FXニュース:日銀が0.605%で指し値オペ

2023年7月31日
FXニュース:日銀が0.605%で指し値オペ

 

東西FXニュース – 2023年07月31日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 日銀のYCC柔軟化は想定以下
  • 日米欧英政策金利差の円売り
  • 米経済指標で株高リスクオン
  • 金利抑制で日経平均株価上昇
  • 欧GDPでユーロ景気懸念緩和
  • 今週の英BoE新金利発表予定

今日2023年7月31日月曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値140円69銭前後から円の安値でドルの高値142円22銭前後の値幅約1円53銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は142円15~17銭付近と、前営業日同時刻の139円76~77銭付近の前東京終値比で約2円40銭の大幅な円安ドル高であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、先週金曜の日本市場の昼に日本銀行 (日銀 / BoJ) が長短金利操作のイールドカーブコントロール (YCC) の運用を見直し柔軟化を決定した一方で、午後からの植田和男総裁の発言では、声明文にあった通り、「必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる」と大規模緩和金融政策の継続を示唆し、日銀が長期金利上昇の抑制にために国債を買い入れる長短金利操作の指し値オペの利回りの許容値の柔軟化に留まり、「金融政策の正常化へ歩み出す動きではなく、YCCの持続性を高める動き」であることから、政策の見直しは市場の想定以下の内容と受け止められ、日銀総裁の発言通りに「粘り強く金融緩和を継続」という日米の金融政策の違いが意識され、先週金曜の夜の英国ロンドン外国為替市場の後半から土曜の朝までの米国ニューヨーク外国為替市場では、前米国市場で日銀報道の修正予想で買われていた円売りとドルの買い戻しが優勢になった。

また、先週の金曜の夜21時半に 発表された米国連邦準備制度理事会 (FRB) が注視する最新の米国重要経済指標の4〜6月の第2四半期の米国雇用コスト指数の前期比は、前回の1.2%と市場予想の1.1%に対し1.0%と市場での想定以上の賃金インフレの鈍化を示し、6月の米国個人消費支出 (PCEデフレーター) の前年同月比は前回の3.8%に対し市場予想通りの3.0%で価格変動の激しい食品とエネルギー除いた基調を見るPCEコア・デフレーターも前月比では前回の0.3%に対し市場予想一致の0.2%であったものの、前年同月比では前回の4.6%と市場予想の4.2%に対し4.1%の鈍化を示したことでは、次回の米国公開市場委員会 (FOMC) での米国利上げ見送りや停止の市場予想が高まり、米国ニューヨーク株式市場では米国金利上昇への警戒感の緩和から米国主要株価が上昇し、リスク選好 (リスクオン) の強気市場 (ブル・マーケット) になったことでも、低リスク通貨の円が売られた。

ただし、6月の米国個人所得の前月比は前回の0.4%と前回修正と市場予想の0.5%に対して0.3%と市場予想よりも鈍化した一方で、6月の米国個人消費支出 (PCE) の前月比は前回の0.1%と前回修正の0.2%と市場予想の0.4%に対して0.5%に増加しており、続いて23時に発表された7月の米国ミシガン大学消費者態度指数の確報値が前回と市場予想の72.6に対し71.6に低下したことでは、ドル上昇にはやや一時抵抗も混ざった。

しかし、日銀のYCCの運用の柔軟化は市場での想定以下の内容で、欧米と日本の政策金利差の違いから、米ドルだけではなく欧州通貨のユーロやポンドなどの他の主要通貨に対する日本の大規模緩和金融政策の違いが意識された円売りの影響が波及したことでは、政策金利差による主要通貨に対する円安が進行し、一時141円18銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。

日銀の金利抑制の大規模緩和金融政策の実質的な継続感を受け、ナイト・セッションの日経平均株価の先物価格も一時3万3140円に上昇し、前終値比で370円高のリスクオン市場になったことでも、高値感の出ていた低リスク通貨の円が利益確定で売られやすかった。

そのため、先週の金曜の夜から土曜の朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は円の高値でドルの安値の139円20銭前後から円の安値でドルの高値の141円18銭前後の値動きで、先週末の土曜の朝6時頃のニューヨーク終値を141円16銭付近と、前日同時刻の前ニューヨーク終値比で約1円68銭の大幅な円安ドル高でつけていた。

週が明け、今朝8時50分には日本の最新経済指標の発表があり、6月の日本の鉱工業生産の速報値は、前年同月比が前回の4.2%と市場予想の0.3%に対し-0.4%に低下し、前月比では前回の-2.2%と市場予想の2.4%に対し2.0%と前回よりは改善したもののいずれも市場予想以下ではあったが、同時発表の6月の日本の小売業販売額の前年同月比は、前回の5.7%と前回修正の5.8%と市場予想の5.4%に対し5.9%に上昇し、6月の既存店の百貨店・スーパー販売額の前年同月比も前回の3.4%に対し4.1%に上昇と、インフレを受けた買い控えの消費停滞が以前よりも改善されたことではやや円買い抵抗も入った。

しかし、今朝9時頃からの今日の日本の東京外国為替市場では、先週末の米国市場のトレンドを受け継いだ日米の金融政策の違いによる円売りドル買いに加えて、今朝、日本銀行 (日銀 / BoJ) が、金利抑制の公開市場操作の臨時の国債買い入れオペを通知したことで、円売りドル買いの勢いが強まったため、今朝9時4分頃の一時140円69銭付近が今日の日本市場の円の高値でドルの安値となり、主要通貨に対して円相場が下落した。

