FXニュース:米CPIイベントリスクのドル

2024年4月10日
FXニュース:米CPIイベントリスクのドル

 

東西FXニュース – 2024年4月10日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 安全資産買いで米利回り低下
  • 日本の為替介入警戒感も続く
  • 日銀追加利上げ予想の円買い
  • 日銀総裁緩和縮小タカ派発言
  • 日長期金利上昇で金利差縮小
  • 利上げ警戒日経平均株価下落
  • 明日は欧ECB新金利と米PPIも

今日2024年4月10日水曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の151円68銭付近から、円の安値でドルの高値の151円84銭付近の値幅約16銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は151円82〜84銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の151円90〜91銭付近の前東京終値比では約8銭の円高ドル安であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、昨日の日本市場で一時151円94銭付近の円安ドル高を記録後の昨夜18時台の英国ロンドン外国為替市場では、日本政府と日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) による為替介入への警戒感に加えて、米国ブルームズバーグ通信 (Bloomberg) が「日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) は今月25〜26日に開催予定の日銀金融政策決定会合で、2024年度のインフレ見通しの上方修正を議論する公算が大きい」という関係者情報というニュースを報道したことで、市場では日本の追加利上げ予想による円買いも入って円相場が上昇し、昨夜18時27分頃にはドルは円相場で一時151円73銭付近に反落していた。

その後の昨夜19時過ぎや20時台には、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.40%台付近に戻した時間があったため、債券利回りを受けた日米金利差トレードによりドルは円相場で買い戻された時間もあり、英国ロンドン外国為替市場の後半の昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場の始値は一時151円83銭付近で、その21時0分の1分間の値動きの中で瞬時記録した一時151円85銭付近が昨夜の米国市場の円の安値でドルの高値となった。

しかし、米国市場では、翌米国市場にあたる今夜この後の米国市場で米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) が米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) で米国新政策金利を決定する上で重視している最新米国重要インフレ指標の米国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) の発表イベントを控えていたほか、後半が同時進行していた欧州英国市場でも、明日の4月11日の木曜日の夜には欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 理事会の欧州新政策金利発表のイベントを控えていたため、欧米双方のイベントリスクによるリスク回避のリスクオフ (Risk-off) で世界的な安全資産である米国債が買われ、米国ニューヨーク債券市場では米国債価格上昇に伴う利回り低下の影響から米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.36%台に向けて低下したため、日米金利差縮小時の円買いドル売りが起きたほか、欧州ユーロには欧州イベントリスクがあるために英国ポンドが買われて対ドルで数週間ぶりの高値圏に上昇した他の主要通貨に対するドル安の影響も対ドル円相場にも波及し、昨夜23時39分頃にドルは円相場で一時151円57銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。

また、米国ニューヨーク株式市場では、先週末に発表された米国雇用統計の市場予想以上の強さを受けて、もし今回の米国消費者物価指数 (CPI) も市場予想を上振れした場合には、米国の利下げ時期が先送りされて高金利が長期化することへの企業決算や株価への警戒感があり、米国主要株価の米国ダウ工業30種 (Dow Jones Industrial Index) が一時大幅に下落した時にも、安全資産の米国債が買われて米国債券利回り低下の一因となったほか、リスク回避時にドルからでも買える低リスク通貨の円が買われていた。

ただし、米国消費者物価指数 (CPI) の市場予想の上振れが警戒されている一方で、もしも市場予想を上振れせずしなかった場合には、以前のドットチャートで示された通りの年内3回の米国利下げが行われる可能性もあるほか、昨夜22時前頃の米国ブルームバーグ通信 (Bloomberg) のニュース続報では、今年11月の米国大統領選挙を控えている米国政府は、米国の有権者達が望むカードやローンの高金利の利下げの前倒しを望んでいることに言及し、もしも米国消費者物価指数 (CPI) が市場予想を下振れした場合には、早期の米国利下げや以前のタカ派の大幅利上げの巻き戻しで0.5%の大幅利下げの可能性もあるという投資信託運用会社の米国ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ (SSGA / State Street Global Advisors) のエコノミストの一部のハト派の見解を紹介したことも話題になり、米国消費者の高金利のクレジットカード債務延滞率や、米国の中小企業の高金利ローンの決算影響による景気懸念を示唆して理由に挙げていたことも、米国消費者物価指数 (CPI) 発表前のイベントリスクによる持ち高調整やドルの買い控えに影響を与えていた。

