政策が適切であるかを決める際に、米国金融政策の累積の引き締めと、その金融政策が経済活動やインフレに影響を与える時間差、そして経済と金融の動向を考慮する」と入れ替えられていたことで、米国の利上げ停止の可能性が示唆されたと市場で受けとめられてドル売りが起き、発表後の午前3時過ぎにはドルは円相場で一時134円84銭付近に急落した。

ただし、今朝午前3時半から米国連邦準備制度理事会 (FRB) のジェローム・パウエル議長の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) 終了後の定例記者会見が始まると、堅調な米国労働市場に言及した上で、「米国のインフレ率は、それほどすぐには下がらないと予想している。その予想が正しければ、利下げは適切ではないであろう」などという発言では一時135円70銭付近にドルが買い戻されたが、米国の利上げ停止時期については、「近づいている感触がある。もうすぐという可能性もある」との発言もあったことでは、主要通貨に対してドルが再び売られていた。

また、米国の利上げ後の停止予想はあっても、利下げへの転換時期はまだ遠いという市場での見解から、米国金利の高止まりが長期化する可能性の市場予想が強まり、高金利ローンの長期化などが米国経済に及ぼす影響への警戒感から、決算報告期の米国ニューヨーク株式市場ではリスク回避の株売りで欧米株価が下落し、安全資産の米国債が買われたことで米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が低下し、欧米株安時のリスクオフで日米金利差縮小時の低リスク通貨の円買いが主要通貨に対して優勢になっていた。

さらに、午前3時半からの記者会見では、米国連邦準備制度理事会 (FRB) のパウエル議長は、今回の米国利上げの抵抗要因と考えられていた米国金融システム不安に関しては、「改善してきた」と話していたのだが、その後の午前5時台の米国株式市場終了後の米国ニューヨーク外国為替市場の終盤近くに、「米国地方銀行のパックウエスト・バンコープ (PACW) が、売却を含めた戦略的選択肢を検討」との一部通信社のニュース報道が伝わったことで、以前からも市場では他にも危ない米国地方銀行や金融機関があるのではないかという懸念がくすぶっていたのだが、米国金融システム不安が一気に再燃し、パックウエスト・バンコープ (PACW) の株が半額割れへの暴落を始めたほか、時間外の米国株価指数先物が更に下落したことを受け、欧米金融不安の欧米株安時のリスク回避の低リスク通貨の円買いの勢いが強まり、一時134円71銭付近の米国市場および日通しでの円の高値でドルの安値記録を更新したあたりで、今朝6時頃のニューヨーク終値を迎えた。

そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場で対ドルの円相場は続伸し、今朝6時頃のニューヨーク終値は134円71銭付近で、前日同時刻の前ニューヨーク終値比で約1円84銭の大幅な円高ドル安をつけていた。

その後の今朝早朝のアジア・オセアニア市場の時間帯の今日の世界市場では、日本市場がゴールデンウィークの大型連休で現地企業の円買い実需がないにも関わらず、前述の経営難のニュースがあった米国地方銀行のパックウエスト・バンコープ (PACW) の株価が、時間外の先物で約57%安に暴落した影響もあり、欧米金融システム不安の世界景気への影響の警戒感などから、リスク回避の低リスク通貨の円買いで円高ドル安がさらに134円台前半に進行し、他の主要通貨に対しても影響が波及し、ユーロ円やクロス円で円相場が上昇した。

午後になり、時差で欧州英国市場が参入すると、最初は米国金融不安を受けたドル売りで参入したために午後15時41分頃に一時134円15銭付近の今日の日本の東京外国為替市場相当時間の円の高値でドルの安値を記録したが、その後には安値のドル買いや株買いの影響もあり、時間外の米国ダウ先物が小幅上昇を見せたことではドル買い戻しの抵抗が入り、16時36分頃には一時134円81銭付近にドルが反発したが、米国発の金融システム不安は以前に欧州周辺にも飛び火した経緯があったため、欧米主要企業の決算報告期の欧米市場での警戒感は強く、また今夜この後には欧州中央銀行 (ECB) 理事会の新政策金利と声明発表やラガルド総裁の発言予定などのユーロドルやユーロ円の大イベントも控えているため、一時抵抗後には持ち高調整やイベントリスクで結果が分かるまでの様子見の値動きなどが混ざった。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値相当時間のドル円相場は134円66~67銭付近で、昨夜17時の135円78~79銭付近と比べると約1円12銭の大幅な円高ドル安になった。また、日本市場は連休中であるために、一昨日の前営業日17時の137円59~60銭付近の前東京終値比では約2円93銭の大幅な円高ドル安になった。

