FXニュース:欧米金融不安緩和で景気懸念が減退

2023年3月30日
FXニュース:欧米金融不安緩和で景気懸念が減退

 

東西FXニュース – 2023年03月30日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米株価上昇で低リスク通貨の円売り
  • リスク回避後リスク選好の強気市場
  • 米金融監督のFRBバー副議長の発言

今日2023年3月30日木曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値132円81銭前後から高値132円20銭前後の値幅約61銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は132円41~42銭付近で、前日17時の前東京終値比で約44銭の円安ドル高であった。

今日の為替相場の値動きの要因は、昨夜の欧州英国市場や昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場で欧米の金融システム不安の緩和や、銀行の貸し渋りによる景気懸念が後退したことなどを受けて、欧米の主要株価が上昇し、米国ニューヨーク株式市場では米国主要株価が1%以上も上昇するブル (強気) ・マーケットになったことで、以前の株安時のリスク回避のリスクオフで買われていた低リスク通貨の円が売られて、リスク選好のリスクオン市場になったことが影響した。

昨夜までの今週28~29日に米国上院と下院の両議会で開かれた米国シリコンバレー銀行 (SVB) の経営破綻に関する公聴会には、米国連邦準備制度理事会 (FRB) で金融監督担当をするマイケル・バー副議長達が出席して発言し、米国の銀行や金融システムの安全性と健全性を強調した上で、もし再び金融不安が高まるようなことがあれば、必要な対策を取る用意があることも強調しており、破綻後の米国シリコンバレー銀行 (SVB) の買収案合意などもサポートし、米国の金融不安が緩和され、それに伴う景気や経済の影響への懸念も後退した。

前市場では一時は売りが目立っていたハイテク株も買われて上昇し、決算期前の上昇トレンドに乗って米国株式投資用のドルも買われた。このハイテク株上昇の一因には、昨夜に米国の半導体メモリーチップメーカーで最大手のマイクロン・テクノロジー (MU) が、以前には3~5月の第3四半期の減収の見通しを示して懸念されていたものの、市場予想よりも良い見通しが出てきており、特に来年以降の2025年の見通しでは、現在世界で急成長中の人工知能 (AI) 産業の需要拡大の前向きな予測が注目されて株価が一時約7.2%も急上昇するニュースがあり、世界を牽引する米国ハイテク産業の明るい見通しを受け、米国経済の景気懸念の緩和に繋がった。

このため、米国ニューヨーク株式市場は大幅高になり、ナズダックなどの主要株価指数が1%以上も上昇し、S&P総合500種は今年の3月6日以降で初の50日移動平均線を上回る終値で、シカゴ・オプション取引所 (CBOE) の投資家達の市場に対する懸念心理を表すボラティリティー指数も、3月6日以来の低水準を記録しており、月末の決算前に利益を出しておきたい投資系などが短期売買で利益を出せる市場になったことで、強気市場の円売りになった。

安全資産の米国国債売りでも米国長期金利が一時上昇を示したほか、米国連邦準備制度理事会 (FRB) のパウエル議長が、「年内にもう一回の利上げは予定している」と米国共和党議員に非公式会合で語ったというリーク的な噂も話題になり、年内の利上げ終了時期への予想はあっても追加利上げの可能性はあり、また利下げは年内には予定されていない来年以降になるのではないかという市場予想も日米金利差拡大予想による円売りドル買いに影響を及ぼしていた。

また、米国の金融システム不安の減退で、前回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) では米国の金融不安に対する配慮で一時は早期の利上げ停止予想があったものも減少し、米国連邦準備制度理事会 (FRB) の利上げ停止時期や利下げ開始時期までにはまだ時間があるという市場予想が強まったことで、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) でも利上げ継続予想の日米金利差拡大予想が優勢になったことでも、円売りドル買いが進んだ。

そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場は、円の高値132円17銭前後から安値132円89銭前後の値動きで、今朝6時のニューヨーク終値を132円86銭付近の前日同時刻比で約1円97銭の大幅な円安ドル高でつけていた。

今朝8時50分には、日本の最新経済指標が発表され、前週分対外対内証券売買契約等の状況の対内株式は前回の-1兆806億円に対して-1兆2858億円で、対外中長期債も前回の3兆3348億円に対して1兆1820億円に減少していた。

