FXニュース:米新規失業保険申請件数が想定外改善

2023年1月20日
FXニュース:米新規失業保険申請件数が想定外改善

 

東西FXニュース – 2023年01月20日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米長期金利は低下から回復時の値動き
  • 国内長期金利低下時の日米金利差拡大
  • 全国消費者物価指数 (CPI) が4%上昇
  • 欧ラガルド総裁発言で利上げ継続予想

今日2023年1月20日金曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時までの外為取引時間のドル円相場の為替レートは、円の安値129円29銭前後から高値128円36銭前後の値幅約93銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は128円93~94銭付近で、昨日17時の前東京終値比で約76銭の円安ドル高であった。

原因はまず、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場で日本時間の昨夜22時半に発表された最新の米国経済指標が好調で、前週分の米新規失業保険申請件数は前回の20.5万件と市場予想の21.4万件に対し19.0万件に改善され、米失業保険継続受給者数も市場予想の166.0万人に対して164.7万人に想定外の減少で、堅調な米雇用市場を背景とした米国連邦準備制度理事会 (FRB) による米利上げ継続予想が優勢になった。

同時発表だった1月の米フィラデルフィア連銀製造業景気指数も前回の-13.8と市場予想の-11.0に対し-8.9に改善傾向が見られ、先月分の米住宅着工件数も市場予想以上に上昇し、米利上げ抵抗要因であった米景気懸念が後退し、米景気好感と米利上げ継続予想などで、それまでは一時3.32%付近に低下傾向であった米長期金利が一時3.428%付近に上昇し、円安要因である日米金利差拡大による円売りドル買いが起きていた。

ただし、米利上げ継続予想を受けた米国ニューヨーク株式市場では、金利上昇の企業への決算に警戒したリスク回避で、ドルから買える安全資産の低リスク通貨の円が買われたことでは円も下げ渋り、比較的小幅な円安に留まった。

そのため、今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は円の高値128円25銭前後から安値128円80銭前後の値幅約55銭で、今朝7時頃の米ニューヨーク終値を128円35~45銭付近でつけ、昨夜17時の前東京終値と比較すると円安ドル高であった。

今朝8時半には日本の最新経済指標の発表もあり、総務省の先月12月分の全国消費者物価指数 (CPI) の生鮮食料品を除く総合が前年同月比4.0%上昇し、1981年12月以来のおよそ41年ぶりの上昇率を記録し、日銀の大規模緩和金融政策の修正圧がやや意識され、横ばいに近い値動きの抵抗が混じったものの、今日のドルの上昇トレンドは継続した。

その後に始まった今日の日本の東京外国為替市場では、今朝9時55分頃の仲値決済に向けては、今日は20日で日本の貿易企業の決済日が集中しやすい5と10のつく日の「五十 (ゴトー) 日」であるために、輸入実需のまとまった円売りドル買いが優勢で、円相場は11時頃には128円台後半に下落した。

その後にも今朝までの米国トレンドを継承した日米金利差拡大による円売りドル買いが継続し、午後14時台には129円台に円安ドル高が進行し、14時半頃には今日の日本市場での円の安値でドルの高値の129円29銭付近を記録した。

米国長期金利の上昇時だけでなく、今日は日本の長期金利の低下時にも、日米金利差拡大時の円売りドル買いが入った。今日の国内債券市場では、債券先物が大幅高になったことで、債権価格の上昇につれて国内長期金利の指標となる10年物の国債利回りが低下しており、日銀のイールドカーブ・コントロール (YCC) 再修正圧予想が一時減退し、持ち高調整による円売りドル買いもあった。

今日の日本市場でのドルの高値圏では利益確定売りや安値の円買いの一時抵抗が入り、また午後からの欧州英国市場の参入では、欧州中央銀行 (ECB) のラガルド総裁の発言を受けた欧州利上げ継続予想による米欧金利差縮小予想のユーロ買いドル売りがあったために、円相場でもドル上昇の一時抵抗となったものの、一時抵抗の後には再び円相場でドルが上昇した。

その129円台から128円台になった一時抵抗中に、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値をつけたために128円93~94銭付近で、昨夜17時の前東京終値比では約76銭の円安ドル高になった。

