FX週刊ニュース(10月4週)|米ドル/円: ついに1ドル=150円台の大台へ。終わりの見えない円安傾向。

2022年10月24日
FX週刊ニュース(10月4週)|米ドル/円: ついに1ドル=150円台の大台へ。終わりの見えない円安傾向。

東西FX週刊ニュース – 2022年10月24日

高田 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米ドル/円: ついに1ドル=150円台の大台へ。終わりの見えない円安傾向。
  • ユーロ/米ドル:続く欧州中央銀行(ECB)の金融引き締め。目立つ、ユーロ売り・ドル買い。
  • 英ポンド/米ドル:リズ・トラス首相辞任へ。混迷続くイギリス経済。
  • 豪ドル/米ドル:豪ドル対米ドルで弱含み推移。米連邦準備理事会(FRB)の政策に影響を受ける豪ドル。
  • 欧州理事会(EU首脳会議)始まる。高騰するエネルギー価格へ対応策は?
  • 輝きを失う金投資。今後の伸びしろは米連邦準備理事会(FRB)次第か?

  • 米ドル/円:ついに1ドル=150円台の大台へ。終わりの見えない円安傾向。

先週木曜日の20日遂に1ドル=150円台まで円安が進みました。政府・日銀は、1ドル=151円台後半まで円安が進んだ21日のニューヨーク外国為替市場で、追加の市場介入に踏み切り、一時5円以上も円相場を押し戻しました。150円を突破した東京市場では介入せず、商いの薄いくなる週末のニューヨーク市場を狙っての、鮮やかな介入劇でした。ニューヨーク市場での介入は通常、ニューヨーク連銀に委託してドルと円の売買を行うので、日米の意思疎通には問題がないことを誇示した形にもなり、今後、市場の介入警戒感を高めることにもつながるでしょう。

もっとも、介入は所詮、急激な変動を抑えるだけであり、アメリカの金利上昇の終着点が見えない以上、円安傾向に変わりはないと、多くの市場関係者は見ています。また、日銀の黒田総裁は「今の大規模緩和を続ける」と繰り返し述べるなど、政府と日銀の温度差も相変わらず大きいままです。肝心の岸田総理も、統一教会問題に政権基盤を揺さぶられ、リスクをとってまで経済政策の方向性を決めようという意思を欠いている状態です。日本の力が弱まり、「円高時代」が終わった今、日本に突き付けられているのが、日本経済の成長力、国際競争力の回復という構造的な課題であることは明らかです。

  • ユーロ/米ドル:続く欧州中央銀行(ECB)の金融引き締め。目立つ、ユーロ売り・ドル買い。

週初めの17日ロンドン外国為替市場でユーロは対ドルで上昇し、英国時間16時時点は1ユーロ=0.9810~20ドルと、前週末の同時点と比べ0.0060ドルのユーロ高・ドル安で推移している。英国のハント財務相が17日、英トラス政権が9月に打ち出した大規模減税策のほぼ全てを撤回すると表明し、英財政悪化への懸念が後退した。英ポンドが対ドルで大幅に上昇し、ユーロも対ドルで連れ高した。

18日のロンドン外国為替市場でユーロは対ドルで上昇し、英国時間16時時点は1ユーロ=0.9840~50と、前日の同時点と比べ0.0030ドルのユーロ高・ドル安で推移している。欧州の主要株価指数の上昇で、リスク選好時に買われやすいユーロ相場の上昇につながった。

19日のロンドン外国為替市場でユーロは対ドルで下落し、英国時間16時時点は1ユーロ=0.9780~90ドルと、前日の同時点と比べ0.0060ドルのユーロ安・ドル高で推移している。高インフレと欧州中央銀行(ECB)の積極的な金融引き締め継続がユーロ圏の景気を下押しすると懸念したユーロ売り・ドル買いが優勢となっている。

