FXニュース:日米金利差受けたドル円相場

2024年1月24日
FXニュース:日米金利差受けたドル円相場

 

東西FXニュース – 2024年1月24日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米GDP予想受け長期金利上昇
  • 日米金利差拡大時のドル買い
  • 日本貿易統計が市場予想以上
  • 日10年債利回り一時0.74%に
  • 日経平均大幅安のリスク回避
  • 米国長期金利低下時の円買い
  • 明日欧ECB金融政策発表控え

今日2024年1月24日水曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値でドルの高値の148円26銭付近から円の高値でドルの安値の147円70銭付近の値幅約56銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は147円74~75銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の147円59~61銭付近の前東京終値比で約15銭の円安ドル高であった。

ただし、今夜の英国ロンドン外国為替市場では、今夜20時台には小幅な円高ドル安にも転じている、今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析ではまず、昨日の日本市場で日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) が市場予想通りの大規模緩和金融政策の現状維持を発表して円が売られた後に、植田和男総裁の記者会見でのタカ派発言があり、「物価安定の目標の実現への確度が少しずつ高まってきている」ことや、賃金上昇を伴う2%のインフレ目標の実現が見通せる状況になれば、「マイナス金利を含めた現在実施している様々な大規模緩和策の継続の是非を検討することになる」で、今年の春闘以降のマイナス金利解除予想による大規模な円買いが起きたが、「マイナス金利を解除しても、極めて緩和的な環境が続く」というハト派発言もあったことでは円買いの勢いが弱まったほか、欧州英国市場の参入により時間外の米国債券市場で米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が上昇し、日米金利差拡大時の円売りドル買いが起き、昨夜の英国ロンドン外国為替市場では、前東京終値比の円高ドル安から円安ドル高に市場反転を始めていた。

昨夜22時頃に一時147円98銭付近から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場では、米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) が来週の1月30〜31日に開催を予定している米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の早期の米国利下げ予想は既に後退していたが、最近の堅調な米国経済指標を受けて明日1月25日に発表予定の最新四半期の米国実質国内総生産 (GDP / Gross Domestic Product) 上昇の市場予想が浮上したため、米国経済の強さによるインフレ圧が意識され、米国長期金利上昇に伴う日米金利差拡大による円売りドル買いが継続した。

ただし、米国の非製造業やサービス業の強さに対する製造業の弱さは以前から指摘されていたため、昨夜22時47分頃に一時147円88銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値をつける抵抗も交えたほか、深夜24時に発表された最新米国経済指標の1月の米国リッチモンド連銀製造業指数も前回の-11と市場予想の-6に対し-15と弱かったことでは、ドルから低リスク通貨の円が買われる抵抗も混ざったが、欧州市場で深夜24時に同時発表された最新欧州経済指標の1月の欧州ユーロ圏の消費者信頼感の速報値も前回の-15.0と前回下方修正の-15.1と市場予想の-14.3に対し-16.1に悪化した欧州景気懸念で、欧州市場では欧州ユーロ売りで世界的に流動性が高い安全資産でもあるドルが同時に買われた影響で、円に対するドル売りとユーロに対するドル買いの下降圧と上昇圧がほぼ同時に起きたため、ドルは円相場でやや横ばいに近い一時抵抗を交えた後も、上昇トレンドを保っていた。

一方、米国主要企業の決算報告期が続いていた米国ニューヨーク株式市場では、先日史上高値を記録した二指数を含めた米国主要株価三指数が揃って続伸したため、ブル・マーケット (Bull Market / 強気市場) 特有のリスク選好のリスクオン (Risk-on) の影響で、米国ニューヨーク債券市場では安全資産の米国債売りが続き、米国10年債の債券価格低下に伴う利回り上昇の影響で米国長期金利が更に上昇し、午前3時台の一時4.16%台のピークに向けた市場で日米金利差拡大時の低リスク通貨の円売りドル買いにより、午前2時47分頃にドルは円相場で一時148円69〜70銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。

しかし、午前3時10分頃に一時4.161%付近まで米国長期金利が上昇した後には、安値からの米国債の買い戻しが入り始めたほか、明日1月25日の欧州中央銀行 (ECB) 理事会の新欧州政策金利と金融政策発表イベントや来週の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の米国新政策金利と金融政策発表前のイベントリスクなども意識されたため、安値感が出た安全資産の米国債の買われたことで利回り低下により米国長期金利が上昇幅を縮めたため、日米金利差縮小時の円買いと、日銀のイベントリスク終了後の低リスク通貨の円の安値圏からの持ち高調整買いは抵抗要因となり、円相場が下げ幅を縮めて反発した。

このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の147円88銭付近から、円の安値でドルの高値の148円70銭付近の値動きで、今朝7時前頃のニューヨーク終値は148円35銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の148円10銭付近と比べて約25銭の円安ドル高をつけていた。

今朝早朝のアジア・オセアニア市場時間の8時50分には、日本の最新経済指標の発表があり、先月12月の日本の通関ベースの貿易統計は、季調前は前回の-7769億円と前回修正の-7804億円と市場予想の-1221億円に対し621億円と赤字から黒字に転換したが、季節済では前回の-4089億円と前回修正の-3506億円と市場予想の-4194億円に対し-4127億円と前回よりも赤字ではあったものの、市場予想以上であったことでは、米国市場の終盤から始まっていた低リスク通貨の円の買い戻しも続いていた。

今朝9時頃からの今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時148円26銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値から始まり、今朝の日本市場時間の時間外米国債券市場で米国長期金利の指標となる米国10年債の利回りが一時4.13%台から4.14%台に反発していた時には、再び円安要因の日米金利差拡大による円売りドル買いもあり、今朝11時32分頃と38分頃にドルは円相場で一時148円25銭付近の今日の日本市場の円の安値圏でドルの高値圏を再び2回続けてヒットしたが、国内輸出企業の円買いドル売りの影響や、日銀のタカ派発言後の国内長期金利の上昇トレンドの影響と国内金利上昇への警戒感などで日経平均株価が大幅安に向かったためにリスク回避 (リスクオフ/ Risk-off) の低リスク通貨の円買いによる抵抗要因が強く、米国長期金利も再び上昇後の低下に向かったため、ドルは今朝の高値を上抜けできずにテクニカル分析的なダブルトップ (Double Top / 毛抜き天井) の売りサインになったことでは対ドルの円相場は反発を始め、今朝までの下げ幅を縮め始めた。

昨日の日銀総裁の発言にタカ派寄りの発言が混ざったことなどで、日本市場では今年の春闘以降の3月以降に日銀がマイナス金利解除に向けて動き出すという市場予想が出ていた影響もあり、国内債券市場では日本の新発10年国債の利回りが指標となる国内長期金利が上昇し、今日の午後に一時0.74%を記録したことでも、今日の夕方の米国長期金利の一時4.09%台に向けた低下時の日米金利差縮小による円買いドル売りと相まったほか、日経平均株価が午後15時15分に前日比で大幅安のまま大引けしたことでも、日本株安時のリスク回避で国内第一安全資産の低リスク通貨の円がリスク市場に弱い欧州ユーロなどに対しても買われた影響が対ドル円相場に波及して抵抗要因となり、対ドル円相場は今朝までの日米金利差拡大時の下げ幅を縮小した小幅域で推移し、午後16時43分頃に一時147円70銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

ただし、今日の午後に本日1月24日の日付で日本銀行が公式文書としてホームページやメーリングリストで公開した昨日の「総裁記者会見」の記録では、先行きの金融政策運営の基本方針について、「日本銀行は、内外の経済や金融市場を巡る不確実性が極めて高い中、経済・物価・金融情勢に応じて機動的に対応しつつ、粘り強く金融緩和を継続していくことで、賃金の上昇を伴う形で、2%の物価安定の目標を持続的・安定的に実現することを目指していく方針です。具体的には、物価安定の目標の実現を目指し、これを安定的に実現するために、必要な時点まで長短金利操作付き量的・質的金融緩和を継続します。マネタリーベースについては、生鮮食品を除く消費者物価指数の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、拡大方針を継続します。引き続き企業等の資金繰りと金融市場の安定維持に努めるとともに、必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じます」とあったことでは、当面の緩和的な日米金利差により、日本市場での円の買い戻し幅は限られていた。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は147円74~75銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の147円59~61銭付近の前東京終値比で約15銭の円安ドル高になった。

今夜18時36分頃の英国ロンドン外国為替市場では、明日の欧州中央銀行 (ECB) 理事会の金融政策発表イベントに向けた欧州市場の持ち高調整で、夕方の米国長期金利の低下を受けて世界的に流動性が高いドルが利益確定売りされて、欧州ユーロが買い戻される値動きも入ったため、その影響でドル円も一時147円37銭付近までドルが下げており、その後には反発したものの、前東京終値では横ばいレンジ圏から小幅な円高ドル安に転じた時間も観測されている。

