FXニュース:米英瑞利上げで景気影響警戒

2023年3月24日
FXニュース:米英瑞利上げで景気影響警戒

 

東西FXニュース – 2023年03月24日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米欧英日株下落で安全資産買い
  • 米国債買いで米長期金利が低下
  • 日米金利差縮小時の低リスク円
  • 英中銀も0.25%の利上げを継続

今日2023年3月24日金曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値130円94銭前後から高値130円5銭前後の値幅約89銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は130円25~26銭付近で、前日17時の前東京終値比で約65銭の円高ドル安であった。また、今夜その後の英国ロンドン外国為替市場では、17~19時台に一時129円台の円高ドル安も記録した。

今日の為替相場の値動きの要因は、先日の金融不安の後に欧州と米国やスイスや英国などの各国中央銀行の利上げが相次ぎ、金利上昇の景気への影響の警戒感の高まりから、欧米株価が再び下落し、欧米株安時のリスク回避の安全資産の米国債買いで債権価格は上昇する一方で利回りが指標となる米国長期金利が低下し、先日の米国連邦準備制度理事会 (FRB) の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) で0.25%の利上げ後の米国利上げが最終局面に近づいているという年内利上げ停止予想で低下傾向だった米国長期金利がさらに低下し、日米金利差縮小時の円買いドル売りが優勢になった。また、欧米金融不安を受けた日米欧株安時には、金利上昇警戒のない低リスク通貨の円が買われやすかったことなども影響を及ぼしていた。

世界と日本の市場トレンドの動きの解説では、日本時間で昨夜の欧州英国市場と今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場では、昨夜21時半に発表された最新の米国経済指標の前週分の米国新規失業保険申請件数が前回の19.2万件と市場予想の19.7万件に対し19.1万件に改善され、同時発表の前年10~12月四半期の米国経常収支も前回の-2171億ドルと前回修正の-2190億ドルと市場予想の-2132億ドルに対し-2068億ドルに赤字額がやや改善されたことでは、昨夜の欧米市場でのドルの高値の131円66銭付近を記録した。

しかし、同じく発表された前週分の米国失業保険継続受給者数は、前回の168.4万人と前回修正の168.0万人と市場予想の168.4万人に対し169.4万人で、昨夜23時の2月の米国新築住宅販売件数も前月比が前回の7.2%と前回修正の1.8%と市場予想の-3.0%に対し1.1%で市場予想ほどではないが悪化しており、年率換算件数では前回の67.0万件と前回修正の63.3万件と市場予想の65.0万件を下回る64.0万件で、景気懸念が高まった。

欧州や米国やスイスや英国の相次ぐ利上げの金利上昇による景気への影響の懸念に加えて、米国金融不安の影響で米国銀行の企業や個人へのローン貸付停滞懸念などの景気警戒感が高まっており、景気懸念のリスク回避の株売りで一時は上昇していた米株価が再び下落したことで安全資産の米国債が買われて、債権価格上昇に伴う利回りの低下で米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が更に低下し、日米金利差縮小時の低リスク通貨の円買いドル売りが強まり、一時130円32銭付近の2月10日以来の円高ドル安を記録した。

ただし、米国下院公聴会で米国金融システム不安の対策に関しては、イエレン米国財務長官が、「正当化される場合には、預金保護による追加支援を用意する」と発言し、一時は金融市場安定への期待で高値の円の利益確定売りと安値のドルの買い戻しの抵抗も入ったが、まだ具体的な預金保護の拡大支援策が用意されていない様子や、前日には追加支援策の拡大の上限引き上げなどがやや疑問視されていたことなどもあり、高値の円売りと安値のドル買いの抵抗は長くは続かなかった。

そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場は、円の安値131円66銭前後から高値130円32銭前後の値幅約1円34銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値を130円85円付近の前日同時刻比で約59銭の円高ドル安でつけていた。

今朝8時半には、日本の最新経済指標の2月全国消費者物価指数 (CPI) が発表され、前年同月比は、前回の4.3%に対して市場予想通りの3.3%で、生鮮食料品を除くコアCPIも前回の4.2%に対して市場予想通りの3.1%で、生鮮食料品とエネルギーを除く総合指数は前回の3.2%と市場予想の3.4%に対し3.5%にやや上昇していたが、ほぼ市場予想の範囲内と受け止められた。

8時50分には、前週分の対外対内証券売買契約等の状況の対外中長期債が前回の9095億円と前回修正の9142億円から3兆3348億円に大幅に増加した。対外対内証券売買契約等の状況の対内株式は前回の-8342億円と前回修正の-8356億円に対して-1兆806億円であったものの、世界市場での低リスク通貨の円買いトレンドは継続していた。

今朝9時から始まった今日の日本の東京外国為替市場でも、前述の米国長期金利低下の影響を受けた日米金利差拡大による低リスク通貨の円買いドル売りが続いた。

また、今朝9時55分頃の日本市場の仲値決済では、今日は週末前であることに加えて今月3月末の期末前であることなどもあり、日本の輸出企業などの実需勢の円買いドル売りが優勢だった。

投資系でも春の期末前のポジション調整などもあり、米国の景気警戒を受けた米国株価下落の影響による日本株価懸念のリスク回避や、米利上げ停止時期の予測値を受けた日米金利差縮小予想による低リスク通貨の円買いドル売りなどもあって、円相場が上昇した。

午後になり、欧州市場の参入が始まる頃に、安全資産の米国債買いの影響で米国長期金利の低下が続き、前日の3.4%台から3.3%台になったことで、日米金利差縮小時の円買いドル売りによる円高ドル安も進行し、一時130円5~6銭付近の2月10日以来の今日の日本市場での円の高値でドルの安値の円高ドル安を記録した。