週末の21日のロンドン外国為替市場でユーロは対ドルで下落し、英国時間16時時点は1ユーロ=0.9790~9800ドルと、前日の同時点と比べ0.0050ドルのユーロ安・ドル高で推移している。ドイツやフランスなど欧州の主要株価指数が下落しており、市場参加者のリスク許容度が低下した。リスク選好時に買われやすい通貨ユーロが対ドルで売られている。

  • 英ポンド/米ドル:リズ・トラス首相辞任へ。混迷続くイギリス経済。

先週ポンドドルは平均1.12台前半での取引が続いた。19日に発表された9月英消費者物価指数が前年比+10.1%と7月の過去最高水準に再び並んだ。英経済への不透明感が高まり、ポンド売りを誘発したもよう。1.13台割れから1.1222近辺まで下落した。英中銀の措置で年金運用に対する不安が緩和されているが、肝心のトラス首相に辞任要求が高まっており、英政局不安がポンド相場の重石となった面も指摘される。

また、20日、イギリスのリズ・トラス首相が与党・保守党党首の辞任を表明した。イギリスでは第1党の党首が首相になるので、首相辞任表明でもある。9月上旬に発足したばかりの新政権だが、大型減税計画が市場の大混乱を招き、与党内での信頼感も失った。20日朝、保守党平議員の組織から辞任を進言され、午後、官邸前での辞任表明を余儀なくされた。

混迷続くイギリス経済。現在のイギリスの最優先課題は経済の立て直しである。債券安・株安・通貨安のトリプル安で1980年代以来の記録的なインフレで、上がり続けてるイギリス国内の物価。

ただ次の首相が誰になろうとも、多くの専門家は、ポンドが下落し続けると暗い予想をしている。市場関係者らは、景気の逆風やイングランド銀行(英中央銀行)の政策スタンスが足かせとなり、ポンドの下落基調が続くとみる。ポンドの3カ月物リスクリバーサルはかなりのマイナス圏にとどまっている。

  • 豪ドル/米ドル:豪ドル対米ドルで弱含み推移。米連邦準備理事会(FRB)の政策に影響を受ける豪ドル。

20日に発表されたオーストラリア9月の雇用統計は、失業率3.5%、新規雇用+900人でした。失業率は予想通りでしたが、雇用者数の伸びは市場予想の+25千人を大きく下回りました。これを受けて豪ドルは対米ドル、対円で豪ドル売りが優勢となりましたが、下値では買い戻しの動きも出て下げ渋る展開となっています。為替市場ではFRBによる強めの金融引き締め政策が続くとの見方が大勢でドル全面高の流れにありますが、主要国との金利差拡大観測でドル/円は32年振りの円安水準にあります。豪ドルは対米ドルでは弱含み推移ですが、対円では堅調に推移しています。

週末の21日には、オセアニア外国為替市場では豪ドルとニュージーランド(NZ)ドルが反落。前週末は米連邦準備理事会(FRB)が利上げペースを緩める方向で検討するとの観測で買われたが、市場では米利上げ減速の背景にある世界の経済成長への懸念が再び意識されている。豪ドルは一時1豪ドル=0.6209米ドルをつけた。

  • 欧州理事会(EU首脳会議)始まる。高騰するエネルギー価格へ対応策は?

欧州理事会(EU首脳会議)が10月20~21日、ブリュッセルで開催された。今回の欧州理事会では、ウクライナ情勢、対アジア関係や11月に開催される国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)への対応などが協議されたが、最大の焦点となったのは高騰するエネルギー価格へ対応策だ。欧州理事会は今回、全会一致で採択した総括文書で、EU理事会(閣僚理事会)と欧州委員会に対して、発電用天然ガスを対象に価格上限を一時的に設定するEUレベルの枠組みに関する詳細を緊急に提示するよう求めた。これまで、各加盟国はエネルギー価格の高騰により逼迫する家計や企業向けの対策を急ぐ一方で、EUレベルでの対策については、特にガス価格の上限設定の在り方をめぐり、加盟国間で意見が割れており、協議が続いていた。また、欧州委が、欧州理事会に先立ち発表した、ガス共同購入とその一部の義務化、緊急時の加盟国間のガス供給の融通、新たな液体天然ガス(LNG)価格指標の開発と急激な価格変動に対する一時的な対応策からなる規則案についても、加盟国から一定の了解が示されたとしている。ガス価格の上限設定とこの規則案は、10月25日予定されているエネルギー担当相理事会で、その詳細が協議される予定だ。

  • 輝きを失う金投資。今後の伸びしろは米連邦準備理事会(FRB)次第か?

