FXニュース:米FOMC政策金利を維持
2025年5月08日
東西FXニュース – 2025年05月08日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米FRB議長利下げ急がず
- 米関税影響不確実性注視
- 米中各国通商交渉期待感
- 日米主要株価が反発上昇
- 英MPCは0.25%の利下げ
今日2025年5月8日木曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の高値でドルの安値の143円44銭付近から、円の安値でドルの高値の144円52銭付近の値幅約1円8銭で、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は144円30銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の143円19銭付近の前東京終値比では約 1円11銭の大幅な円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場の後半にあたる昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時143円42銭付近の始値であった。
昨日の朝のニュースでは、米国政府のスコット・ベッセント財務長官と米国通商代表部 (USTR / United States Trade Representative) のジェイミソン・グリア代表が、中国政府の何立峰副首相とスイスで会合を予定し、米中関税交渉協議を始めることへの期待感が高まっていたが、午前3時の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の米国政策金利と声明の発表イベントの直前に、米国政府のドナルド・トランプ大統領が、「中国を交渉のテーブルにつかせるために米国関税を引き下げることはない」と発言したニュースが話題となり、プラス圏だった米国主要株価三指数が一時揃って反落を見せたため、米国主要株価下落時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) の低リスク通貨の円買いが起き、午前3時8分頃にドルは円相場で一時142円91銭付近と米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
午前3時には、米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) が米国政策金利と金融政策を発表しており、市場予想で優勢であった通り、米国政策金利のフェデラル・ファンド (FF / Federal Funds) レートの誘導目標を現状の4.25〜4.50%で据え置きをする米国政策金利維持を3会合連続で発表し、市場安値後のドルは円相場で反発を始めた。
今回の金融政策を決定した米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の声明文では、米国経済は全体的には、「引き続き、堅調なペースで拡大している」としていたが、米国相互関税政策の経済への影響などについて、「米国経済見通しをめぐる不確実性は一段と高まった」と指摘しており、「物価安定と雇用最大化の二大責務 (デュアル・マンデート / Dual mandate) に対するリスクに注意」を払い、「失業率とインフレ率の上昇のリスクが高まっている」と、データ注視の慎重な姿勢を示唆していた。
午前3時30分頃から世界的な注目を集めていた米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のジェローム・パウエル議長の定例記者会見での要人発言が始まり、「米国経済は依然として堅調」であるが、「米国関税政策の経済や物価と雇用への影響などの不確実性」を強調し、「4月2日に発表された米国相互関税の引き上げ幅は、我々の予想をはるかに超えており、関税が現在示されている水準で導入された場合には、我々の目標に向けた更なるインフレ抑制の進展が見られない可能性がある」と警戒感を示し、「当面は現状維持でデータを待つことができる立場にある」と、以前に予防的な米国利下げが実施された2019年と比較すると現在のインフレ圧や不確実性が高いこともあり、「現在は予防的な米国利下げをする様な状況ではない」とし、「金利調整を急ぐ必要はない」とタカ派よりの発言したほか、政治圧に屈せずに本来のFRBの目標に向けたデータ重視の早期利下げを急がない慎重な姿勢を見せたため、主要通貨に対するドル買いが起き、記者会見終了後の今朝5時15分頃にドルは円相場で一時144円0銭付近と、米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
米国ニューヨーク株式市場では、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株 (DJIA / Dow Jones Industrial Average) と米国S&P 500種株価指数 (S&P500 / Standard and Poor’s 500 index) と米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ / National Association of Securities Dealers Automated Quotations Composite) が一時の反落後の買い戻しで反発上昇し、揃って前日比で小幅高の終値で引けたことも、米国株価上昇時のリスク選好のリスクオン (Risk-on) による低リスク通貨の円売りとなりドルが買い戻されていた。
