FXニュース:欧中銀(ECB)も0.25%の利上げ

2023年5月05日
FXニュース:欧中銀(ECB)も0.25%の利上げ

 

東西FXニュース – 2023年05月05日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米地銀連鎖報道で欧米金融不安
  • 欧米株安時の低リスク通貨の円
  • 今夜の米国雇用統計発表を控え

今日2023年5月5日金曜日の日本の東京外国為替市場もゴールデンウィークのこどもの日の祝日休場ですが、海外FX市場や世界市場は通常営業のため、9時から17時頃までの外為取引相当時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値134円26銭前後から高値133円88銭前後の値幅約38銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値相当時間の対ドル円相場は134円2~3銭付近で、昨夜17時の134円66~67銭付近と比較すると約64銭の円高ドル安であった。

また、日本市場の大型連休前の前営業日の5月2日17時の137円59~60銭付近の前東京終値比では約3円57銭の大幅な円高ドル安が進行しており、先週金曜の日本銀行 (日銀 / BoJ) の金利抑制の大規模緩和金融政策継続の発表後の対ドルの円相場の大幅な下げ幅を回復したような形になっていた。

今日の為替相場の値動きの要因と、海外FX取引市場および世界市場のトレンド動向の分析では、日本時間の昨夜から今朝までの米国ニューヨーク (NY) 外国為替市場では、前市場終盤の米国金融システム不安の影響による欧米株安時のリスク回避で低リスク通貨の円が買われて上昇した円高ドル安が進行した後でも、昨夜21時半に発表された最新米国経済指標の1~3月四半期の米国単位労働コストの速報値は前期比年率が前回の3.2%と市場予想の5.5%を上回る6.3%の米国賃金インフレを示したことでは、米国長期金利の上昇に伴うドル買いが先行し、昨夜22時半前にドルは円相場で一時134円88銭付近の米国市場での円の安値でドルの高値を記録していた。

同時発表の前週分の米国新規失業保険申請件数は前回の23.0万件と前回修正の22.9万件と市場予想の24.0万件に対し24.2万件の小幅増加ではあったものの、前週分の米国失業保険継続受給者数は前回の185.8万人と前回修正の184.3万人と市場予想の186.5万人に対して180.5万に多めに改善したことも、今夜この後に最新米国重要経済指標の米国雇用統計の発表イベントを控えている米国市場ではやや好感されていた。

しかし、昨日の東西FXニュースでもお伝えした前米国株式市場の株引け後の前米国ニューヨーク外国為替市場終盤に発表された一部通信社の「米国地方銀行パックウエスト・バンコープ (株式コード : PACW) が、売却による身売りを含めた戦略的選択肢を検討」という報道の内容を、半額以下に株価暴落後の米地銀パックウエスト・バンコープが認めたというニュースが流れたことで、決算報告期の米国株式市場では米国金融システム不安によるリスク回避の米株売りと米株安時の安全資産の米国債買いや、低リスク通貨の円買いが再燃した。

さらに、今回は、「米地銀ウエスタン・アライアンス・バンコープ (WAL) も、身売りを含めた複数の選択肢を検討か?」との一部のニュース報道も続いて流れてきたことを受け、米国株式市場では報道後の米地銀ウエスタン・アライアンス・バンコープ (WAL) の株価が一時38%以上も急落したほか、米国地方銀行を中心とした米国中堅金融機関の連鎖的な経営悪化や経営破綻への警戒感が高まり、他の大手を含む銀行株などにもリスクオフの株売りが波及し、米国ダウ平均株価 (Dow Jones Industrial average : DJI) は一時470ドル以上も下落し、終値も前日比286.5ドル安の大幅安であったために、欧米株下落時のリスク回避の低リスク通貨の円買いが再び強まり、主要通貨に対して円相場が上昇した。

欧米金融システム不安の影響では、欧米の銀行や金融機関が流動性を確保するために企業や個人などへの融資を貸し渋る可能性も考えられることなどから、欧米経済や景気への影響の懸念や世界経済への影響の波及などへの警戒感から、リスク回避の低リスク通貨の円買いドル売りが進行し、米国発の金融不安は以前に欧州にも波及した経緯もあることなどから、昨夜の欧州中央銀行 (ECB) 理事会の0.25%の利上げ継続後の景気への影響の警戒も相まって円買いユーロ売りも入っていたことも波及し、対ドル円相場は今朝未明1時過ぎに、一時133円50銭付近の米国市場および日通しでの円の高値でドル安値を記録した。

ただし、その一連の報道騒動の後に、米地銀ウエスタン・アライアンス・バンコープ (WAL) の方では、その一部の報道の内容を否定したため、米地銀連鎖経営破綻への過度の警戒感はやや緩和され、安値からの米国株式の買い戻しも入り始めて、ドル円にもドルの買い戻しの抵抗が入った。

