FXニュース:春闘要求賃上げ率6.09%
2025年3月06日
東西FXニュース – 2025年03月06日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 欧防衛財政拡張ユーロ高
- 米ADP雇用報告予想以下
- 米ISM非製造業景況改善
- 米加墨自動車関税先送り
- 欧米日株上昇リスクオン
- 欧ECB政策金利発表控え
今日2025年3月6日木曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の安値でドルの高値の149円33銭付近から、円の高値でドルの安値の148円26銭付近の値幅約1円7銭で、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は148円37銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の149円50銭付近の前東京終値比では約1円13銭の大幅な円高ドル安であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、欧州ユーロ圏主要国ドイツでウクライナ和平のための防衛費増額に向けた債務ブレーキ緩和の合意により、財政拡張政策が欧州経済をサポートする市場予想の高まりにより、予算増額のための独債券増発を見込んだ独国債売り起き、独連邦10年債の利回りが指標となる欧州長期金利が大幅に上昇し、ドルや円に対して欧州ユーロ買いが優勢となり、今年最大規模のユーロ高ドル安が進行していた外貨影響が対ドル円相場に波及し、昨夜18時4分頃にドルは円相場で149円1銭付近に下落し、前東京終値比で円高ドル安に転じていた。
その後には、米国政府のハワード・ラトニック商務長官が米国ブルームバーグ・テレビ (Bloomberg TV) のインタビューで、3月4日にカナダとメキシコに対して発動された25%の米国関税について、ドナルド・トランプ大統領が「自動車関税など複数分野の一部軽減措置の可能性を検討しており、5日中に両国への米国関税に関する発表を行う見通し」であることを発言し、「より広範な相互関税は引き続き4月2日に発動される計画で、一部は即時発効となるが、その他の分野では数週間から数カ月後に関税が課される可能性がある」ことなども示唆したため、同日中のドナルド・トランプ大統領とカナダのジャスティン・トルドー首相の会談予定に関する観測報道もあったことなどから、米国関税政策を受けた米国景気減速警戒感がやや緩和されたことでは、ドルが買い戻された時間があった。
その影響から欧州市場と英国ロンドン外国為替市場の後半にあたる昨夜22時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時149円51銭付近の始値で、昨夜22時4分頃にドルは円相場で一時149円74銭付近と、米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
しかし、明日に最新米国雇用統計発表のイベントを控える米国市場で、昨夜22時15分に米国雇用関連の最新米国重要経済指標の2月米国ADP (Automatic Data Processing) 雇用統計の発表があり、前回18.3万人は前回18.6万人に上方修正されたものの市場予想の14.0万人を下回る7.7万人に下振れし、米国雇用市場軟化予想によりドルが売られたほか、安全資産の米国債買いで米国債券価格上昇に伴う利回り低下が起き、発表前の昨夜22時頃に一時4.259%付近だった米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が発表後の昨夜23時35分頃の一時4.195%付近に向けて急落したため、債券利回りを受けた金利差縮小時の円買いドル売りやユーロ買いドル売りなどの影響により、昨夜23時59分頃にドルは円相場で一時148円39銭付近と、米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
ただし、昨夜23時45分に発表された2月米国サービス部門購買担当者景気指数 (PMI / Purchasing Managers Index) の改定値が前回と市場予想の49.7を上回る51.0に上方修正されたことや、2月米国総合購買担当者景気指数 (PMI) 改定値も前回の50.4に対し51.6に上方修正されたことに続き、深夜24時に発表された米国景気関連の最新米国重要経済指標の2月国サプライマネジメント協会 (ISM / Institute for Supply Management) 非製造業景況指数が、前回の52.8と市場予想の52.6を上回る53.5に上振れし、米国景気減速懸念がやや緩和されたことを受けては、安全資産の米国債売りによる米国長期金利の反発上昇と共にドルの買い戻しが入り、深夜24時7分頃にドルは円相場で一時149円11銭付近に下げ幅を縮小し、米国ニューヨーク債券市場でも深夜24時50分頃には米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は一時4.268%付近に上昇した。
また、深夜24時に同時発表されていた1月米国製造業新規受注の前月比も、前回マイナス圏だった−0.9%と市場予想の1.6%を上回るプラス圏の1.7%に上昇していた。
