FXニュース:今夜の米小売売上高発表控え

2024年2月15日
FXニュース:今夜の米小売売上高発表控え

 

東西FXニュース – 2024年2月15日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米長期金利低下で金利差縮小
  • 日本のGDPが市場予想下振れ
  • 五十日で国内輸出企業円買い
  • 日経平均株価が反発大幅上昇
  • 欧ECBに利下げ慎重発言再び
  • 英四半期GDPもマイナス成長

今日2024年2月15日木曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートは、円の安値でドルの高値の150円56銭付近から円の高値でドルの安値の150円5銭付近の値幅約51銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は150円19~21銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の150円43~44銭付近の前東京終値比では約24銭の円高ドル安であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、昨夜の英国ロンドン外国為替市場後半の昨夜22時頃から米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時150円60銭付近から始まったが、先日の米国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) のコア指数が市場予想を上回る一方で昨日発表の英国消費者物価指数 (CPI) は市場予想以下であったため、米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の高金利長期化予想により、昨夜の米国ニューヨーク債券市場で米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が、昨夜22時頃の一時4.29%台から昨夜23時台に一時4.31%台に上昇した一方で、英国債券利回りの英国長期金利が低下していたため、英米金利差による英国ポンド売りのドル買いの影響の波及や、日米金利差拡大による円売りドル買いで、深夜24時10分頃にドルは円相場で一時150円75銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。

しかし、昨夜23時30分頃から米国ニューヨークの外交問題評議会 (CFR / Council on Foreign Relations) で講演が始まっていた米国シカゴ連銀のグールズビー総裁の発言内容が深夜過ぎ頃から市場にニュースとして伝わり、市場高値後のドルには利益確定売りが入り始めた。グールズビー総裁は次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権は持たないが、米国連邦準備制度理事会 (FRB) の高官であることから発言内容が市場で注視されていたが、「米国の利下げは、インフレが目標への軌道上を進んでいるとの確信と結びつけられるもので、過去6ヶ月間に見られた様なデータが増えれば、その道筋が見えてくるだろうが、それは恐らく厳しい」としながらも、「インフレが12カ月ベースで2%に低下するまで利下げ開始を待つことは支持しない」としており、「インフレが数カ月に渡りやや高めに出たとしても、当局目標への道筋となお整合する」として、最終的には今年の利下げに向かう道筋を示唆した上で、「2%のインフレ目標は、米国消費者物価指数 (CPI) ではなく、米国個人消費支出 (PCE / Personal Consumption Expenditures) 価格指数に基づく」ことや、インフレのトレンドを単月データだけでは判断しないことから、先日の市場予想以上のコアCPI発表後の市場予想の反応をやや牽制する形となった。

また、昨夜は欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) のデギンドス副総裁が、欧州のインフレ率について、「目標とする水準に持続的に向かっていると確認するためには、もう少し時間が必要」との内容の発言していたニュースがあり、欧州の早期の利下げに慎重な姿勢が再び示されたことなどでも、高値後のドルの利益確定売りで欧州ユーロが買い戻され、一時は今年最大のユーロ高ドル安に向かった影響が、対ドルの円相場にもドル下落圧として波及した。

さらに、深夜24時30分に発表された最新米国経済指標の週間の米国原油在庫が、中東情勢などを受けた米国政府の国家安全対策もあって急増しており、市場予想の260万バレル増に対して1200万バレル増の4億3950万バレル増加と大幅に増加したことを受けて、余剰感から米国原油先物価格が1ドル以上も急落し、コモディティ市場からのリスク回避のリスクオフ (Risk-off) で安全資産の米国債が買われて価格上昇に伴う利回り低下が起き、日米金利差縮小時の円買いドル売りが入ったほか、原油安時には日本の貿易赤字リスクの緩和により主要通貨に対しても低リスク通貨の円が年内安値圏から買われやすくなったことも、円相場の反発と上昇に繋がった。

加えて、昨夜の米国ニューヨーク債券市場では、利回り上昇の米国債の中には利払い日が米国現地時間で今夜の翌市場にあたる2月15日に設定されているものがあり、利払いを控えた米国債人気もあり、利回り上昇後の安値感から世界的な安全資産でもある米国債が買われたため、米国債の債券価格上昇に伴う利回り低下の影響が起き始めて、米国長期金利反落に伴う市場高値後のドルの利益確定売りが円相場で勢いを増し、上昇後の米国長期金利が一時4.24%台に向けて大幅に急落したため、日米金利差縮小時の円買いドル売りが強まり、午前3時4分頃にドルは円相場で一時150円35銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。

