FXニュース:欧ECB金利維持と利下げ予想

2024年1月26日

 

東西FXニュース – 2024年1月26日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米四半期GDPが市場予想以上
  • 米四半期コアPCE物価は鈍化
  • 今夜前月米PCE物価指数控え
  • 米国債価格上昇で利回り低下
  • 東京都区部コアCPI想定以下
  • 日銀修正圧のインフレ率鈍化

今日2024年1月26日金曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の147円48銭付近から円の高値でドルの安値の147円88銭付近の値幅約40銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は147円77~78銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の147円66~68銭付近の前東京終値比で約11銭の円安ドル高であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、昨夜の英国ロンドン外国為替市場と米国ニューヨーク外国為替市場が同時進行していた昨夜22時15分に、欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 理事会が欧州ユーロ圏の新政策金利を市場予想通りの据え置きを発表し、金融政策の声明文では、「欧州政策金利水準は十分に長い期間維持される必要がある」との部分では欧州ユーロが一時上昇したものの、「エネルギー関連のベース上昇効果を除いた、基調的なインフレの低下傾向は継続している」との部分では、欧州ユーロがドルなどの主要通貨に対して売られ始めたが、その後の昨夜22時45分頃からのラガルド総裁の記者会見予定に注目が集まり様子見も続いていた。

米国ニューヨーク外国為替市場では、昨夜22時30分に最新米国重要経済指標の昨年10〜12月の第4四半期の米国実質国内総生産 (GDP/ Gross Domestic Product) の速報値が発表され、前期比年率が市場予想の2.0%を上回る3.3%の堅調な上昇を見せたことでは、瞬時にドルが買われて対ドル円相場で一時147円95銭付近に上昇し、米国市場のドルの高値で円の安値を記録したが、前回の4.9%よりは想定通りに鈍化していたことや、同四半期の米国GDP個人消費の速報値の前期比年率も前回の3.1%と市場予想の2.5%に対し2.8%で、同四半期のコア個人消費支出 (PCE / Personal Consumption Expenditures) の速報値の前期比年率は前回と市場予想通りの2.0%の横ばいで、基調的な個人消費支出 (PCE) コア物価指数が米国のインフレ率横ばいの抑制を示唆する鈍化継続傾向を示したことでは、昨夜22時の開場時には一時4.17%台だった米国長期金利が一時4.12%台付近に向けて低下し、日米金利差縮小時の円買いドル売りが起きてドルは円相場で反落した。

複数が同時発表だった他の最新米国経済指標でも、米国雇用関連の前週分の米国新規失業保険申請件数が前回の18.7万件と前回修正の18.9万件と市場予想の20.0万件より多い21.4万件に悪化したことや、前週分の米国失業保険継続受給者数も前回の180.6万人と市場予想の182.8万人に対し183.3万人と失業保険利用者が増加したことも、安全資産の米国債買いに繋がっていたが、12月の米国耐久財受注の前月比は前回の5.4%と前回修正の5.5%と市場予想の1.1%に対し0.0%に低下した一方で、輸送用機器を除いた前月比では前回の0.5%と市場予想の0.2%を上回る0.6%と強弱が入り混じっていたことでは、昨夜23時14分頃の一時147円8銭付近が昨夜の米国市場の円の高値でドルの安値のドルの底値となり、その後にはドルは円相場で反発を始めたが、世界的な安全資産でもある米国債買いの影響で、債券価格上昇に伴う利回り低下は起きており、米国ニューヨーク債券市場で米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利の反発幅は4.15%台付近に留まったため、この対ドル円相場でのドル反発の理由には、日米金利差よりも後述の欧州中央銀行 (ECB) のラガルド総裁の発言を受けた欧州ユーロに対するドル上昇圧の影響があった。

