FXニュース:最新米経済指標の購買担当者景気指数(PMI)悪化でリスク回避市場に

2022年7月25日
FXニュース:最新米経済指標の購買担当者景気指数(PMI)悪化でリスク回避市場に

 

東西FXニュース – 2022年7月25日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米景気後退懸念の株安時の国債買いで米長期金利低下のドル売り円買いが
  • 株安時の円買いと米連邦公開市場委員会(FOMC)前の持ち高調整も
  • ECBのカザークス・ラトビア中銀総裁が「弱すぎるユーロ」発言
  • ロシアのノルドストリーム経由で欧州ガス供給発言ではユーロ買いも

今日2022年7月25日月曜日の東京外国為替市場のFXの対ドル円相場の為替レートは、9時から17時の東京外為取引時間の円の安値が136円62銭前後から高値135円89銭前後の値動き幅約73銭で、17時の今日の東京外国為替市場の終値は136円37〜38銭前後で、前営業日の前東京終値比では約1円21銭の円高ドル安であった。

原因は、先週末の東西FXニュースでも今週の値動きに影響があると予想していた通り、金曜の夜の米国ニューヨーク市場で発表された米最新経済指標の7月の製造業とサービス部門と総合の米購買担当者景気指数(PMI)低下の発表を受けて、リスク回避の米国債買いで米長期金利が低下し、ドル売りと低リスク通貨の円買いが優勢になった影響が出た。

先週末の米国ニューヨーク市場で発表された7月の米購買担当者景気指数(PMI)の速報値は、米インフレの影響で製造業とサービス部門ともに悪化していたことに加えて、総合も好景気と不景気の境界線と言われる50以下の47.5に低下しており、およそ2年2カ月ぶりの低水準を記録した。

最新の米経済指標の悪化を受けて米景気懸念が強まり、リセッション(景気後退)への警戒感から、米国株式市場では米株価が下落し、リスク回避の米国債買いで米長期金利も一時2.73%に低下したため、為替へのリスク回避で日米金利差縮小時のドル売りと低リスク通貨の円買いが起きた。

それ以前に欧州のPMIの低下も発表されていたことから、発表のあった米国市場前半は欧州英国市場後半でもあったために、欧米共に最新のPMIが低下していたことを受けて、低リスク通貨の円買いが強まった。

そのため、円は一時135円58銭の約2週ぶりの高値を記録し、136円0~10銭の前日比で約1円30銭の大幅な円高ドル安で前週末のニューヨーク外国為替市場の終値をつけていた。

そのトレンドを受けて始まった今日の日本の東京外国為替市場でも、今日の米長期金利低下時のドル売りの円買いの影響は見られたが、今朝10時前の仲値決済では、今日は25日で日本の貿易企業の決済日が集中しやすい5と10のつく日の五十日(ごとおび)で、月末も近いために、輸入企業の実需のまとまった円売りのドル買いで、10時前には一時136円62銭付近にドルが買われ、前日比で円高ドル安のトレンドの中でも今日の円の安値を一時記録した。

しかし、今月は今日が月末前の最終の五十日決済集中日にあたるため、輸入企業の実需のドル買い円売りの後には輸出企業のドル売り円買いの反発が起き、また今日は前述の世界市場からの米景気懸念や米長期金利低下時のドル売り円買い要因も続いていたために、11時過ぎには135円89銭付近の今日の円の高値を記録した。

米景気後退懸念の米株価下落の影響もあり、今日は日経平均株価も下落しており、午後15時台に27,699円25銭の前営業日比で215円41銭減の大引けをしたために、日本の株安時の為替でのリスク回避の低リスク通貨の円買いもあった。

米経済指標での米景気減速懸念に加えて、今週の26日から27日には米連邦準備理事会(FRB)の米連邦公開市場委員会(FOMC)のイベント前で、午後には欧州英国市場の参入もあり、持ち高調整も進んで行き、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は136円37~38銭で、同時刻の前営業日比で約1円21銭の円高ドル安であった。

ただし、日本市場では輸入企業の実需の影響もあり、先週末の米国ニューヨーク市場の終値からは9銭ほど、ドルは下げ幅を縮めていた。

ユーロ対円も、先週末の欧州ユーロ圏の最新経済指標の7月の購買担当者景気指数(PMI)の速報値が米国同様に50以下で、約1年5カ月ぶりと言われる低水準であったことで欧州景気懸念も強まっていたことから、ユーロ売りでも低リスク通貨の円が買われていた。また、前述の米PMI悪化での米景気懸念の対ドルの低リスク通貨の円買いの影響などもあり、今夜17時の今日の東京外国市場の終値は138円89~95銭で、前営業日比で約59銭の円高ユーロ安であった。ユーロ対ドルも、ドル売り影響の波及などで、今夜17時の東京終値は1.0185~1.0187ドルで、前営業日比で約0.47セントのドル安ユーロ高であった。

ただし、先週末の欧州市場や米国市場では、欧米PMIの速報値の悪化から景気後退懸念が強まったドル売りやユーロ売りで低リスク通貨が買われた影響がユーロに対してもより大きく、先週末のニューヨーク終値のユーロ対円は138円85~95銭で、前日比で約1円55銭のより大幅な円高ユーロ安だった。

しかし、今日の日本市場の午後に時差で朝の欧州英国市場では、欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのカザークス・ラトビア中銀総裁が、「ECBの大幅な利上げは終わりではないかもしれない」として、「弱すぎるユーロは問題」と発言をしたニュースが話題になり、ユーロが一時は今日の高値の139円42銭付近に買われた時間があり、ユーロは下げ幅を縮めた。

今日の17時に発表された欧州ユーロ圏のドイツの経済指標の7月のIfo(Institute for Economic Research=経済研究所)企業景況感指数は、前回改定値の92.2と市場予想の90.2以下の、88.6の悪い結果であったことでは、再びユーロ売りの低リスク通貨の円買いがあった。

ただし、今夜その後の欧州市場では、18時頃にロシア大統領府の報道官が、「ロシアは欧州向けガス供給の遮断に関心はない。ロシアはノルドストリーム1経由で可能な限りのガスを欧州に供給する」との発表があったことから、欧州エネルギー問題での景気懸念が後退してユーロ買いが起き、19時頃までには市場反転で対円でも対ドルでも一時は前営業日比でユーロ高になった。しかし、低リスク通貨の円に対しては、円が買われる機会もあり、19時過ぎには前営業日比でレンジ付近の値動きもしており、僅差でユーロ安に戻していた。

英ポンドは、17時の今日の東京終値は163円41〜47銭で、前営業日の同時刻比で約13銭の円安ポンド高であった。先週末の英国ロンドン市場では、米景気懸念のリスク回避のドル売りで、低リスク通貨の円の他にも英ポンドが買われる機会があった。また、今日の午後のカザークス・ラトビア中銀総裁の発言や、今夜の欧州市場でユーロが買われた際に、欧州通貨につられる形で元欧州の英ポンドも上昇した影響が見られた。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年7月25日の日本時間(JST)19時20分(英国夏時間(GMT+1)11時20分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:20の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 136.32 〜 136.33 -1.26(円高)
ユーロ/円 139.47 〜 139.48 -0.01(円高)
ユーロ/ドル 1.0230 〜 1.0232 +0.0092(ドル安)
英ポンド/円 164.11 〜 164.17 +0.83(円安)
スイスフラン/円 141.57 〜 141.63 +0.06(円安)
豪ドル/円 94.80 〜 94.84 +0.61(円安)


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