FXニュース:米国長期金利上昇を受け日米金利差拡大

2023年1月31日
FXニュース:米国長期金利上昇を受け日米金利差拡大

 

東西FXニュース – 2023年01月31日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 今夜から米連邦公開市場委員会 (FOMC)
  • 鈴木財務相が共同声明の見直し時期尚早
  • 日銀が金利抑制の共通担保オペを再実施
  • 欧州と英国の利上げ継続予想と抵抗要因

今日2023年1月31日火曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時までの外為取引時間のドル円相場の為替レートは、円の安値130円53銭前後から高値130円4銭前後の値幅約49銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は130円12~14銭付近で、前日17時の前東京終値比で約53銭の円安ドル高であった。

今日の値動きの原因はまず、今夜から明日に開催される米国連邦準備制度理事会 (FRB) の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の米国新政策金利発表を控えた持ち高調整や月末を前にしたポジション調整が続く中で、昨夜の欧州英国市場や米国ニューヨーク債権市場でイベント前のポジション調整の米国債売りがあり、米10年債の利回りが指標となる米長期金利が上昇したことを受けて、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場では日米金利差拡大時の円売りドル買いが起きた影響があった。

今週は米国現地時間で今夜から2月1日(日本時間では時差で2日未明)にかけて新政策金利を決定する米国に続いて、2月2日には欧州中央銀行 (ECB) や英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE) の英国金融政策委員会 (MPC) なども新政策金利発表イベントを予定しており、イベント前の持ち高調整や様子見の買い控えなども混ざっていた。

また、昨夜の欧州市場でも、スペインの1月の消費者物価指数 (CPI) の発表を受けて欧州中央銀行 (ECB) の大幅利上げ継続予想が強まったことで欧長期金利が上昇した影響などでも、債権市場で米長期金利が上昇しており、日米欧の金利差による円売りも影響していた。

市場トレンドの動向の解説では、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場では、前述の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の米国新政策金利発表のイベント前の米国債ポジション調整売りによる米長期金利上昇に伴い、日米金利差拡大時の円売りドル買いが優勢になっていた。

また、前日までに米経済紙のウォール・ストリート・ジャーナル (WSJ) が「米国連邦準備理事会 (FRB) 当局者は労働市場が非常に逼迫しているため、インフレ抑制のディスインフレが短命に終わるのではないかという懸念を表明しており、賃金上昇や低失業率がインフレを再助長させるのかどうかを議論している」と云う内容の、タカ派寄りの記事を掲載していたことも一因となり、今回の米利上げ幅は0.25%に減速予想が優勢ではあるものの、米利上げ継続の可能性もあることなどから米長期金利が上昇していた。

米連邦公開市場委員会 (FOMC) の新政策金利発表イベントでは、米国連邦準備理事会 (FRB) のパウエル議長の委員会後の記者会見での発言なども、今後の見通しを予想する上で注目されいる。そのため、持ち高調整の一方で、イベントリスクによる結果が分かるまでの様子見や買い控えなどの値動きも混ざったために、大幅な円安にまでは傾かなかったものの、一時130円56銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録していた。今週は米国雇用統計などの注目度の高い米国重要経済指標の発表なども控えており、欧州中央銀行 (ECB) 理事会などもあるイベント週でもある。

そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場は円の高値129円97銭前後から安値130円56銭前後の値幅約59銭で、今朝のニューヨーク終値を130円40~50銭付近の前営業日比で約65銭の円安ドル高でつけていた。

今日の日本の東京外国為替市場の開始前の8時半には、日本の最新経済指標の発表があり、先月12月の日本の失業率は前回と市場予想通りの2.5%の横ばいで完全雇用に近い低失業率が続き、有効求人倍率は前回の1.35と市場予想の1.36に対し1.35で、日本の堅調な雇用市場が伺えた。

8時50分に発表された先月12月の日本の鉱工業生産の速報値は、前月比が前回の0.2%と市場予想の-1.2%に対して-0.1%で、前年同月比も前回の-0.9%と市場予想の-3.6%に対し-2.8%で、前回よりは低下したが、市場予想ほどは悪化しなかった。

同時発表だった日本の12月の小売業販売額の前年同月比も、前回の2.6%と前回修正の2.5%と市場予想の3.0%に対して3.8%に上昇し、百貨店・スーパー販売額(既存店)の前年同月比も前回の2.4%に対して3.6%に上昇したことでは、早朝には日本の景気好感による低リスク通貨の円買いの円安抵抗も入った。

今日の日本の東京外国為替市場は、今朝9時頃に今日の日本市場の円の安値でドルの高値の130円53銭付近から始まったが、日本景気好感時の低リスク通貨の円買いとイベント前のドルの持ち高調整や利益確定売りなどで円相場が下げ幅を縮め、今朝10時前の仲値決済に向けても月末の輸入企業の円買いドル売りなども入り、11時台には一時130円6銭付近になった。

ただし、そこからは再び、今朝までの米国トレンドを継承した米長期金利上昇を受けた日米金利差拡大による円売りドル買いが始まり、昼過ぎまで続いた。

その一因には、今日のニュースでは日本政府の閣議後の記者会見で、鈴木俊一財務相が日本政府と日本銀行 (日銀 / BoJ) の共同声明の見直しに関して、「新しい日銀総裁が決まっていない現時点で言及するのは、時期尚早」と発言しており、今夜からの米国連邦公開市場委員会 (FOMC) で市場予想通りに米国連邦準備制度理事会 (FRB) が0.25%に米利上げ幅減速をするとしても、日本政府と日銀が現状の金利抑制姿勢を続ける限りは日米金利差拡大予想も継続していたことが挙げられる。

