FXニュース:日米イベント前の持ち高調整

2023年3月09日
FXニュース:日米イベント前の持ち高調整

 

東西FXニュース – 2023年03月09日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米FRB議長がデータ重視発言
  • 米雇用統計発表を明日に控え
  • 日銀金融政策発表も明日発表
  • 高値記録後のドルの利益確定
  • 北米カナダ銀行が利上げ停止

今日2023年3月9日木曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値137円38銭前後から高値136円58銭前後の値幅約80銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は136円83~84銭付近で、前日17時の前東京終値比では約64銭の円高ドル安であった。

今日の日本市場での為替相場のドル円の値動き要因は、昨日に米国連邦準備制度理事会(FRB) のパウエル議長のタカ派発言を受けた日米金利差拡大予想で大幅な円安ドル高が進み、円相場でドルが137円91銭付近の年内高値記録を前日本市場で更新したため、明日の日米イベントを控えて、今日は高値のドルの利益確定売りと持ち高調整が優勢になった。

明日は今日から始まった日本銀行 (日銀 / BoJ) の日銀金融政策決定会合の結果発表イベントの後に、米国連邦準備制度理事会 (FRB) のパウエル議長が「今後のデータ次第」と重視している最新の米国重要経済指標の米国雇用統計などの発表イベントが予定されており、イベント前の持ち高調整と結果が分かるまでのドルの買い控えや様子見などが混ざっている。

時間に沿った世界の市場トレンドの動きでは、昨日の日本の東京外国為替市場で日米金利差拡大による今年最大の円安ドル高の記録更新後のドルは、昨夜の欧州英国市場では欧州ユーロ圏の最新経済指標を受けた欧州景気懸念もあり、安全資産の米国債が買われた影響で債権価格は上昇する傍らで利回りが低下したために、米10年債の利回りが指標となる米長期金利が高止まり後にやや下げたこともあり、今週の日米イベント前の高値のドルの利益確定売りと安値の円の買い戻しなどの持ち高調整が始まった。

ただし、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場で発表された最新米国経済指標は、21時のMBAローン申請指数は前回の-5.7%と前回修正の-5.9%から7.4%に上昇し、22時15分の2月の米国ADP雇用統計の雇用者数も前月比で前回の10.6万人と前回修正の11.9万人と市場予想の20.0万人以上に対し24.2万人と堅調で、ドル買いもあった。

昨夜22時半に発表された米国の1月貿易収支も、前回の-674億ドルと前回修正の-672億ドルと市場予想の-689億ドルに対して-683億ドルと、市場予想よりは赤字額が増えておらず、米国利上げの抵抗要因となる景気懸念もやや緩和された。

しかし、昨夜は深夜24時に、以前に米国での市場予想に北米の隣国トレンドとして影響を及ぼしたことのある北米カナダ中央銀行のカナダ銀行 (BoC) が、これまでのカナダの政策金利の利上げ後の自国の景気懸念を理由に、利上げ停止を決定した発表をし、遅かれ早かれ、「データ次第」では、米国にも利上げ終了の時期が来ることが改めて意識された。

ただし、同時発表のアメリカ合衆国労働省労働統計局 (BLS) の1月の米国雇用動態調査 (JOLTS) では、求人件数は前回が1100万件から1120万件に上方修正されたほか、1050万件の市場予想以上の1080万件であったことでは、完全雇用に近いと考えられている堅調な米国労働市場を背景に、米国利上げ長期化予想でのドルの買いも入った。

同じく深夜24時からは、前日の米国の上院に続き下院の議会証言で、米国連邦準備制度理事会 (FRB) のジェローム・パウエル議長の再度の発言があり、大部分は前回と同内容のタカ派発言もあったが、今回の発言内容の一部修正もあり、今回はより慎重に「今後のデータ次第」という部分が強調され、再来週の次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) での利上げ幅については「まだ決めていない」とし、それから「まだ何も決定していないということを強調するが、データの全体像が利上げ加速の正当化を示唆する様であれば、我々は利上げペースを加速する用意がある」と語り、前述の1月の米国求人件数のほか、明日発表の2月の米国雇用統計と、来週14日の2月消費者物価指数 (CPI) などを挙げていた。

パウエル議長のこの「まだ決めていない」の発言では、一時イベントリスクによる持ち高調整のドル売りが強まり、米国市場でのドルの安値で円の高値の一時136円48銭付近を記録したが、その後のデータ次第では「利上げペースを加速する用意がある」や、前回と同じく最終的な金利到達点のターミナルレート (TR) が想定よりも高くなる可能性についてのタカ派発言の継続では、0.5%の米国大幅利上げ予想が76.4%の確定値付近で優勢で、再び日米金利差拡大予想でのドル買いも入り、ドルが一時137円44銭付近に再上昇する動きになった。

