FXニュース:今夜最新の米CPI発表を控え

2024年2月13日
FXニュース:今夜最新の米CPI発表を控え

 

東西FXニュース – 2024年2月13日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 今週米重要経済指標発表続く
  • 米長期金利上昇時のドル買い
  • 日経平均株価上昇時の円売り
  • 年内最大の円安ドル高を更新
  • 欧ECB高官利下げ近づく発言

今日2024年2月13日火曜日の連休明けの日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の149円25銭付近から円の安値でドルの高値の149円65銭付近の値幅約40銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の東京終値は149円59~60銭付近と、昨日17時の世界FX市場の149円9~10銭付近と比べると約50銭の円安ドル高で、日本市場の連休前の前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の149円39~40銭付近の前東京終値比では約20銭の円安ドル高であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、昨夜21時前の英国ロンドン外国為替市場では、今週に利払い予定を控えた米国債買いの影響などで、米国債券価格上昇時の利回り低下により米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.14%台に低下した時にはドルが売られて、昨夜21時17分頃にドルは円相場で一時148円93銭付近まで売られたが、米国債券価格上昇後の利益確定売りの反発などにより、その後には米国長期金利が反発を始めたため、日米金利差拡大による円売りドル買いや欧州ユーロなどの主要通貨に対しても金利差買いでドルが反発を始めた。

その影響で昨夜22時頃からの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時148円98銭付近から始まり、昨夜22時6分頃には一時148円93銭付近の英国市場と並ぶ米国市場の円の高値でドルの安値を再記録したが、英国市場のチャートではテクニカル分析的なダブルボトム (Double Bottom) の二重底を描く「買いサイン」のトレンド転換になったほか、米国ニューヨーク債券市場では米国長期金利が一時4.15%台から4.16%台に向かう上昇トレンドの時間であったこともあり、ドルが買い戻されて反発し、上昇トレンドに転じた。

また、昨夜の欧州市場では、先週末に欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 理事会メンバーのイタリア中央銀行 (Banca d’Italia) のファビオ・パネッタ総裁が、欧州の金融政策が利下げに転換する時期は、「刻一刻と近づいている」と発言していたニュースが話題になり、一時後退していた早期の欧州利下げ予想が再燃し、ドイツ連邦10年債の利回りが指標となる欧州長期金利が低下したことでも、米国長期金利上昇時には欧米金利差で欧州ユーロからもドルが買われやすくなっていた。

そこに、昨夜23時20分頃から次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国の中央銀行にあたる米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のボウマン理事の発言があり、「米国の利下げが、近い将来に適切になるとは考えていない」ことや、「我々FRBがいつ、どの程度の米国利下げを行うかを予測するには、時期尚早」と、市場の早期の米国利下げ予想を牽制しており、次回3月のFOMCでの金利据え置き予想値は、フェドウォッチ (FedWatch) で今日の時点でも84.5%付近の確定値超えの優勢を保ち、早期の米国利下げ予想値は大幅予想がなくなり、小幅予想値も15.5%付近に減退した。

欧米市場では、先週の日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の内田真一副総裁や植田和男総裁の発言以来、日本はマイナス金利解除後も緩和的な金融政策が継続されるという超低金利政策継続が意識されていたため、日米欧の金融政策の違いにより、米国長期金利がさらに上昇し、深夜24時台から午前1時台にかけて米国長期金利が一時4.18%台付近で推移したため、日米欧金利差拡大により円やユーロに対してドルが買われて上昇し、深夜24時53分頃と午前1時1分頃にドルは円相場で一時149円48銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を2回記録した。ただし、欧米市場ではテクニカル分析的なチャート上のダブルトップ (Double Top) の2つの山の毛抜き天井を叩く「売りサイン」になり、市場高値後のドルには米国長期金利の高止まり後の低下も受けた利益確定売りの抵抗が入り始めた。

この抵抗の原因は、翌米国市場にあたる今夜この後に米国連邦準備制度理事会 (FRB) が今後の米国金融政策を決める上で重視している「最新データ」の一つである最新米国重要経済指標の1月の米国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) の発表イベントを控えており、前日にその前月の昨年12月の米国CPIが下方修正されていたため、今回もインフレ鈍化が見られれば、米国利下げ転換に近づく可能性もあるため、イベント前のイベントリスクから売りサインで早期の利益確定売りや持ち高調整が出やすかったことが抵抗要因となったほか、米国長期金利上昇により米国債券価格が低下した際には世界的な安全資産でもある米国債買いに加えて、今週の利払い予定も安値買いの一因になり、米国長期金利は午前3時55分頃には一時4.15%台付近にまで一時低下したが、その後には再び米国債券価格上昇後の売りも入って、再び4.18%台に反発して以前のレベルに戻すという金融用語の「往って来い」も見せた。