今夜この後にも最新の米国経済指標の発表予定があり、日本時間の今夜20時半に4月の米国チャレンジャー人員削減数、21時半には3月の米国貿易収支、4~6月四半期の米国非農業部門労働生産性と米国単位労働コスト、前週分の米国新規失業保険申請件数および米国失業保険継続受給者数が発表される予定で、米国株式市場でも取引時間後になる予定だが、iPhone (アイフォーン) やMac (マック) などで日本でも有名な米国大企業のApple Inc (アップル / 米国株式コード : AAPL) の決算報告なども予定されている。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値相当時間のユーロ円相場は148円92~93銭付近で、昨夜17時の149円86~88銭付近と比べると約94銭の円高ユーロ安になった。また、日本市場が連休中であるために、一昨日の前営業日17時の151円7~11銭付近の前東京終値比では約2円16銭の大幅な円高ユーロ安になった。

主な原因は、前述の米国発の欧米金融システム不安への警戒感などから、今日は低リスク通貨の円買いによるリスク回避が優勢で、相対的にリスク市場には弱いと考えられているユーロが売られて円が買われた。また、今日は欧州中央銀行 (ECB) 理事会の新政策金利と声明などの発表前ということもあり、欧州ユーロのイベント前の持ち高調整などもあった。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値相当時間には1.1057~1.1059ドル付近で、昨夜17時の1.1034ドル付近と比べると約0.24セントのドル安ユーロ高になった。また、日本市場が連休中につき、一昨日の前営業日17時の1.0978ドル付近の前東京終値比では約0.80セントのドル安ユーロ高になっていた。

主な原因は、先述の昨夜から今朝までの米国市場で発表された米国連邦準備制度理事会 (FRB) の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) 終了後の米国新政策金利と声明で、米国の利上げ停止が示唆されたとの市場の受け止めで欧米金利差予想のドル売りがあった影響や、米国金融不安による景気警戒のドル売りの影響などが見られた。

ただし、今夜この後の21時15分頃には、欧州中央銀行 (ECB) 理事会の新政策金利や声明の発表予定や、続いて21時45分頃からはラガルド総裁の定例記者会見での発言予定などのユーロの大イベントを控えており、イベント前のリスクの持ち高調整や、ユーロの買い控えの抵抗なども混ざったことでは、ドルはやや下げ幅を縮めた時間もあった。

しかし、今日の午後に発表された欧州ユーロ圏の最新経済指標は、15時のドイツの3月独貿易収支が前回と市場予想を上回り、16時50分のフランスの4月の仏サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) の改定値は前回と市場予想の56.3以下ではあったが54.6の好景気側で、16時55分のドイツの4月の独サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) の改定値) は前回と市場予想の55.7以上の56.0で、17時の欧州ユーロ圏総合の4月の欧サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) の改定値も前回と市場予想の56.6には届かなかったものの、56.2の好景気側であったことでは、米国の金融不安による米国景気警戒のドル売りの影響の方が顕著であった。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値相当時間の英ポンドの円相場は169円27~33銭付近で、昨夜17時の169円86~92銭付近と比べると約59銭の円高ポンド安になった。また、日本市場が連休中のため、一昨日の前営業日17時の170円17銭付近の前東京終値比では約87銭の円高ポンド安になっている。

主な要因は、今日の欧米金融不安の株安時の低リスク通貨の円買いのリスク回避の影響が大きかったが、今夜17時半には最新の英国経済指標の発表があり、4月の英サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) 改定値は前回と市場予想の54.9に対し55.9に上昇したことでは、ドルやユーロなどの他の主要通貨よりも英ポンドは円相場での下げ幅を縮めている。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2023年5月4日の日本時間(JST)19時6分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替時間の夏時間 (GMT+1 / BST) 11時6分)の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:06の為替レート 昨日17:00時の前東京外国為替市場相当時間の前日比
ドル/円 134.46 〜 134.47 -1.32 (円高)
ユーロ/円 148.61 〜 148.62 -1.25 (円高)
ユーロ/ドル 1.1049 〜 1.1051 +0.15 (ドル安)
英ポンド/円 168.97 〜 169.03 -0.90 (円高)
スイスフラン/円 151.48 〜 151.54 -1.24 (円高)
豪ドル/円 89.69 〜 89.73 -0.76 (円高)


注意:

本ウェブサイトに記載されている全ての情報またリンク先を含めた情報は、情報提供を目的のみとしており、取引投資決定、及びその他の利用目的のために作成されたものではありません。取引投資種、外国為替取引業者の選択、売買価格投資等の全ての最終決定については、利用者ご自身のご判断において行われるようお願い致します。

当社は、当サイトに掲載した情報によって万一閲覧者が被った直接・間接的に生じた損失に関して一切責任を負わないものとします。また、当社および当社に情報を提供している第三者は一切責任を負うものではございませんので ご了承ください。万が一、当サイトの提供情報の内容に誤りがあった場合でも、当社は一切責任を負いません。当社はこのウェブサイトの掲載内容を予告なしに変更または廃止することがございますので、あらかじめご了承おきください。