FXニュース:今夜米雇用統計発表控え
2025年3月07日
東西FXニュース – 2025年03月07日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 春闘日銀追加利上げ予想
- 欧ECBが追加利下げ発表
- 欧今後の金利は慎重姿勢
- 米加墨USMCA関税延期
- 日米株価下落リスク回避
- 米パウエル議長発言予定
- 米トランプ大統領発言も
今日2025年3月7日金曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の安値でドルの高値の148円17銭付近から、円の高値でドルの安値の147円39銭付近の値幅約78銭で、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は147円61銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の148円37銭付近の前東京終値比では約76銭の円高ドル安であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、日本で今年2025年の春季労使交渉 (春闘) で連合傘下労組が要求した春闘平均賃上げ率が6.09%と1993年以来のおよそ32年ぶりの6%超えの高水準であったニュースを受けて、賃金上昇を伴う2%のインフレが目標の日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank Japan) の早期追加利上げ予想が高まり、円買いドル売りの影響が続いていたことに加えて、昨夜21時30分に発表された最新米国経済指標の2月米国チャレンジャー人員削減数の前年同月比が前回の−39.5%から103.2%に大幅に悪化し、米国新政権の人員整理のよる影響なども含めて、今夜この後の最新米国雇用統計発表のイベントを控えたイベントリスクも意識されドルが売られため、昨夜21時40分頃の対ドル円相場は一時147円56銭付近と、ドルに対して円相場が前東京終値比で大幅な上昇を見せていた。
米国民間雇用調査会社のチャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス (Challenger, Gray & Christmas, Inc.) の調査によると、米国企業や米国政府機関が今年2月に公表した人員削減数は17万人以上で1月から約3.5倍に急増し、米国新政権が政府職員の削減を進めたことで知られるイーロン・マスク率いる「米国政府効率化省 (DOGE / Department of Government Efficiency) や貿易戦争への懸念により、人員削減が急増した」と調査会社が指摘しており、2月の人員削減の中でも米国政府機関によるものが6万2242人で最も多く、1月の288人や前年同月の27人から大幅に増えており、第二次ドナルド・トランプ米国政権の関税政策の影響により企業業績も悪化すれば、民間企業でも削減数が増えて米国景気減速につながる可能性が警戒され、今夜の米国雇用統計前のドル売りが強まった。
その影響から、欧州市場と英国ロンドン外国為替市場の後半にあたる昨夜22時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場も147円61銭付近と、一時147円台の始値であった。
昨夜22時15分には、欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 理事会が欧州政策金利と声明を発表し、これまでの2.90%から市場予想通りの2.65%に0.25%の欧州追加利下げを決定し、5会合連続の欧州追加利下げとなったが、声明ではこれまでの欧州利下げにより、欧州金融政策が「実質的に引き締め的でなくなりつつある」とあったことから、従来の金融政策が「引き締め的」と表現されていたことからの変更を受けて、市場ではECBが今後の欧州追加利下げに慎重になるとの観測があり、その後の昨夜22時45分頃から始まる欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) のクリステーヌ・ラガルド総裁の定例記者会見の要人発言に注目が集まった。
一方、米国市場では、昨夜22時30分に発表された最新米国経済指標の1月米国貿易収支が前回−984億ドルと前回−981億ドルと市場予想の−1274億ドルに対し−1314億ドルに赤字額が増えており、同時発表の前週分米国新規失業保険申請件数は前回の24.2万件と市場予想の23.5万件に対し22.1万件と強かったものの、前週分米国失業保険継続受給者数は前回186.2万人と前回185.5万人と市場予想の188.0万人に対して189.7万人と弱く、同時刻の2024年10〜12月第4四半期米国非農業部門労働生産性の前期比の改定値は前回と市場予想の1.2%を上回る1.5%と、強弱混合の米国経済指標が発表された。
