FXニュース:今夜米卸売物価指数発表控え

2024年2月16日
FXニュース:今夜米卸売物価指数発表控え

 

東西FXニュース – 2024年2月16日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米小売売上高が市場予想以下
  • 米連銀製造業景気指数は改善
  • 米新規失業保険申請件数堅調
  • 日米金利差に連れ易いドル円
  • 欧米高官達の利下げ慎重発言
  • 日銀総裁の緩和的発言も継続
  • 日経平均株価続伸リスクオン

今日2024年2月16日金曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の149円92銭付近から、円の安値でドルの高値の150円36銭付近の値幅約44銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は150円23~24銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の150円19~21銭付近の前東京終値比では約4銭の小幅な円安ドル高であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、昨夜の英国ロンドン外国為替市場後半の22時頃から米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時150円6銭付近から始まったが、昨夜22時30分のイベント時間に複数同時発表された最新米国経済指標の中で最も重要度が高かった今年1月の米国小売売上高の前月比が前回の0.6%と前回下方修正の0.4%と市場予想の-0.1%を下回る-0.8%で、自動車を除くコアも前回の0.4%と市場予想の0.2%に対し-0.6%のマイナス圏に悪化したことを受けた景気懸念から発表時間の昨夜22時30分頃にドルは円相場で一時149円51銭付近に瞬時急落し、米国市場の円の高値でドルの安値を記録したほか、欧州ユーロなどの他の主要通貨に対しても一時はドルの全面安を記録した。

しかし、同時発表された今年2月の米国ニューヨーク連銀製造業景気指数は前回の-43.7と市場予想の-15.0を大幅に上回る-2.4に改善されたほか、同2月の米国フィラデルフィア連銀製造業景気指数も前回の-10.6と市場予想の-8.0を大幅に上回る5.2のプラス圏に転ずるなど好調であったことに加えて、米国雇用関連の最新経済指標の前週分の米国新規失業保険申請件数も前回の21.8万件と前回修正と市場予想の22.0万件より堅調な21.2万件に改善されたことを受けては、ドルは円相場で瞬時に反発を始め、数分後の昨夜22時34分頃には150円台を回復し、昨夜22時35分頃には一時150円10銭付近に上昇し、さらに上昇に向かった。

ただし、前週分の米国失業保険継続受給者数は前回の187.1万人が前回修正では186.5万人に改善されたものの、今回分は前回と市場予想の188.0万人よりも悪化した189.5万人であったことでは強弱入り混じったため、抵抗も交えた。

一方で、同じく発表された今年1月の米国輸入物価指数の前月比は、前回の0.0%と前回修正の-0.7%と市場予想の0.0%を上回る0.8%に輸入物価が上昇し、1月の米国輸出物価指数の前月比も前回の-0.9%と前回修正の-0.7%と市場予想の-0.1%に対し0.8%に上昇しており、米国輸出入関連の前回と市場予想以上のインフレ圧が意識されたことでは、今夜この後の翌米国市場で発表予定の最新米国経済指標の1月の米国卸売 (生産者) 物価指数 (PPI / Producer Price Index) が注目され、米国のインフレが長期化する場合には米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の高金利維持が長期化する可能性もあるため、持ち高調整も混ざり始めた。

米国ニューヨーク債券市場でも、強弱入り混じった最新米国経済指標の同時発表のイベントを受けて、世界的な安全資産でもある米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が、市場予想以下の米国小売売上高の発表を受けたリスク回避の安全資産の米国債買いでは発表前の一時4.23%付近から一時4.20%台に急落したものの、他の堅調な米国経済指標を受けては一時4.21%台に反発したが、続いて昨夜23時15分に発表された1月の米国鉱工業生産の前月比が前回の0.1%と前回修正の0.0%と市場予想の0.3%に対し-0.1%と弱かったことでは再び一時4.20%台になった後、深夜24時に発表された2月の全米住宅建設業者協会 (NAHB / National Association of Home Builders) 住宅市場指数が前回の44と市場予想の46を上回る48に上昇したため、米国長期金利が再反発後には上昇を続けて、午前1時台後半には一時4.25%に達し、日米金利差拡大時の円売りドル買いの影響により、午前1時49分頃にドルは円相場で一時150円24〜25銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。

しかし、この日の米国ニューヨーク債券市場では、米国債の利払い日であったこともあり、最近の早期の米国利下げ予想の後退により米国債の利回りが上昇していたことで買われていた米国債が利払い後には債券価格上昇に伴い利益確定で売られた一方で、利回り上昇と債券価格低下後には安値から買い戻される動きもあったため、米国長金利が再び一時4.23%台付近の開場時と同じレベルに戻すという金融用語の「往って来い」になると、市場高値後のドルには利益確定売りが入り始めて、円相場が反発した。