今夜この後には、最新米国経済指標の発表予定と米国債の入札予定や、米国主要企業の決算報告予定などがあり、日本時間での経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時に米国MBA住宅ローン申請指数、今夜23時45分に北米カナダ銀行の新政策金利と同時発表になる形で、1月の製造業とサービス部門と総合の米国購買担当者景気指数 (PMI / Purchasing Managers’ Index) 速報値の発表があり、深夜24時半に週間の米国原油在庫、27時に米国5年債入札予定があるほか、今夜の米国ニューヨーク株式市場の株引け後の時間の予定になるが、電気自動車で有名なテスラ (Tesla) の決算報告などを控えている。

一方、今日の欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は160円69〜74銭付近で、昨夜17時の161円0〜1銭付近の前東京終値比では約31銭の円高ユーロ安であった。

主な要因は、今日の日本市場では日経平均株価が大幅に下落し、午後の終値が3万6226円48銭と、前日比で291円9銭の大幅安となったことで、日本株安時のリスク回避の国内第一安全資産の低リスク通貨の円買いがあったことで、明日の欧州中央銀行 (ECB) 理事会発表前のイベントリスクもあり、元々日本市場ではリスク市場に弱いと考えられていた欧州ユーロが円に対して売られた影響が見られた。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0876〜1.0877ドル付近で、昨夜17時の1.0907〜1.0909ドル付近の前東京終値比で約0.69セントのユーロ安ドル高であった。

主な要因は、昨夜の米国長期金利上昇時のユーロ売りドル買いの影響が残ったほか、世界的に流動性が高い安全資産のドルに対し、リスク市場に弱い欧州ユーロが日本市場の日経平均株価大幅安のリスク回避で円相場に対して下げた影響も波及していた。

今夜その後の17時15分の英国ロンドン外国為替市場では、最新欧州経済指標の欧州ユーロ圏のフランスの1月の仏製造業購買担当者景気指数 (PMI) 速報値が発表され、前回の42.1と市場予想の42.5以上の43.2であったが、1月の仏サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) 速報値は、前回の45.7と市場予想の46.0以下の45.0であった。

続いて、今夜17時半の欧州ユーロ圏主要国ドイツの1月の独製造業購買担当者景気指数 (PMI) 速報値も前回の43.3と市場予想の43.7以上の45.4であったが、1月の独サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) 速報値は前回の49.3と市場予想の49.5以下の47.6で、今夜18時の欧州ユーロ圏総合の1月の欧州製造業購買担当者景気指数 (PMI) 速報値も前回の44.4と市場予想の44.8以上の46.6であったものの、1月の欧州サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) 速報値は前回の48.8と市場予想の49.0以下の48.4と、強弱入り混じったが、いずれも好景気と不景気のボーダーライン (Borderline / 境界線) の50を下回っていることでは、欧州の早期の利下げ予想の後退により高金利が継続する中での欧州景気懸念も燻っていた。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のポンド円相場の終値は187円73〜79銭付近で、昨夜17時の188円3〜9銭付近の前東京終値比で約30銭の円高ポンド安であった。

主な要因は、今日の日本市場の日本株安時のリスク回避の低リスク通貨の円買いでは、欧州ユーロ同様にリスク市場に比較的弱い英国ポンドも売られた影響が見られた。

今夜18時半の英国ロンドン外国為替市場では、最新英国経済指標の1月の英国製造業購買担当者景気指数 (PMI) 速報値が発表され、前回の46.2と市場予想の46.7以上の47.3で、地理的にも近く欧州経済の影響を受けやすいとはいえ、欧州ユーロ圏との違いは1月の英国サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) 速報値も前回の53.4と市場予想の53.2以上の53.8と、好景気寄りの数値が混ざった点では英国ポンドは円相場でやや下げ幅を縮めている。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年1月24日の日本時間(JST)20時51分(チャート画像の時間帯は、日本から時差で9時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の冬時間 (GMT / JST-9) の11時51分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:51の為替レート 前営業日JST 17:00の前東京終値比
ドル/円 147.50 〜 147.51 -0.09 (円高)
ユーロ/円 160.73 〜 160.75 -0.27 (円高)
ユーロ/ドル 1.0895 〜 1.0897 -0.0012 (ドル高)
英ポンド/円 187.96 〜 188.02 -0.07 (円高)
スイスフラン/円 170.53 〜 170.59 +0.26 (円安)
豪ドル/円 97.26 〜 97.30 -0.12 (円高)


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