さらに、米国ワシントンのホワイトハウスのカロリーネ・レビット報道官が、3月4日に発動されたカナダとメキシコへの25%の米国関税について、「自動車への適用は1カ月免除する」と公式に発表したほか、「ドナルド・トランプ大統領は、米国関税の適用除外の要請にオープン」であることにも言及したため、米国自動車業界ではメキシコからの車両輸入の多いゼネラル・モーターズ(GM / General Motors)社が2025年12月期の営業利益の90%減額予想やフォード・モーター (Ford Motor Company) も30%減益予想などの試算が話題となりリスク回避のリスクオフの株売り要因なっていたことなどから株の買い戻しが起き、米国ニューヨーク株式市場では米国主要株価三指数の米国ダウ工業株 (Dow Jones Industrial Average) が一時610ドル以上の大幅な反発上昇を見せたほか、米国S&P 500種株価指数 (Standard and Poor’s 500 index) と米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) も反発上昇し、大幅な上昇に転じた大幅高の終値に向けた。
米国ニューヨーク債券市場でも、世界的な安全資産の米国債売りが優勢となり、午前4時10分頃に米国10年債の利回りが指標の米国長期金利は一時4.283%付近に上昇した。
午前4時に米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) が、全米12地区の連邦連銀が管轄する地域の経済情勢をまとめた米国地区連銀経済報告の「ベージュブック」 (Beige Book)を公表し、全体的な経済活動は「1月中旬以降わずかに上向いた」と総括しており、12地区中6地区は横ばいで、4地区が緩やかまたはわずかに拡大し、2地区がわずかに縮小し、前回の「12地区でわずかまたは緩やかに伸びた」と比較すると、第二次米国ドナルド・トランプ政権による関税政策や移民政策強化などの経済への影響の懸念もあり、「消費は全体的に見て減少し、生活必需品に対する需要が底堅いものの、低所得者層が特に裁量支出の際に価格に敏感になっている」ことなどが指摘されていたことでは、ドルの円相場での買い戻しは入ったものの米国市場の高値を上抜けることはなく、午前4時10〜12分と15分頃の一時149円14銭付近のダブルトップ (Double Top) から反落した。
このため、昨夜22時頃から今朝7時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の149円74銭付近から、円の高値でドルの安値の148円39銭付近の値幅約35銭で、今朝7時頃のニューヨーク終値は148円88銭付近と、前営業日同時刻の149円79銭付近の前ニューヨーク終値比で約91銭の円高ドル安をつけていた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場時間に続き、今朝9時頃からの今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の始値も一時148円88銭付近の始値であったが、日本市場の今朝9時55分の仲値決済に向けた日本企業の輸入実需の円売りドル買い需要などのドル需要があったことでは、今朝10時13分頃に対ドル円相場は一時149円33銭付近と、今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
また、今朝早朝までに欧米主要株価が大幅高の終値をつけていた影響もあり、今日の東京株式市場でも日経平均株価が朝から大幅高で始まり、日米欧株価上昇時のリスク選好のリスクオン (Risk-on) で国内第一安全資産の低リスク通貨の円が売られた影響も波及していた。
日本市場時間の時間外の米国債券市場でも、今朝10時6分頃に世界的な安全資産である米国債が売られた影響で、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.319%付近と、4.3%台に上昇した債券利回りの金利差トレードの日米金利差拡大時の円売りドル買いも為替相場に影響を及ぼしていた。
しかし、今日は国内債券市場でも、日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の追加利上げ予想の影響や欧米国債に連れて新発10年物の日本国債利回りが指標となる国内長期金利が一時1.5%台に上昇しており、2009年6月以来のおよそ15年9カ月ぶりの高利回りを記録したことでは、円の買い戻しも入り始めて円相場が反発した。
今夜この後に欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) の欧州政策金利と声明の発表やクリスティーヌ・ラガルド総裁の記者会見での要人発言予定を控えている日本市場でも、欧州防衛費増額の財政拡張による景気刺激予想などからECBの追加利上げ予想がやや後退しており、欧州ユーロが世界的に流動性の高い対ドルで買われていた外貨影響が対ドル円相場に引き続き波及したほか、日経平均株価上昇時のリスク選好のリスクオンでは低リスク通貨の円売りでも欧州ユーロや英国ポンドが買われやすかったが、午後15時30分に今日の日経平均株価が3万7704円93銭の終値をつけて、前日比286円69銭高の大幅高で大引けすると、低リスク通貨の円売りから市場後半に向けた円の買い戻しに転じたため、対ドル円相場では円が反発後の上昇を強め始めた。
また、今日の日本のニュースでは、今年2025年の春季労使交渉 (春闘) で連合傘下労組が要求した春闘平均賃上げ率が6.09%と1993年以来の約32年ぶりの6%超えの高水準となったことが市場で話題になり、2025年の春闘における大手企業経営者の早期の満額の回答が目立ち、3月12日の集中回答日を前にして人手不足解消のための早期の人材確保や囲い込みも意識され、賃金上昇を伴う2%のインフレが目標の日銀の早期追加利上げ予想が高まり、午後に円買いドル売りが勢いを増し、夕方の欧州市場参入では引き続きユーロ買いドル売りの外貨影響の波及もあったため、夕方16時44分頃に対ドル円相場で一時148円26銭付近と円相場が上昇し、今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
