FXニュース:ドル円今年の150円台を記録

2024年2月14日
FXニュース:ドル円今年の150円台を記録

 

東西FXニュース – 2024年2月14日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 最新米CPIが市場予想を上回る
  • 米長期金利一時4.3%台に上昇
  • 米インフレ高金利長期化予想
  • 米金利警戒感のリスク回避も
  • 日米株価下落時の低リスク通貨
  • 英CPIインフレ指標は想定以下

今日2024年2月14日水曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートは、円の安値でドルの高値の150円78銭付近から円の高値でドルの安値の150円35銭付近の値幅約38銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の東京終値は150円43~44銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時149円59~60銭付近の前東京終値比では約84銭の円安ドル高であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、昨夜22時頃からの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時149円34銭付近から始まり、最新重要米国経済指標発表前のイベントリスクでは発表直前の昨夜22時半前頃に一時149円23銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録していたが、昨夜22時30分に発表された米国連邦準備制度理事会 (Federal Reserve Board ) が今後の米国の新政策金利や金融政策を決める上で重視している米国インフレ指標として注目されていた最新米国重要経済指標の1月の米国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) が市場予想を上回り、米国インフレの根強さから米国の利下げ時期が遅れる市場予想が高まり、米国長期金利が一時4.3%台に上昇し、日米金利差拡大による円売りドル買いでドル円は150円台の今年最大の円安ドル高記録を更新したほか、欧州ユーロなどの主要通貨に対しても金利差拡大でドルが買われて上昇し、ドルが一時全面高を記録した。

最新データの1月の米国消費者物価指数 (CPI) は、前月比が前回の0.3%と前回修正と市場予想の0.2%に対し0.3%上昇し、前年同月比では前回の3.4%と市場予想の2.9%に対し3.1%の鈍化傾向は示したものの市場予想ほどは鈍化しておらず、天候条件などで価格変動が激しい生鮮食品などを除いた物価動向の基調を測る上で重視される1月の米国消費者物価指数 (CPI) のコア指数は、前月比が前回と市場予想の0.3%を上回る0.4%上昇し、前年同月比は市場予想の3.7%を上回る前回と横ばいの3.9%で、基調的な米国インフレの根強さを示したことで、かねてより後退していた米国の早期の利下げ予想がさらに減退した。

次回3月の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) で米国政策金利のフェデラル・ファンド (FF / Federal Funds) 誘導レートが現在の5.25〜5.50%の高金利のまま据え置きされる市場予想は、金利先物動向データから市場予想値を示すことで有名なフェドウォッチ (FedWatch) では91.5%付近に上昇し、小幅利下げ予想が8.5%に後退したほか、大幅利下げ予想は消失しており、さらにその先の5月の米国金利据え置き予想値も58.2%付近に上昇したことで、米国政策金利の高金利長期化予想から米国ニューヨーク債券市場では米国長期金利が上昇し、米国CPI発表前の一時4.15%台から発表直後に一時4.26%台に急伸した後も上昇を続けて米国市場の終盤の一時4.33%付近に向かったため、ドルも円相場で昨夜22時30分の発表時に150円台に急伸した後も米国長期金利の上昇に連れるように上昇を続け、午前4時59分頃に一時150円88銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録し、昨年2023年11月16日以来の今年最大の円安ドル高記録を更新した。

ただし、円安の抵抗要因もあり、米国政策金利が高金利で長期間維持される可能性から米国ニューヨーク株式市場では、金利先高感への警戒が高まり、企業ローン金利などの決算への影響が懸念された株売りでは、米国主要株価三指数が揃って下落したため、米国株価下落時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) では、ドルから買える低リスク通貨の円が安値から買われて円相場がやや反発したほか、米国債券価格低下に伴う利回り上昇が米国長期金利上昇につながっていた米国債も、安値圏から買われた抵抗がやや混ざり始めた。

また、今年最大の150円台の円安ドル高では、日本政府と日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の為替介入への警戒感も意識され、市場高値後のドルには利益確定売りと、持ち高調整の安値からの円買いもやや入り始めた。