昨夜22時45分頃から始まった注目の欧州中央銀行 (ECB) 理事会後の定例記者会見のクリスティーヌ・ラガルド総裁の発言は、最近の欧州景気懸念通りの欧州景気停滞や、エネルギーを除く基調的な欧州のコア・インフレの鈍化傾向に触れ、欧州経済の成長には依然として下振れのリスクがあるために、金融引き締め効果が予想以上に強く長期化すれば成長率が低下する可能性を指摘し、一方でエネルギー価格が現在のインフレ要因となっているために原油やガス価格などのエネルギー市場の先行きが安定すれば欧州インフレが急速に低下する可能性があることにも言及し、欧州利下げに関しては時期尚早としながらも、今後の「データ次第」を強調し、以前のラガルド総裁の欧州インフレ警戒感が緩和された様子から金利先物市場では欧州インフレ指標次第では、欧州景気懸念により今年早期の欧州利下げ開始もあり得るという市場予想が浮上し、欧州ユーロが対ドルなどの主要通貨に対して売られ始めて下落に転じたことで、対ドル円相場でも堅調な米国景気指標を受けたインフレ圧が燻り今年早期の米国利下げ予想が後退していたドルが上昇し、ドルは円相場で反発を続けていた。

深夜24時に発表された最新米国経済指標の先月12月の米国新築住宅販売件数は、年率換算件数が前回の59.0万件と前回修正の61.5万件を上回る66.4万件と堅調であったが、前月比では前回マイナス圏だった-12.2%と前回修正の-9.0%に対し市場予想の10.0%ほどではないもののプラス圏の8.0%に前回よりも大幅に改善したことも、堅調な米国経済指標を受けた米国景気好感によるドル買いに繋がり、米国長期金利も一時4.159%付近にまで反発したこともあり、午前2時51分頃にドルは円相場で一時147円90銭付近の高値圏に買い戻された。

ただし、今夜この後にも米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) が注視していることが知られている最新米国重要経済指標の最新月の先月12月の米国個人消費支出 (PCE) デフレーターなどの発表予定のイベントを控えており、来週の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) のビックイベントを控えた米国市場では、午前3時の米国ニューヨーク債券市場で米国7年債の入札もあり、世界的な安全資産でもある米国債買いによる来週のドルのイベントリスク回避も相まって、早期の利益確定売りや持ち高調整が入り始めていたことでは、この日の米国市場ではドルは円相場で先述の前四半期の市場予想以上の米国GDP発表時の瞬時の市場高値を更新することはなかった。

一方で、昨夜の米国ニューヨーク株式市場では、市場予想以上の米国景気指標を受けて、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株30種 (Dow Jones Industrial Average) とS&P500種 (Standard and Poor’s 500) とナズダック平均 (NASDAQ Composite) が揃って上昇し、前日比高の終値をつけたことではややリスク選好のリスクオン (Risk-on) の低リスク通貨の円売りも入っていたが、米国長期金利の指標となる米国10年債の利回りは4.118%の終値時で、前日比で-0.061%だったことは円相場でのドルの上昇は限定的であった。

このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の147円95銭付近から円の高値でドルの安値の147円8銭付近の値動きで、今朝7時前頃のニューヨーク終値は147円66銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の147円51銭付近と比べて約15銭の円安ドル高をつけていた。

今朝早朝のアジア・オセアニア市場ではオーストラリアが休場であったが、今朝8時30分に日本の最新経済指標の1月の東京都区部消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) が発表され、生鮮食品を除く総合コア指数の前年同月比が前回の2.1%と市場予想の1.9%を下回る1.6%の上昇率に国内インフレ鈍化を示し、昨年2022年5月以来の2%を下回る水準となったことで、「賃金上昇を伴う2%の物価上昇目標」を掲げる日本銀行 (日銀 / BoJ / bank of Japan) の今年早期のマイナス金利解除への修正圧が後退したことが意識された一方で、先日から今年の春闘が始まり日本国内の大企業のマネジメント勢の中には日銀期待に沿った今年の春の賃上げに意欲的な意見が出ていたが、中小企業の今年の賃上げ動向には、経営懸念の声なども出ていたことなどから様子見の傾向が見られていることもあり、日銀の今年早期のマイナス金利解除や大規模緩和金融政策の修正圧はやや減少して円が売られた。

ただし、今朝8時50分に公開された先月12月の日本の企業向けサービス価格指数の前年同月比は前回の2.3%と前回修正と市場予想の2.4%の横ばいで、企業向けのサービス価格が今年の春闘賃上げで価格転嫁の上乗せがされる警戒感がやや残ったほか、同時発表の日本銀行 (日銀 / BoJ) の先月12月18〜19日開催分の日銀金融政策決定会合議事要旨では、先日の植田和男総裁のタカ派発言で円買いが起きた時と同様の将来的なマイナス金利解除に関する議論がこの時点からすでに始まっていたことはやや抵抗になった。