また、今日も日本銀行 (日銀 / BoJ) が、公開市場操作の「共通担保資金供給オペレーション」 (共通担保オペ) の5年物を再び実施したことで、金利抑制姿勢が観測されていた。今回の応札倍率は3.26倍で、前回の3.13倍から上昇し、規模も拡大していた。

ただし、午後になり、欧州英国市場が参入すると、再びイベントリスクによるドル売りに転じ円は今朝までの下げ幅を再び縮め、16時台に今日の日本市場での円の高値でドルの安値の一時130円4銭付近を記録した。

しかし、前東京終値は129円台後半であったことや、欧州英国市場の朝のドル売り参入の一巡後には、再び日米金利差拡大などによりドルが円相場で上昇トレンドに転じたこともあり、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は130円12~14銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約53銭の円安ドル高になった。

今夜から始まる米国連邦公開市場委員会 (FOMC) は世界に注目されているが、今夜は最新の米国経済指標の発表予定もあり、日本時間のスケジュールは22時半に前年10~12月期四半期の米国雇用コスト指数、23時に前年11月の米国住宅価格指数とケース・シラー米国住宅価格指数、23時45分に1月の米国シカゴ購買部協会景気指数、24時に1月の米国消費者信頼感指数などが、FXトレーダー達に値動き予想材料として注視されている。

米国ニューヨーク株式市場でも、主要企業の決算発表シーズンが継続しており、今週は2月1日にフェイスブックのメタ、翌2日にアップル、アマゾン、グーグルのアルファベット等の大手決算発表があり、ピークシーズンを迎えることにも注意が必要である。なぜなら、株高時や株安時のリスクオンやリスクオフは、時として安全資産の米国債やドルや低リスク通貨の為替相場の値動きに影響を与える場合があるためである。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は141円8~11銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約29銭の円安ユーロ高であった。

主な要因は、今週木曜日の2月2日に欧州中央銀行 (ECB) 理事会の新政策金利決定イベントが予定されており、欧州中央銀行 (ECB) の大幅利上げ継続予想で欧州長期金利が上昇した影響が、日欧金利差拡大としても出ていた。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0841~1.0843ドル付近で、昨夜17時の前東京終値比で約0.22セントのユーロ安ドル高であった。

昨夜の欧州英国市場と今朝までの米国ニューヨーク市場では、先述のスペインの1月の消費者物価指数 (CPI) の前年同月比の上昇率が増え、欧州インフレ抑制のために欧州中央銀行 (ECB) 理事会の大幅利上げ継続予想で欧州長期金利が上昇時のユーロ買いが先行したが、米長期金利も上昇したために、欧米のイベント前の持ち高調整で利益確定のユーロ売りとドル買いが優勢になり、月末の輸出入実需でも世界的に流動性の高いドル買い需要の方が高く、ユーロ安ドル高に転じた。

なお、今日の午後15時半には欧州ユーロ圏のフランスの前年10~12月期の仏国内総生産 (GDP) の速報値が発表され、前期比で前回の0.2%と市場予想の0.0%に対し0.1%で、市場予想ほどは悪化していなかったが、12月仏消費支出の前月比は前回の0.5%と市場予想の0.2%に対し-1.3%で、インフレによる買い控えなどが観測されていた。

16時の欧州ユーロ圏ドイツの前年12月の独輸入物価指数も前回よりは低下したが、市場予想ほどの低下率ではなく、小売売上高は前回と市場予想以上に低下していたことでは、欧州利上げによる景気懸念にやや影響を与えていた。

16時45分にはフランスの1月の仏消費者物価指数 (CPI) の速報値が発表され、前月比は前回の-0.1%と市場予想の0.5%に対し0.4%であったが、前年同月比では前回の5.9%と市場予想の6.1%に対して6.0%であった。先月12月の仏卸売物価指数 (PPI) の前月比は前回の1.2%と前回修正の0.7%に対して1.4%に上昇していた。

17時55分に発表の1月のドイツの失業率は前回と市場予想通りの横ばいの5.5%であったが、失業者数の前月比では前回の-1.30万人と市場予想の0.50万人に対して-1.50万人に改善されていた。

今夜19時には欧州ユーロ圏総合の前年10~12月期四半期の欧州ユーロ圏域内総生産 (GDP) の速報値が発表され、前年同期比は前回の2.3%と市場予想の1.8%に対して1.9%で、前期比でも前回の0.3%と市場予想の-0.1%に対して0.1%で、前回よりは低下したものの市場予想ほどの悪化ではなかった。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は160円69~75銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約37銭の円高ポンド安であった。

今週の2月2日には英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE) の英国金融政策委員会 (MPC) も新政策金利発表イベントを予定しており、イベントリスクがある。インフレ抑止のための英国利上げ継続予想のある一方で、利上げ抵抗要因である英国景気懸念も根強い。

今夜18時半には英国の最新経済指標の先月12月の英国消費者信用残高が発表され、前回の15億ポンドと市場予想の10億ポンドに対し5億ポンドに低下していた。

同月の英国のマネーサプライM4は、前月比は前回の-1.6%に対して-0.8%で、前年同月比は前回の2.5%に対して1.6%であった。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2023年1月31日の日本時間(JST)20時32分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替時間 (GMT) 11時32分)付近の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:32の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 130.45 〜 130.46 +0.86 (円安)
ユーロ/円 141.23 〜 141.24 +0.44 (円安)
ユーロ/ドル 1.0825 〜 1.0827 -0.0038 (ドル高)
英ポンド/円 160.61 〜 160.67 -0.45 (円高)
スイスフラン/円 140.48 〜 140.54 -0.48 (円高)
豪ドル/円 91.10 〜 91.14 -0.99 (円高)


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