その後の米10年債入札でも、一時は国債買いで低下していた米10年債利回りが3.99%台の4%近くに回復した。

そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場は円の高値136円48銭前後から安値137円44銭前後の値動きで、今朝7時のドル円のニューヨーク終値を137円36銭付近の前日同時刻比で約20銭の円安ドル高でつけていた。

今朝8時50分には、日本の最新重要経済指標の昨年10〜12月四半期の実質国内総生産 (GDP) の改定値が発表され、年率換算では前回の0.6%と市場予想の0.8%に対し0.1%の低成長で、前期比では前回と市場予想の0.2%に対し0.0%であったことでは、一因には円安や資源高などの影響も考えられるため、今朝9時からの日本の東京外国為替市場では、今日から明日にかけての日銀金融政策決定会合のイベントリスクも意識されており、高値のドルの利益確定売りと安値の円の買い戻しなどのドル円の持ち高調整が優勢になった。

今朝の仲値決済では、輸入実需での円売りドル買い抵抗もあったものの、日米のイベント前の持ち高調整で、昨日の市場で記録的な高値をつけた後のドルの利益確定売りと円の買い戻しが進んでいた。

また、日本時間の今朝の取引では、時間外の債権市場で米国長期金利の指標となる米10年債が買われて、利回りの上昇に一服感が出たことも、円売りドル買いをサポートしていた。

今日の昼13時頃には、衆院本会議で、日本銀行 (日銀 / BoJ) の次期総裁候補の植田和男氏や副総裁の氷見野良三氏と内田真一氏を含めた12機関31人の政府提出の国会同意人事案を可決した。参院本会議も明日人事案を採決する予定で、両院で可決されれば、正式に承認されて内閣任命となることから、米国イベントに加えて、日銀イベントも国内外で意識され、持ち高調整での円買いドル売りの動きが午後の欧州英国市場の参入後にも継続した。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は136円83~84銭付近で、昨夜17時の前東京終値比では約64銭の円高ドル安になった。

明日の日銀発表と米国雇用統計などの日米イベント前の今夜この後にも米国経済指標などの発表予定があり、21時半に2月の米国チャレンジャー人員削減数、22時半に前週分の米国新規失業保険申請件数と米国失業保険継続受給者数、24時から米国連邦準備制度理事会 (FRB) のバー副議長の発言予定と、27時に米国30年債入札予定などを、プロのFXトレーダー達が為替相場の値動き予想材料として注視している。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は144円44~46銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約49銭の円高ユーロ安であった。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0555~1.055ドル 付近で、昨夜17時の前東京終値比で約0.13銭のユーロ高ドル安だった。

原因はやはり、昨日にドルが主要通貨に対しても全面高を記録したため、今日はイベント前のドルの利益確定売りや、持ち高調整と結果が分かるまでの買い控えや様子見などの反発の影響が出ていた。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の円相場の終値は162円9~15銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約50銭の円高ポンド安であった。

原因は、今日から始まった日銀金融政策決定会合の結果発表を明日に控えた円の持ち高調整などもあったが、今日発表された最新の英国経済指標の2月の英国王立公認不動産鑑定士協会 (RICS) 住宅価格指数が、市場予想以下であったことも、想定よりも英国のインフレが鈍化した可能性から、英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE) の利上げ終了時期が近付いている可能性がやや意識されている。

また、前述の北米カナダはイギリス連邦加盟国であったことから、現カナダ国王も現英国国王の兼任でもあるため、昨夜のカナダ銀行 (BoC) の利上げ停止のニュースは、英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE) の今後の利上げ終了時期に関する今日の市場予想にもやや影響を及ぼしており、日英金利差縮小予想による円買いポンド売りなども見られていた。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2023年3月9日の日本時間(JST)20時19分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替時間 (GMT) 11時19分)付近の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:19の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 136.07 〜 136.09 -1.40 (円高)
ユーロ/円 143.92 〜 143.93 -1.01 (円高)
ユーロ/ドル 1.0575 〜 1.0577 +0.0033 (ドル安)
英ポンド/円 161.83 〜 161.89 -0.76 (円高)
スイスフラン/円 145.16 〜 145.22 -0.64 (円高)
豪ドル/円 90.00 〜 90.04 -0.47 (円高)


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