FXニュース:欧米金融不安緩和の安全資産売り

2023年3月28日
FXニュース:欧米金融不安緩和の安全資産売り

 

東西FXニュース – 2023年03月28日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米国長期金利上昇時の日米金利差
  • 日本輸出企業決算期末前の円買い
  • 欧州景気好感と利上げ長期化予想

今日2023年3月28日火曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値131円46銭前後から高値130円50銭前後の値幅約96銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は131円18~19銭付近で、前日17時の前東京終値比で約26銭の円安ドル高であった。

今日の為替相場の値動きの要因は、昨夜の欧州英国市場では欧州ユーロ圏主要国のドイツの最新経済指標の景気好感から欧州中央銀行の大幅利上げ後の欧州景気懸念がやや減退し、また昨夜から今朝までの米国ニューヨーク市場では、欧米金融システム不安の起因になった経営破綻の米国シリコンバレー銀行 (SVB) を米国連邦預金保険公社 (FDIC) の計らいで米国銀行の持ち株会社のファースト・シチズンズ・バンクシェアーズ (FCNCA) が買収に合意したニュースを受けて、FCNCAの株価が一時約44%高に急騰したほか、他の米国銀行株も連れ高になり、米国発の金融不安の緩和からリスク選好のリスクオン市場に転じ、以前のリスク回避のリスクオフで買われていた安全資産の欧米国債の利益確定売りが入り、欧米長期債の権利回りが指標となる欧米長期金利が上昇し、円安要因の日米欧金利差拡大時の低リスク通貨の円売りが起きたことが影響を及ぼした。

時間に沿った世界の市場トレンドの動きでは、昨夜の欧州英国市場では、欧州主要国ドイツの景気指標発表後の景気懸念緩和のリスクオンで、欧州英国株式市場では一時下落後のドイツ銀行株が反発上昇し、安全資産の欧州国債売りで欧州長期金利が上昇し、日欧金利差拡大時のユーロ買い円売りがあり、他の主要通貨であるドル円相場やクロス円に影響が波及していた。

欧州英国市場の後半から時差で始まった昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場では、同時進行の米国ニューヨーク株式市場が金融不安緩和のシリコンバレー銀行買収や政府支援期待のニュースを受けたブル (強気) ・マーケットになったことで、米国ニューヨーク債権市場でリスクオンの安全資産の米国債売りが強まり、米10年債の利回りが指標となる米長期金利が先週末の前終値の3.38%付近から3.54%台付近に上昇し、円安要因の日米金利差拡大時の円売りドル買いが優勢になり、一時131円75~76銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。

米国金融当局が地方銀行への緊急融資制度の拡充などの追加支援策も検討しているというニュースがあったことに加えて、米国連邦準備理事会 (FRB) の銀行監督担当のマイケル・バー副議長が、今夜の米国上院銀行委員会公聴会の出席に先立ち冒頭証言を公表し、「米国の金融システムを安全かつ健全に保つために必要であれば、金融機関の規模に関わらず、あらゆる手段を使う用意がある」と表明し、米国市場では政府支援期待が高まっていた。

そのため、今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場は、円の高値は131円33銭前後から安値131円76銭前後の値動きで、今朝6時頃のニューヨーク終値を131円57銭付近の前営業日比で約85銭の円安ドル高でつけていた。

しかし、今朝9時頃に今日の日本市場の円の安値でドルの高値の131円46銭付近から始まった今日の日本の東京外国為替市場では、円相場に大きな反発の一時円高のトレンドが起きた。

原因は、日本市場では春が決算期末で、3月末の期末前の決算期が近いことで、今日の日本市場では、朝から日本の輸出企業の決算前の実需などのまとまった円買いドル売りが優勢に転じ、午前から午後にかけて日本市場で大規模な企業決算の円買いドル売りが続いたことで、午後15時台には一時130円50銭付近の今日の日本市場での円の高値でドルの安値を記録した。