しかし、その後の米国ニューヨーク株式市場では、最近の堅調な米国経済指標の影響もあり、米国ダウ工業株30種は一時の大幅な下げ幅を縮めたほか、米国主要株価三指数の他の二指数のS&P500種 (Standard and Poor’s 500) やナズダック総合 (NASDAQ Composite) が前日比で小幅高の終値に向けて上昇したため、先週末の米国雇用統計や前回までの米国インフレ指標の上振れを受けては米国の早期利下げ予想が後退していた影響から、市場安値後のドルにはイベントリスクの買い控えの抵抗を交えながらも持ち高調整などの買い戻しが入り、米国10年債の利回りも4.360%の終値に向けて下げ止まったため、午前4時25分頃にはドルは円相場で一時151円79銭付近にまで買い戻されていた。

このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の151円85銭付近から、円の安値でドルの高値の151円57銭付近の値幅約28銭の値動きで、今朝6時前頃のニューヨーク終値は151円76銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の151円82銭付近と比べ約6銭の円高ドル安をつけており、3営業日ぶりに円相場が反発した。

今朝8時50分には日本の最新経済指標の3月の日本国内企業物価指数が発表され、前月比は市場予想の0.3%に対し市場予想以下で前回横ばいの0.2%であったが、前年同月比では前回の0.6%と前回上方修正の0.7%に対し市場予想通りの0.8%の上昇率であった。

今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の始値は一時151円78銭付近であったが、昨夜17時の日本市場終了後の前述の一部報道の日本銀行 (日銀/ BoJ) 金融政策決定会合の今年の日本のインフレ見通しの上方修正議論などのニュースを受けた日銀の追加利上げ予想による円買いトレンドが一時再燃し、今朝9時32分頃に対ドル円相場が上昇し、一時151円68銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

今日は東京株式市場でも、一部の日銀追加利上げ予想による金利上昇警戒感から日経平均株価が下落に向けたことでも、リスク回避のリスクオフで買われやすい国内第一安全資産の低リスク通貨の円がドルだけでなく欧州ユーロなどに対して買われていた。

しかし、日本市場では、今日は10日で「5と10が付く日の日本の貿易企業の決済日が集中しやすい五十日 (ごとおび / ゴトーび) 」であったため、今朝9時55分の仲値決済に向けては、日本企業の輸入実需の円売りドル買いの需要があり、ドルは円相場で反発したが、輸出企業のドル売り円買いの抵抗も交えていた。

また、日本銀行 (日銀 / BoJ) の植田和男総裁が、今朝の衆院財務金融委員会で、今後の日本の金融政策について、「見通し通りに基調的な物価上昇率が続けば、所々で緩和の度合いの縮小が適切になる」と発言し、昨日の国会ではハト派的な当面の緩和継続を強調していたが、今日はややタカ派的にインフレ上昇が続けば、緩和縮小が適切になるという部分が強調されたため、昨夜の一部報道による今年のインフレ物価見通しの上方修正予想とも相まって、日銀の年内の追加利上げ予想が高まり、債券市場で日本国債利回りの国内長期金利が0.795%の終値に向けて上昇する一方で、日本市場時間の時間外の米国債券市場の米国長期金利はイベントリスクによる米国債買いの影響が続いており一時4.35%台にまで低下したため、円相場は再び午前11時4分頃に一時151円70銭付近まで買われた時間があった。

日本の国内金利上昇への警戒感では、企業のローン金利上昇や住宅ローンや賃貸料上昇などによる企業決算影響や景気懸念もあり、午後15時台には今日の日経平均株価は下落したままで3万9,581円81銭の終値をつけ、前日比で191円32銭安の大幅安で大引けした。

午後からの欧州英国市場の参入では、米国10年債の利回りが低下時には米国債券価格が上昇しているため、米国政策金利の先高感もあり、利益確定の米国債売りも入ったため、米国10年債の利回りが指標の米国長期金利は一時4.36〜4.37%台付近に反発したため、ドルの買い戻しで円相場のドルが反発して下げ幅を縮めて、午後16時46〜48分と16時59分〜17時頃の数分間にドルは円相場で一時151円84銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。

このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は151円82〜84銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の151円90〜91銭付近の前東京終値比で約8銭の円高ドル安になった。