ただし、その後の今夜18時台の欧州英国市場では、ドル円は一時抵抗を抜けて反発し、再び129円台のより大幅な円安ドル高にシフトしている。

今夜この後の米国ニューヨーク外国為替市場では、最新の米国経済指標の発表予定は日本時間深夜24時の先月分の米中古住宅販売件数くらいではあるが、米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達の発言予定が複数あり、今夜23時からの米フィラデルフィア連銀のハーカー総裁の発言と、27時からの米FRBのウォラー理事の発言予定は、両者に次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権があるために世界のFXトレーダー達に注目されている。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は139円75~77銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約1円23銭の大幅な円安ユーロ高であった。

主な原因は、昨夜の欧州中央銀行 (ECB) のラガルド総裁の発言で、欧州のインフレ率がやや高止まりして低下傾向を示すデータが出始めてきた一方で、「欧州のインフレ率は、(依然として)極めて高すぎる。インフレ率を適時に2%の目標へと安定させる」などという欧州利上げ継続のタカ派を示唆したために、日欧金利差拡大予想による円売りユーロ買いや、欧米金利差縮小予想のユーロ買いドル売りなどが、今日の値動きに影響を及ぼしていた。

今夜16時に発表された欧州ユーロ圏主要国のドイツの先月分の独生産者物価指数 (PPI) も、前月の-3.9%と市場予想の-1.2%に対し-0.4%と、下げ幅を縮めたことでも欧州利上げ継続予想が継続していた。

そのため、ユーロドルも今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0838~1.0839ドル付近で、昨夜17時の前東京終値比で約0.31セントのユーロ高ドル安になった。

欧州中央銀行 (ECB) のラガルド総裁は、今夜も再び別の発言機会があったことが市場では注視されていた。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対英ポンド円相場の終値は159円37~43銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約26銭の円安ポンド高であった。

今日の日本の長期金利低下時などには、英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE) にも英利上げ継続予想があるために、日英金利差拡大予想の円売り英ポンド買いが優勢であった。

ただし、今日の東京終値でポンド円がユーロ円ほどの大幅な円安にならなかった原因は、今日の夕方16時に発表された最新の英国経済指標の先月12月分の英小売売上高の前月比が、前回の-0.4%と前回修正の-0.5%と回復期待のあった市場予想の0.4〜0.5%に対して-1.0%に低下しており、インフレも継続の英国景気懸念による英ポンド売りと安全資産のドル買いや低リスク通貨の円買いの抵抗が入ったことなどが影響していた。

ただし、今夜その後の欧州英国市場では、日米欧英金利差拡大予想などによる円売りが続き、20時台にはドルやユーロや英ポンドなどに対して、前日比で1円を超える円安が進行している。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2023年1月20日の日本時間(JST)20時7分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替時間 (GMT) 11時7分)付近の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:07の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 129.61 〜 129.62 +1.44 (円安)
ユーロ/円 140.49 〜 140.51 +1.97 (円安)
ユーロ/ドル 1.0839 〜 1.0841 +0.0032 (ドル安)
英ポンド/円 160.22 〜 160.28 +1.11 (円安)
スイスフラン/円 141.03 〜 141.09 +0.77 (円安)
豪ドル/円 89.83 〜 89.87 +1.06 (円安)


注意:

本ウェブサイトに記載されている全ての情報またリンク先を含めた情報は、情報提供を目的のみとしており、取引投資決定、及びその他の利用目的のために作成されたものではありません。取引投資種、外国為替取引業者の選択、売買価格投資等の全ての最終決定については、利用者ご自身のご判断において行われるようお願い致します。

当社は、当サイトに掲載した情報によって万一閲覧者が被った直接・間接的に生じた損失に関して一切責任を負わないものとします。また、当社および当社に情報を提供している第三者は一切責任を負うものではございませんので ご了承ください。万が一、当サイトの提供情報の内容に誤りがあった場合でも、当社は一切責任を負いません。当社はこのウェブサイトの掲載内容を予告なしに変更または廃止することがございますので、あらかじめご了承おきください。