今日の昼過ぎには来月4月8日の任期満了を控えた日本銀行 (日銀 / BoJ) の黒田東彦総裁の発言があったが、日銀が現時点では発行計画のないデジタル円について、個人的見解として重要性を主張した発言が目立ち、日本企業の決算期の為替相場への影響はあまり見られなかった。

ただし、午後からの欧州英国市場の参入では、安値から再びドルが買われたほか、再び日米欧金利差拡大による高値の円の利益確定売りやドル買いやユーロ買いもあり、円相場でドルが再上昇して今日の日本市場での下げ幅を縮め、前日比の横ばいレンジを超えた小幅な円安ドル高の欧米トレンドに戻していった。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は131円18~19銭付近で、昨夜17時の前東京終値比では約26銭の円安ドル高になった。

今夜この後には、米国経済指標などの発表予定があり、日本時間で今夜21時半に2月の米国卸売在庫、22時に1月のS&Pケース・シラー米国住宅価格指数と米国住宅価格指数、23時に3月の米国リッチモンド連銀製造業指数と3月の米国消費者信頼感指数、そして23時から前述の米国連邦準備制度理事会 (FRB) のバー副議長の米国上院での発言予定と、26時には米国5年債の入札予定などが、FXトレーダー達に今夜の値動き予想材料として注視されている。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は141円98~99銭付近で、昨夜17時の前東京終値比では約1円24銭の大幅な円安ユーロ高であった。

原因は、先述の通り、欧州英国市場が以前のリスクオフからリスクオン市場に転じたことで、欧州株上昇時のリスク選好でユーロが買われやすくなったことに加えて、以前のリスク回避で買われた安全資産の欧米国債売りで欧州長期金利が上昇し、日欧金利差拡大による低リスク通貨の円売りとユーロ買いが起きたことが影響を与えた。

また、昨夕の欧州ドイツのIfo経済研究所の独企業景況感指数の上昇による欧州景気懸念の後退を背景に、欧州中央銀行 (ECB) の声明文で明らかになった高官の一段の利上げの可能性があるというタカ派発言の影響などで、欧州利上げ長期化予想が強まり、日欧金利差拡大予想の円売りユーロ買いも重なったことで、大幅な円安ユーロ高になっていた。

ユーロドルも、円相場での大幅なユーロ上昇を受けて、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0821~1.0823ドル付近で、昨夜17時の前東京終値比で約0.71セントのユーロ高ドル安であった。

今後の欧州の金利予想データに関しては、日本時間で今夜22時から欧州中央銀行 (ECB) のラガルド総裁の発言予定もあり、市場では注目されている。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は161円42~48銭付近で、昨夜17時の前東京終値比では約23銭の円高ポンド安であった。

原因は、以前の欧州金融不安のユーロ売りのリスク回避で買われていた英ポンドやスイスフランもリスクオンで売られたことや、日本市場の決算期末前の円買いの影響なども見られた。

さらに、英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE) のベイリー総裁が、「英国の政策金利水準は、おそらく以前の金融危機前の水準を下回り続けるであろう」と発言しており、過去30年間で最速といわれるペースで利上げを続けてきた英国の利上げに終了時期が近づいてきている可能性を示唆したため、日英金利差縮小予想の円買いポンド売りも影響を及ぼしていた。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2023年3月28日の日本時間(JST)19時15分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替時間の夏時間 (GMT+1) 11時15分)の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:15の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 130.94 〜 130.96 +0.02 (円安)
ユーロ/円 141.64 〜 141.66 +0.90(円安)
ユーロ/ドル 1.0816 〜 1.0818 +0.0066 (ドル安)
英ポンド/円 160.94 〜 161.00 -0.71 (円高)
スイスフラン/円 142.59 〜 142.65 -1.05 (円高)
豪ドル/円 87.38 〜 87.42 -0.07 (円高)


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