今朝9時頃からの今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は、一時147円72銭付近から始まり、開場直後にはドルが円相場で上昇したが、今日の日本市場時間の時間外の米国債券市場でも世界的な安全資産でもある米国債買いの影響で米国長期金利が一時4.09%台に向けて低下した時間には、日米金利差縮小時の円買いドル売りの抵抗で、午前10時51分頃にドルは円相場で一時147円48銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

今夜この後には、最新米国重要経済指標の先月12月の米国個人消費支出 (PCE) やPCEデフレーターやPCEコア・デフレーターの発表予定に加えて、米国個人所得などの経済指標発表イベントを控えており、結果が分かるまでの買い控えの様子見でやや小動きになっていたが、昨夜発表された市場予想以上の米国GDPの上昇や欧州中央銀行 (ECB) のラガルド総裁の発言を受けては、ドルが欧州ユーロなどの主要通貨に対して買われて上昇し、円相場でも反発上昇した。

ただし、今日の日経平均株価が大幅安で午後15時台に大引けしたことでは、日本株安時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) で低リスク通貨の円が買われたことは抵抗になった。

しかし、午後からの欧州英国市場の参入では、米国債買いで債券価格が上昇した後の米国債の利益確定売りなどの影響があり、米国長期金利が夕方に向けて一時4.12%台に向けた再上昇を始めたため、日米金利差拡大による円売りドル買いに繋がり、午後16時18分頃にドルは円相場で一時147円88銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は147円77~78銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の147円66~68銭付近の前東京終値比では約11銭の円安ドル高になった。

今夜この後の米国ニューヨーク外国為替市場では、注目度の高い最新米国重要経済指標などの発表予定を控えており、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜22時30分に先月12月の米国個人消費支出 (PCE) とPCEデフレーターとPCEコア・デフレーターと米国個人所得が同時発表されるイベント時間があり、深夜24時に同12月の米国住宅販売保留指数の発表予定もあるが、PCE注目度は高くイベント時の値動きには注意が必要である。

一方、今日の欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は159円88〜89銭付近で、昨夜17時の160円79〜80銭付近の前東京終値比では約91銭の円高ユーロ安であった。

主な要因は、昨夜の欧州中央銀行 (ECB) 理事会のラガルド総裁の発言を受けたドルなどの主要通貨に対する欧州ユーロ売りの影響が見られたほか、欧州景気懸念や欧州利下げ予想もあって安全資産のドイツ連邦債10年物が買われて利回りが指標となる欧州長期金利が低下した影響でも、日欧金利差縮小時の円買いユーロ売りが起きていた。

このため、ユーロドルも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0818〜1.0820ドル付近で、昨夜17時の1.0888〜1.0889ドル付近の前東京終値比で約0.70セントのユーロ安ドル高であった。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のポンド円相場の終値は187円42〜48銭付近で、昨夜17時の188円4〜10銭付近の前東京終値比で約62銭の円高ポンド安であった。

主な要因は、欧州ユーロ圏と地理的経済的に近い英国ポンドにも、欧州ユーロに対する今日の円高の影響が波及していた。

ただし、今夜20時台の英国ロンドン外国為替市場では、対欧州の英国景気の改善傾向も見られ、今日発表されていた最新英国経済指標の1月の英国GFK消費者信頼感調査も前回の-22と市場予想の-21に対し-19にやや改善され、英国ポンドの買い戻しも入り、円相場でも小幅な円安ドル高への反発も見せている。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年1月26日の日本時間(JST)20時56分(チャート画像の時間帯は、日本から時差で9時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の冬時間 (GMT / JST-9) の11時56分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:56の為替レート 前営業日JST 17:00の前東京終値比
ドル/円 147.69 〜 147.70 +0.03 (円安)
ユーロ/円 160.55 〜 160.60 -0.24 (円高)
ユーロ/ドル 1.0871 〜 1.0873 -0.0017 (ドル高)
英ポンド/円 188.18 〜 188.24 +0.14 (円安)
スイスフラン/円 171.10 〜 171.16 -0.02 (円高)
豪ドル/円 97.44 〜 97.48 +0.27 (円安)


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