昨夜22時45分頃からは、欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) のクリステーヌ・ラガルド総裁のライブ中継の定例記者会見の発言が始まり、「データが示せば一時停止」と欧州利下げ停止の可能性を示唆したほか、米国政府のドナルド・トランプ大統領の欧州への米国関税政策の影響などの欧州インフレへの警戒感や不透明性が市場で意識され、今後の欧州政策金利について「特定の経路を確約しない」と慎重な姿勢を示されたことから、市場では欧州利下げが終焉に近づいたことなどの市場予想の欧州ユーロ買いが入り、ウクライナ和平への欧州防衛費拡張政策の期待感でも上昇していた独連邦10年債の利回りが指標となる欧州長期金利上昇を受けた欧州ユーロ買いドル売りが増え、ユーロドルが深夜過ぎの一時1.0854ドル付近の昨年2024年11月以来の今年最大の欧州ユーロ高ドル安の更新に向けるなどしていたドル下落圧の外貨影響が対ドル円相場にも波及し、昨夜23時3分頃にドルは円相場で一時147円31銭付近と、米国市場の円の高値でドルの安値を記録し、昨年2024年10月以来の今年最大の円高ドル安を更新した。
市場安値後のドルには買い戻しが入り始めたが、深夜24時に発表された最新米国経済指標の1月米国卸売売上高の前月比が前回プラス圏だった1.0%は前回1.4%に上方修正されたものの市場予想の0.5%に対しマイナス圏の−1.3%に低下していたことは抵抗になった。
しかし、深夜24時10分頃に米国政府のハワード・ラトニック商務長官が、「ドナルド・トランプ米国大統領は、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA / United States–Mexico–Canada Agreement)の全製品に対する米国関税を延期する可能性が高い」と発言し、自動車関税への警戒感の一時緩和を受けたショートカバーのドルの買い戻しが再び強まった。
米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA / United States–Mexico–Canada Agreement)とは、米国とメキシコとカナダの間で2020年7月に発行された北米自由貿易協定 (NAFTA / North American Free Trade Agreement) に代わる新NAFTAとも称されることがあるカ国間の貿易協定で、車の対米輸出台数制限や自動車部品に関する原産地規則の強化と他国の通貨安誘導を防ぐ為替条項などが新たに導入されたもので、米国では前述のUSMCAと呼ばれるが、メキシコではT-MEC (Tratado entre Mexico, Estados Unidos y Canada) 、カナダではCUSMA (Canada-United States-Mexico Agreement) とも呼ばれている。
米国ニューヨーク債券市場でも、この時間の世界的な安全資産でもある米国債が売られた影響により、米国債券価格低下に伴う利回り上昇が起き、午前1時5分頃には米国10年債の利回りが指標なる米国長期金利が一時4.344%付近と一時4.3%台で上昇したため、午前1時18分頃には対ドル円相場は一時148円39銭付近とドルが円相場で反発し、米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
ただし、米国ニューヨーク株式市場では、半導体株が売られていたほか、米国関税政策の影響による景気減速懸念だけでなく、米国雇用関連の重要経済指標への警戒感などもあり、米国主要株価三指数が揃って下落のマイナス圏の推移を続け、米国ダウ工業株 (Dow Jones Industrial Average) が一時620ドル以上の大幅下落を見せたほか、米国S&P 500種株価指数 (Standard and Poor’s 500 index) と米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) も前日の上昇後の反落のマイナス圏のままで終値に向け、米国主要株価三指数が揃って前日比で安値の終値に向けたことでは、米国主要株価下落時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) で低リスク通貨の円が買われたほか、安全資産の米国債が買い戻されて利回りが低下し、今朝早朝のニューヨーク終値の頃には一時4.276%付近と、一時4.3%台から4.2%に低下した債券利回りの日米金利差縮小時の円買いドル売りも入った。
