FXニュース:原油と米長期金利上昇
2026年8月11日
東西FXニュース – 2026年08月11日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 中東情勢の警戒感続く
- 日銀観測報道利上げ圧
- 米トランプ大統領発言
- 米FRB高官タカ派発言
- 米主要株価三指数反落
- 豪RBA政策金利を維持
- 今週の米CPIとPPI控え
今日2026年8月11日火曜日の日本東京外国為替市場は「山の日」の祝日休場であったが、世界FX市場の今朝9時から今夜17時までの日本市場相当時間の対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の高値でドルの安値の158円92銭付近から、円の安値でドルの高値の159円38銭付近の値幅約46銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場終値相当時間の対ドル円相場は159円36銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の158円49銭付近の前東京終値比で約87銭の円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と市場時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、中東情勢の影響が続き、前日にイラン・イスラム革命防衛隊 (IRGC / Islamic Revolutionary Guard Corps: IRGC) が、「米国がイラン制裁を解除し、戦争賠償金を支払うまではホルムズ海峡は閉鎖されたままだ」という声明を出していたことやホルムズ海峡や紅海周辺での攻撃などのニュースに続き、昨日にイラン・イスラム共和国外務省報道官も、「ホルムズ海峡再開には、米国の封鎖解除と補償が必要」と発言していたため、世界的なエネルギー供給懸念と警戒感が高まり、コモディティ (Commodity / 商品先物) 市場で昨夜17時の東京終値時には一時1バレル78ドル台だった米国WTI (West Texas Intermediate / ウエスト・テキサス・インターミディエート) 原油先物価格が昨夜17時台後半から一時1バレル79ドル台に上昇したほか、エネルギー・インフレ圧に連れて昨夜17時頃には一時4.653%付近だった米国10年債券利回りが指標となる米国長期金利も昨夜19時前に一時4.660%付近に上昇したため、世界的に流動性が高い基軸通貨で原油などのコモディティの主要取引通貨のドルが円相場で債券利回りの金利差トレードでも買われ、昨夜19時7分頃のドルは円相場で一時158円89銭付近に上昇していた。
時間外の米国債券取引では米国長期金利は昨夜20時台には一時4.672%付近と更に上昇していたが、米国市場に向けた買い戻しも混ざったことでは、昨夜21時前に一時4.667%付近に上昇幅を縮小していたため、外貨影響の波及などもあってドルも円相場で上昇幅を縮小し、欧州市場と英国ロンドン外国為替市場の後半にあたる昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場の始値は一時158円82銭付近であった。
米国市場が始まると、この時間は時差遅れの米国現地時間では週明けの朝のニュース時間にあたるため、昨日早朝に公表されていた日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の前回7月30〜31日開催分の日銀金融政策決定会合の「主な意見」に、「待つことのリスクが小さいとは言えず、金融緩和度合いの調整をペースアップする必要がある」などのタカ派発言が出ていたことに加えて、昨夜21時5分頃に共同通信が、「日銀の9月利上げ示唆で介入。米国、植田総裁発言を評価」と報じた観測報道が話題になり、先日の日米協調介入の実施について、「異例の28年ぶりの円買い協調介入は、日銀の植田和男総裁が、『必要であれば利上げペースを速める』と発言し、9月以降の早期に政策金利を引き上げると強く示唆したことが決め手」、と指摘され、「米国側はこれを評価し、円安阻止に向け足並みを揃えた」、「利上げの遅れが過度な円安を招き、更なる物価高と長期金利の上昇が世界金融市場に波及することを米国が懸念」との観測があったほか、「政府関係者が明らかにした」として、「ある高官は、『植田氏発言は米国側に高く売れた。