FXニュース:今週日米英金融政策会合
2025年6月16日
東西FXニュース – 2025年06月16日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 中東原油高インフレ警戒
- 米消費者態度指数上振れ
- 米長期金利上昇4.4%台
- 米主要株価三指数大幅安
- 日経平均株価は大幅高に
- 欧利下げ終了「非常に近い」
今日2025年6月16日月曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の安値でドルの高値の144円61銭付近から、円の高値でドルの安値の143円97銭付近の値幅約64銭で、今日17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は144円20銭付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の143円81銭付近の前東京終値比で約39銭の円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、先週の日本市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、中東情勢の緊迫化を受けて世界的に流動性が高い安全資産でもあるドルに有事のドル買いが主要通貨に対して入り、先週金曜日の夜20時9分頃にドルは円相場で一時144円45銭付近と144円台に上昇していたため、先週金曜日の夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時144円13銭付近の始値であった。
米国市場でも、イスラエル軍のイラン攻撃に対し、イランが報復を表明するなど中東情勢緊迫化と悪化を受けて、イランの南側とアラビア半島の北側の間の日量約2090万バレルの原油や石油製品が通過する世界の石油海上輸送の約27%を占める主要輸送ルートのホルムズ海峡の原油輸送への影響警戒などから、米国原油先物の指標の米国ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)の米国WTI (West Texas Intermediate / ウエスト・テキサス・インターミディエート) の期近物が一時7%以上の高騰に向けるなど、原油先物高の影響でインフレ懸念が高まった。
中東情勢の影響による原油高を受けた米国政策金利の先高感により、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.3%台前半から4.3%台後半に向けたほか、更なる一時4.4%台へ向けた上昇を受けて債券利回りの日米金利差拡大時の円売りドル買いが入り、先週金曜日の夜22時31分頃にドルは円相場で一時144円48銭付近と、先週末の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
欧米のニュースの続報では、「イランはイスラエル領に向けて報復とみられるミサイルの一斉発射を行った」などの報道があり、イランの最高指導者のアリー・ハメネイ師が、「戦争を始めたのはイスラエルだ。無傷では終わらせない」と表明したことなどが報じられており、中東情勢悪化による世界経済への悪影響などへの警戒感があった。
一方、米国市場で先週金曜日の夜23時に発表された最新米国経済指標では、6月米国ミシガン大学消費者態度指数の速報値が、前回の52.2と市場予想の53.6を上回る60.5に上振れしたことを受けて米国景気減速懸念がやや緩和され、安全資産の米国債売りが入ったことでも米国債券価格低下に伴う利回り上昇があり、米国ニューヨーク債券市場では4.4%台に上昇していた米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は、先週土曜日未明の午前2時25分頃に一時4.447%付近にまで上昇していた。
ただし、米国ニューヨーク株式市場では、中東情勢への警戒感などから米国主要株価三指数が揃って先物から下落してマイナス圏から始まっており、それに加えての米国長期金利上昇による金利警戒感もあって更に下落幅を拡大し、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株 (DJIA / Dow Jones Industrial Average) と米国S&P 500種株価指数 (S&P500 / Standard and Poor’s 500 index) と米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ / National Association of Securities Dealers Automated Quotations Composite) が揃って前営業日比で大幅安の終値に向けたことでは、株価下落時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) の低リスク通貨の円の買い戻しの抵抗もあり、午前3時50分頃に対ドルの円相場は一時143円85銭付近に反発し、先週末の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、週末を控えた利益確定や持ち高調整では、再びドルが円相場で144円台に反発し、先週金曜日の夜21時頃から先週土曜日の朝5時55分頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の144円48銭付近から、円の高値でドルの安値の143円85銭付近の値幅63銭で、先週土曜日の朝5時55分頃のニューヨーク終値は144円7銭付近と、前営業日同時刻の143円48銭付近の前ニューヨーク終値比で約59銭の円安ドル高をつけて先週末を迎えていた。