リスク回避のリスクオフの安全資産の米国債買いの影響で一時3.29%台に低下していた米国10年債の利回りが指標になる米国長期金利が上昇に転じた影響もあり、日米金利差拡大時のドルの買い戻しの抵抗では、ドルは円相場で一時134円35銭付近に下げ幅を縮めた。

そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値134円88銭前後から高値133円50銭前後の値動きで、今朝6時頃のニューヨーク終値を134円29銭付近の前日同時刻の前ニューヨーク終値比で約42銭の円高ドル安でつけていた。

なお、米国株式市場では株引け後に発表された米国大企業のアップル (Apple / 株式コード: AAPL) の決算報告では、iPhone (アイフォーン) の売上高が好調で、1株利益や売上高ともに市場予想を上回ったことや、配当金が増額されたことも好感され、今日のプレマーケットでは一時2%以上も株価が上昇した。

その後に始まった今朝早朝のアジア・オセアニア市場時間を中心とした世界FX市場では、今日も日本市場の東京外国為替市場はゴールデンウィークのこどもの日の連休休場で、今日はインドと韓国も祝日休場であったために、やや横ばいに近い小幅な値動きになった。

ただし、米国ニューヨーク債券市場の終値では米国10年債の利回りは上昇したが、米国2年債の利回りは低下して終えていたこともあり、米国トレンドを受け継いだ昨日17時比での円高ドル安は継続しており、欧米金融システム不安の世界経済への影響の警戒感もやや燻っていたことで、日本市場が連休中で現地企業の円実需が少ないにも関わらず、外貨に対する低リスク通貨の円買い需要が続いたことで、今朝9時9分頃の134円26銭付近が今日の日本市場相当時間の円の安値でドルの高値となり、その後にはドルは円相場で下落を続けた。

原因は、昨夜の欧州中央銀行 (ECB) は小幅利上げではあったものの、今後の利上げ継続予想の影響などもあり、次回で利上げ停止予想も出てきている米国ドルが、米国金融システム不安の影響もあり、欧州ユーロや英国ポンドや豪ドルなどの他の主要通貨に対して売られて下げた円相場にも波及していた。特に、来週に英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE) の次回の金融政策委員会 (MPC) を控えており、高インフレで利上げ継続予想の英国ポンドに対し、ドルは1.26ドル台の今年の年内高値記録更新域のポンド高ドル安が進んでいた。

そして、欧州本土の現地早朝の参入開始の頃の日本時間の午後14時5分頃には、ドル円は133円88銭付近の今日の日本市場相当時間の円の高値でドルの安値を記録した。

ただし、その後には現地朝の欧州株式市場が安値の株買いで反発上昇して高値で始まったこともあり、高値の円の利益確定売りや安値のドル買いの抵抗が入り始め、ドル円は134円台に向けて反発上昇したが、今夜この後には米国連邦準備制度理事会 (FRB) も注目している最新米国重要経済指標の米国雇用統計の発表イベントを控えていることもあり、イベントリスクのドルの持ち高調整や買い控えなどの様子見の動きも混ざったことからは、ドルは円相場での今朝からの下げ幅を縮めた形になった。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値相当時間のドル円相場は134円2~3銭付近で、昨日同時刻の昨夜17時の世界市場での134円66~67銭付近と比較すると、約64銭の円高ドル安になっていた。

今夜この後にも、最新の米国重要経済指標の発表予定や、先日に米国連邦公開市場委員会 (FOMC) を終えてブラックアウト期間を終了した米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達の発言予定などが、投資家やFXトレーダー達の間で注目を集めて話題入りしている。

日本時間での今夜のスケジュールは、21時半に最新の米国雇用統計の米国平均時給、米国失業率、米国非農業部門雇用者数などの重要経済指標発表イベントがあり、26時頃から米国連邦準備制度理事会 (FRB) のクック理事の発言予定と、米国セントルイス連銀のブラード総裁の発言予定もあり、28時には3月の米国消費者信用残高も発表される予定である。

米国株式市場でも、米国企業の決算発表が相次いでいることから、株式市場からのリスクオフやリスクオンなどの為替相場の値動きへの影響にも、引き続き注意が必要である。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値相当時間のユーロ円相場は147円79~81銭付近で、昨日同時刻の昨夜17時の世界市場での148円92~93銭付近と比較すると、約1円12銭の大幅な円高ユーロ安であった。

昨夜21時15分に欧州中央銀行 (ECB) 理事会が0.25%の追加利上げを発表したが、一部では大幅利上げの市場予想もあったために、小幅利上げによるユーロ売りが起きた。

