FXニュース:145円台後半の円安ドル高

2023年8月15日
FXニュース:145円台後半の円安ドル高

 

東西FXニュース – 2023年8月15日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米長期金利が4.2%台に上昇
  • 日米金利差拡大による円売り
  • 米金利先高感のドル買い続く
  • 日本GDP想定以上の大幅上昇
  • 日経平均株価上昇時の円売り
  • 日本政府と日銀の為替介入域
  • 今夜の米小売売上高発表控え

今日2023年8月15日火曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の145円32銭前後から円の安値でドルの高値の145円83銭前後の値幅約51銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は145円81~83銭付近と、前日同時刻の昨夜17時の144円79~80銭付近の前東京終値比で約1円2銭の大幅な円安ドル高であった。

また、今夜その直後の17時1〜2分頃にかけての英国ロンドン外国為替市場では、一時145円86銭付近の今年の円安ドル高の記録を更新した。

今日の為替相場の値動きの主な要因と世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、昨夜の英国ロンドン外国為替市場では、欧州の主要貿易先である中国で昨年まで業界最大手だった不動産開発の碧佳園の経営不安をきっかけにした中国経済懸念のリスク回避の波及により、世界的に流動性の高い安全資産のドルが買われて、円相場にもドル上昇圧が波及していた。

続いて始まった昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場でも、先週末の米国市場で発表された米国経済指標の7月の米国卸売 (生産者) 物価指数 (PPI) が市場予想以上の上昇率を見せたほか、先週発表の米国重要経済指標の7月の米国消費者物価指数 (CPI) の前年同月比も上昇率がおよそ1年1カ月ぶりに加速したことなどを受けて、根強い米国のインフレ圧により、米国連邦準備制度理事会 (FRB) が米国フェデラル・ファンド (FF) 政策金利目標を長期間高金利で維持するという米国金利高止まり予想が優勢になり、米国金利の先高感から米国ニューヨーク債券市場では米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が上昇し、一時4.2129%付近の昨年2022年11月上旬以来の今年初の高利回りを記録したことで、かねてからの円安要因の日米金利差拡大による円売りドル買いの勢いが強まり、米国市場開場時の昨夜21時頃の一時145円6銭付近が米国市場の円の高値でドルの安値になりドルが円相場で上昇を続け、昨夜22時45分頃に一時145円57〜58銭付近の昨年2022年11月上旬以来の米国市場および今年の円の安値でドルの高値の円安ドル高の記録を更新した。

日米金利差拡大による円売りドル買いに加えて、欧州と同じく中国を主要貿易先に持つオーストラリアの豪ドルや、欧州通貨のユーロや英国ポンドなどの主要通貨に対してもドルが買われた影響もあり、主要通貨に対しドルの値動きを示したドルインデックスも上昇しており、一時103.46の7月6日以来の高値を記録していた。

ただし、145円台後半の年内高値を記録後のドルには、昨年秋の日本政府と日本銀行 (日銀 / BoJ) の為替介入警戒域の高値感もあって利益確定売りが入り始めたことや、昨夜の米国市場では特に重要度の高い最新米国経済指標の発表予定がなかったため、定期的に発表されていた米国ニューヨーク (NY) 連銀の月次調査の米国消費者の短期インフレ見通しのニュースが着目され、最新月の7月の1年後の米国消費者インフレ期待の中央値が前回6月の3.8%に対して3.5%に4カ月連続で低下して2021年4月以来の低水準となり、同時発表の3年後と5年後の米国消費者インフレ期待値も前月の3%から2.9%にやや低下したことは抵抗要因となった。

米国ニューヨーク債券市場でも、債券利回りの上昇は債券価格の低下となるため、安値後の米国債の買いの抵抗が入り、米国長期金利の指標となる米国10年債の利回りが一時4.14%台に低下した時には日米金利差拡大幅の一時縮小により対ドルの円相場も午前1時25分頃に一時145円18銭付近までに反発したが、再び債券価格上昇後の利益確定売りや日米金利差拡大予想で米国長期金利が4.2%台に再上昇すると、ドルが145円台後半に買い戻された。

そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は円の高値でドルの安値の145円6銭前後から円の安値でドルの高値の145円58銭前後の値動きで、今朝6時頃のニューヨーク終値を145円56銭付近の前営業日同時刻の前ニューヨーク終値比で約60銭の円安ドル高をつけ、6営業日連続でドルが円相場で続伸のトレンドを形成していた。

今朝早朝の世界FX市場のオセアニア市場では、今朝8時50分に日本の最新重要経済指標の4〜6月期の第2四半期の日本国内実質国内総生産 (GDP) の速報値が発表され、年率換算で前回の2.7%と前回修正の3.7%と市場予想の3.1%に対し6.0%と大幅に上昇し、前期比も前回の0.7%と前回修正の0.9%と市場予想の0.8%に対し1.5%と大幅に改善したことを受け、日本景気好感による主要通貨への円買いで対ドルの円相場も今朝8時50分頃には一時145円37銭付近に反発していた。