週明けの今朝早朝のアジア・オセアニア市場では、先週末は中東情勢の影響が強かった中で発表された6月米国ミシガン大学消費者態度指数の速報値が市場予想を上振れした一方で、併せて発表されていた同月の米国ミシガン大学消費者調査の1年先の期待インフレ率は市場予想の6.4%を下振れする5.1%に鈍化しており、5〜10年先の期待インフレ率は市場予想通りの4.1%であったものの、今週の今日から明日の日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の日銀金融政策決定会合と明日の夜から始まる6月17〜18日の米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の日米金融政策会合を控えた持ち高調整が先行した影響では、今朝6時16分頃に対ドルの円相場は一時143円90銭付近に一時反発した。
ただし、先週末の世界ニュースでは、昨日イスラエル軍が2300キロメートル離れたイラン東部の主要都市マシュハドの空港を攻撃し、攻撃対象がイラン全土に広がりつつあることから中東情勢悪化への警戒感も燻り、それに対してイラン軍もこれまでは夜間限定だった軍事作戦を日中に拡大するなど、イスラエルとイランの両国で攻撃と報復が激化し、地政学リスク回避で世界的に流動性が高いドルに有事のドル買いが主要通貨に対して再び入った影響では、今朝8時15分頃にドルは円相場で一時144円75銭付近に反発上昇していた。
その影響から、日本市場の週明けとなる今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時144円57銭付近と144円台の始値になり、今朝9時3分頃にドルは円相場で一時144円61銭付近と、今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
日本市場では、本日6月16日から明日17日にかけて、日本銀行が金融政策の方針や運営に関わる事項を討議し決定する日銀金融政策決定会合が開催されており、明日の日銀の発表や植田和男総裁の記者会見における発言内容に注目が集まっており、市場予想では今週の日米金融政策会合ではいずれも日米政策金利据え置き予想が優勢であるものの、明日の日銀イベントに向けた調整では国内市場からの円の買い戻しも入りやすく、対ドルの円相場は今朝の下げ幅を縮小し、午後14時53分頃には対ドル円相場は一時143円97銭付近と、今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、島国で輸送コストがかかる日本が95%の原油輸入を中東周辺のアラブ諸国に依存していることから先週末の原油先物価格の上昇時には低リスク通貨の円のリスク増加により円が主要通貨に対して売られやすかった一方で、週明けの今日の東京株式市場では海外市場における円安ドル高を受けた日本株買いと、原油高の影響により事業収益拡大が期待される関連企業などの日本株が買われて上昇し、午後には米国株先物にも買い戻しが観測されるなど、今日の日経平均株価が上昇してプラス圏の推移の後に、午後15時30分に3万8311円33銭の終値をつけ、前営業日比477円8銭高の+1.26%の大幅高で大引けすると、日経平均株価上昇に伴うリスク選好のリスクオン (Risk-on) では国内第一安全資産の低リスク通貨の円売りも入って対ドルの円相場は144円台に戻し、夕方16時16分頃にはドルは円相場で一時144円39銭付近になった。
午後からの欧州市場と夕方からの英国ロンドン外国為替市場の参入では、欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) のルイス・デギンドス副総裁の発言が話題になり、「ユーロドルの為替レートが1.15でも、欧州インフレ目標の達成の大きな障害にはならない」ことや、「欧州インフレリスクは均衡」しており、「ECBは現在、目標に非常に近い位置にある」と、先日のクリスティーヌ・ラガルド総裁やECB理事会メンバー達の発言を受けた欧州利下げサイクル終了が「近い」との市場予想を「非常に近い」と高めた影響があり、欧州ユーロがドルだけでなく円などの主要通貨に対して上昇した外貨影響の波及もあり、夕方16時28分頃にはユーロ円相場で欧州ユーロが一時167円21銭付近に上昇し、2024年7月以来の今年最大の円安ユーロ高を更新していた外貨影響も波及していた。
また、夕方にはドイツ連邦銀行 (Deutsche Bundesbank) のヨアヒム・ナーゲル総裁の発言もあったが、「中東の情勢を物価安定へのリスクとして注視している」としていた。
夕方のニュースでは、イスラエル軍が再び、「イエメンからイスラエルに向けたミサイル発射を確認した」と報道されるなど、欧州ユーロ圏には中東方面に近い地域もあることから、地政学リスクへの警戒感では上昇後の欧州ユーロには高値後の利益確定売りや持ち高調整で安全資産のドルや円などの買い戻しの抵抗も入り、他の主要通貨などに影響が波及していた。
その一方で、夕方には米国株価先物の買い戻しに続き、欧州主要株価指数の独DAX (Deutscher Aktienindex) も東京終値の頃に前営業日比の高値圏から始まった影響では、この時間は欧州ユーロも円相場などで底堅い値動きを見せていた。