また、欧州中央銀行 (ECB) 理事会にも利上げ終了時期が近い可能性も指摘されたことで、日欧金利差縮小予想の円買いユーロ売りが入ったが、続いての昨夜21時45分頃からの欧州中央銀行 (ECB) のラガルド総裁の発言では、「我々には、まだやるべきことがある」や「利上げ停止しないことは極めて明らか」などと、欧州利上げ継続が示唆されたことでは、ややユーロが買い戻される抵抗もあった。

しかし、米国金融システム不安の欧州への波及への警戒では、欧米株安時の低リスク通貨の円買いがドルやユーロなどの主要通貨に対して起きたことで、今日は前日同時刻比で大幅な円高ユーロ安になっていた。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値相当時間には1.1027~1.1029ドル付近で、昨夜17時の世界市場の1.1057~1.1059ドル付近と比較すると、約0.30セントのユーロ安ドル高であった。

昨夜の欧州英国市場では、21時15分の欧州中央銀行 (ECB) 理事会で以前の一部の0.5%の大幅利上げ継続予想に対して、今回は米国と同じ小幅な0.25%の追加利上げ予想が優勢ではあったものの、実際に利上げ幅の縮小が起きたほか、同時発表の声明文に、「過去の利上げは、欧州ユーロ圏の財政・金融情勢に強力に伝わっている」とあり、市場では欧州中央銀行 (ECB) 理事会もこれまでの利上げの影響を見極める利上げ終了時期に近づいている可能性が指摘され、欧州の国債利回りが大幅に低下し、欧米金利差によるユーロ売りドル買いが優勢になった影響があった。

ただし、その後の欧州中央銀行 (ECB) のラガルド総裁の発言では、前述の通りに利上げ継続が示唆されたことや一部報道で、「何人かの欧州中央銀行 (ECB) 理事会メンバーは、今後2~3回の利上げを見込んでいる」と伝わったことではユーロの買い戻しも入ったものの、昨夜の米国市場での欧米金融システム不安による欧米株安時のリスク回避では世界的な安全資産に対してユーロは売られて下げており、特に低リスク通貨の円買いで大幅なユーロ安になった影響が、ユーロドルにも小幅なユーロ安として影響が波及していた。

また、今日の午後15時には欧州ユーロ圏主要国のドイツの最新経済指標が発表され、3月の独製造業新規受注は、前年同月比と前月比ともに市場予想以下に大幅低下であったことも、ユーロ売りの一因となった。続いて、今日の午後15時45分に発表されたフランスの3月仏鉱工業生産の前月比も、前回と市場予想以下だった。そして、今夜18時に発表された欧州ユーロ圏総合の3月小売売上高も、前年同月比と前月比共に市場予想を下回っていた。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値相当時間の英ポンド円相場は168円96銭~169円2銭付近で、昨日同時刻の昨夜17時の世界市場での169円27~33銭付近と比較すると、約32銭の円高ポンド安であった。

主な原因は、今日は対ドルの英国ポンドが年内高値圏に上昇した影響の波及もあり、先述の欧米金融システム不安のリスク回避で低リスク通貨の円相場が大きく上昇した一方で、英ポンドは円相場での下げ幅を縮めていた。

今日の午後15時台にポンドドルは、一時1.2614ドル付近の2022年6月以来のポンド高ドル安を記録していた。

また、今夜17時半に発表された最新英国経済指標の4月の英国建設業購買担当者景気指数 (PMI) は、前回の50.7と市場予想の51.0に対し51.1に上昇していた。

オーストラリアの豪ドルは、今朝10時半に豪準備銀行 (RBA) の四半期金融政策報告が発表され、「合理的な時間枠でインフレ目標に到達するため、更なる引き締めが必要かもしれない」と示されたことで円相場や対ドルでも上昇し、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値相当時間の豪ドル円相場は90円22~26銭付近で、昨夜17時の89円86~90銭付近と比較すると約36銭の円安豪ドル高になっていた。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2023年5月5日の日本時間(JST)19時17分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替時間の夏時間 (GMT+1 / BST) 11時17分)の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:17の為替レート 昨日17:00の前東京終値相当時間比
ドル/円 134.14 ~ 134.15 -0.52 (円高)
ユーロ/円 147.97 ~ 147.98 -0.95 (円高)
ユーロ/ドル 1.1029 ~ 1.1031 -0.28 (ドル高)
英ポンド/円 169.20 ~ 169.26 -0.07 (円高)
スイスフラン/円 150.51 ~ 150.57 -1.46 (円高)
豪ドル/円 90.30 ~ 90.34 +0.42 (円安)


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