FXニュース:米インフレ鈍化と日銀修正予想で円急騰

2023年1月13日
FXニュース:米インフレ鈍化と日銀修正予想で円急騰

 

東西FXニュース – 2023年01月13日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米消費者物価指数 (CPI) 低下を受けたドル売り
  • 米利上げ長期化予想減退の日米欧英金利差縮小
  • 日本の長期金利が日銀許容上限の±0.5%超え

今日2023年1月13日金曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時までの外為取引時間のドル円相場の為替レートは、円の安値129円43銭前後から高値128円25銭前後の値幅約1円18銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は128円37~39銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約3円23銭の大幅な円高ドル安であった。

今日の値動きの主な原因は、前回までの東西FXニュースで予告していた注目の最新の米国重要経済指標の米国消費者物価指数 (CPI) が昨夜発表され、米国インフレ鈍化を受けた米利上げ鈍化予想によるドル売りが強まり、前日の日銀金融政策緩和予想も相まって円安要因だった日米金利差拡大予想も減退し、米長期金利が一時3.4%台に低下したことで日米金利差縮小予想による円買いドル売りが増えて、円相場でドルが下落した影響が最も大きい。

市場トレンドの動きとしては、まず日本時間の昨夜22時半に発表された注目の最新の先月分の米国消費者物価指数 (CPI) の前月比が、前回の0.1%と市場予想の0.0%に対して-0.1%と、市場予想を超える米国物価インフレ上昇率の低下を示したことで、米国連邦準備制度理事会 (FRB) のインフレ抑制のための米利上げ長期化予想が後退し、次回の米利上げ幅の縮小や鈍化予想が優勢になり、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場では日米金利差縮小予想による円買いドル売りが起きて、円相場が大幅に上昇した。

米国消費者物価指数 (CPI) は前年同月比でも前回の7.1%に対して市場予想通りの6.5%に低下しており、米国消費者物価指数 (CPI) のエネルギーと食品を除くコア指数も、前月比は前回の0.2%に対して市場予想通りの0.3%であったが、前年前月比では前回の6.0%から市場予想通りの5.7%に低下していたことで、米インフレ鈍化による米利上げ減速予想が優勢になり、米長期金利が低下し、日米金利差縮小予想による円買いドル売りが強まった。

ただし、同時発表だった前週分の米国失業保険継続受給者数は前回の169.4万人と前回修正の169.7万人と市場予想の170.5万人に対して163.4万人に改善し、米国新規失業保険申請件数も前回の20.4万件と前回修正の20.6万件と市場予想の21.5万件に対して20.5万件と、いずれも市場予想より良かったことでは米国景気好感のドル買いの抵抗も混じったため、円相場のドルは一時急落というよりは段階的に下げていく形になった。

28時に発表された米国の先月分の月次財政収支も、前回の-2485億ドルと市場予想の-700億ドルに対して-850億ドルであった。

ただし、米国消費者物価指数 (CPI) 発表後の余波もあり、米国連邦準備制度理事会 (FRB) 関係者の米フィラデルフィア連銀のハーカー総裁が、このまま米国のインフレ緩和が続けば、今年の米利上げはあと数回で終わる可能性があることなど、米利上げ鈍化予想を後押しする様な発言をしたことでもドル売りトレンドが継続した。

そのため、今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場では、日本時間の今朝未明3時頃にドル円は一時128円85銭付近のおよそ7カ月ぶりの円高ドル安を記録した。

また、今朝7時頃のニューヨーク終値は129円25~35銭付近で、前日同時刻の前ニューヨーク終値比で約3円20銭の大幅な円高ドル安であった。

今朝8時50分には日本の最新経済指標が発表され、先月分のマネーストックM2の前年同月比は前回の3.1%に対して2.9%であった。前週分の対外対内証券売買契約等の状況の対外中長期債は、前回の-918億円に対して5668億円であった。同対外対内証券売買契約等の状況の対内株式も、前回の-2651億円と前回修正の-2657億円に対して1319億円と、大幅黒字に転換したことも、日本の景気好感による今朝の円買いドル売りの一因となった。

米国市場トレンドを受け継いで始まった今日の日本の東京外国為替市場でも、今朝9時には米国トレンドを受け継いだ日米金利差縮小予想による円買いドル売りが先行し、ドル円は9時過ぎに再び128円80銭付近になり、ドルは今朝までのニューヨーク安値を今日の日本市場で更新した。