ただし、米国ニューヨーク株式市場では、時差で先行していた欧州株式市場でフランスやドイツの株価指数が史上最高値を更新するなど堅調であった世界市場の影響もあり、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株30種 (Dow Jones Industrial Average) が前日比で大幅高と堅調になったほか、米国S&P500種 (Standard and Poor’s 500) や米国ナズダック平均 (NASDAQ Composite) も揃って続伸するという欧米株価上昇時の強気市場のブルマーケット (Bull Market) になったことでは、リスク選好のリスクオン (Risk-on) では、欧州ユーロ買いに対して安全資産の米国債やドル売りだけでなく、低リスク通貨の円も売られたことは主要通貨に対する円相場の上値を抑えていた。

午前3時15分頃からの次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) のウォラー理事の発言は、以前の発言では米国の利下げに慎重な姿勢を示していたことから今回も金利に関する発言が期待されていたものの、大学の講演で最近の暗号資産(仮想通貨)や欧州ユーロや、中国政府の人民元に対する取り組みに対し、「ドルが近い将来、世界の準備通貨としての地位を失うとは考えていない。この地位が脅かされ得るとの警告が一部で聞かれるきっかけとなった最近の動きは、少なくとも現在のところは寧ろこの地位を強固なものにしている」と、世界的に流動性が高い安全資産で基軸通貨としてのドルの強さと重要性についての発言であった。

午前6時には昨年12月の対米証券投資が発表され、短期債を除くと前回の1261億ドルと前回修正の997億ドルから1602億ドルに増加したが、全体では前回の2602億ドルと前回修正の2233億ドルを下回る1398億ドルに規模が縮小していた。

また、今夜この後にも注目度の高い最新米国経済指標の1月の米国卸売 (生産者) 物価指数 (PPI) や米国ミシガン大学態度指数の速報値などの発表予定があるため、米国市場ではイベント前の持ち高調整や買い控えなども混ざっていた。

このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の149円51銭付近から、円の安値でドルの高値の150円25銭付近の値動きで、今朝7時前頃のニューヨーク終値は149円93銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の150円58銭と比べて約65銭の円高ドル安をつけていた。

今朝8時50分には、日本の最新経済指標の前週分の対外対内証券売買契約等の状況が発表され、対外中長期債が前回の4566億円と前回修正の4567億円から大幅に増加した1兆4993億円になり、対内株式も前回の3084億円と前回修正の3082億円から倍増近い6213億円に上昇していた。

今朝早朝のアジア・オセアニア市場では中国が春節関連の大型連休であったが、今朝9時頃からの今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時149円92銭付近の今日の日本市場の円の高値とドルの安値から始まり、今朝9時3分頃にもテクニカル分析的なダブルボトム (Double Bottom) の二重底を叩いたことで、今日の日本市場では安値圏からのドル買いが始まり、ドルが円相場で反発上昇を始めた。

この原因は、今朝までの欧米株高の影響もあり、今日の東京株式市場でも今朝までの先物から上昇トレンドだった日経平均株価 (Nikkei Stock Average) が大幅に上昇し、史上高値圏に近づいたことから、日米欧株価上昇時のリスク選好のリスクオンの低リスク通貨の円売りで、ドルやユーロが買われて上昇する一方で円相場が下落した。

また、今朝9時頃から今年から米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持った米国連邦準備制度理事会 (FRB) の米国アトランタ連銀のボスティック総裁の発言があったことがニュースの話題になり、米国の2%のインフレ目標達成に向けて、「最近のデータや我々の調査、聞き取りから得られる証拠は、勝利がはっきりと手中に収まったわけではないことを示している」と、米国の利下げを急がない慎重な今後のデータ重視の姿勢を示したことでも、日本市場時間の時間外の米国債券市場でも今朝の米国長期金利が一時4.26%台に向けて上昇し、日米金利差拡大による円売りドル買いにつながった。

一方で、今朝も日本政府の鈴木俊一財務相が閣議後記者会見で、「為替相場は安定的に推移することが望ましい。引き続き、高い緊張感をもって市場を注視する」という円安牽制の口先介入を繰り返したが、市場では反応薄だった。

鈴木俊一財務相は、今日の衆院財務金融委員会で日本政府によるデフレ脱却宣言について、「マイナス金利解除など金融政策の変更をもって、ただちに判断するものではない」とも語ったこともあり、市場では日本の国内金利の上昇幅は限られると受け止められていた。

