FXニュース:欧ECB発表に向け持ち高調整

2024年1月25日
FXニュース:欧ECB発表に向け持ち高調整

 

東西FXニュース – 2024年1月25日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 日米欧金利差縮小時の円買い
  • 米購買担当者景気指数は改善
  • 債券市場で国内長期金利上昇
  • 日銀のマイナス金利解除向け
  • 金利警戒後の日経平均小幅高
  • 来週FOMC控え持ち高調整も

今日2024年1月25日木曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値でドルの高値の147円88銭付近から円の高値でドルの安値の147円53銭付近の値幅約35銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は147円66~68銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の147円74~75銭付近の前東京終値比で約8銭の円高ドル安であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析は、昨夜の英国ロンドン外国為替市場では、昨夕17時50分頃に米国長期金利が一時4.09%台付近に低下したため日米金利差縮小時の円買いドル売りが進行し、昨年の大幅な円安ドル高の進行後に今年の日本のマイナス金利解除予想が現実味を帯びてきたことから、持ち高調整でもロングポジションのドルの利益確定売りが起きて、対ドルの円相場が上昇していた。

また、昨夜の欧州市場では同市場の翌日にあたる今夜この後の22時15分に欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 理事会の新政策金利と金融政策発表と今夜22時45分頃からのラガルド総裁の発言予定のビッグイベントを控えていたためにイベント前の持ち高調整が進み、イベントリスク回避で世界的な安全資産の米国債が買われて債券価格上昇に伴う利回り低下の一方で、ユーロドルのポジション調整でも対ドルで欧州ユーロが買い戻され、特に世界的に流動性が高いドルがこれまでに欧州ユーロに対して買われて来たポジションが調整で利益確定された影響が対ドルの円相場にも主要通貨に対するドル売りとして波及したため、欧州英国市場の後半から時差で始まった昨夜22時頃からの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場の始値は一時147円30銭付近の東京終値比の円高ドル安だった。

欧州英国市場の時間外の米国債券取引でも一時低下していた米国長期金利は、同時進行中だった英国ロンドン外国為替市場のトレンドの影響もあり、昨夜23時25分頃に米国ニューヨーク債券市場でも世界的な安全資産の米国債買いにより、債券価格が上昇する一方で米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は更に低下し、一時4.08%台付近にまで低下したため、日米金利差縮小時の円買いドル売りと持ち高調整が進行し、昨夜23時30分にドルは円相場で一時146円65銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。

しかし、米国市場では実需もあって市場安値からのドルの買い戻しが起きた他、米国債の債券価格上昇後の利益確定売りで米国長期金利が低下後に反発を見せ始めたため、日米金利差拡大によるドルの買い戻しが円相場でも入り始めた。

さらに、米国ニューヨーク外国為替市場で昨夜23時45分に発表された最新米国経済指標の今月1月の米国製造業購買担当者景気指数 (PMI / Purchasing Managers’ Index) 速報値は、前回と市場予想の47.9を上回る50.3に上昇し、欧州ユーロ圏が一つも超えられなかった不景気と好景気を分けるボーダーライン (Borderline / 境界線) の50を超えた好景気側に改善されたほか、同1月の米国サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) 速報値も前回の51.4と市場予想の51.0を上抜ける52.9と堅調で、1月の米国総合購買担当者景気指数 (PMI) 速報値も前回の50.9と市場予想の51.0以上の52.3に上昇し、堅調な米国景気を受けたドルの買い戻しと、好景気によるインフレ圧への警戒感などを背景に、来週に米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) を控える米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の今年早期の米国利下げ予想が後退を続け、米国長期金利は反発後に一時4.15%大幅に上昇したほか、その後の一時4.19%台に向けた上昇を開始したことでも日米金利差拡大による円売りドル買いが入り始めて一時147円台に戻し始めたほか、主要通貨に対してもドルが買い戻されて欧州市場の下げ幅を縮めた。

また、昨夜23時45分には北米カナダのカナダ銀行 (BoC / Bank of Canada) の新加政策金利の発表があり、前回と同じ市場予想通りの5.00%の据え置きが決定されたことでも、北米で地理的に近い米国政策金利の据え置き予想を強めた。