ただし、今朝9時55分頃の仲値決済に向けては、今月15日は日曜のため、今日が実質的な日本の貿易企業の決済日が集中しやすい「5と10がつく日の五十(ゴトー)日」に相当するため、128円台になったドルには日本企業の輸入実需や輸入準備資金の円売りドル買い注文が入りやすくなり、10時頃には一時129円台に戻したが、続いては輸出企業の円買いドル売り注文も入ったため、再び128円台後半から129円台前半付近で売買が交錯した。

午後からの欧州英国市場の参入では、米国消費者物価指数 (CPI) 発表後の米国インフレ沈静化観測から、米国連邦準備制度理事会 (FRB) が米利上げペースを減速させる市場予想が強まっており、円買いドル売りが再開した。

また、来週の日銀金融政策会合を控え、円安要因だった金利抑制の日銀の大規模緩和金融政策のイールドカーブ・コントロール (YCC) などの再修正予想も昨日の新聞報道以来は海外でも意識され、今日は日本の長期金利が日銀の±0.5%の変動許容上限を実際に大きく超えて上昇したこともあり、日米金利差縮小予想による円買いドル売りが、欧州英国市場参入の午後から再び強まり、17時前には一時128円25銭付近に円高ドル安が進行した。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は128円37~39銭付近で、昨夜17時の前東京終値比では約3円23銭の大幅な円高ドル安になった。

今夜この後の英国ロンドン外国為替市場でも、17時台後半には一時128銭11銭付近にさらに円安ドル高が進んだが、そこからは基軸通貨のドルには反発も観測されている。

今夜この後にも、最新の米国経済指標の発表予定があり、日本時間の22時半に先月分の米国輸入物価指数と、深夜24時には1月の米ミシガン大学消費者態度指数も発表される予定である。

米国連邦準備制度理事会 (FRB) 関係者達の発言予定もあり、23時15分から米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁、深夜24時からは米ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁、24時20分からは米フィラデルフィア連銀のハーカー総裁の発言も予定されている。

また、日米首脳会議や、米国の株式市場で決算シーズンであること、来週の日銀イベントなどもFX市場では意識されている。

欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は139円24~26銭付近で、昨夜17時の前東京終値比では約2円39銭の大幅な円高ユーロ安であった。基軸通貨のドルの対する大幅な円高がユーロなどの他の主要通貨にも波及し、全面的な一時円高になっていた。

ユーロドルも、17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0850~1.0851ドル付近で、昨夜17時の前東京終値比では約0.88セントのユーロ高ドル安であった。

原因は、米インフレ鈍化による米利上げ減速予想などにより、欧米金利差縮小予想のユーロ買いドル売りも起きていた。

欧州中央銀行 (ECB) が昨日発表した先々月分の欧州ユーロ圏の消費者予想調査では、1年先と3年先の期待インフレ率も前月より低下しており、欧米の株式市場では金利上昇への警戒感の緩和などにより、欧米株高時のリスクオンのユーロ買いドル売りも影響していた。

今夕に発表された欧州ユーロ圏の経済指標では一部の景気好感もあったものの、フランスの先月の仏消費者物価指数 (CPI) の改定値は、まだ横ばいで低下していなかったことから、欧州では利上げ継続予想が出ており、米国に利上げ鈍化予想との違いで、ユーロ買いドル売りがあった。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は156円78~84銭付近で、昨夜17時の前東京終値比では約1円7銭の円高ポンド安であった。

今日は円がドルやユーロなどの主要通貨に対して全面高になっていたために、英ポンドに対しても円高が波及していたが、今日の午後16時には英国の最新重要経済指標の前年11月分の英国月次国内総生産(GDP) が発表され、前月の0.5%と市場予想の-0.2%に対して0.1%で、市場予想ほどは悪化していなかったことでは英ポンドが買われる抵抗もあった。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2023年1月13日の日本時間(JST)20時43分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替時間 (GMT) 11時43分)付近の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:43の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 128.62 〜 128.63 -2.98 (円高)
ユーロ/円 139.06 〜 139.07 -2.57 (円高)
ユーロ/ドル 1.0811 〜 1.0812 +0.0049 (ドル安)
英ポンド/円 156.74 〜 156.80 -1.11 (円高)
スイスフラン/円 138.34 〜 138.40 -0.91 (円高)
豪ドル/円 89.42 〜 89.46 -0.62 (円高)


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