今日の衆院財務金融委員会には、日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の植田和男総裁も出席しており、「マイナス金利解除などを実施しても、緩和的な金融環境は当面続く可能性が高い」と以前と同じ発言を繰り返したことでも、日本の超低金利政策の長期化予想による円売りドル買いが再燃し、昼の12時52分頃にドルは円相場で一時150円36銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。

また、午後からの欧州英国市場の参入もあって、時間外の米国債券市場では日米金利差がさらに拡大し、夕方には米国長期金利は一時4.27%台に上昇したほか、午後15時台には今日の日経平均株価が市場高値付近からの利益確定でやや上昇幅を縮めたものの、それでも3万8487円24銭の終値で前営業日比329円30銭高の大幅高で大引けしたことでは、リスクオンの低リスク通貨の円売りの影響が為替相場に影響を与えていた。

このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は150円23~24銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の150円19~21銭付近の前東京終値比で約4銭の小幅な円安ドル高になった。

今夜この後にも注目度の高い最新米国経済指標の発表予定や次回の米国公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達の発言予定もあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜22時頃から米国リッチモンド連銀バーキン総裁の発言予定、今夜22時30分に1月の米国卸売 (生産者) 物価指数 (PPI) と、1月の米国住宅着工件数と1月の米国建設許可件数が同時発表される予定で、続いての23時10分頃からはFRBのバー副議長の発言予定、深夜24時にも注目度が高い2月の米国ミシガン大学消費者態度 (信頼感) 指数の速報値の発表予定、26時10分頃から米国サンフランシスコ連銀デイリー総裁の発言があり、以上のFRB高官達は全員次回のFOMC投票権を持っている。

また、米国株式市場では、週末を控えた利益確定や持ち高調整などにも注意が必要である。

一方、今日の欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は161円67〜68銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の161円20〜22銭付近の前東京終値比で約47銭の円安ユーロ高であった。

主な要因は、欧州中央銀行 (ECB) 理事会の高官達に再び利下げに慎重な発言が続いていた影響や日銀のマイナス金利後も緩和的な金融政策継続の発言により、日欧金利差が意識された円売りユーロ買いのほか、日米欧の株価上昇時のリスク選好市場では世界的に流動性が高い安全資産のドルや低リスク通貨の円が売られて、欧州ユーロが買われやすかった。

このため、ユーロドルも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0760〜1.0762ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.0732〜1.0733ドル付近の前東京終値比で約0.28セントのユーロ高ドル安であった。

また、今日の午後16時には欧州ユーロ圏の最新経済指標の発表があり、主要国ドイツの1月の独卸売物価指数 (WPI / Wholesale Price Index) の前月比は、前回の-0.6%から0.1%に上昇したことでも、欧州インフレ警戒感があった。

ただし、続いて午後16時45分に発表されたフランスの1月仏消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) の改定値は、前月比が前回と市場予想通りの-0.2%の横ばいで、前年同月比も前回と市場予想通りの3.1%の横ばいであった。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は189円17〜23銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の188円37〜43銭付近の前東京終値比では約80銭の円安ポンド高であった。

主な要因は、今日の午後16時に発表された最新英国経済指標の今年1月の英国小売売上高が、前月比は前回マイナス圏だった-3.2%と前回修正の-3.3%と市場予想の1.5%を大幅に上回るプラス圏の3.4%に改善されたほか、前年同月比も前回の-2.4%と市場予想の-1.4%を上回る0.7%で、自動車を除いたコアの前月比も前回の-3.3%と前回修正の-3.5%と市場予想の1.7%以上の3.2%で、同じく前年同月比も前回の-2.1%と市場予想の-1.6%よりも改善された0.7%であったことが好感され、英国景気懸念が緩和され、低リスク通貨の円売りで欧州ユーロだけでなく英国ポンドも買われて上昇した。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年2月16日の日本時間(JST)20時35分(チャート画像の時間帯は、日本から時差で9時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の冬時間 (GMT / JST-9) の11時35分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:35の為替レート 前営業日JST 17:00の前東京終値比
ドル/円 150.20 〜 150.21 +0.01 (円安)
ユーロ/円 161.86 〜 161.88 +0.66 円安)
ユーロ/ドル 1.0775 〜 1.0777 +0.0043 (ドル安)
英ポンド/円 189.16 〜 189.22 +0.79 (円安)
スイスフラン/円 170.52 〜 170.58 +0.63 (円安)
豪ドル/円 98.01 〜 98.05 +0.48 (円安)


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