FXニュース:米FRBパウエル議長証言控え

2023年3月07日
FXニュース:米FRBパウエル議長証言控え

 

東西FXニュース – 2023年03月07日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米国長期金利回復時のドル買い
  • 米利上げ継続と長期化予想優勢
  • 日米イベント前の調整と様子見
  • 欧ECB高官達のタカ派発言継続

今日2023年3月7日火曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値136円18銭前後から高値135円66銭前後の値幅約52銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は135円74~76銭付近で、前日17時の前東京終値比で約7銭の小幅な円安ドル高であった。

今日の為替相場のドル円の値動き要因はまず、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場では、今夜この後の日本時間の深夜24時から米国連邦準備制度理事会 (FRB) のジェローム・パウエル議長の米国上院議会証言と明日の米国下院議会証言での発言を控えており、また今週は米国雇用統計の発表や日本銀行 (日銀 / BoJ) 金融政策決定会合も控えたイベント週であるために、米国利上げ長期化予想で一時低下した米長期金利が回復上昇を示した際などに、日米金利差拡大予想による円売りドル買いがあった影響などが見られた。

時間に沿ったマーケット・トレンドの動きでは、昨日の東西FXニュースでもお伝えした通り、昨夕の日本市場の後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では欧州経済指標を受けたリスク回避のユーロ売りドル買いでドル円は一時136円台に達したものの、欧州英国市場の後半から始まった昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場では、米国債買いの影響があり、債権価格が上昇する一方で利回りが低下し、米10年債利回りが指標となる米長期金利が一時3.89%台付近に低下したことを受け、深夜24時台のドル円は一時135円64銭付近に低下していた。

しかし、深夜24時頃に米国商務省が発表した最新米国経済指標の1月の米国製造業新規受注の前月比は、前回と市場予想の-1.8%に対し-1.6%とやや改善されており、これまでに発表された米国経済指標も堅調なデータが多かったことなどから、今夜と明日の夜の米国連邦準備制度理事会 (FRB) のパウエル議長の議会証言を控えた持ち高調整では、米国利上げ長期化予想により米長期金利が3.98%台付近に回復上昇を示したことで、再びドルが買われて今朝未明の4時前に円相場で一時136円9銭付近に上昇した。

また、この週明けの米国市場では、先週末に米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の米国サンフランシスコ連銀のデイリー総裁が、米国インフレの脅威への警告と、インフレ抑制のための米国政策金利の最終利上げ到達点であるターミナルレート (TR) が市場予想以上になる可能性や、利上げ後も長期に渡り高金利が維持される可能性について語ったことがニュースになっていた。市場予想では、今年に0.25%の利上げ継続があと3回ほど起きた後に、米国政策金利が秋頃までに5.44%のターミナルレート (TR) をつけるというものが現在優勢になってきていたところであった。

最近の米国インフレの根強さや堅調な米国経済指標を受けて、パウエル議長もタカ派の議会証言をする可能性への警戒感もあり、米長期金利の上昇時には米国ニューヨーク株式市場でも一時株価上昇後の金利上昇警戒の利益確定の株売りでの株価低下時には、安全資産のドルの買い戻しや米国債が買われる動きなどが見られた。

一方で、今週の日米イベントを控えたドル円の持ち高調整や、パウエル議長のタカ派発言の有無などの結果が分かるまでのイベントリスクによるドルの買い控えや様子見は、一時136円台の米国市場高値をつけた後のドルが135円台後半に押し戻される抵抗要因になった。

また、それまでの欧米の経済指標の違いでのユーロ売りドル買いの後に、欧州中央銀行 (ECB) 高官達の0.5%の大幅利上げ継続発言などを受けたユーロ買いドル売りが入ったことも、円相場でのドルの大幅上昇の抵抗要因として影響が波及していた。

そのため、今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、ドルの安値135円64銭前後から高値136円9銭前後の値動きをし、今朝7時頃のニューヨーク終値を135円93~94銭付近で、前日同時刻比で約7銭の小幅な円安ドル高であった。

今朝8時半には日本の最新経済指標が発表され、1月の毎月勤労統計調査の現金給与総額の前年同月比は前回の4.8%と前回修正の4.1%と市場予想の1.8%に対し、市場予想以下の0.8%の上昇率に留まった。続いて8時50分に発表された2月の日本の外貨準備高も、前回の1兆2502億ドルに対し、1兆2260億ドルに減少していた。

今朝9時から始まった今日の日本の東京外国為替市場でも、今夜のパウエル議長の発言イベントなどを控え、今朝の日本の経済指標が前回と市場予想以下であったことや、時間外の米長期金利が今朝も小幅上昇をしていたこともあり、日米金利差拡大予想による円売りドル買いが先行した。

今朝9時55分頃の日本市場の仲値決済でも、日本の貿易企業の輸入実需でのまとまった円売りドル買いの影響もあり、今朝10時過ぎに今日の日本市場の円の安値でドルの高値の136円18銭付近を記録した。

しかし、136円台のドルの市場高値からは、イベントリスク等による短期の利益確定売りと持ち高調整の安値の円買いや、国内輸出企業の円売りドル買いの抵抗が入り始め、135円台に戻していった。

