FXニュース:最新米国経済指標で景気懸念強まる

2023年1月19日
FXニュース:最新米国経済指標で景気懸念強まる

 

東西FXニュース – 2023年01月19日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米利上げ減速予想で米長期金利低下
  • 米国小売売上高が市場予想を下回る
  • 米卸売物価鈍化で利上げ減速予想も

今日2023年1月19日木曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時までの外為取引時間のドル円相場の為替レートは、円の安値128円69銭前後から高値127円76銭前後の値幅約93銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は128円17~19銭付近で、昨日17時の前東京終値比で約2円7銭の大幅な円高ドル安であった。

今日の値動きの主な原因は、まず昨日発表された日本銀行 (日銀 / BoJ) の日銀金融政策決定会合で金利抑制の大規模緩和金融政策が維持されたことで前日に大幅な円安ドル高になっていたために、今回の日銀のイールドカーブ・コントロール (YCC) の再修正は見送られたものの今後の再修正への期待値は残り、安値の円買いと高値のドルの利益確定売りなどが入ったことに加えて、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場で発表された最新の米国経済指標を受けて、米国連邦準備制度理事会 (FRB) の利上げ抵抗要因である景気懸念が高まり、米利上げ減速予想を強めるインフレ鈍化を示すデータも継続したことなどから、米長期金利が低下し、今日は日米金利差縮小による円買いドル売りが優勢になった。

米10年債の利回りが指標となる米長期金利の低下時には、ドルは円だけでなく米欧英金利差縮小時の欧州ユーロ買いドル売りや英国ポンド買いドル売りで主要通貨に対しても下げており、それが円相場にも波及したことで、今日は前日比で大幅な円高ドル安に転じた。

時間に沿った世界市場トレンドの動きの解説では、日本時間の昨夜22時半に発表された米国の最新重要経済指標の先月12月の米国小売売上高が、前月の-0.6%と市場予想の-0.8%を下回る-1.1%で、米国連邦準備制度理事会 (FRB) の利上げ抵抗要因の米国景気懸念が高まった。

同時発表の先月12月の米国卸売物価指数 (PPI) の前月比も、前回の0.3%と市場予想の-0.1%に対して-0.5%と、想定以上の米国のインフレ鈍化を示すデータであったことから、米利上げ減速予想が強まって米長期金利が低下し、日米金利差縮小時の円買いドル売りや、欧州ユーロや英国ポンドなどの主要通貨に対するドル売りが起きた。

続いて、昨夜23時15分に発表された12月の米鉱工業生産も、前月の-0.2%と市場予想の-0.1%に対して-0.7%に悪化しており、米国景気減速懸念によるドル売りが継続し、一時127円67銭付近の円高ドル安を記録した。

ただし、その後には高値の円の利益確定売りや安値のドル買いや持ち高調整などの抵抗が入り、米国市場でのドル円相場は円の安値の129円13銭前後から高値の127円67銭前後の値動きをし、値幅は約1円46銭であった。

そのため、今朝の米国ニューヨーク外国為替市場の終値は128円90銭~129円0銭付近で、昨日正午頃の日銀発表前の早朝に前終値をつけていた前日同時刻の前ニューヨーク終値比では約85銭の円安ドル高であったが、日本市場の昨夜17時の前東京終値の130円18~20銭付近と比較すると、約1円24銭の大幅な円高ドル安に転じていた。

今朝8時50分には日本の最新経済指標も発表され、財務省の先月12月の通関ベースの日本の貿易統計の季調済は、前回の-1兆7323億円と市場予想の-1兆6157億円に対し-1兆7242億円の赤字であったことでは、円安も赤字要因であるためにやや円買いが入り、また米国トレンドを引き継いだ日米金利差縮小予想の円買いドル売りもあって円が買われて上昇したが、前東京終値比で円高ドル安に転じていた今朝は、日本企業の輸入準備資金のドル買い注文の抵抗も混じり、10時台に今日の日本市場での円の安値でドルの高値の128円69銭付近を一時記録したが、揉み合うような形の横ばいに近い売買交錯が起きていた。