その直後の今朝9時から始まった今日の日本の東京外国為替市場では、決算期の月末前である上に、今日は30日で5と10のつく日本の貿易企業の決算日が集中しやすい「五十日 (ゴトービ) 」で、日本の輸出企業の円買いドル売りが入ったが、今朝9時55分の仲値決済では輸入企業の円売りドル買いも入って一時交錯したことでは、10時台に一時132円81銭付近の今日の日本市場での円の高値でドルの安値を記録した。

しかし、その後には、春の日本市場での年次決算期の月末前の日本の輸出企業の円買いドル売りや、今日の日経平均株価が下げたことでは日本市場では国内での日本円の需要が高く、日本株安時の安全資産の低リスク通貨の円買いや国債買いの需要などもが強く、円相場が今朝の下げ幅を縮めた。

また、時間外の債権市場でも安値の米国債買いで米国長期金利が一時低下した時の日米金利差縮小時の円買いドル売りもあり、16時台に今日の日本市場での円の高値でドルの安値の一時132円20銭付近を記録した。

しかし、午後からの欧州英国市場の参入もあり、再び、欧米金融不安緩和時の欧州株上昇を受けた安全資産売りで、低リスク通貨の円売りとドル買いが優勢になった。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は132円41~42銭付近で、昨夜17時の前東京終値比では約44銭の円安ドル高になった。

今夜この後にも米国の最新経済指標の発表や、米国連邦準備制度理事会 (FRB) の高官達の発言予定などが注目されており、日本時間の21時半に米国の新規と継続の失業保険申請件数と前年10~12月の第4四半期の米国実質国内総生産 (GDP) の確定値や米国個人消費の確報値、25時45分から米国リッチモンド連銀のバーキン総裁の発言予定と米国ボストン連銀のコリンズ総裁の発言予定、26時から次回のFOMC投票権も持つ米国ミネアポリス連銀カシュカリ総裁の発言予定、そして、28時45分からイエレン米国財務長官の発言などが予定されており、今夜の値動き予想材料としてFXトレーダー達が注視している。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は143円71~73銭付近で、昨夜17時の前東京終値比では約69銭の円安ユーロ高であった。

原因は、前述の通り、欧米金融不安緩和によるリスクオンで低リスク通貨の円売りユーロ買いの影響があった。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0852~1.0854ドル付近で、昨夜17時の前東京終値比で約0.15セント銭のユーロ高ドル安だった。

この原因にも、リスクオンで買われやすいユーロに対して、世界的な流動性の高さから安全資産でもあるドルも売られたことが影響していた。

また、欧州金融不安の減退で、欧州中央銀行 (ECB) の利上げ継続予想によるユーロ買いドル売りが入ったが、米国でも金融システム不安が緩和されたことや、3月のスペインの消費者物価指数(CPI)が鈍化したことでは、安全資産同士でも低リスク通貨の円と比べると、ドルの方に対してはドル買い抵抗もあったために、比較的小幅なユーロ高になった。

今夜18時に発表された欧州ユーロ圏の最新経済指標の3月の欧州経済信頼感は前回の99.7と市場予想の99.8に対し99.3であったが、欧州消費者信頼感の確定値は前回と市場予想通りの-19.2であった。

今夜21時には、欧州ユーロ圏主要国のドイツの最新経済指標の3月の独消費者物価指数 (CPI) の速報値の発表予定もある。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は163円54~60銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約7銭の僅差の円高ポンド安であった。

原因は、決算期の月末前の日本市場での円需要の影響などがあったが、今夜その後の英国ロンドン外国為替市場では、19時台には日英金利差拡大予想の影響で円安ポンド高に転じている。金融不安減退時の低リスク通貨の円売りに対しては、欧州ユーロだけでなく英国ポンドもリスクオンや投資用で買われる機会もあった。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2023年3月30日の日本時間(JST)19時27分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替時間の夏時間 (GMT+1 / BST) 11時27分)の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:27の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 132.74 〜 132.76 +0.77 (円安)
ユーロ/円 144.23 〜 144.25 +1.21 (円安)
ユーロ/ドル 1.0863 〜 1.0866 +0.0026 (ドル安)
英ポンド/円 163.82 〜 163.88 +0.21 (円安)
スイスフラン/円 144.87 〜 144.93 +0.24 (円安)
豪ドル/円 88.90 〜 88.94 +0.12 (円安)


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