FXニュース:米連邦債務上限問題に再懸念

2023年5月22日
FXニュース:米連邦債務上限問題に再懸念

 

東西FXニュース – 2023年05月22日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • FRBパウエル議長ハト派発言
  • 米株安時のリスク回避円買い
  • 日本株価高値時のリスクオン

今日2023年5月22日月曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値138円4銭前後から高値137円49銭前後の値幅約55銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は137円84~85銭付近と、前営業日同時刻の前東京終値比で約27銭の円高ドル安であった。

今日の為替相場の値動きの要因と世界FX市場のトレンド動向の解説と分析はまず、日本時間で先週の金曜の夜から土曜の朝までの先週末の米国ニューヨーク (NY) 外国為替市場では、先週金曜の夜22時台には米国長期金利の指標となる米10年債の利回りが一時3.72%付近の高利回りに上昇していた時には、日米金利差拡大で22時15分頃には一時138円65銭付近の円安ドル高を記録していた。

しかし、週末に行われていた米国連邦債務上限問題に関するバイデン大統領の米国政府と米国野党共和党との上限引き上げ協議は、共和党の交渉担当者のグレイブス下院議員が、「生産的ではないため、中断を決めた」と退席したとのニュースがあり、前日は共和党のマッカーシー下院議長が合意に前向きな発言をして交渉への期待感が高まっていたが、6月のデフォルト期限を前にして再び米国連邦債務上限問題が先行き不透明感になり、米国政府のイエレン財務長官も、「米国銀行破綻問題を受け、さらなる米銀合併が必要になる可能性がある」と銀行幹部達に警告したというCNNニュースなどが伝わり、米国株式市場では米国金融システム不安再燃への警戒感からリスク回避の米株売りで反応し、米国主要株価が下落を始めたため、米国株安時の低リスク通貨の円買いと高値のドルの利益確定売りに転じ始めた。

さらに、前回の東西FXニュースでも予定をお伝えしていた通り、先週金曜の深夜24時頃から市場の注目度が高い米国連邦準備制度理事会 (FRB) のパウエル議長の討論会での発言があり、米国銀行の貸し渋りの状況への考慮から、「信用不安を考慮すると、米国政策金利は、想定されていたほどは上昇する必要がないかもしれない」と、それまでの他の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) メンバー達のタカ派または中立の発言と比較すると、同日の米国連邦債務上限問題や米国金融システム不安により配慮した様なハト派の発言があったことで、次回の米国利上げ継続予想が後退して一気にドル売りが強まり、24時頃には138円台中盤付近で推移していた円相場のドルは、発言後には137円台中盤付近に約1円近く急落し、24時35分頃には137円42銭付近の米国市場及び日通しの円の高値でドルの安値を記録した。

ドルの市場安値からは、週末を前にした持ち高調整や利益確定の高値の円売りとドルの買い戻しの抵抗も入ったものの、米国連邦債務上限問題の懸念の再燃では米国株安時の低リスク通貨の円買いの影響もあり、パウエル議長の発言を受けた日米金利差拡大予想の後退もあって、大きなドルの買い戻しにはならなかった。

そのため、先週金曜の夜から土曜の朝までの米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場は、円の安値138円65銭前後から高値は137円42銭前後の値動きで、先週末の土曜の朝の米国ニューヨーク外国為替市場のニューヨーク終値を137円98銭付近の前営業日同時刻の前ニューヨーク終値比で約73銭の円高ドル安でつけており、米国市場では7営業日ぶりに円相場が反発した。

週が明け、早朝のオセアニア市場では今朝8時15分頃に米国トレンドを引き継いだドル売りでドル円は一時137円57銭付近に円相場が上昇していたが、今朝8時50分には日本の最新経済指標の発表があり、3月の機械受注は、前年同月比が前回の9.8%と市場予想の1.4%に対し-3.5%に大幅に悪化し、前月比も前回の-4.5%と市場予想の0.4%に対し-3.9%であったことなどでは、低リスク通貨の円もやや売られていた。

また、米国連邦債務上限問題については、バイデン大統領と共和党のマッカーシー下院議長が22日の現地午後 (日本時間では明日未明頃) に会談する予定のニュースが伝わってきたことで、持ち高調整や様子見の値動きも入り始めた。

今朝9時からの日本の東京外国為替市場では、9時頃の137円61銭付近から9時30分頃の137円84銭付近に円相場で一時ドルが買われた後に、仲値決済の後の10時4分頃には再びドルが売られて一時137円50銭付近と、10時53分頃に一時137円49銭付近の今日の日本市場での円の高値でドルの安値をダブルボトムで記録した。