このため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は144円20銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の143円81銭付近の前東京終値比では約39銭の円安ドル高になった。
今夜この後の米国市場では、最新米国経済指標の発表予定があり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時30分に6月米国ニューヨーク連銀製造業景気指数と、 26時に米国20年債入札を控えている。
なお、今日から明日にかけての日銀金融政策決定会合が始まったが、明日から明後日の次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) を控え、投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官達は発言自粛のブラックアウト期間に入っているため、今夜もFRBの発言予定は特に予定されていない。
また、昨日6月15日から明日17日にかけてG7首脳会議が行われているほか、中東情勢の続報の影響や、世界の株式市場や債券市場やコモディティ市場などの為替相場影響と、各国との米国関税交渉なども含めた世界の政治経済の影響に加えて、世界情勢と要人発言などのファンダメンタル分析向けのニュースも、最新経済指標データやテクニカル分析と共に世界のFXトレーダー達の値動き予想材料となっている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は166円95銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の165円87銭付近の前東京終値比で約1円8銭の大幅な円安ユーロ高であった。
主な要因は、今日の日経平均株価上昇と欧州主要株価指数の独DAXの高値始まりを受けたリスク選好のリスクオンでは低リスク通貨の円売り欧州ユーロ買いが入ったことや、午後の欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) のルイス・デギンドス副総裁の欧州利下げサイクル終了が「非常に近い」というタカ派寄りの発言が話題になり、ユーロ円とユーロドル共に今日は前営業日比でユーロ高の東京終値であった。
そのため、ユーロドルも、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.1578ドル付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の1.1534ドル付近の前東京終値比で約0.44セントのユーロ高ドル安であった。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は195円87銭付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の194円96銭付近の前東京終値比で約91銭の円安ポンド高であった。
主な要因は、欧州ユーロの影響を受けやすい英国ポンドも買われたほか、今週は6月19日に英国中央銀行のイングランド銀行 (英中銀 / BoE / Bank of England) の英中銀金融政策委員会 (MPC / Monetary Policy Committee) も日米会合後に予定されているが、現在イングランド銀行が発表している英国インフレ率が3.5%と目標の2%を再び上回っており、今回は現在4.25%の英国政策金利の据え置き予想が市場で優勢で、日銀も金利据え置き予想が優勢のため、当面の間の日英金利差予想などが為替相場に影響を及ぼしていた。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2025年6月16日の日本時間(JST / Japan Standard Time)の19時28分(チャート画像の時間帯は英国夏時間 (BST / British Summer Time / JST-8) の英国ロンドン外国為替市場時間の11時28分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。なお、米国市場は2025年3月9日から11月2日まで米国夏時間 (DST / Daylight Saving Time / JST-13) に日本との時差が1時間短縮に調整されており、欧州英国市場も2025年3月30日から10月26日まで英国夏時間のサマータイム (BST / British Summer Time / JST-8) に時差調整されたことには注意が必要である。
通貨ペア | JST 19:28の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 144.08 〜 144.09 | +0.27 (円安) |
ユーロ/円 | 166.79 〜 166.80 | +0.92 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.1574 〜 1.1576 | +0.0040 (ドル安) |
英ポンド/円 | 195.63 〜 195.69 | +0.67 (円安) |
スイスフラン/円 | 177.68 〜 177.74 | +0.56 (円安) |
豪ドル/円 | 93.88 〜 93.92 | +0.67 (円安) |
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