一方で、今年11月の次期米国大統領選を控えたバイデン大統領は、早期の米国インフレ抑制の勝利宣言をしたかったことで知られているが、1月の米国消費者物価指数 (CPI) の上昇率は、前年同月比で3.1%の上昇率と、前月からは鈍化したことの方を強調し、2022年の「ピーク時からは、3分の2に下がった」と方向性を変えてアピールし上で、「物価抑制価に向けて、まだやるべきことがある」とし、処方薬価格引き下げなどへの取り組みや、企業に対して、商品の容器を小さくしたり中身を少なくしたりする「ステルス (隠れ) 値上げ」を行わないように求め、「アイスクリーム好きとして、価格は安くならないのに容量だけはインフレで縮小する『シュリンクフレーション(Shrinkflation / 縮小のシュリンクとインフレのインフレーションをかけた洒落)』にはうんざりだ」と訴えていた。

そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の149円23銭付近から、円の安値でドルの高値の150円88銭付近までの値幅約1円65銭の値動きで、今朝7時前頃の冬時間のニューヨーク終値は150円80銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の149円35銭と比べて約1円45銭の大幅な円安ドル高をつけていた。

今朝のアジア・オセアニア市場では、中国が春節の大型連休で休場であったが、今朝9時頃からの日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時150円73銭付近から始まり、今朝の日本市場時間の時間外の米国債券市場でも米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.33%台の高利回りに向けて上昇したため、今朝9時3分頃にドルは円相場で一時150円78銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。

しかし、今朝の日本の国内ニュースでは、早朝までの米国市場で今年最大の一時150円88銭付近の円安ドル高が進行したことを受けて、日本政府の神田真人財務官が、「最近の為替の変動 (ボラティリティ / Volatility) は急速だ。高い緊張感を持って為替市場を注視するとともに、必要があれば、適切な対応をしていく」と円安牽制の発言をしたことから、為替介入への警戒感が高まり、持ち高調整の円買いや高値のドルの利益確定売りが入り始めたことでは、円相場は150円台後半から150円台前半へと下げ幅を縮め始めた。

また、日本企業の主要取引先である米国で金利警戒感などから米国主要株価三指数が下落し、米国ダウ (Dow Jones Industrial Average) やナズダック (NASDAQ Composite) が前日比で大幅安であった影響もあり、今日の東京株式市場では日経平均株価 (Nikkei Stock Average) も大幅に下落したため、日本株価下落時のリスク回避のリスクオフでは国内第一安全資産の低リスク通貨の円が買い戻されたことでも、円相場が今朝までの大幅な下げ幅を縮小する抵抗要因となった。今日の午後15時台には、今日の日経平均株価は3万7703円32銭の終値をつけ、前日比で260円65銭安の大幅安のまま大引けした。

午後からの欧州市場と英国ロンドン外国為替市場の参入でも、欧州周辺の景気懸念が燻る中で、今週に利払い支払いを控えた世界的な安全資産でもある人気の米国債の利回り上昇後の債券価格の安値感から米国債買いが入り、債券価格上昇に伴う利回り低下の影響で米国長期金利が一時4.28%台に急落したため、日米金利差縮小時の安値後の円買いや高値後のドルの利益確定売りなども相まって、午後16時15分頃に対ドル円相場は一時150円35銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

ただし、午後16時頃には最新英国経済指標の1月の英国消費者物価指数 (CPI) が発表されており、前月比は前回の0.4%と市場予想の-0.3%より鈍化した-0.6%で、前年同月比も市場予想の4.2%以下の前回と同じ4.0%の横ばいであったが、英国CPIコア指数の前年同月比は市場予想の5.2%は下回り前回と同じ5.1%の横ばいであったことでは、欧州や英国よりも米国の利下げ時期の方が遅れる可能性があることでは、ドルが再び買われて円相場で反発したが、米国債買いの影響で米国長期金利は一時4.29%台付近までの反発域だった。

このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は150円43~44銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時149円59~60銭付近の前東京終値比で約84銭の円安ドル高になった。

今夜この後にも最新米国経済指標の発表予定や、米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の発言予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時に米国MBA住宅ローン申請指数、23時30分頃から米国シカゴ連銀のグールズビー総裁の発言予定と、深夜24時30分に週間の米国原油在庫などが発表される予定である。

また、今週は明日に最新の日本の四半期国内総生産 (GDP / Gross Domestic Product) 発表予定と米国小売売上高、そして金曜日に米国生産者(卸売)物価指数 (PPI / Producer Price Index) や米国ミシガン大消費者信頼感指数などの日米の重要経済指標の発表イベントを控えていることにも注意が必要である。

一方、今日の欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は161円8〜10銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の161円14〜16銭付近の前東京終値比で約6銭の小幅な円高ユーロ安であった。

主な要因は、米国のコアインフレの根強さにより米国長期金利が上昇した際に、欧州ユーロなどの主要通貨に対してもドルが買われてユーロが下落したほか、今日の日本市場の日経平均株価の大幅下落を受けたリスク回避の低リスク通貨の円買いでも欧州ユーロが売られた。

このため、ユーロドルも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0707〜1.0709ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.0771〜1.0773ドル付近の前東京終値比で約0.64セントのユーロ安ドル高であった。

その後の今夜19時の英国ロンドン外国為替市場で発表された最新欧州重要経済指標の10〜12月四半期の欧州ユーロ圏域内総生産 (GDP) の改定値は、前期比が前回と市場予想通りの0.0%で、前年同期比も前回と市場予想通りの0.1%であった。

ただし、同時発表だった12月の欧州鉱工業生産は、前月比が前回の-0.3%と前回修正の0.4%と市場予想の-0.2%を上回る2.6%と堅調で、前年同月比も前回の-6.8%と前回修正の-5.4%と市場予想の-4.1%からマイナス圏を脱した2.6%に上昇したことでは、欧州景気懸念がやや緩和されていたが、欧州GDPの成長率の低さは意識されており、対ドルではユーロ安が続いているが、小幅域だった対円では発表後の今夜20時台には前東京終値比で小幅な円安ユーロ高にも転じている。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は188円97銭〜189円3銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の189円26〜32銭付近の前東京終値比では約29銭の円高ポンド安であった。

主な要因は、先述の午後16時に発表された最新英国経済指標の1月の英国消費者物価指数 (CPI) のデータが市場予想を下回るという想定以上の英国インフレ鈍化指標を受けて、今年の英国利下げ時期に関する予想が再び高まったことや、同時発表されていた1月の英国小売物価指数 (RPI / Retail Price Index) も、前月比が前回の0.5%と市場予想の-0.1%よりも鈍化した-0.3%で、前年同月比でも前回の5.2%と市場予想の5.1%以下の4.9%であったことで、円相場でも想定以上の米国インフレに対して、想定以下の英国インフレの調整が入っていた。

ただし、今夜この後の日本時間の深夜24時頃からは、英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE / Bank of England) のベイリー総裁の要人発言予定があることでは、イベント前の様子見や持ち高調整なども入っている。BoEが公開している現在の英国のインフレ率は4%付近と、目標の2%のインフレ率の倍の高さである点から、発言内容に注目が集まっている。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年2月14日の日本時間(JST)20時49分(チャート画像の時間帯は、日本から時差で9時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の冬時間 (GMT / JST-9) の11時49分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:49の為替レート 前営業日JST 17:00の前東京終値比
ドル/円 150.57 〜 150.58 +0.98 (円安)
ユーロ/円 161.16 〜 161.21 +0.02 (円安)
ユーロ/ドル 1.0702 〜 1.0704 -0.0069 (ドル高)
英ポンド/円 188.91 〜 188.97 -0.35(円高)
スイスフラン/円 169.68 〜 169.74 -0.36 (円高)
豪ドル/円 97.48 〜 97.52 -0.06 (円高)


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