マーケットコメント:タームプレミアム上昇!米国債に警告サイン?
2024年10月24日東西FXマーケットコメント – 2024年10月24日
文/宇佐美幸弥 – 東西FXリサーチチーム
東西FXではFXとマクロ経済リサーチを担当しております宇佐美と申します。
本日は、米国債市場でタームプレミアムが上昇している件について、マクロ経済の状況を踏まえつつ、その具体的な内容と背景となる要因について分析します。メインテーマは上昇するタームプレミアムと売られ続ける米国債。
タームプレミアム上昇!米国債に警告サイン?
10月23日、直近、米国債市場でタームプレミアムが上昇している。
Bloombergによれば、米国10年国債のタームプレミアムは0付近から今月に入って25bp上昇しており、昨年11月以来の高水準であるとのこと。なお、タームプレミアムとは債券に投資する際に、短期債を連続的に買うよりも、長期際に投資する場合に求める追加的な利回りのことである。
直近米国債の利回りは上昇を続けており、10年債の利回りは4.2を突破している。この背景には、米国政府の債務残高上昇懸念があると思われる。現在行われている米国選挙にて、民主党カマラ・ハリス氏、共和党ドナルド・トランプ氏が共に財政支出拡大の方針を表明しており、その結果、米国債のプレミアムが上昇しているのだと思われる。
一方で、米国経済と株式市場は非常に堅調であり、米国の債務支払い能力が落ちているかという点には疑問が残る。タームプレミアムの上昇は米国選挙前の一時的な事象である可能性もあるため、米国債市場には引き続き注視する必要があるだろう。
米国債10年利回りテクニカル分析〜現在の値動き分析と今後のトレンド予測〜
以下のチャート(Investing.comより)は米国債10年利回りの日足チャートを示している。
この図を見れば、10月に入ってから米国債10年利回りは上昇し続けていることがわかる。
テクニカル分析の観点で見ると、25日移動平均線が75日移動平均線を上回るゴールデンクロスが発生しており、上昇トレンドを示唆しているものの、RSIは買われすぎラインを超えており、下落シグナルを示している。
ファンダメンタル的な観点で言えば、米国選挙における代表二人が共に財政支出拡大の方針をとっていることなどを踏まえれば、財政懸念の観点から米国債が売られ、利回りが上昇するのは自然であると言えるものの、米国経済の堅調性を考えれば、利回り上昇の継続性には疑問も残る。
こうした状況を踏まえれば、米国債10年利回りは依然として先行きが不透明であり、引き続き注視が必要である。
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