また、外国為替市場よりも早く閉まる米国株式市場の終盤には、米国ブルームバーグ通信 (Bloomberg) などが事情に詳しい関係者情報として、「ドナルド・トランプ米国政権は、ジョー・バイデン前政権が打ち出した人工知能 (AI / Artificial intelligence) 向け半導体の輸出規制強化策である『AI拡散規則』を撤回する方針」であると報じたニュースの影響などもあり、米国株式の買い戻しが入っていた。
米国ニューヨーク債券市場では、午前3時頃のドナルド・トランプ大統領の発言を受けた警戒感による安全資産の米国債買いの影響で一時4.268%付近に低下していた米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が、ジェローム・パウエル議長の発言を受けた早期の米国利下げ予想の後退により午前4時50分頃には一時4.285%付近に反発していたが、ニューヨーク終値の頃には一時4.274%付近に上昇幅を縮小していたことでは、一時144円付近だった市場高値後のドルにも利益確定売りや持ち高調整が入り、一時143円台後半に戻した。
このため、昨夜21時頃から今朝6時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の142円91銭付近から、円の安値でドルの高値の144円0銭付近の値幅約1円9銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は143円83銭付近と、前営業日同時刻の142円45銭付近の前ニューヨーク終値比で約1円38銭の大幅な円安ドル高をつけていた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場時間の午前8時50分には、日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) が、3月18〜19日開催分の日銀金融政策決定会合議事要旨を公開したが、こちらでも「先行きの見通しを巡っては、各国の政策運営の帰趨のほか、中国経済の動向や地政学的緊張の展開などについて、不確実性が高い」と、不確実性が強調されていた。
今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時143円86銭付近の始値であったが、今日の東京株式市場では朝にプラス圏から始まった日経平均株価が一時マイナス圏に反落した時間があった影響では、低リスク通貨の円が買い戻された。
また、今朝はドナルド・トランプ米国大統領が、日本時間の今夜23時 (米国時間では明朝10時) に、「尊敬されている大国との主要な貿易協定について、大きな記者会見を行う」とソーシャル・メディアに投稿したことでは各国との米国関税ディール交渉への期待感があったが、米国紙ニューヨーク・タイムズ (New York Times) が、「米国政府が英国と貿易協定を発表する予定」と報じたニュースの影響では、米英貿易協定合意への期待感による英国ポンド買いが世界的に流動性の高いドルに対して起き、ポンドドルのポンド高ドル安の外貨影響が対ドル円相場に一時波及した時間もあったため、今朝10時51分頃にドルは円相場で一時143円44銭付近と、今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、今朝までの米国主要株価三指数の上昇を受けては、一時反落後の日経平均株価が反発上昇して再びプラス圏になった株価影響もあり、低リスク通貨の円が売られるとドルは円相場で反発上昇した。
また、当面の間の米国利下げ予想後退の影響もあって、時間外の米国債券取引では安全資産の米国債売りで米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が上昇し、午後14時台には一時4.3%台に乗せ始めるなど、債券利回りの日米金利差拡大時の円売りドル買いの為替相場への影響があったほか、午後15時30分に今日の日経平均株価が3万6928円63銭の終値をつけて前日比148円97銭高で大引けした株価上昇時のリスク選好のリスクオンの低リスク通貨の円売りもあり、午後からの欧州市場と夕方からの英国ロンドン外国為替市場の参入後のドル買いの影響もあって、夕方16時31分頃にはドルは円相場で一時144円52銭付近と、今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
夕方16時30分には、北欧スウェーデンの中央銀行にあたるスウェーデン国立銀行 (Sveriges Riksbank) が政策金利維持を発表し、今夜17時にはノルウェーの中央銀行にあたるノルゲバンク (Norges Bank) も政策金利維持を発表したが、今日の英国ロンドン外国為替市場では、今夜20時過ぎ頃に英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE / Bank of England) の金融政策委員会 (MPC / Monetary Policy Committee) も英国政策金利と声明の発表イベントを控えている時間であったこともあり、今朝の米英貿易協定合意期待で不確実性が減る可能性のあることもあって、英国利下げ予想が市場で意識された影響があり、今朝の米英貿易協定合意期待で買われた英国ポンドが、今夜の英国イベント前のイベントリスクの利益確定や持ち高調整で夕方にドルに対して売られており、世界的に流動性が高いドルが買い戻された外貨影響が対ドル円相場に波及したほか、夕方の米国長期金利が当面の間の金利据え置き予想により、更なる上昇に向けたことも為替相場に影響を与えていた。
このため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は144円30銭付近で、昨夜17時の143円19銭付近の前東京終値比で約 1円11銭の大幅な円安ドル高になった。