一方で、日銀は利上げの選択肢以外は取れなくなった』と述べた」ことや、「日米財務相が昨年9月に為替介入に関する共同声明を公表後、米国は日本政府に対し日銀に利上げを促すよう水面下で要請」と指摘し、ドナルド・トランプ政権が今秋の米国中間選挙を控えて「神経を尖らせた」ことからスコット・ベッセント米国財務長官は、「日本の長期金利上昇につられて米国長期金利も上がれば、米国経済を冷やしかねないと危惧」とも伝わり、日銀早期利上げ予想が意識され、昨夜21時7分頃の対ドルの円相場は一時158円42銭付近に急伸し、同米国市場における円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、これに先立ち、朝日新聞が日本政府の高市早苗首相が消費税減税を巡り、「財務省を『抵抗勢力』と認識」と報じていたことなどもあり、次回9月の日銀金融政策決定会合における早期日銀利上げ予想値も市場で確定値と考えられている70%以下に留まり、様子見でその先の10月会合なども有力視されるなどの不透明感があった一方で、中東情勢の長期化警戒による世界的なエネルギー・インフレ圧の影響により、今年年内の欧米利上げ予想も優勢で、今週は明日8月12日水曜日の夜の最新米国重要インフレ指標の7月米国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) や翌木曜日の夜に7月米国卸売 (生産者) 物価指数 (PPI / Producer Price Index) などの発表を控えているため、様子見と持ち高調整の一方で市場予想の影響などによるドル買いが入り、中東情勢の地政学リスク警戒で米国WTI原油先物価格が昨夜22時台の一時1バレル80ドル台に向けて上昇し、連れて米国長期金利も昨夜22時53分頃の一時4.695%付近に向けて上昇し、「有事のドル買い」と共に日本の積極財政警戒の高市トレードの円売りも入りやすかったことではドルは円相場で反発上昇し、昨夜22時49分頃からドルは円相場で159円台に乗せ始めていた。
また、先述の日米協調介入についての観測報道の内容に対して、アメリカ合衆国国家経済会議 (NEC / National Economic Council) のケビン・ハセット委員長は、「円相場に関しては、スコット・ベッセント米国財務長官の管轄で、ノーコメント」と発言しており、肯定も否定もしなかったことなどから、中東情勢の影響などによりドルの買い戻しが進むなかでは日銀利上げ予想による円買いは外貨影響の波及などもあって一時的な市場反応に留まっていた。
米国政府のドナルド・トランプ大統領が、「イランが米国とイスラエルによる攻撃の損害賠償を求めていると聞いた」と対抗し、自身と米国側も、「イランが殺害し、重傷を負わせた全ての人々に対する賠償を要求する」と表明したため、イラン側が米国との和平交渉に否定的であったことなどもあって市場では中東情勢の交渉期待感が後退し、米国WTI原油先物価格は深夜24時台には一時1バレル81ドル台に上昇し、午前3時台には一時1バレル82ドル台と上昇を続けたため、原油高に連れやすい米国長期金利も深夜24時46分頃に一時4.700%付近と4.7%台に上昇したほか、午前5時57分頃の一時4.711%付近に向けて続伸していたため、原油や金利に連れやすいドルも円相場で連れ高になり、午前3時51分頃に一時159円36.5銭付近に上昇したほか、午前4時40分頃にも一時159円36.6銭付近と約159円37銭に上昇し、同米国市場における円の安値でドルの高値を記録した。
この米国長期金利上昇の背景には次回9月の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官の発言の影響などもあり、米国クリーブランド連邦準備銀行 (連銀) のベス・ハマック総裁が米国ヤフー (Yahoo!) ファイナンスのインタビューで、米国インフレを2%の目標に向けるために、「おそらく、『ある程度の回数』の米国利上げが必要になるだろう」と、複数回の米国追加利上げの可能性を示唆したほか、現行の米国政策金利の水準は、「インフレを十分に抑制していないため」、「今こそ行動を開始すべき時」と、早期米国利上げを示唆するタカ派発言をしたことが市場で話題になり、米国金利先物市場の動向から米国政策金利の市場予想値を算出することで有名な米国フェドウオッチ (FedWatch) ツールでは、先週の7月米国雇用統計の発表後に一時後退していた次回9月の早期米国利上げ予想値が、今日の時点の一時50%台に向けて再上昇した。