原因は、今朝のニュースでは、米国連邦債務上限の引き上げを問題について、先週末の米国市場で伝わったニュースが再び取り上げられており、米国財務省が早ければ、イエレン財務長官が「交渉の厳格な期限」と呼ぶ6月1日にも米国政府がデフォルト (債務不履行) に陥る可能性があることで、先週末の交渉中断に懸念した低リスク通貨の円買いが入った。

その一方で、今朝のバイデン大統領と米国共和党のマッカーシー下院議長が22日に会談するニュースも受け、今朝のドルのダブルボトムの後にはテクニカル分析的なトレンド転換も起きやすかったため、米ドルにイベントリスクの時の値動きが出ると共に、持ち高調整の安値のドル買いも入り始めた。

また、日本では今日の日経平均株価が大幅に上昇しており、低リスク通貨の円が高値後に売られる機会が増え、午後15時10分頃には今日の日本市場の円の安値でドルの高値の一時138円4銭付近を記録した。

午後15時15分には今日の日経平均株価は31086円82銭で、前営業日比278円47銭高で大引けし、1990年7月以来の約33年ぶりの高値を記録していたことから、日本の株式市場ではリスクオンの低リスク通貨の円売りが前日比の高値もあって起きやすかった。

しかし、午後からの欧州英国市場の参入では、再び今日の日本市場での高値後のドルが利益確定や持ち高調整などで売られる抵抗が入り始め、明日未明の米連邦債務上限問題会談の先行きなどに注目が集まっている。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は137円84~85銭付近で、前営業日の先週金曜17時の前東京終値比では約27銭の円高ドル安になった。

今夜この後には、日本時間の明日未明頃の米国連邦債務上限問題会談の前にも、米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達の発言予定があり、日本時間で今夜21時半頃から米国セントルイス連銀のブラード総裁の発言、24時5分頃から米国アトランタ連銀のボスティック総裁と米国リッチモンド連銀の)バーキン総裁と米国サンフランシスコ連銀のデイリー総裁の発言予定があり、いずれも次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) では投票権は持たないが、関係者意見としての影響は市場予想の値動きに影響を与える可能性は注視されている。

一方、今日の欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は148円94~95銭付近で、前営業日の先週金曜17時の前東京終値比で約11銭の円安ユーロ高であった。

主な原因は、今日の日本株高時のリスクオンの低リスク通貨の円売りではユーロが買われていたことや、欧州ユーロ圏で週末に行われたギリシャ総選挙で、与党の新民主主義党 (ND) が第1党を維持し、ギリシャ株などが大幅に買われて欧州株価は一時上昇もしていたため、米国株式市場に比べると低リスク通貨の円買いの影響が少なかったものの、選挙では過半数が獲得できなかったことでは再選挙の可能性もあり、小幅なユーロ高に留まっていた。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0804~1.0805ドル付近で、前営業日の先週金曜17時の前東京終値比では約0.28セントのユーロ高ドル安であった。

主な原因は、米国連邦債務上限問題の再懸念や、パウエル議長のハト派発言を受けたドル売りの影響が対ユーロでも出ていた。

ただし、今夜18時に発表された欧州ユーロ圏の最新経済指標の3月建設支出は前月比と前年同月比ともに低下しており、今夜23時に発表予定の5月消費者信頼感の速報値の結果待ちの持ち高調整なども入っている。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は171円32~38銭付近で、前営業日の先週金曜17時の前東京終値比で約37銭の円高ポンド安であった。

主な原因は、今日の英国ロンドン外国為替市場では、日本時間の午後にあたる現地朝に、英国債利回りが低下した影響で英ポンドが売られた影響などがあった。

ただし、今夜その後には英国株式市場が小幅高で投資用の英国ポンド買いや、低リスク通貨の円が売られる機会もあり、19時台には小幅な円安ポンド高に市場反転もしている。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2023年5月22日の日本時間(JST)19時17分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替時間の夏時間 (GMT+1 / BST) 11時17分) の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:17の為替レート 日本市場前営業日17時の前東京終値時間比
ドル/円 137.89 ~ 137.90 -0.22 (円高)
ユーロ/円 149.24 ~ 149.25 +0.41 (円安)
ユーロ/ドル 1.0821 ~ 1.0823 +0.0045 (ドル安)
英ポンド/円 171.71 ~ 171.77 +0.02 (円安)
スイスフラン/円 154.19 ~ 154.25 +0.83 (円安)
豪ドル/円 91.68 ~ 91.72 -0.06 (円高)


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