日本市場でも、前日までの欧米株価下落の影響もあって今日の日経平均株価も27,385円25銭の前日比34円36銭安で大引けし、低リスク通貨の円買いが継続していたが、日本市場では比較的小幅な株安にとどまった銘柄もあり、高値の円の利益確定売りと安値のドル買いの抵抗もやや混じっていた。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は130円25~26銭付近で、昨夜17時の前東京終値比では約65銭の円高ドル安になった。

今夜その後の英国ロンドン外国為替市場では、米長期金利低下時の円買いドル売りで、17~19時台には一時129円台の円高ドル安も記録しており、19時8分頃にドル円は129円64銭付近を記録したが、欧州銀行株価下落を受けて円だけでなくドルに対してもユーロが下げ始めた影響があり、世界的に流動性の高いドルもユーロに対して買われたことでは円買いドル買いになり、円相場でもドルがやや反発を始めている。

今夜この後にも最新の米国経済指標の発表予定や、米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の発言予定などがあり、日本時間での今夜のスケジュールは21時半の2月米国耐久財受注、22時半からの米国セントルイス連銀のブラード総裁の発言予定、22時45分の3月の米国製造業購買担当者景気指数 (PMI) と米国サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) と米国総合購買担当者景気指数 (PMI) などが今後の為替相場の値動き材料としてFXトレーダー達に注視されており、週末を控えた持ち高調整などの値動き影響も予想されている。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は141円2~6銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約1円74銭の大幅な円高ユーロ安であった。

原因は、欧米金融不安の後でもインフレ抑制優先姿勢で欧州中央銀行 (ECB) が大幅利上げを継続したことで、今日は金利上昇後の景気への影響などが懸念されており、金融不安の影響で銀行が企業などへの貸し渋りをするなどことへの景気警戒などで、金融系を含む欧州株価が今日の欧州市場で下落傾向を見せたことで、安全資産の欧州国債買いで欧州長期金利も低下して低リスク通貨の円が買われており、また米国発ではあるものの世界的に流動性の高いことでは安全資産でもあるドルが安値をつけたことで、買い戻される動きも出ていた。

そのため、ユーロドルも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0827~1.0829ドル付近で、昨日の17時の前東京終値比で約0.79セントのユーロ安ドル高になっていた。

昨夜の欧米市場時間には、欧州ユーロ圏のオランダ中央銀行のクノット総裁が、欧州中央銀行 (ECB) 理事会は5月にも追加利上げを行う必要があるかも知れないと発言し、一時はユーロが買われたものの、その後には、欧州金融不安の後でもインフレ抑制優先で利上げを継続する姿勢に、金利上昇による景気への影響の警戒が浮上していた。

今夜の欧州市場では、欧州ユーロ圏の最新経済指標の発表があり、速報値の17時15分のフランスの3月の仏製造業購買担当者景気指数 (PMI) は前回の47.4と市場予想の48.0に対し47.7であったが、3月の仏サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) は前回の53.1と市場予想の52.5に対し55.5であった。

17時半のドイツの3月の独製造業購買担当者景気指数 (PMI) は前回の46.3と市場予想の47.0に対し44.4に低下していたが、3月の独サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) は前回の50.9と市場予想の51.0に対し53.9であった。

18時の欧州ユーロ圏総合の3月の欧製造業購買担当者景気指数 (PMI) は前回の48.5と市場予想の49.0に対し47.1の市場予想以下であったが、3月の欧サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) は前回の52.7と市場予想の52.5に対し55.6と、欧州の製造業の弱さとサービス業の強さとが混在していた。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は159円83~89銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約89銭の円高ポンド安であった。

原因は、昨夜0.25%の利上げを継続した高インフレの英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE) の金利上昇後にも、欧州同様に景気警戒へのリスク回避で低リスク通貨の円が上昇した。

ただし、昨夜に発表された英国中央銀行イングランド銀行 (BoE) の金融政策委員会 (MPC) の議事要旨では、先日発表された10.4%の高インフレ率を受けて、持続的なインフレの兆しがあれば、「一段の利上げが必要になる」と強調されたことでは、利上げ長期化予想によるポンド買いも一時は起きていた。

今日は英国の最新経済指標の発表もあり、16時に発表された2月の英国小売売上高の前年前月比は前回の-5.1%と前回修正の-5.2%と市場予想の-4.7%に対し-3.5%で、自動車を除く2月の英国小売売上高の前月比は前回の0.4%と前回修正の0.9%と市場予想の0.1%に対し1.5%であった。

今夜18時半に発表された3月の英国製造業購買担当者景気指数 (PMI) の速報値は、前回の49.3と市場予想の49.8に対し48.0で、3月の英国サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) の速報値は前回の53.5と市場予想の53.0に対し52.8で、いずれも前回と市場予想以下であったことでは英国景気懸念が強まり、より大幅な円高ポンド安になっている。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2023年3月24日の日本時間(JST)20時37分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替時間 (GMT) 11時37分)付近の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:37の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 130.12 〜 130.14 −0.78 (円高)
ユーロ/円 139.77 〜 139.80 -2.99 (円高)
ユーロ/ドル 1.0740 〜 1.0742 -0.0166 (ドル高)
英ポンド/円 158.89 〜 158.95 -1.83 (円高)
スイスフラン/円 141.41 〜 141.47 -1.33 (円高)
豪ドル/円 86.36 〜 86.40 -1.10 (円高)


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