このため、昨夜22時頃から今朝7時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の147円31銭付近から、円の安値でドルの高値の148円39銭付近の値幅約1円8銭で、今朝7時頃のニューヨーク終値は147円98銭付近と、前営業日同時刻の148円88銭付近の前ニューヨーク終値比で約90銭の円高ドル安をつけて引けていた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場に続き、今朝9時頃からの今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の始値は一時148円15銭付近の始値と、世界的に流動性が高いドルの買い戻しが入っており、この今朝9時0分の1分間の値動きの中で瞬時に記録した一時148円17銭付近が今日の日本市場の円の安値でドルの高値となったが、今日の東京株式市場では今朝までの米国主要株価三指数の下落を受けた日経平均株価下落予想による低リスク通貨の円買いも入り始めたことから、今日の日本市場では対ドルの円相場が再び上昇した。
今朝に米国政府はカナダとメキシコに発動した25%の米国追加関税を、先述の米国・メキシコ・カナダ協定 (USMCA)適合品の自動車などには4月2日まで免除すると公的に発表したが、米国関税政策に対する第二次ドナルド・トランプ米国政権の方針が二転三転することへの不信感や不透明度による警戒感からは、低リスク通貨の円買いが優勢であった。
また、昨日の春闘のニュースを受けた日銀の早期追加利上げ予想の影響もあり、今日の国内債券市場では新発10年物の日本国債の利回りが指標となる国内長期金利が一時1.5%台で上昇したことに比べ、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は一時4.2%台で低下を見せた時間があり、債券利回りを受けた日米金利差トレードの円買いドル売りも入っていたことで、ドルは円相場での下落幅を広げた。
v今日の午後15時30分には今日の日経平均株価が3万6887円17銭の終値をつけ、前日比817円76銭安の大幅下落で大引けすると、日米株価下落時のリスク回避のリスクオフで国内第一安全資産の低リスク通貨の円買いの影響が続き、午後15時52分頃にドルは円相場で一時147円39銭付近と、日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。ただし、今日の夕方の一部報道によると、複数の関係者筋の情報として、前回1月の日銀追加利上げ後の影響や不透明な米国政策を見極めたいなどの考えから、日銀は次回3月18〜19日の日銀金融政策決定会合では、金融政策の現状維持を決める公算大きいというニュースもあったことは、市場高値後の円の利益確定売りや持ち高調整の抵抗になった。
夕方からの欧州市場の参入では、午後14時と15時台に一時4.245%付近にまで低下後の米国長期金利が16時台に一時4.266%付近に反発して下げ幅を縮小したため、ドルも円相場で下げ幅を縮小したが、今夜この後の最新米国雇用統計の発表イベントや米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のジェローム (ジェイ) ・パウエル議長の要人発言などを控える中で、ドルのイベントリスクもあってやや重い買い戻しになっていた。
このため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は147円61銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の148円37銭付近の前東京終値比で約76銭の円高ドル安で引けていた。
今夜この後の米国市場では、最新米国重要経済指標の発表イベントや次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のジェローム・パウエル議長を含めた高官達の要人発言予定と米国政府のドナルド・トランプ大統領の発言予定なども予定されている。
日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜22時30分に最新米国重要経済指標の2月米国雇用統計の米国非農業部門雇用者数と米国失業率と米国製造業雇用者数と米国平均時給などが発表されるイベント時間に続き、深夜24時15分頃から次回のFOMC投票権を持つFRBのミシェル・ボウマン理事の発言予定と、深夜24時45分頃から同じくFOMC投票権のあるFRB高官の米国ニューヨーク連邦準備銀行のジョン・ウィリアムズ総裁の発言予定と、26時20分頃から同様にFOMCメンバーのFRBのアドリアナ・クーグラー理事の発言予定、そして26時30分頃から次回のFOMCメンバーのFRB 高官達の中でも市場注目度が最も高いジェローム (ジェイ)・パウエル議長の発言予定では米国経済見通しについて語ると伝わっており、27時頃からアドリアナ・クーグラー理事の再発言予定に続いては、27時30分頃から米国政府のドナルド・トランプ大統領の発言予定があり、こちらは仮想通貨について話すと伝わり、29時には1月米国消費者信用残高発表も控える。
