FXニュース:日米の金融政策の違いで1998年以来の136円台の円安ドル高に

2022年6月22日
FXニュース:日米の金融政策の違いで1998年以来の136円台の円安ドル高に

 

東西FXニュース – 2022年6月22日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • イベントと連休明けの米市場で米株高時のリスクオンの円売りドル買いが
  • 今夜の米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の議会証言に注目
  • 欧州中央銀行(ECB)関係者達の大幅利上げ発言で円売りのユーロ買いも

今日2022年6月22日水曜日の東京外国為替市場のFXの対ドル円相場の為替レートは、9時から17時の東京外為取引時間の円の安値が136円63銭前後から高値136円5銭前後の値動き幅約58銭で、17時の今日の東京外国為替市場の終値は136円25〜27銭前後で、前日比で約1円3銭の記録的な円安ドル高の続伸であった。

金利抑制の日本と利上げ加速予想の米国との、日米の金融政策の違いによる金利差拡大予想で、昨夜から今朝までの米連休明けのニューヨーク市場では一時136円71銭付近に達し、1998年10月以来の24年4ヶ月ぶりの円安ドル高を記録していた。

主な原因は、米連休前に米連邦準備理事会(FRB)が米連邦公開市場委員会(FOMC)で通常の3倍の0.75%の大幅な利上げを決定し、米政策金利目標を1.50~1.75%にすると発表した。米国はインフレ対策で大幅利上げを今後も継続する予想が優勢であることに対し、日本銀行(日銀)は金融政策決定会合で金利抑制が円安要因となっている大規模緩和の金融政策の現状維持を決定しており、日米の金融政策の違いが明確になった。

そのため、円安ドル高要因が継続し、資金は金利の高い国で運用した方が有利であることから、米連休明けの投資家のまとまったドル買い投資と持ち高調整や、米株上昇時のリスクオンの低リスク通貨の円売りのドル買いと、米長期金利の上昇による日米金利差拡大のドル買いの円売りが強まり、記録的な円安ドル高になった。

今朝までのニューヨーク市場では、先週末に下落していた米株式相場が上昇回復し、米ニューヨーク・ダウ工業株30種平均は641ドル47セント高で終えたことでも分かる通り、投資家達のリスク回避姿勢が弱まってリスク選好市場へと移行していた。そのため、それまでの米株安時にリスク回避で買われていた低リスク通貨の日本円や米国債などが売られて、円や米債権価格が安くなった一方で、米長期金利は前営業日比で約0.06%上昇し、3.28%付近でニューヨーク終値をつけたほか、日米金利差拡大によるドル買い円売り要因となった。

また、米国市場時に原油価格が一時バレル110ドル付近で高止まりをしていたことでも、低リスク通貨としての円の売りとドルの買い戻しを誘った。理由は、ロシアのウクライナ侵攻の影響などでの最近の資源高や原油価格高騰で、今月発表の日本の貿易収支の赤字額が増えていたことから、日本は世界一の純対外資産額の保有によって低リスク通貨としての円の価値を長年高めてきた背景もあり、原油高による輸入コスト増で今後も日本の貿易赤字が更に進むと低リスク通貨としての円の価値が減少する懸念があるために、手持ちの低リスク通貨の円を売って安全資産のドルを買い戻す動きが米国市場で優勢になった。

しかし、今日の東京市場時間には円売りドル買いトレンドの勢いはやや弱まってきており、その理由は、日本市場では先週の米株安の要因となった米国での金融引き締め加速によるや米景気減速懸念がまだ根強く残っており、今朝の東京市場の取引では米株価指数先物が下がり、米長期金利の上昇も弱まってきたことに加え、今日の東京株式市場では日経平均株価が一時の上昇から下落へと市場転換し、15時15分には26,149円55銭で前日比96円76銭安になったことでも分かるように株安時のリスク回避の円買いが起き、高値での利益確定のドル売りによる円の買い戻しがあり、安値での円の持ち高調整もあったことが挙げられる。

また、今夜この後には、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の米議会証言の予定があり、今後の米金融政策に関する発言が出る可能性から、市場では持ち高調整に加えて、様子見の動きも出てきている。

それゆえに今朝は米国市場からの流れで136円台後半に達していたドル円は、東京市場で昼頃に136円台前半になり、午後に欧州英国市場参入で再びドルが買われて136円台後半に達した後も、17時には少し戻して前述の136円台前半の今日の東京終値をつけた。

ユーロは、昨夜の欧州と英国ロンドン市場や今朝までのニューヨーク市場では、欧州中央銀行(ECB)の積極的な金融引き締め予測と、日銀の現状維持による円安要因で日欧金利差拡大予想のユーロ買いが優勢となっていた。また昨夜の欧州株価指数上昇時には、リスクオンのユーロ買いと低リスク通貨の円売りも起きていた。しかし、今夕の朝の欧州市場では欧州株価が反落したことで、リスク回避で安全資産のドルや低リスク通貨の円買い抵抗も起きた。

欧州中央銀行(ECB)理事会員のフィンランド中央銀行のレーン総裁が昨夜、ECBの秋の利上げ幅に関して「0.25%よりも大きい見通し」と発言しており、相次ぐECB関係者の大幅利上げ発言では、日欧金利差拡大予想で円に対してユーロが買われており、ユーロは対円で続伸し、今日の東京終値の17時は143円11~14銭で、前日比約37銭の円安ユーロ高であった。

しかし、外貨に対するドル買いのドル高の影響や先述の今夕の欧州株安時のリスク回避もあり、ユーロは対ドルでは下落し、17時には1.0503~1.0504ドルで、前日比0.53セントのドル高ユーロ安だった。

英ポンドは、昨夜のロンドン市場では、英国中央銀行のイングランド銀行(BoE)のピル・チーフエコノミストが、インフレ対策で更なる英金融引き締めが必要であると発言したことを受けて、一時は英利上げ継続予想からポンド買いが起きていた時間もあった。

しかし、今日の日本市場時間で欧州早朝の日本時間15時頃に発表された最新の英国の5月の経済指標が、英消費者物価指数はほぼ市場予想通りではあったが、英小売物価指数の前月比は市場予想の0.5%に対して今回0.7%で、英生産者物価指数も市場予想を超えており、既に欧米先進国で最悪の記録的な英インフレによる物価高が更に進む可能性があることから、英景気懸念でポンドが売られる機会が増えた。

そのため、今夜17時の東京終値では、対円の英ポンドは166円14〜20銭で、前日比1円66銭の大幅な円高ポンド安になった。

利上げ後のスイスフランや豪ドルに対する円安は、今日の日本市場のリスク回避の円買いや、利益確定売りや持ち高調整などで前日比では円高方向への抵抗が入っている。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年6月22日の日本時間(JST)19時10 分(英国夏時間(GMT+1)11時10分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:10の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 136.14 〜 136.16 +0.92(円安)
ユーロ/円 143.22 〜 143.24 +0.48(円安)
ユーロ/ドル 1.0519 〜 1.0520 -0.0037(ドル高)
英ポンド/円 166.86 〜 166.92 -0.94(円高)
スイスフラン/円 140.91 〜 140.97 -0.52(円高)
豪ドル/円 93.99 〜 94.03 -1.28(円高)


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