このため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は148円37銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の149円50銭付近の前東京終値比では約1円13銭の大幅な円高ドル安になった。
今夜この後には欧州市場で、今夜22時15分に欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) の欧州政策金利と声明発表が予定されており、その後の今夜22時45分頃からクリステーヌ・ラガルド総裁の定例記者会見での要人発言も控えている。
米国市場でも、最新米国経済指標などの発表予定と次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官の発言予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時30分の2月米国チャレンジャー人員削減数の後の、今夜22時30分には1月米国貿易収支と2024年10〜12月第4四半期米国非農業部門労働生産性の改定値と米国単位労働費用の改定値と前週分米国新規失業保険申請件数と前週分米国失業保険継続受給者数が同時発表され、深夜24時に1月米国卸売売上高と、29時30分頃から次回のFOMC投票権を持つFRBのクリストファー・ウォラーFRB理事の発言予定などを控える。
加えて、世界の株式市場と債券市場やコモディティ市場などの為替相場への影響に加え、米国関税政策やウクライナ情勢などを含んだ世界情勢などの政治ニュースや、要人発言なども世界のFXトレーダー達が注視している。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は160円19〜21銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の159円49〜51銭付近の前東京終値比で約70銭の円安ユーロ高であった。
主な要因は、昨日と同様に、欧州連合 (EU) の防衛費増額のための財政拡張の影響が続き、地理的に近いウクライナ情勢の地政学リスク緩和期待もあり、欧州ユーロが続伸し、愛源となる欧州債増発を見込んだ欧州債売りでは欧州長期金利上昇時の日欧金利差を受けた欧州ユーロ買いも円相場や対ドルで入っていた。
ただし、欧州ユーロは世界的な流動性が高いドルに対して今年最大のユーロ高ドル安を更新するなどユーロ高が続いたが、今夜この後に欧州中央銀行 (ECB) 理事会の欧州政策金利発表のイベントを控えていることではイベントリスクの様子見もあり、今日の東京終値時点では低リスク通貨の円に対しては昨日ほどの大幅な円安ユーロ高にはなっていなかった。
しかし、ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0797〜1.0799ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の1.0669〜1.0671ドル付近の前東京終値比で約1.28セントの大幅なユーロ高ドル安であった。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は191円51〜57銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の191円61〜67銭付近の前東京終値比で約10銭の円高ポンド安であった。
主な要因は、今日の春闘平均賃上げ要請の上昇を受けた日銀の追加利上げ予想による円相場の上昇の影響があったが、ウクライナ和平に向けて欧州連合と有志連合となる英国側の防衛費拡大のための拡張財政策については欧州よりも新規の話題性が乏しかったことから欧州ユーロよりも英国ポンドの方が今日の日本市場での買い要因が弱く、先月2月25日に英国政府のキア・スターマー首相が、「イギリスの防衛費を2027年までに国内総生産 (GDP / Gross Domestic Product) 比で2.5%まで増加させる計画」をすでに発表後であった。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2025年3月6日の日本時間(JST)20時31分(チャート画像の時間帯は2025年3月最終日曜日まで日本から時差9時間遅れの英国冬時間の標準時間 (GMT / Greenwich Mean Time) の英国ロンドン外国為替市場時間 (GMT / JST-9) の11時31分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。なお、米国市場は2025年3月9日から11月2日まで米国夏時間のサマータイム (Summer Time) に日本との時差が調整される予定で、欧州英国市場も2025年3月30日から10月26日まで英国夏時間のサマータイムに1時間変更の (BST / JST-8) に時差調整がされる予定には注意が必要ある。
通貨ペア | JST 20:31の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 147.87 〜 147.89 | −1.63 (円高) |
ユーロ/円 | 159.53 〜 159.55 | +0.04 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.0787 〜 1.0789 | +0.0118 (ドル安) |
英ポンド/円 | 190.37 〜 190.43 | −1.24 (円高) |
スイスフラン/円 | 166.78 〜 166.84 | −1.54 (円高) |
豪ドル/円 | 93.51 〜 93.55 | −0.23 (円高) |
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