しかし、今朝9時頃から始まった今日の日本の東京外国為替市場では、米国市場のトレンドを受けた日米金利差拡大予想の円売りドル買いの影響や、今日は15日で日本の貿易企業の決算日が集中しやすい5と10が付く日の「五十日 (ゴトーび) 」であることから、今朝9時55分の日本市場の仲値決済に向けた日本企業の輸入実需の円売りドル買い需要が先行し、今朝9時10分頃には一時145円59銭付近の昨年以来の円安ドル高が進行した。

ただし、今朝の仲値決済では日本の輸入企業による円買いドル売りも入り、145円台後半では日本政府と日本銀行 (日銀 / BoJ) の為替介入警戒感による高値のドルの利益確定売りや安値の円の持ち高調整買いなどが抵抗要因となり、今朝10時50分頃には一時145円32銭付近の今日の日本市場での円の高値でドルの安値を記録した。

しかし、今朝発表された日本の国内実質国内総生産 (GDP) の大幅上昇を受けた日本景気好感などにより、今日の日経平均株価が一時300円以上も大幅な上昇を見せたことで、日本株高時のリスク選好 (リスクオン) で低リスク通貨の円が売られ、利益を出しやすい高金利のドルなどが買われたことも円安の一因になり、再び円相場ではドルが上昇した。

午後14時台には、日本政府の鈴木俊一財務相が、「為替相場の行き過ぎた動きには適切に対応する。高い緊張感を持って注視している」などと円安牽制の発言をした時には一時抵抗が入ったものの、午後15時15分に今日の日経平均株価は3万2238円89銭の前営業日比178円98銭高の大幅高で大引けし、低リスク通貨の円売りドル買いが続き、日米金利差拡大予想の円安ドル高も進行し、ドルは円相場で上昇を続けて今日の日本市場の円の安値でドルの高値を更新中に今夜17時頃の東京終値を迎えた。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は145円81~83銭付近と、前日同時刻の昨夜17時の144円79~80銭付近の前東京終値比で約1円2銭の大幅な円安ドル高になった。

そして、今夜17時1〜2分頃の英国ロンドン外国為替市場では、一時145円86銭付近の今年の円安ドル高の記録も更新している。

今夜この後にも最新の米国経済指標の発表予定などがあり、日本時間の今夜21時半に重要度と市場注目度の高い7月の米国小売売上高が発表され、同時に 8月の米国ニューヨーク連銀製造業景気指数、7月の米国輸入物価指数、7月の米国輸出物価指数も発表されるイベント時間がある。続いて、今夜23時に8月の米国NAHB住宅市場指数と6月の米国企業在庫、深夜24時に米国連邦準備制度理事会 (FRB) の高官で次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁の発言予定が注目されている。また、29時には6月の対米証券投資も発表予定がある。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は159円21~26銭付近と、昨夜17時の158円56~61銭付近付近の前東京終値比では約65銭の円安ユーロ高であった。

主な要因は、日本との金利差によるドルなどの主要通貨に対しての円安の影響の波及や、今日の日経平均株価上昇を受けてはリスクオンの低リスク通貨の円売りでドルだけでなく、金利上昇後のユーロやポンドなども買われていた。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0919~1.0921ドル付近と、昨夜17時の1.0950~1.0954ドル付近の前東京終値比で約0.31セントのユーロ安ドル高だった。

主な原因は、米国金利の先高感から米国長期金利が上昇したことや、中国景気懸念の安全資産では世界的に流動性の高いドルがユーロに対して買われた影響が出ていた。

ただし、その後の欧州市場で今夜18時に発表された欧州ユーロ圏の8月ZEW景況感調査と主要国ドイツの8月ZEW景況感調査の期待指数は、前回のマイナス圏の下げ幅をやや改善していた。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は185円0~ 6銭付近と、17時の183円77~83銭付近の前東京終値比で約1円23銭の大幅な円安ポンド高であった。

主な要因は、今日の午後15時に発表された英国の最新経済指標の6月の英国失業率はILO方式では前回と市場予想の4.0%に対し4.2%に悪化したものの、7月の英国失業率は前回の4.0%と前回修正の3.9%に対し4.0%の横ばいに近く、同じく発表された英国の平均賃金が想定以上に上昇しており、英国の賃金インフレを受けた英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE) の英国利上げ継続予想による日英金利差拡大予想により、夕方16時頃から英国ポンドが円相場で一時185円台前半に高騰していた影響があった。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2023年8月15日の日本時間(JST)19時29分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替市場時間の夏時間 (GMT+1 / BST) 11時29分) の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:29の為替レート 日本市場前営業日17時の前東京終値時間比
ドル/円 145.62 〜 145.64 +0.83 (円安)
ユーロ/円 159.25 〜 159.26 +0.69 (円安)
ユーロ/ドル 1.0934 〜 1.0936 -0.0016 (ドル高)
英ポンド/円 185.15 〜 185.21 +1.38 (円安)
スイスフラン/円 166.25 〜 166.31 -0.03 (円高)
豪ドル/円 94.20 〜 94.24 +0.16 (円安)


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