金相場は今年序盤に急伸した後は、輝きを失っている。その光沢を取り戻すには、独歩高状態のドルという強敵に打ち勝つ必要がある。だがエコノミストや企業幹部らは経済について依然として矛盾したメッセージを発している。米連邦準備制度理事会(FRB)はインフレ抑制にしかと照準を定めており、金投資家の待ちは長期化しそうだ。

金価格は通常なら地政学的リスクの増大や物価高に押し上げられるが、今年は大きく下落している。米国外の景気低迷とFRBの大幅利上げ観測が容赦のないドル高につながり、そのほか一切の材料を跳ね飛ばした。調査会社ファクトセットによると、金先物価格(期近物)は、ロシアのウクライナ侵攻開始を受けて史上最高値に迫った3月の水準に比べて19%下落している。

とはいえ、金は通貨価値の下落している国では魅力を保っており、ドルが失速すれば投資資金の逃避先という地位を取り戻すだろう。ただしFRBがインフレ抑制を狙った金融引き締めに区切りをつけたか、景気後退を避けるために金融緩和を始める態勢に入ったと投資家が確信するまでは、その筋書きは実現しそうにない。ゴールドマン・サックスによると、実際に米国が景気後退に陥り、FRBが利下げを開始すれば、金価格は18~34%上昇する可能性がある。