また、今回のカナダ銀行の声明文では、以前に書かれていた「必要であれば、更に利上げをする準備がある」という文章が削除されたことで、カナダ中銀の今年の利下げ予想が意識され、産油国の資源国通貨として買われていたカナダドルが米国ドルに対して売られた影響なども円相場に波及した。

午前3時には米国ニューヨーク債券市場で米国5年債の入札があり、米国の好景気な指標発表後の影響もあって米国入札後に米国債が全般的に売られていたため、午前4時20分頃に米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は一時4.19%台に上昇し、日米金利差拡大による円売りドル買いが継続したことから、午前6時5分頃にはドルは円相場で一時147円64銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。

しかし、今夜この後の翌米国市場では、最新米国重要経済指標の昨年10〜12月の第4四半期の米国実質国内総生産 (GDP / Gross Domestic Product) 速報値やGDP個人消費と米国コア個人消費支出 (PCE / Personal Consumption Expenditures) などの発表を控えており、また来週の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) が注目されてイベントリスクもあることから、高値のドルの早期の利益確定売りや持ち高調整が入り始めていたことは、先日の日本銀行 (BoJ / Bank of Japan) 金融政策決定会合のイベント経過後の低リスク通貨の抵抗要因となった。

また、米国ニューヨーク株式市場では、米国主要株価三指数の中のS&P500種 (Standard and Poor’s 500) とナズダック平均 (NASDAQ Composite) は前日比小幅高で終値をつけたが、米国ダウ工業株30種 (Dow Jones Industrial Average) が前営業日比で下落して終えたことでは、低リスク通貨の円が買われて対ドルの円相場が反発を見せた。

このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の146円65銭付近から円の安値でドルの高値の147円64銭付近の値動きで、今朝7時前頃のニューヨーク終値は147円51銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の148円35銭付近と比べて約84銭の円高ドル安をつけていた。

今朝早朝のアジア・オセアニア市場に続いて始まった今朝9時頃からの日本の東京外国為替市場の対ドル円相場の始値は一時147円59銭付近であったが、日本市場では今日は25日で日本の貿易企業の決算日が集中しやすい5と10が付く日の「五十日 (ごとおび / ゴトーび) 」であったため、今朝9時55分の仲値決済に向けては日本企業の輸入実需の円売りドル買い注文が入り、ドルが円相場で上昇して始まった。

また、今朝発表されていた日本の最新経済指標の前週分の対外対内証券売買契約等の状況は、対外中長期債が前回の1兆6428億円と前回修正の1兆6893億円から−480億円に大幅に低下し、対内株式ともに前回の1兆2026億円と前回修正の1兆2020億円に対し2867億円に低下していた。

東京株式市場では、先日に日本銀行 (日銀 / BoJ) の植田和男総裁がマイナス金利解除に向けた積極的なタカ派発言をハト派発言に混じえて以来、将来的な国内金利上昇時の企業決算への警戒感による大規模な株売りが先日起きたものの、今日の午後15時台の日経平均株価の終値は3万6236円47銭に上昇し、前日比9円99銭高で15時15分に大引けしたため、リスク選好のリスクオンの低リスク通貨の円売りドル買いの影響もあり、午後15時12分頃にドルは円相場で一時147円87〜88銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。

一方で、国内債券市場では、今年の日銀のマイナス金利解除予想で新発10年物の国債利回りが指標となる日本の長期金利が上昇しており、午後に一時0.75%台付近を記録したが、それに対する日本市場時間の米国長期金利は、今朝は一時4.19%台に上昇していたものの、その後は欧州英国市場の参入時の安全資産の米国債買いの影響もあり、一時反落して午後16時台に一時4.15%台付近にまで低下したことから、市場高値後のドルの利益確定売りと日米金利差縮小時の円買いドル売りが起きたが、債券価格上昇後の利益確定売りの影響もあり米国長期金利が4.17%台に向けて反発すると、再び日米金利差拡大時の円売りドル買いの抵抗も交えたが、昨夜の欧州市場での大規模な持ち高調整によるドルの低下後の影響も残っていたため、前東京終値比ではやや円高ドル安の範囲に留まっていた。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は147円66~68銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の147円74~75銭付近の前東京終値比では約8銭の円高ドル安になった。