日本市場では、今週10日の金曜日に予定されている日銀金融政策決定会合と、今回が最後と考えられている黒田東彦現総裁の会合後の発言内容への警戒もあり、持ち高調整後の様子見の動きも入り始め、昼過ぎから午後には横ばいに近い小幅な値動きも混ざった。

午後からの欧州英国市場の参入では、これまでに欧州中央銀行 (ECB) のラガルド総裁が0.5%の大幅利上げ継続発言をしたり、レーン専務理事兼チーフ・エコノミストも、「現在のデータでは、3月以降の欧州利上げ継続の長期化の可能性」を示唆したことや、オーストリア中銀のホルツマン総裁が、「今後4回のECB理事会で政策金利を0.5%ずつ利上げするべき」というタカ派の発言をしたニュースが相次いだことなどから、欧州大幅利上げ継続予想と長期化の可能性でユーロ買いドル売りがあり、円相場にもユーロ高とドル安として影響が波及したことで、日米金利差拡大予想による対ドルでの円安の抵抗要因になり、午後16時台に今日の日本市場での円の高値でドルの安値の一時135円66銭付近を記録した。

その後には、今夜のパウエル議長の発言などを控えた日米金利差拡大予想による円売りドル買いも入ったものの、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は135円74~76銭付近で、昨夜17時の前東京終値比では約7銭の小幅な円安ドル高になった。

今夜この後には、最新米国経済指標などの発表予定があり、日本時間の深夜24時に1月の米国卸売売上高、そして同じく今夜の24時から世界のFXトレーダー達が為替相場の値動き予想材料として注目する米国連邦準備制度理事会 (FRB) のパウエル議長の米国上院銀行委員会と米国上院議会証言があり、明日も米国下院議会証言での発言予定がある。27時には米国3年債入札予定と、29時に1月の米国消費者信用残高も発表される予定で、イベント時の値動きには注意が必要である。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は144円96~98銭付近で、昨夜17時の前東京終値比では約50銭の円安ユーロ高であった。

原因は、欧州中央銀行 (ECB) のラガルド総裁や高官達の0.5%の利上げ継続発言を受け、今日は欧州大幅利上げ継続と長期化予想が優勢で、日欧金利差拡大予想で円相場でもユーロが買われており、対ドルでもユーロが買われていた。

そのため、ユーロドルも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値1.0681~1.0682ドル付近で、昨夜17時の前東京終値比で約0.34セントのユーロ高ドル安になっていた。

今日の夕方16時には欧州ユーロ圏主要国のドイツの最新経済指標の発表があり、1月の独製造業新規受注は前年同月比で前回の-10.1%と前回修正の-9.9%と市場予想の-12.5%に対し-10.9%で、前月比では前回の3.2%と前回修正の3.4%と市場予想の-0.9%に対し1.0%と、前回よりは低下したものの市場予想ほどは悪化していなかったことも、欧州景気懸念による欧州利上げ抵抗要因がやや緩和され、今日のユーロ高の一因になっていた。

英国ポンドは、英国の欧州連合 (EU) 離脱後も経済的に近い欧州のユーロに連動した動きを見せることも多く、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は163円44~50銭付近で、昨夜17時の前東京終値比では約3銭の小幅な円安ポンド高であった。

今朝9時過ぎに発表された最新の英国経済指標の2月の英国小売連合 (BRC) 小売売上高調査の前年同月比は、前回の3.9%から4.9%に上昇したこともポンド買いの一因となったが、午後に高値圏になった英ポンド売りの円買いの持ち高調整では、今夜20時台の英国ロンドン外国為替市場では、前日比で小幅な円高ポンド安に市場反転もしている。

オーストラリアの豪ドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の豪ドル円相場の終値は91円1~5銭付近で、昨夜17時の前東京終値比では約45銭の円高豪ドル安であった。

今日の昼の12時半頃に、オーストラリアの中央銀行にあたる豪準備銀行 (RBA) が新政策金利を発表し、市場予想通りに0.25%の追加利上げ幅で、10会合連続の利上げで以前に3.35%だった豪州政策金利が3.60%に利上げされ、豪準備銀行 (RBA) のロウ総裁は、「高インフレが一時的なものかどうかを確認するためには、更なる金融引き締めが必要になる可能性」も示唆した一方で、声明文などではオーストラリアのインフレがピークアウトした可能性が高いことを示しており、市場ではハト派寄りとの受け止め方が強く、豪国債利回り低下による豪ドル売りが入ったことでは、結果的に前日比で円高豪ドル安になった。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2023年3月7日の日本時間(JST)20時22分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替時間 (GMT) 11時22分)付近の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:22の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 135.90 〜 135.91 +0.23 (円安)
ユーロ/円 144.96 〜 144.97 +0.50 (円安)
ユーロ/ドル 1.0665 〜 1.0667 +0.0018 (ドル安)
英ポンド/円 163.23 〜 163.29 -0.18 (円高)
スイスフラン/円 145.72 〜 145.78 -0.15 (円高)
豪ドル/円 90.73 〜 90.77 -0.73 (円高)


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