一方、中東情勢長期化懸念の原油高や金利警戒感が意識された米国ニューヨーク株式市場では、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株 (DJIA / Dow Jones Industrial Average) と米国S&P500種株価指数 (S&P500 / Standard and Poor’s 500 index) と米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ / National Association of Securities Dealers Automated Quotations Composite) が反落し、三指数揃っての安値引けの終値をつけたことでは、安全資産としての米国債の買い戻しなどの抵抗も混ざったことでは、市場高値後のドルは円相場で上昇幅をやや縮小したが、株引け後の抵抗の弱まりもあり米国長期金利が更に上昇したこともあり、ドルは円相場で前ニューヨーク終値比の大幅な円安ドル高のニューヨーク終値に向けていた。
このため、昨夜21時頃から今朝6時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場の値動きは、円の高値でドルの安値の158円42銭付近から、円の安値でドルの高値の159円37銭付近の値幅約95銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は159円29銭付近と、前営業日同時刻の157円76銭付近の前ニューヨーク終値比で約1円53銭の大幅な円安ドル高をつけた。
今朝早朝のオセアニア市場では、今朝7時から時間外取引が再開した米国WTI原油先物価格が一時1バレル82ドル台で高止まりしていた影響などもあり、今朝7時12分と16分頃のドルは円相場で一時159円31銭付近に買われていた。
今朝9時頃からの今日の日本東京外国為替市場は、「山の日」の祝日で休場であったが、時間帯が近いアジア・オセアニア市場などの世界FX市場の今朝9時頃の今日の東京始値相当時間の対ドル円相場も一時159円16銭付近と159円台の推移であった。
英国市場と米国市場と並ぶ世界三大市場の一つの日本市場の休場による世界市場全体の流動性減少の中で、今朝は仲値決済に絡む日本企業の円売りドル買い需要がなかった一方で、日本市場時間外の為替介入警戒感が燻ったほか、今朝早朝の米国主要株価三指数反落の影響の波及があり時間外の日経平均株価先物が軟調になり、時間帯の近いアジア株式市場でも韓国主要株価指数の韓国コスピ (KOSPI / Korea Composite Stock Price Index) なども低調で、株価下落時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) で買われやすい低リスク通貨の円買いが入ったことでは、今朝9時43分頃のドルは円相場で一時158円92銭付近と158円台後半まで下押ししたため、これが今日の日本市場相当時間の円の高値でドルの安値となった。
一方、コモディティ市場では、中東情勢の長期化警戒の影響が世界市場で続いており、米国WTI原油先物価格が高止まりを続けていたため、158円台の市場安値後からはドルの押し目買い意欲も強く、原油高による貿易赤字懸念のリスクが増加していた低リスク通貨の円に対してドルは再び159円台に戻し、今朝11時25分頃と 32分頃に一時159円31銭付近に再上昇した。
また、オセアニア市場では、午後13時30分にオーストラリアの中央銀行にあたる豪州準備銀行 (RBA / Reserve Bank of Australia) が豪州政策金利を発表し、市場予想で優勢であった通りに現状の4.35%の据え置きを決定したが、中東情勢から地理的に離れた南半球の資源国であるオーストラリアのRBAの声明文では、「中東紛争が豪州インフレに与える影響は予想より小さい」との見解が示されており、同時発表の豪州RBA四半期金融政策報告でもオーストラリアの今年2026年のインフレ見通しが下方修正されたため、世界的に流動性が高い基軸通貨のドルなどの主要通貨に対して豪ドルが売られた外貨影響の対ドル円相場への波及などもあったが、午後14時30分頃から始まったRBAのミシェル・ブロック総裁の記者会見では、今後の豪州の実質的なインフレ次第では豪州追加利上げの可能性も排除しない姿勢であったことでは、豪ドルの買い戻しも入っていた。
午後からの欧州市場と夕方からの世界最大規模の英国ロンドン外国為替市場の参入では、中東情勢警戒感が強く、米国WTI原油先物価格が一時1バレル83ドル台から84ドル台と更に上昇したほか、世界的なエネルギー・インフレ圧に連れて時間外の米国債券取引でも米国長期金利が夕方16時台後半に一時4.736%付近に上昇したため、原油や金利に連れやすいドルは円相場で夕方16時59分頃に一時159円37.7銭付近と約159円38銭付近に上昇し、今日の日本市場相当時間における円の安値でドルの高値を記録した。