今夜この後の日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、英国市場で今夜20時2分頃に英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE / Bank of England) の金融政策委員会 (MPC / Monetary Policy Committee) の英国政策金利と声明の発表と、同時にMPC議事要旨とBoE四半期金融政策報告も公開され、今夜20時30分頃から英国イングランド銀行 (BoE / Bank of England) のアンドリュー・ベイリー総裁の記者会見での発言予定があり、その後の米国市場では最新米国経済指標の発表や米国債入札を控えており、今夜21時30分に1〜3月第1四半期の米国非農業部門労働生産性と米国単位労働コストの速報値と、同時刻に前週分の米国新規失業保険申請件数と米国失業保険継続受給者数、今夜23時に3月米国卸売売上高と、26時に米国30年債の入札を予定している。
また、世界の株式市場と債券市場やコモディティ市場などの為替相場への影響や、米国関税交渉などを含む世界経済と政治影響に加えて、世界情勢と要人発言などのファンダメンタル分析向けのニュースは、テクニカル分析と共に世界のFXトレーダー達の値動き予想材料になっている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は163円2銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の162円72銭付近の前東京終値比では約30銭の円安ユーロ高であった。
主な要因は、日米主要株価指数の反発上昇を受けて、株価上昇時のリスク選好のリスクオン (Risk-on) で低リスク通貨の円売りが入っており、ドルだけでなく、リスクオン市場で買われやすい欧州ユーロや英国ポンドが円相場で上昇した。
そのため、英国ポンドも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は191円77銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の191円19銭付近の前東京終値比で約58銭の円安ポンド高であった。
なお、追記として、今夜20時2分頃に英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE / Bank of England) の金融政策委員会 (MPC / Monetary Policy Committee) は英国新政策金利を発表し、市場予想で優勢だった通り0.25%の英国追加利下げを決定し、これまでは4.50%だった英国政策金利を4.25%に引き下げた。
ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.1298ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の1.1364ドル付近の前東京終値比で約0.66セントのユーロ安ドル高であった。
主な要因は、早期の米国利下げ予想の後退を受けて、今日の夕方に米国長期金利が上昇し、今夜18時台の一時4.322%付近に向けており、それに対して欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) には欧州利下げ継続予想が優勢であることなどから、欧米金利差予想のユーロ売りドル買いが入っていた。
また、昨夜に欧州連合 (EU / European Union) の欧州委員会の貿易・経済安全保障担当のマロシュ・シェフチョビッチ委員が対米関税交渉に向けた発言をしたニュースがあり、米国政府との欧米関税交渉が決裂した場合には、新たな対抗措置の報復リストの詳細を本日8日付で発表する予定だと表明していたことも、対ドルでの欧州ユーロ売りの一因となっていた。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2025年5月8日の日本時間(JST / Japan Standard Time)の19時50分(チャート画像の時間帯は英国夏時間 (BST / British Summer Time / JST-8) の英国ロンドン外国為替市場時間の11時50分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。なお、米国市場は2025年3月9日から11月2日まで米国夏時間 (DST / Daylight Saving Time / JST-13) に日本との時差が1時間短縮に調整されており、欧州英国市場も2025年3月30日から10月26日まで英国夏時間のサマータイム (BST / British Summer Time / JST-8) に時差調整されたことには注意が必要である。
通貨ペア | JST 19:50の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 144.75 〜 144.77 | +1.56 (円安) |
ユーロ/円 | 163.45 〜 163.47 | +0.73 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.1290 〜 1.1292 | −0.0074 (ドル高) |
英ポンド/円 | 192.38 〜 192.44 | +1.19 (円安) |
スイスフラン/円 | 175.30 〜 175.36 | +1.82 (円安) |
豪ドル/円 | 92.95 〜 92.99 | +0.12 (円安) |
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