ただし、米国ニューヨーク株式市場では、最近の堅調な米国経済指標や、この日の米国長期金利低下を受けた金利上昇警戒感の緩和などの影響もあり、米国主要株価三指数が揃って上昇し、米国ダウ工業株30種 (Dow Jones Industrial Average) や米国ナズダック平均 (NASDAQ Composite) が前日比で大幅高の終値に向かったほか、S&Pも史上高値圏の5000を上回ったまま前日よりも小幅高の終値へ向かったことでは、市場高値後の低リスク通貨の円には、リスク選好のリスクオン (Risk-on) の利益確定売りの抵抗も入った。

しかし、米国ニューヨーク債券市場では、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が4.255%に低下した前日比-0.060で終値をつけたことでは、日米金利差縮小の影響が残った。

このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の150円75銭付近から、円の高値でドルの安値の150円35銭付近の値動きで、今朝7時前頃のニューヨーク終値は150円58銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の150円80銭付近と比べて約22銭の円高ドル安をつけていた。

今朝早朝のアジア・オセアニア市場では中国は連休であったが、今朝8時50分に日本の最新重要経済指標の昨年10〜12月の第4四半期実質国内総生産 (GDP / Gross Domestic Product) の速報値が発表され、年率換算は前回の-2.9%と前回修正の-3.3%と市場予想の1.4%に対し-0.4%と、前回よりは改善したものの市場予想以下のマイナス成長の継続となり、前期比も前回の-0.7%と前回修正の-0.8%と市場予想の0.3%に対し-0.1%と、プラス圏への上昇の市場予想に届かず、前回よりは改善したもののマイナス成長に留まったことでは日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) がマイナス金利解除に慎重になる可能性から円が売られたため、今朝9時頃からの今日の日本の東京外国為替市場のドル円は一時150円56銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録して始まった。

しかし、今日の日本市場では、最近の日本政府の円安牽制発言の影響もあり、今年の150円台の円安ドル高の進行後かつ米国長期金利の低下を受けた日米金利差縮小時のドルの利益確定売りによる円の買い戻しが入りやすかったほか、今日の日本市場は15日で国内貿易企業の決算日が集中しやすい5と10が付く「五十日 (ごとおび / ゴトーび) 」であったため、国内輸出企業による大規模な円買いドル売りが優勢で、対ドルの円相場が上昇した。

一方で、今朝までの堅調な米国株式市場の影響もあり、米国を主要貿易先に持つ日本でも今日の東京株式市場で日経平均株価 (Nikkei Stock Average) が半導体関連株などの牽引もあって大幅に上昇し、午後15時台に1990年1月11日以来の高値の3万8157円94銭の終値と、前営業日比で454円62銭高の大幅高で大引けしたことでは、リスク選好のリスクオンの抵抗も混ざった。

ただし、午後16時からの英国ロンドン外国為替市場の参入では、昨夜に英国の北海ブレント原油先物も米国原油先物安に連れ安になった影響や、英国最新重要経済指標の昨年10〜12月の第4四半期の英国国内総生産 (GDP) の速報値も前期比が前回と市場予想の の英国月次国内総生産 (GDP) の前月比が前回の0.3%と前回修正の0.2%と市場予想の-0.1%に対し-0.3%に悪化し、前年同期比も前回の0.3%と前回修正の0.2%と市場予想の0.1%に対し-0.2%のマイナス成長の英国景気懸念により、リスク回避で世界的な安全資産の米国債が買われて米国長期金利が一時4.21%台に向けて低下し、日米金利差縮小時の円買いドル売りに加えて、今朝までの原油安を受けた日本の貿易赤字リスク減少とマイナス成長ながらも前回よりも回復を示した日本景気の影響などもあり、英国ロンドン外国為替市場では世界最大の対外純資産額を持つ日本の低リスク通貨の低リスク通貨の円買いに加えて、海外投資などでも米国債や円が買われていたため、対ドルの円相場が上昇し、午後16時3分頃に一時150円5銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

ただし、日本市場終盤と同時進行の英国ロンドン外国為替市場では、午後16時に同時発表されていた最新英国重要経済指標の昨年12月の月次の英国国内総生産 (GDP) の前月比は、前回の0.3%と前回修正の0.2%と市場予想の-0.2%に対し-0.1%と、前回よりも悪化の英国景気懸念の想定範囲内であったことや、同じく発表されていた12月の英国鉱工業生産は、前月比が前回の0.3%と前回修正の0.5%と市場予想の-0.1%に反し0.6%に改善されたほか、前年同月比も前回の-0.1%と前回修正の0.1%と市場予想の-0.4%に対し0.6%のプラス圏に上昇し、12月の英国製造業生産指数も前月比が前回の0.4%と前回修正の0.8%と市場予想の0.0%に対し0.8%と強弱入り混じったことでは、価格上昇後の低リスク通貨の円や安全資産の米国債には利益確定売りの抵抗も入り始めた。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は150円19~21銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の150円43~44銭付近の前東京終値比で約24銭の円高ドル安になった。