米国ニューヨーク株式市場では、米国主要株価三指数の中でもAI関連などのハイテク株比率が高い米国ナズダック平均 (NASDAQ Composite) が、2021年11月に記録した史上最高値の終値を一時超えて高騰したものの、今夜この後の米国消費者物価指数 (CPI) 以外にも今週は米国卸売 (生産者) 物価指数 (PPI / Producer Price Index) や、米国ミシガン大消費者信頼感指数の速報値などの米国金融政策に影響を与える可能性の高い最新米国重要経済指標のデータ発表予定が続くため、発表前のイベントリスクにより、早期の利益確定売りが入り始めたことでは株価上昇後の反落に転じたこともあり、安値後の安全資産の米国債や低リスク通貨の円がリスク回避のリスクオフ (Risk-off) で一時買われたことも抵抗の一因になった。

ただし、先週に史上高値を更新後のS&P500種 (S&P500 / Standard and Poor’s 500) も利益確定で僅かに小反落したもの、史上高値圏の5千ドル超えをキープしていたほか、米国ダウ工業株価30種 (Dow Jones Industrial Average) は前営業日比で大幅上昇と堅調な終値に向かったため、リスク選好のリスクオン (Risk-on) に転じて、低リスク通貨の円も安値買い後の上昇を受けた利益確定売りで反落したほか、米国長期金利やドルの反発と上昇に伴うドル買いに影響を与えた。また、ナイトセッションの日経先物も大幅に上昇していた。

加えて、米国市場で午前4時頃に発表されていた最新米国経済指標の今年1月の米国月次財政収支も、前回の-1294億ドルと市場予想の-400億ドルに対して-219億ドルと、前回と市場予想よりも大幅に赤字額が減少し、改善したことも好感された。

このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の148円93銭付近から、円の安値でドルの高値の149円48銭付近の値動きで、今朝7時前頃のニューヨーク終値は149円35銭付近と前営業日同時刻のニューヨーク終値の149円29銭付近と比べて約6銭の円安ドル高をつけていた。

今朝8時50分に日本の最新経済指標の1月の日本国内企業物価指数が発表され、前月比は前回の0.3%と市場予想の0.1%を下回る0.0%の上昇率で、前年同月比は前回の0.0%と前回修正の0.2%と市場予想の0.1%に対し0.2%の前回修正と横ばいで、日本の国内インフレ圧の鈍化を受けては、日本銀行 (日銀 / BoJ) も今年の春季労使交渉の春闘の賃上げ状況を見守っており、「賃金上昇を伴う2%のインフレ目標」に向けた金融修正を特に急がないのではという市場予想が高まり、様子見の値動きもある中でも主要通貨に対する低金利通貨でもある円売りがやや起きていた。

今日のアジア・オセアニア市場では、中国と香港は春節 (Chinese New Year) 関連の連休で休場中であるが、今朝9時頃からの日本の東京外国為替市場は振替休日の連休明けで、対ドル円相場は一時149円41銭付近の東京始値であった。

今朝の仲値決済直後の午前10時1分頃には、今夜この後の米国重要経済指標の発表イベント予定を控えて、今朝早朝には一時4.18%台だった米国長期金利が安全資産の米国債買いの影響もあり、日本市場時間の時間外の米国債券市場で一時4.17%台に低下したため、ドルは円相場で一時149円25銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

しかし、その後には、米国長期金利が再び4.18%台に戻して日米金利差拡大による円売りドル買いに転じたほか、今日の東京株式市場で日経平均株価 (Nikkei Stock Average) が大幅に上昇し、バブル崩壊後の1990年以来の34年ぶりの高値記録を更新する高騰を見せ始めたため、日本株高時のリスクオンによる低リスク通貨の円売りや、国際投資家のリスクヘッジの円売りで、基軸通貨のドルや主要通貨に対して円相場が下落に向かった。

午後15時台には、今日の日経平均株価は一時3万8000円超えの高騰後も、3万7963円97銭の終値と、日本市場の連休前の前週末比で1066円55銭高の大幅高で大引けし、前営業日比の上昇幅は2020年3月25日以来の大幅高を記録した。米国ナズダック平均に続き、日経平均でもAIや半導体関連株上昇が牽引材料になっており、リスク選好の円売りが続いた。

午後からの欧州英国市場の参入でも米国長期金利が上昇し、英国ロンドン外国為替の本格参入後の夕方17時台には一時4.19%台に向かう途上であったため、円安要因の日米金利差拡大による円売りドル買いで、午後16時31分頃にドルは円相場で一時149円65銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録し、この時点での今年最大の円安ドル高の記録も更新した。

このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の東京終値は149円59~60銭付近で、昨夜17時の世界FX市場の149円9~10銭付近と比べると約50銭の円安ドル高で、日本市場の連休前の前営業日の先週金曜日17時の149円39~40銭付近の前東京終値比で約20銭の円安ドル高になった。

また、日本市場終了後の今夜17時24分頃の英国ロンドン外国為替市場では、米国長期金利が一時4.19%台に上昇した影響から、日米金利差拡大による円売りドル買いが強まり、一時149円69銭付近の今年最大の円安ドル高の記録を再び更新している。

ただし、今夜この後には先述の最新米国重要経済指標の発表予定が注目されており、年内高値後のドルにはイベント前の利益確定や持ち高調整の抵抗も入り始めている。

今夜この後の日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜22時30分に最新米国重要経済指標1月の米国消費者物価指数 (CPI) とコア指数の発表のイベントの予定が注目されている。

一方、今日の欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は161円14〜16銭付近で、昨夜17時の世界市場の161円5〜7銭付近および日本市場の連休前の前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の161円5〜7銭付近の前東京終値比で約9銭の円安ユーロ高であった。

主な要因は、主要通貨のドルに対する円相場下落の影響が波及したほか、日経平均株価の大幅上昇を受けたリスク選好の低リスク通貨の円売りでドルだけでなく欧州通貨も買われた。

しかし、今夜20時台の英国ロンドン外国為替市場では、欧州中央銀行 (ECB) 理事会メンバーの発言を受けて、欧州に早期利下げの市場予想が再燃してきたことで、小幅な円高ユーロ安にも転じている。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0771〜1.0773ドル付近で、昨夜17時の世界市場の1.0801〜1.0803ドル付近と比較すると約0.30セントのユーロ安ドル高で、日本市場の連休前の前営業日同時刻にあたる先週金曜日の1.0779〜1.0781ドル付近の前東京終値比では約0.10セントのユーロ安ドル高であった。

主な要因は、前述の欧州中央銀行 (ECB) 理事会メンバーの発言が影響を及ぼし、欧州長期金利低下の一方で米国長期金利の上昇時には欧米金利差拡大により、欧州ユーロに対してもドルが買われていたが、イベント前のドルの持ち高調整は抵抗要因になっていた。

なお、その後の今夜19時の欧州市場で先ほど発表された欧州ユーロ圏総合の最新経済指標の2月の欧州ZEW景況感調査は前回の22.7から25.0に上昇し、ドイツの2月の独ZEW景況感調査の期待指数も前回の15.2と市場予想の17.5に対し19.9に上昇したことでは、欧州景気懸念がやや緩和されたことでは、ユーロは下げ幅を縮めている。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は189円26〜32銭付近で、昨夜17時の世界市場の188円50〜56銭付近と比較すると約76銭の円安ポンド高で、日本市場の連休前の前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の188円69〜75銭付近の前東京終値比では約57銭の円安ポンド高であった。

主な要因は、今朝未明の午前3時頃から英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE / Bank of England) のベイリー総裁の発言があり、英国の早期利下げ予想の一因となっていた高金利による英国景気懸念について、「英国経済指標は、好転の兆しを見せている」と市場の早期利下げ期待を牽制した。また、「英国の景気後退は浅いだろう」
や「前向きなデータを重視する」などの発言も、低金利の円に対して高金利の英国ポンドを買う為替相場の値動きに影響を与えていた。

今日の午後16時に発表された最新英国経済指標の12月の英国失業率 (ILO方式) も、前回の4.2%と市場予想の4.0%よりも改善された3.8%であった。

ただし、同時発表された1月の英国失業率は、前回と同じ4.0%の横ばいで、1月の英国失業保険申請件数は前回の1.17万件は0.55万件に改善の修正がされたものの、今回は1.41万件に増加していたことでは、楽観的なベイリー発言の傍らで英国景気懸念もやや燻っている。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年2月13日の日本時間(JST)20時52分(チャート画像の時間帯は、日本から時差で9時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の冬時間 (GMT / JST-9) の11時52分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:52の為替レート 前営業日JST 17:00の前東京終値比
ドル/円 149.40 〜 149.42 +0.01 (円安)
ユーロ/円 160.97 〜 160.98 -0.08 (円高)
ユーロ/ドル 1.0772 〜 1.0774 -0.0007 (ドル高)
英ポンド/円 189.16 〜 189.22 +0.47 (円安)
スイスフラン/円 169.64 〜 169.70 -1.16 (円高)
豪ドル/円 97.40 〜 97.44 +0.25 (円安)


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