FXニュース:米連邦準備理事会(FRB)の利上げ加速で米景気懸念の円安抵抗が

2022年6月23日
FXニュース:米連邦準備理事会(FRB)の利上げ加速で米景気懸念の円安抵抗が

 

東西FXニュース – 2022年6月23日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • パウエル議長の米上院議会証言後に米長期金利が低下した理由とは
  • ユーロ圏総合PMIが51.9の1年4カ月ぶりの低水準を記録しユーロ売りも
  • 英消費者物価指数(CPI)が前年同月比で9.1%上昇で英景気懸念

今日2022年6月23日木曜日の東京外国為替市場のFXの対ドル円相場の為替レートは、9時から17時の東京外為取引時間の円の安値が136円20銭前後から高値135円13銭前後の値動き幅約1円7銭で、17時の今日の東京外国為替市場の終値は135円43〜45銭前後の前日比約80銭の円高ドル安で、今月に7円近く進んだ急速な円安への一時抵抗となった。

主な原因は、昨夜の欧米市場時間に、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の上院議会証言があり、先週の米連邦公開市場委員会(FOMC)の後の記者会見でも述べていた通り、今後の積極的な金融引き締め加速継続について、「米経済の軟着陸の達成は、とても挑戦的になる」と発言し、米景気後退懸念が強まり、ドル売りの低リスク通貨の円買いや、ドル買い要因となっていた米国債の利回りが指標となる米長期金利の低下に繋がった。

この場合の「軟着陸(ソフトランディング)」とは、経済政策において高度成長を安定成長へと導いていく過程で、不況等を招かない様に成長速度を少しずつ和らげていくことを意味しており、周囲との摩擦を起こさないという意味も含まれているために、それがとても挑戦的で難しいということは、米景気後退(リセッション)の可能性も示唆していると受け止められ、米景気懸念により米株式相場も下落した際にも、ドルから買えるリスク回避で低リスク通貨の円が買われた。

米長期金利の指標となる米10年国債の利回りもニューヨーク市場で3.16%に下がり、前日比で0.12%低下したため、日米金利差縮小時のドル売りと円買いが優勢になっていた。

また、世界景気減速懸念から米原油先物相場が下落し、原油高による輸入コスト増加での日本の貿易赤字拡大予想が弱まり、低リスク通貨としての日本円がリスク回避で買われやすくなった。

そのため、昨夜から今朝までのニューヨーク市場では、円はドルに対して一時135円68銭付近にまで買われ、136円15~25銭の前日比で約50銭の円高ドル安で、今朝のニューヨーク終値をつけた。

その後に始まった今日の日本の東京市場でも、今週の6月21日には一時は136円71銭で1998年10月以来の記録的な円安が急速に進んできたために、今日は持ち高調整での円の買い戻しが入った。

また、元財務官の中尾武彦氏が、現在選挙前の日本政府の「為替介入の可能性は排除できない」と発言したという一部の報道があり、12時前に円はドルに対して一時135円13銭付近まで買われ、今日の高値を記録した。

米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締め加速による米景気減退懸念では、日本市場でも今朝の株安時には低リスク通貨の円買いがあったが、午後に日経株式市場が回復してくると、利上げ方向の米国と金利抑制方向の日本銀行(日銀)の日米の金融政策の方向性の違いから、大きな円安の流れの中での一時抵抗という今後の円安予想があり、安値でのドルの押し目買いも入った。

今日の円安の一時抵抗要因には、今月の円の下落幅が対ドルで7円を超えたこともあり、急速な円安ドル高が進んでいることでの輸入物価インフレなどへの警戒心と、米利上げ加速による米景気減速懸念などが挙げられる。しかし、長期的には資金は金利の高い国で運用した方が有利であるために、日米の金融政策の方向性の違いから、日米金利差拡大予想による大きな流れでの円安ドル高トレンドは今後も継続する可能性が高い。

そのため、欧州英国市場も参入した午後には再び安全資産のドルが買われる機会も増え、昼頃の今日の円の高値からは午後に少し戻したところで、昨日は大幅な円安だったために前日比では円高ドル安の今日の17時の東京終値をつけた。

ユーロは、今日の午後と夕方に速報値で発表された最新の欧州ユーロ圏の6月の経済指標が、ドイツとユーロ総合などの欧購買担当者景気指数(PMI)のいずれもが市場予想以下であったため、欧州景気減速懸念でのユーロ売りが起きており、今夜17時の東京終値は142円34~37銭で前日比76銭の円高ユーロ安になった。

ユーロ対ドルは、今夜17時の日本市場の終値時点では1.0510~1.0511ドルで、前日比0.06セントのドル安ユーロ高であった。先述の欧PMI発表後には欧長期金利が急落したが、それにつられて米長期金利の指標となる米10年債の利回りも低下したことによるドル売りが影響した。

また、今夜の東京終値17時直後に時差で朝の欧州英国市場では、欧PMI悪化による欧州景気懸念でのユーロ売りが更に進み、一時は前日比でドル高ユーロ安やレンジに近い境界線も移動し、欧州実需でユーロが買い戻されるまでは、一時は対ドルで市場反転もしていた。

英ポンドは、昨日発表のあった英インフレ指標の英消費者物価指数(CPI)5月分の上昇率が、前年同月比で9.1%上昇と市場予想以上に悪化し、英国中央銀行のイングランド銀行(BoE)の利上げ継続では昨夜はポンド買いも起きていたが、その後は英景気懸念によるポンド売りが優勢になっており、今日は安全資産のドルや低リスク通貨の円に対して下げたことから、今夜17時の東京終値でも164円89〜95銭で前日比2円9銭の大幅な円高ポンド安であった。

今日、低リスク通貨の円が安値で買い戻された影響は、スイスフランや豪ドルの円相場にも波及しており、今夜17時の東京終値では、スイスフラン対円は140円8〜14銭で前日比1円58銭の円高スイスフラン安で、豪ドル対円も93円10〜14銭で前日比1円21銭の円高豪ドル安だった。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年6月23日の日本時間(JST)19時12分(英国夏時間(GMT+1)11時12分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:12の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 135.41 〜 135.42 -0.82(円高)
ユーロ/円 142.30 〜 142.31 -0.80(円高)
ユーロ/ドル 1.0507 〜 1.0509 +0.0003(ドル安)
英ポンド/円 165.25 〜 165.31 -1.73(円高)
スイスフラン/円 140.04 〜 140.10 -1.62(円高)
豪ドル/円 93.25 〜 93.29 -1.06(円高)


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