今夜この後にも最新米国重要経済指標の発表予定のイベントが注目されており、次回の米国公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の発言予定もあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜22時30分のイベント時間に最新重要経済指標の今年1月の米国小売売上高と、前週分の米国新規失業保険申請件数と米国失業保険継続受給者数、2月の米国ニューヨーク連銀製造業景気指数、 2月の米国フィラデルフィア連銀製造業景気指数、1月の米国輸入物価指数が同時発表され、続いて今夜23時15分に1月の米国鉱工業生産と1月の米国設備稼働率、深夜24時に昨年12月の米国企業在庫と、2月の全米住宅建設業者協会 (NAHB / National Association of Home Builders) の米国住宅市場指数、27時15分頃から米国連邦準備制度理事会 (FRB) のウォラー理事の発言予定、30時に12月の対米証券投資などが予定されている。

また、イベント時間の値動きに加えて、イベント前には早期の利益確定売りや持ち高調整も入りやすくなるため、明日の金曜日には最新の米国生産者(卸売)物価指数 (PPI / Producer Price Index) や、米国ミシガン大消費者信頼感指数などの発表イベントも控えていることには注意が必要である。

今夜のイベント前のドルの持ち高調整の影響もあり、今夜18時43分頃の英国ロンドン外国為替市場ではドルは円相場で一時149円92銭付近の日通し安値も更新したが、その直後には再び150円台に戻しており、イベントリスクの買い控えや様子見も入っているため、イベント時やイベント後の値動きには注意が必要である。

一方、今日の欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は161円20〜22銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の161円8〜10銭付近の前東京終値比で約12銭の円安ユーロ高であった。

主な要因は、前述の通り、欧州中央銀行 (ECB) 理事会の高官に再び利下げに慎重な発言が出たことを受けて、米国長期金利低下時のドルなどに対して欧州ユーロが買い戻されて対ドルでユーロ高になった影響が円相場にも円安ユーロ高として波及したほか、日米株価上昇時のリスク選好の円売りでも日欧金利差予想もあって欧州ユーロが買われていた。

このため、ユーロドルも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0732〜1.0733ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.0707〜1.0709ドル付近の前東京終値比で約0.25セントのユーロ高ドル安であった。

また、今夜17時頃から欧州議会での欧州中央銀行 (ECB) のラガルド総裁の発言があり、「欧州の賃金の伸びは引き続き堅調で、今後数四半期はインフレの益々重要な原動力になると予想される」と、欧州の利下げ開始の時期を決める上で、欧州の賃金の上昇率がこれまで以上に重要な要素になりつつあることや、欧州のディスインフレーション (Disinflation) は今年2024年も徐々に進展を見せる見通しではあるものの、欧州インフレのリスクは残っており、物価上昇率が目標の2%に抑制されつつあるというさらなる確証が必要であると発言していた。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は188円37〜43銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の188円97銭〜189円3銭付近の前東京終値比では約60銭の円高ポンド安であった。

主な要因は、前述の通り、今日の午後16時に発表された英国最新重要経済指標の昨年10〜12月の第4四半期の英国国内総生産 (GDP) の速報値が市場予想以下のマイナス成長に悪化したことを受けた英国景気懸念の影響などで、低リスク通貨の円に対して英国ポンドが下げた影響が見られたが、同時発表だった他の最新英国経済指標には強弱が入り混じったことでは、買い戻しの抵抗も混ざった。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年2月15日の日本時間(JST)20時39分(チャート画像の時間帯は、日本から時差で9時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の冬時間 (GMT / JST-9) の11時39分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:39の為替レート 前営業日JST 17:00の前東京終値比
ドル/円 150.04 〜 150.05 -0.39 (円高)
ユーロ/円 161.10 〜 161.11 +0.02 (円安)
ユーロ/ドル 1.0736 〜 1.0737 +0.0029 (ドル安)
英ポンド/円 188.24 〜 188.30 -0.73 (円高)
スイスフラン/円 169.89 〜 169.95 +0.26 (円安)
豪ドル/円 97.49 〜 97.53 +0.06 (円安)


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