そのドルの高値圏からは、輸出企業の円買いドル売りに加えて、米国トレンドを引き継いだ米利上げ減速予想による日米金利差縮小予想の円買いドル売りと、米長期金利低下時の日米金利差縮小時の円買いドル売りなどで、昼頃から午後にかけて円相場が再び上昇し、15時台に今日の日本市場での円の高値でドルの安値の127円76銭付近を記録した。

今日は日経平均株価が下落しており、日本株安時のリスク回避でも国内安全資産の低リスク通貨の円買いがあり、主要通貨に対する円相場の上昇に影響を与えていた。

午後からの欧州英国市場の参入もあり、ドルの安値の底入れを示すテクニカル分析シグナルのダブルボトムを組むような形で127円台を二回記録した後からは市場転換が起き、高値圏からの円売りと安値圏のドルが買い戻される抵抗が入り始め、128円台に戻していった。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は128円17~19銭付近で、昨夜17時の前東京終値比では約2円7銭の大幅な円高ドル安になった。

今夜この後にも最新の米国経済指標の発表予定があり、日本時間でのスケジュールは22時半に前週分の米新規失業保険申請件数と米失業保険継続受給者数、先月12月の米住宅着工件数、米建設許可件数、1月の米フィラデルフィア連銀製造業景気指数、米フィラデルフィア連銀景況指数がまとめて発表されるほか、23時から米国連邦準備制度理事会 (FRB) 関係者の米ボストン連銀のコリンズ総裁の発言、25時に米週間原油在庫、27時15分からは米FRBのブレイナード副議長の発言予定などがあり、世界のFXトレーダーや投資家達に今後の為替相場の値動き予想データとして注目している。

また、米株関連では今夜の米国ニューヨーク株式市場でも決算報告があり、米株の値動きによっては日本株にも影響を及ぼし、株式市場のリスクオフやリスクオンが為替相場に影響を与える可能性があることにも注意が必要である。

一方、今日は欧州ユーロに対しても円高が波及しており、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は138円54~56銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約2円49銭の大幅な円高ユーロ安であった。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0807~1.0809ドル付近で、昨夜17時の前東京終値比で約0.20セントのユーロ安ドル高であった。

昨夜の欧州英国市場では、米国市場と後半が同時進行であったために、前述の米国経済指標を受けた欧米金利差縮小時のユーロ買いドル売りの影響でユーロ高ドル安になっていたが、米国市場で一時1.0887ドル付近の2022年4月以来のユーロ高ドル安水準を記録したことから、その後には高値圏のユーロの利益確定売りや安値のドル買いの持ち高調整などで今日の日本市場では反発し、ユーロ安ドル高に転じた。

ただし、今日の午後に欧州中央銀行 (ECB) 理事会関係者のオランダ中銀のクノット総裁が、「0.5%の利上げは一度だけには留まらず、複数回計画している」と発言したことでは、ユーロが一時上昇した時間もあった。

また、今夜は19時半から欧州中央銀行 (ECB) 理事会のラガルド総裁の発言機会があり、21時半から欧州中央銀行 (ECB) 理事会議事要旨も発表される予定もあり、発表結果によってはユーロドルには再び市場反転が起きる可能性もあることには注意が必要である。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は157円99銭~158円5銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約89銭の円高ポンド安であった。

利上げ要因の米国のインフレが低下傾向を示し、欧州も高止まり傾向であることと比較すると、英国のインフレは継続しており、堅調な英国雇用市場を支えにした英利上げ継続予想による英ポンド買いの抵抗があったために、今日の英ポンドに対しては主要通貨への円高の波及があっても、ドルやユーロほどの円高にはなっていなかった。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2023年1月19日の日本時間(JST)20時16分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替時間 (GMT) 11時16分)付近の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:16の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 128.57 〜 128.58 -1.67 (円高)
ユーロ/円 139.22 〜 139.23 -1.81 (円高)
ユーロ/ドル 1.0826 〜 1.0828 -0.0001 (ドル高)
英ポンド/円 158.60 〜 158.66 -0.28 (円高)
スイスフラン/円 140.23 〜 140.29 -0.26 (円高)
豪ドル/円 88.49 〜 88.53 -0.88 (円高)


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