今週の経済指標カレンダー
時間 経済指標(イベント) 通貨 重要度
月曜日 – 2022年10月24日
1日中 ニュージーランド – レイバーデイ 祝日
07:05 オーストラリア準備銀行総裁補佐ケント氏の発信 AUD
09:30 Nikkeiサービス業PMI JPY
16:15 製造業購買担当者景気指数 (10月) EUR
16:15 サービス業購買担当者景気指数 (10月) EUR
16:30 製造業購買部協会景気指数 (10月) EUR
16:30 サービス業購買部協会景気指数 (10月) EUR
17:00 製造業購買担当者景気指数 (10月) EUR
17:00 マーケット総合PMI (10月) EUR
17:00 サービス業購買部協会景気指数 (10月) EUR
17:30 総合PMI GBP
17:30 製造業購買部協会景気指数 GBP
17:30 サービス業購買部協会景気指数 GBP
22:30 製造業売上高 (前月比) CAD
22:45 製造業購買管理者指数 (10月) USD
22:45 マーケット総合PMI (10月) USD
22:45 サービス業購買部協会景気指数 (10月) USD
23:15 英国 イングランド銀行 MPCラムスデン委員発言 GBP
火曜日 – 2022年10月25日
00:00 イエレン財務長官発言 USD
17:00 景気予測 (10月) EUR
17:00 現況分析 (10月) EUR
17:00 IFO景況指数 (10月) EUR
17:55 BoEのMPCピル委員発言 GBP
19:00 CBI製造業受注指数 (10月) GBP
22:00 S&P/ ケース・シラー住宅価格指数(20都市)
(前年比) (8月)
USD
23:00 消費者信頼感指数 (10月) USD
水曜日 – 2022年10月26日
02:00 2年物中期米国債入札 USD
02:55 FRBウォラー氏発言 USD
05:30 米国石油協会 週間原油在庫 USD
09:00 企業景況感指数 (10月) NZD
09:30 消費者物価指数 (前年比) (Q3) AUD
09:30 消費者物価指数 (前期比) (Q3) AUD
09:30 トリム平均CPI (前期比) (Q3) AUD
19:00 フランス合計求職者数 EUR
21:30 良好な貿易収支 (9月) USD
21:30 小売業在庫(自動車を除く) (9月) USD
23:00 新築住宅販売 (前月比) (9月) USD
23:00 新築住宅販売戸数 (9月) USD
23:00 BOC金融政策レポート CAD
23:00 カナダ銀行政策金利発表 CAD
23:00 政策金利発表 CAD
23:30 原油在庫量 USD
23:30 クッシング原油在庫 USD
木曜日 – 2022年10月27日
00:00 加中銀記者会見 CAD
12:00 日銀展望レポート (前年比) JPY
15:00 GfK独消費者信頼感指数 (11月) EUR
21:15 預金ファシリティ率 (10月) EUR
21:15 欧州中銀限界常設貸出ファシリティー EUR
21:15 ECB金融政策発表 EUR
21:15 政策金利発表 (10月) EUR
21:30 コア耐久財受注 (前月比) (9月) USD
21:30 耐久財受注 (前月比) (9月) USD
21:30 国内総生産 (前期比) (Q3) USD
21:30 GDP物価指数 (前期比) (Q3) USD
21:30 失業保険申請件数 USD
21:45 欧州中央銀行記者会見 EUR
23:15 ラガルドECB総裁 発言 EUR
金曜日 – 2022年10月28日
02:00 7年物中期米国債入札 USD
08:30 仕事/求職率 (9月) JPY
08:30 東京都区部コア消費者物価指数(CPI) (前年比) (10月) JPY
08:30 東京都区部のコアコア消費者物価指数(CPI) (前月比) (10月) JPY
09:00 企業景況感指数 (10月) NZD
09:30 生産者物価指数 (前年比) (Q3) AUD
09:30 生産者物価指数 (前期比) (Q3) AUD
11:30 政策金利発表 JPY
未定 日銀金融政策発表 JPY
未定 日銀展望レポート (前年比) JPY
14:30 個人消費 (前月比) (9月) EUR
14:30 国内総生産 (前年比) EUR
未定 日銀記者会見 JPY
15:30 国内総生産 (前期比) (Q3) EUR
15:45 消費者物価指数 (前月比) EUR
15:45 フランスHICP (前月比) EUR
16:00 KOF先行指数 (10月) CHF
16:00 スペイン消費者物価指数 (前年比) EUR
16:00 国内総生産(GDP) (前期比) (Q3) EUR
16:00 スペインHICP (前年比) (10月) EUR
17:00 消費者物価指数 (前年比) (10月) EUR
17:00 消費者物価指数 (前月比) (10月) EUR
17:00 国内総生産 (前年比) (Q3) EUR
17:00 国内総生産 (前期比) (Q3) EUR
21:30 コアPCE物価指数 (前月比) (9月) USD
21:30 個人消費支出価格指数コア (前年比) (9月) USD
21:30 雇用コスト指数 (前期比) (Q3) USD
21:30 個人消費支出物価指数 (前年比) (9月) USD
21:30 個人消費支出価格指数 (前月比) (9月) USD
21:30 個人支出 (前月比) (9月) USD
21:30 国内総生産 (前月比) (8月) CAD
23:00 ミシガン消費者信頼感見込み最終 (10月) USD
23:00 ミシガン大学消費者信頼感指数 (10月) USD
23:00 中古住宅販売保留 (前月比) (9月) USD
土曜日 – 2022年10月29日
02:00 ベーカー・ヒューズ社のリグ・カウント USD
02:00 ベーカーヒューズ社発表の米石油採掘リグ稼働数 USD
04:30 米国商品先物取引委員会 英ポンド
投機的ネットポジション
GBP
04:30 CFTC原油の投機的なネットポジション USD
04:30 米国商品先物取引委員会 金
投機的ネットポジション
USD
04:30 米国商品先物取引委員会 Nasdaq 100
投機的ネットポジション
USD
04:30 米国商品先物取引委員会 S&P500
投機的ネットポジション
USD
04:30 米国商品先物取引委員会 豪ドル
投機的ネットポジション
AUD
04:30 米国商品先物取引委員会 円
投機的ネットポジション
JPY
04:30 米国商品先物取引委員会 ユーロ
投機的ネットポジション
EUR


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