原因は、日本の長期金利の指標となる新発10年物国債利回りが一時0.605%と、およそ9年ぶりの高利回りをつけていたことで、昨日に発表されたばかりの日銀のイールドカーブコントロール (YCC) の柔軟化の「±0.5%をめどにした1%までの許容値」に達する以前に、日銀が残存期間5~10年の国債を対象にした金利抑制の臨時の国債買い入れの「指し値オペ」を予定額3000億円規模で再び実施するという発表をしたことを受け、日銀の金利抑制の大規模緩和金融政策の継続が意識され、日米の金融政策の違いによる政策金利差の円売りドル買いの勢いが増し、金利上昇後の欧州通貨や今週木曜に新政策金利発表を控えた英国ポンドなどに対しても円が売られた影響が、円安ドル高として対ドル円相場に波及した。

ただし、今朝9時55分の日本市場の仲値決済では、今日は月末の決算期であることなどから日本国内の輸出企業の円買いドル売りがこの時間には抵抗要因となっていたが、その時間を終えた後には円相場が大幅に下落した。

また、日本の金利上昇警戒感の緩和から今日の日経平均株価が一時600円以上の大幅に上昇し、今日の午後14時に発表された日本の最新経済指標の7月の消費者態度指数の一般世帯も前回と市場予想の36.2に対し37.1に上昇しており、午後15時15分に今日の日経平均株価が3万3172円22銭と前営業日の前終値比で412円99銭高の大幅高で大引けしたことでも、日本株高時のリスクオンの低リスク通貨の円売りが強まり、午後16時58分頃に一時142円22銭付近の今日の日本市場での円の安値でドルの高値を記録した。

午後からの欧州英国市場の参入でも、今日の日銀の金利抑制の指し値オペにより、日本の大規模緩和金融政策の継続感が意識され、日欧英の政策金利差から円売りが優勢であった。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は142円15~17銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜17時の139円76~77銭付近の前東京終値比では約2円40銭の大幅な円安ドル高になった。

今夜この後にも、最新の米国経済指標の発表予定があり、22時45分に7月の米国シカゴ購買部協会景気指数が発表される予定である。

また、明日にも米国ISM製造業指数や米国雇用関連JOLTS求人などの発表予定があり、米国株式市場も今週はアップル (APPL) やアマゾン (AMZN) などの決算報告を控えている。

一方、前述の欧州ユーロも、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は156円64~66銭付近で、前営業日同時刻の先週金曜17時の153円9~10銭付近の前東京終値比では約3円56銭の大幅な円安ユーロ高であった。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.1018〜1.1020ドル付近で、前営業日の先週金曜17時の1.0952〜1.0954ドル付近の前東京終値比では約0.66セントのユーロ高ドル安だった。

主な要因は、ユーロ円の大幅なユーロ高の影響の波及に加えて、先週末から発表が始まった欧州ユーロ圏の最新重要経済指標の欧州各国の国内総生産 (GDP) を受けて、強弱入り混じったものの全般的な景気懸念が緩和されてきたことでも、低リスク通貨の円や世界的に流動性が高い安全資産のドルに対してリスクオンでユーロが買われた影響があった。

また、今夜18時に発表された欧州ユーロ圏総合の4〜6月の第2四半期欧州ユーロ圏域内総生産 (GDP) の速報値も、前年同期比が前回の1.0%と前回上方修正の1.1%と市場予想の0.5%に対し0.6%と市場予想を上回り、前期比も前回の-0.1%と前回上方修正の0.0%と市場予想の0.2%に対し0.3%に上昇したことも、欧州景気懸念緩和によるユーロ買いの原因になった。

今夜18時に同時発表だった欧州ユーロ圏の最新重要経済指標の7月の欧州消費者物価指数(HICP) の速報値も、前年同月比は前回の5.5%に対し市場予想通りの5.3%であったものの、HICPコア指数の速報値の前年同月比では前回の5.5%と市場予想の5.4%に対し5.5%の市場予想以上であった。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は182円75~81銭付近で、前営業日同時刻の先週金曜17時の178円62~68銭付近の前東京終値比で約4円13銭の大幅な円安ポンド高であった。

主な原因は、今週は8月3日の木曜日の日本時間20時に、英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE) の金融政策委員会 (MPC) の後の英国の新政策金利と金融政策の発表予定などがあり、今日の日銀の金利抑制の公開市場操作の臨時オペに対し、これまでも英国利上げを継続してきた英国ポンドとの日英金利差予想が円安要因になっていた。

加えて、ドルやユーロなどの他の主要通貨に対する今日の日銀の金利抑制姿勢による円安の影響も波及したことで、さらに大幅な円安ポンド高になった。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2023年7月31日の日本時間(JST)19時22分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替市場時間の夏時間 (GMT+1 / BST) 11時22分) の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:22の為替レート 日本市場前営業日17時の前東京終値時間比
ドル/円 142.33 〜 142.34 +2.58 (円安)
ユーロ/円 157.07 〜 157.08 +4.00 (円安)
ユーロ/ドル 1.1034 〜 1.1036 +0.0082 (ドル安)
英ポンド/円 182.94 〜 183.00 +4.32 (円安)
スイスフラン/円 163.51 〜 163.57 +3.42 (円安)
豪ドル/円 95.33 〜 95.37 +2.72 (円安)


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