さらに、世界の株式市場と債券市場やコモディティ市場などの為替相場への影響に加え、米国関税政策やウクライナ情勢などを含んだ世界情勢などの政治ニュースや、要人発言なども世界のFXトレーダー達が注視している。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は159円89〜90銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の160円19〜21銭付近の前東京終値比で約30銭の円高ユーロ安であった。
主な要因は、昨日の春闘のニュースを受けた日銀の追加利上げ予想を受けた円買いの影響が影響を及ぼしたほか、昨夜の今年最大のユーロ高ドル安の後には米国主要株価下落を受けたリスク回避のリスクオフで利益確定売りや持ち高調整のドルの買い戻しなどでユーロが一時反落した外貨影響も為替相場に影響を与えており、また今日の日本市場では日経平均株価も大幅な下落を見せたことで、低リスク通貨の円買いが優勢だった。
ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0828〜1.0830ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の1.0797〜1.0799ドル付近の前東京終値比で約0.31セントのユーロ高ドル安であった。
主な要因は、今日の日本市場時間の時間外の米国債券取引で米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が低下していたことで、昨夜に今後の欧州追加利下げに慎重な姿勢が示されたこともあり、欧州ユーロ買いドル売りが再燃し、欧州防衛費増額の独財政拡張政策への期待感も根強く、今日の日本市場でも一時1.0841ドル付近のユーロ高ドル安を見せた。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は190円51〜57銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の191円51〜57銭付近の前東京終値比で約1円0銭の円高ポンド安であった。
主な要因は、昨日の春闘平均賃上げ要請上昇を受けた日銀の早期追加利上げ観測報道の影響による主要通貨に対する円相場上昇の影響があったほか、ウクライナ和平の有志国連合に向けた国防費増額の一方で、英国予算編成を前にして英国福祉予算削減のニュースがあるなど、英国財政懸念なども燻っていた。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2025年3月7日の日本時間(JST)20時24分(チャート画像の時間帯は2025年3月最終日曜日まで日本から時差9時間遅れの英国冬時間の標準時間 (GMT / Greenwich Mean Time) の英国ロンドン外国為替市場時間 (GMT / JST-9) の11時24分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。なお、米国市場は2025年3月9日から11月2日まで米国夏時間のサマータイム (Summer Time) に日本との時差が調整される予定で、欧州英国市場も2025年3月30日から10月26日まで英国夏時間のサマータイムに1時間変更の (BST / JST-8) に時差調整がされる予定には注意が必要ある。
通貨ペア | JST 20:24の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 147.62 〜 147.63 | −0.75 (円高) |
ユーロ/円 | 160.15 〜 160.17 | −0.04 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.0847 〜 1.0849 | +0.0050 (ドル安) |
英ポンド/円 | 190.72 〜 190.78 | −0.79 (円高) |
スイスフラン/円 | 167.90 〜 167.96 | −1.01 (円高) |
豪ドル/円 | 93.05 〜 93.09 | −0.87 (円高) |
注意:
本ウェブサイトに記載されている全ての情報またリンク先を含めた情報は、情報提供を目的のみとしており、取引投資決定、及びその他の利用目的のために作成されたものではありません。取引投資種、外国為替取引業者の選択、売買価格投資等の全ての最終決定については、利用者ご自身のご判断において行われるようお願い致します。
当社は、当サイトに掲載した情報によって万一閲覧者が被った直接・間接的に生じた損失に関して一切責任を負わないものとします。また、当社および当社に情報を提供している第三者は一切責任を負うものではございませんので ご了承ください。万が一、当サイトの提供情報の内容に誤りがあった場合でも、当社は一切責任を負いません。当社はこのウェブサイトの掲載内容を予告なしに変更または廃止することがございますので、あらかじめご了承おきください。