このため、今日17時の東京外国為替市場終値相当時間の対ドル円相場は159円36銭付近で、昨日17時の158円49銭付近の前東京終値比で約87銭の円安ドル高になった。
今夜この後の米国市場では、最新米国経済指標発表と米国債入札予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜23時に7月米国中古住宅販売件数と26時に米国3年債入札などを控えているほか、先述の通り、明日8月12日の夜の最新米国重要インフレ指標の7月米国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) と翌13日の夜の7月米国卸売 (生産者) 物価指数 (PPI / Producer Price Index) などのインフレ指標が注目されており、様子見の一方で持ち高調整や市場予想の影響なども注視される。
一方、 欧州ユーロは、今日17時の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は183円78銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の183円24銭付近の前東京終値比で約54銭の円安ユーロ高であった。
主な要因は、中東情勢の影響を受けた世界的なエネルギー・インフレ圧への警戒感により、欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) の早期欧州利上げ予想が意識されていたほか、原油高を受けた日本の貿易赤字懸念や日本政府の積極財政の円売り要因が、欧州と経済的に近い高金利の英国ポンドなどの主要通貨に対してもあった外貨影響が波及した。
その英国ポンドは、今日17時の東京外国為替市場のポンド円相場の終値は215円8銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の213円90銭付近の前東京終値比で約1円18銭の大幅な円安ポンド高であった。
ユーロドルは、今日17時の東京外国為替市場の終値は1.1532ドル付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.1561ドル付近の前東京終値比で約0.29セントのユーロ安ドル高であった。
主な要因は、中東情勢の長期化警戒の原油先高観を受けた地政学リスク回避の欧州ユーロ売りに対して原油などの主要取引通貨のドルが買われやすい「有事のドル買い」の影響があったほか、米国長期金利上昇時の主要通貨に対するドル買いや株価下落時のリスク回避のリスクオフの欧州ユーロ売りドル買いなどが為替相場に影響を与えていた。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2026年8月11日の日本時間 (JST / Japan Standard Time) 20時28分 (チャート画像の時間帯は英国夏時間 (BST / British Summer Time / GMT+1 / JST-8) の英国ロンドン外国為替市場の12時28分頃) の人気のクロス円を中心とした為替レートは下表の通りである。欧州英国市場は2026年3月29日日曜日〜2026年10月25日日曜日が英国夏時間となり、米国でも2026年3月8日日曜日〜2026年11月1日日曜日が米国夏時間で共にサマータイム入りしており、冬時間の頃と比較すると日本時間と1時間の時差短縮の調整があったことには注意が必要である。
| 通貨ペア | JST 20:28の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00東京終値比 |
| ドル/円 | 159.16 〜 159.18 | +0.69 (円安) |
| ユーロ/円 | 183.66 〜 183.71 | +0.47 (円安) |
| ユーロ/ドル | 1.1538 〜 1.1542 | −0.0019 (ドル高) |
| 英ポンド/円 | 214.87 〜 214.93 | +1.03 (円安) |
| スイスフラン/円 | 196.38 〜 196.44 | +0.09 (円安) |
| 豪ドル/円 | 112.42 〜 112.46 | +0.40 (円安) |
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