今夜この後の英国ロンドン外国為替市場では、今夜22時15分に欧州中央銀行 (ECB) 理事会の新欧州政策金利と金融政策の声明発表があり、続いて今夜22時45分頃からはラガルド総裁の定例記者会見での発言予定が注目されており、イベント前の持ち高調整が入っている。

今夜の米国ニューヨーク外国為替市場でも、最新米国重要経済指標などの発表予定と米国債入札予定を控えており、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールでは、今夜22時半に 注目度が高い米国重要経済指標の昨年10〜12月の第4四半期の米国実質国内総生産 (GDP) に加えてGDP個人消費とコアPCEが発表され、米国雇用市場関連の前週分の米国新規失業保険申請件数と前週分の米国失業保険継続受給者数と、先月12月の米国卸売在庫と米国耐久財受注も同時発表されるイベント時間があり、続いての深夜24時に12月の米国新築住宅販売件数、27時に米国7年債入札の予定があり、イベント時の値動きには注意が必要である。

一方、今日の欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は160円79〜80銭付近で、昨夜17時の160円69〜74銭付近の前東京終値比では約10銭の円安ユーロ高であった。

主な要因は、今夜の欧州中央銀行 (ECB) 理事会の発表前で、その後の記者会見でのラガルド総裁の発言による今後の欧州金利と金融政策予想へのイベントリスクがあり、ドルや円などの主要通貨に対して利益確定や持ち高調整で欧州ユーロが買い戻された影響が見られた。

このため、ユーロドルも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0888〜1.0889ドル付近で、昨夜17時の1.0876〜1.0877ドル付近の前東京終値比で約0.12セントのユーロ高ドル安であった。

ただし、今日の午後16時45分に発表された欧州ユーロ圏のフランスの最新経済指標の1月の仏企業景況感指数は前回と市場予想通りの98の横ばいであったが、日本市場終了後の今夜18時に英国ロンドン外国為替市場で発表されたドイツの1月の独IFO (Information and Forschung) 企業景況感指数は、前回の86.4と前回修正の86.3と市場予想の86.7を下回る85.2で、今月の欧州政策金利の4.50%の据え置き予想が優勢である一方で、欧州景気懸念も燻り続けており、今夜のラガルド総裁の発言では今後の欧州利下げ時期に関する発言の有無が注目されており、今夜の欧州市場でも持ち高調整による対ドルでの欧州ユーロの買い戻しの影響が続いているが、日銀イベントリスク経過後の低リスク通貨の円に対しては、今夜20時台には小幅な円高ユーロ安にも転じている。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のポンド円相場の終値は188円4〜10銭付近で、昨夜17時の187円73〜79銭付近の前東京終値比で約31銭の円安ポンド高であった。

主な要因は、昨夜の英国ロンドン外国為替市場で発表された最新英国経済指標の今月1月の英国製造業購買担当者景気指数 (PMI) 速報値は前回の46.2と市場予想の46.7を上回る47.3に改善され、1月の英国サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) 速報値も前回の53.4と市場予想の53.2以上の53.8と好景気寄りに改善されたことで、英国景気懸念が緩和され、英国債売りで英国長期金利が上昇し、日英金利差で英国ポンドが買われた影響が出ていた。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年1月25日の日本時間(JST)20時50分(チャート画像の時間帯は、日本から時差で9時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の冬時間 (GMT / JST-9) の11時50分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:50の為替レート 前営業日JST 17:00の前東京終値比
ドル/円 147.50 〜 147.52 -0.24 (円高)
ユーロ/円 160.67 〜 160.68 -0.02 (円高)
ユーロ/ドル 1.0891 〜 1.0893 +0.0015 (ドル安)
英ポンド/円 187.74 〜 187.80 +0.01 (円安)
スイスフラン/円 170.65 〜 170.71 +0.41 (円安)
豪ドル/円 97.20 〜 97.24 -0.05 (円高)


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