今夜この後の米国市場では、先述の世界的な注目を集めている最新米国重要経済指標の発表イベント予定や、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) の高官達の要人発言予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜20時に米国MBA住宅ローン申請指数、そして今夜21時30分に最新米国重要インフレ指標の3月の米国消費者物価指数 (CPI) とCPIコア指数の発表イベントがあり、続いて今夜21時45分頃から次回のFOMC投票権を持つFRBのボウマン理事の発言予定と、また今夜22時45分には以前に米国の新政策金利予想に影響を与えたことがある米国の隣国の北米カナダのカナダ銀行 (BoC / Bank of Canada) 新政策金利と声明発表があり、今夜23時には2月の米国卸売売上高と週間米国原油在庫、25時45分頃から次回のFOMC投票権を持つFRB高官の米国リッチモンド連銀のバーキン総裁の発言予定と、同時刻から次回のFOMC投票権はないがFRB高官の米国シカゴ連銀のグールズビー総裁の発言予定、26時0分に利回りが米国長期金利の指標となる米国10年債の入札予定、27時に3月19〜20日開催分の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) 議事要旨の公表予定と、3月の米国月次財政収支などが発表される予定である。

また、明日にも最新の3月の米国卸売 (生産者) 物価指数 (PPI / Producer Price Index) の発表予定を控えているほか、明日の夜には欧州中央銀行 (ECB) 理事会も注目のイベントである。様子見の買い控え後のイベント時の値動きや、トレンド形成には注意が必要である。

米国株式市場でも、今週金曜日に米国JPモルガンチェースや米国シティグループなどの米国の大手金融株の決算報告予定も控えている市場であることにもやや注意が必要である。

一方、欧州ユーロの円相場は、今夜17時の今日の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は164円79~81銭付近と、日本市場の前営業日同時刻にあたる昨日17時の164円86~87銭付近の前東京終値比で約7銭の円高ユーロ安であった。

主な要因は、今日の日経平均株価の大幅反落を受けたリスク回避のリスクオフで、低リスク通貨の円が買われて欧州ユーロに対して上昇したほか、明日の欧州中央銀行 (ECB) 理事会を控えたイベントリスクに加えて、日銀の追加利上げ予想も影響を与えた。

ただし、今夜その後の欧州市場では、明日の理事会を控えた持ち高調整で欧州ユーロが買い戻されることもあり、今夜19時台には小幅な円安ユーロ高に市場反転も見せている。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0853〜1.0855ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.0852〜1.0854ドル付近の前東京終値比では約0.01セントの横ばいにも近い僅差のユーロ高ドル安であった。

主な要因は、前述の通り、欧米共に今夜と明日の夜のイベントリスクを控えている時に、今日の東京終値を迎えていた。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は192円61〜67銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の192円16〜22銭付近の前東京終値比では約45銭の円安ポンド高であった。

主な要因は、今日の市場での欧州や米国のイベントリスクと比較して、今日はイベントリスクのない英国ポンドが買われており、対ドルでも上昇した影響が円相場に波及していた。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年4月10日の日本時間(JST)19時34分(チャート画像の時間帯は、3月最終日曜日から英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間時差変更され、日本から時差8時間遅れになった英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の11時34分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月第二日曜日から米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)

通貨ペア JST 19:34の為替レート 前営業日JST 17:00の前東京終値比
ドル/円 151.80 〜 151.82 -0.10 (円高)
ユーロ/円 164.95 〜 164.96 +0.09 (円安)
ユーロ/ドル 1.0864 〜 1.0866 +0.0012 (ドル安)
英ポンド/円 192.80 〜 192.86 +0.64 (円安)
スイスフラン/円 168.00 〜 168.06 +0.19 (円安)
豪ドル/円 100.50 〜 100.54 +0.27 (円安)


注意:

本ウェブサイトに記載されている全ての情報またリンク先を含めた情報は、情報提供を目的のみとしており、取引投資決定、及びその他の利用目的のために作成されたものではありません。取引投資種、外国為替取引業者の選択、売買価格投資等の全ての最終決定については、利用者ご自身のご判断において行われるようお願い致します。

当社は、当サイトに掲載した情報によって万一閲覧者が被った直接・間接的に生じた損失に関して一切責任を負わないものとします。また、当社および当社に情報を提供している第三者は一切責任を負うものではございませんので ご了承ください。万が一、当サイトの提供情報の内容に誤りがあった場合でも、当社は一切責任を負いません。当社はこのウェブサイトの掲載内容を予告なしに変更または廃止することがございますので、あらかじめご了承おきください。