FXニュース:米消費者信頼感指数上振れ

2024年5月29日
FXニュース:米消費者信頼感指数上振れ

 

東西FXニュース – 2024年5月29日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米長期金利上昇時の金利差
  • 米国債入札受け利回り上昇
  • 米FRB高官利上げの可能性
  • 日銀委員も利上げ否定せず
  • 独消費者物価指数発表控え

今日2024年5月29日水曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートは、円の安値でドルの高値の157円41銭付近から、円の高値でドルの安値の156円89銭付近の値幅約52銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は157円12〜13銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の156円88〜89銭付近の前東京終値比で約24銭の円安ドル高であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、昨日の日本市場終了後の英国ロンドン外国為替市場後半から始まった昨夜21時頃からの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場の始値は一時156円80銭付近であったが、昨夜22時に発表された最新米国経済指標の3月のケース・シラー米国住宅価格指数の前年同月比は前回と市場予想の7.3%をやや上回る7.4%だったものの、3月の米国住宅価格指数の前月比は前回の1.2%と市場予想の0.5%を下回る0.1%で、1〜3月四半期の米国住宅価格指数の前期比も前回の1.5%から1.1%に鈍化したため、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.456%付近にまで低下し、債券利回りを受けた金利差トレードで日米金利差縮小時の円買いドル売りも入っていたため、昨夜22時20分頃にドルは円相場で一時156円58銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。

しかし、続いて昨夜23時に発表されたコンファレンス・ボード (The Conference Board / 全米産業審議会) の5月の米国消費者信頼感指数は、前回の97.0と前回上方修正の97.5と市場予想の95.9を大きく上振れする102.0に上昇したことでは、米国長期金利は反発後に4.5%に向けた上昇を始めたため、日米金利差拡大時の低金利通貨の円売りと高金利通貨のドル買いが優勢になり、ドルは円相場で157円台に向けた反発と上昇を始めた。

また、米国ニューヨーク債券市場では、深夜24時30分に米国2年債の入札と、午前2時0分に米国5年債の入札があったが、いずれも低調な入札結果であったことから、債券価格低下に伴う利回り上昇の影響が他の年度の米国債にも波及したため、米国10年債の利回りが指標の米国長期金利も上昇を続け、米国ニューヨーク債券市場の終値の4.556%付近の前営業日比+0.090%に向けていたため、日米金利差縮小時の円売りドル買いが続いた。

その一因は、昨夜の米国CNBCテレビに米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官の米国ミネアポリス地区連邦銀行のニール・カシュカリ総裁が、「米国の利下げを開始する前に、米国インフレ率が著しく改善するのを待つべき」と発言し、今年1回または2回の利下げを始めるために必要な条件についての質問に対し、「米国の利下げが適切だと確信するには、更に何ヶ月も前向きな米国インフレ指標が継続する必要がある」と答えたため、米国のインフレ率が何ヶ月間に渡っての鈍化を続けなければ米国利下げが行われず、米国の高金利が長期化する可能性があることに加えて、逆に米国インフレが再燃した場合には、追加利上げの可能性を「現時点では何も排除すべきではないと思う」と利上げの可能性もあるというタカ派の発言があったことなどから、米国政策金利の先高観により米国10年債の利回りが指標の米国長期金利が上昇する一方で、米国債券価格は低下していた。

米国長期金利上昇時の日米金利差拡大を受けた円売りドル買いが続いたことで、午前5時32〜35分頃と5時40〜41分頃と5時46分と5時55分と5時57〜59分頃には、ドルは円相場で一時157円20銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を何度も記録しながら高止まりを見せた。

一方、米国ニューヨーク株式市場では、米国高金利長期化予想の影響もあり、米国主要株価三指数のうち、米国ダウ工業株30種 (Dow Jones Industrial Average) が38,852ドル86セントの終値と前営業日比で216ドル73セント安の大幅安の終値をつけたが、ハイテク株比率の多い米国ナズダック総合 (NASDAQ Composite) は、世界的なAI半導体ブームの米国大手エヌビディア (NVIDIA / NVDA) 株の上昇が市場を牽引して史上初の1万7千ドル台を記録したほか、1万7019ドル88セントの終値と前日比99ドル8.6セント高で終え、米国S&P500種 (Standard and Poor’s 500) も5306ドル4セントの終値と前日比で1ドル32セント高の小幅高であったことでは、一部の株価下落時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) や一部の株価上昇時のリスク選好のリスクオン (Risk-on) の安全資産と為替相場への影響は限定的だった。

このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の156円58銭付近から、円の安値でドルの高値の157円20銭付近の値幅約62銭の値動きで、今朝6時頃のニューヨーク終値相当時間は157円17銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の156円88銭と比べ約29銭の円安ドル高をつけていた。

今朝早朝のアジア・オセアニア市場に続いて、今朝9時頃から始まった今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時157円27銭付近であったが、今朝までの米国市場のトレンドを引き継いだ今日の日本市場の時間外の米国債券取引でも米国長期金利が更に上昇し、今朝10時30分頃には一時4.561%付近になっていたため、今朝9時55分頃の日本市場の仲値決済に向けた日本企業の円売りドル買いも重なった今朝9時54分頃に、対ドル円相場は一時157円41銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。

ただし、今日は日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の安達誠司審議委員が熊本県の金融経済懇談会の挨拶で発言し、日銀が目標とする持続的かつ安定的な2%の物価上昇基調の達成が確認できるまでは、「緩和的な金融環境を維持することが重要」としたものの、長期金利抑制のための国債買い入れ額については、急な減額は日本経済に悪影響なリスクがあることを指摘し、「段階的に、減額していくことが望ましい」と発言し、金融政策については、「経済・物価・金融情勢に応じて、金融緩和度合いを段階的に調整することが大切ではないか」と述べ、円安については、「円安が長期化すれば、当然物価に影響が出る。物価に影響が出てくれば対応する」と、為替影響で輸入物価などが上がり、企業の予想インフレ率が大幅に変動する様なことがあれば、「金融政策による対応も、考慮する可能性が出てくる」とタカ派寄りの発言があったほか、追加利上げの可能性を否定しなかったことでは、市場安値後の円の買い戻しがドルに対して入り始めた。

午後15時台には、日銀の追加利上げ予想の影響もあり、新発10年物の日本国債の利回りが指標の国内長期金利が1.075%の終値に向かって上昇したことや、東京株式市場で今日の日経平均株価が金利上昇警戒感などもあって3万8556円87銭の終値と前日比298円50銭安の大幅安で大引けになったこともあり、日本株価下落時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) で国内第一安全資産の低リスク通貨の円買いの勢いが増すと、ドル円は157円台では日本政府と日銀の為替介入への警戒感が燻っていたこともあって、午後15時9分頃に対ドル円相場は一時156円89銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

しかし、午後からの欧州市場の参入が本格化すると、米国長期金利上昇を受けた日米金利差拡大による円売りドルの買いでドルは円相場で反発し、夕方の英国ロンドン外国為替市場参入後の16時57分頃には米国長期金利は一時4.579%付近に上昇したため、ドルは円相場で再び157円台に戻した。

このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は157円12〜13銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の156円88〜89銭付近の前東京終値比では約24銭の円安ドル高になった。

今夜この後の米国ニューヨーク外国為替市場では、最新米国経済指標の発表予定や米国債入札予定と次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の発言予定があり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜20時に米国MBA住宅ローン申請指数、今夜23時に 5月の米国リッチモンド連銀製造業指数、26時0分に米国7年債の入札予定、26時45分頃から次回のFOMC投票権を持つFRB高官の米国ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁の発言予定、27時0分に米国地区連銀経済報告のベージュブック (Beige Book) の発表予定などを控えている。

また、明日5月30日の木曜日には、最新米国重要経済指標の1〜3月四半期米国実質国内総生産 (GDP / Gross Domestic Product) 改定値の発表予定や、5月31日の金曜日には4月の米国個人消費支出のPCEデフレーターの発表イベント予定などの注目度は高い。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は170円45〜46銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の170円62〜63銭付近と比べて約17銭の円高ユーロ安であった。

主な要因は、昨夜の英国ロンドン外国為替市場で、オランダ中央銀行のクノット総裁が、欧州利下げのタイミングやスピードは「経済データ次第」としたものの、欧州の利下げペースの自身の予想については、「ゆっくりと徐々に、より制約的でない水準に低下するであろう」と発言していたため、欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) による利下げは想定よりも緩やかなペースに留まるとの市場予想に影響を与え、欧州ユーロが買われていた。

ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0847〜1.0849ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の1.0874〜1.0876ドル付近と比べると約0.27セントのユーロ安ドル高であった。

主な要因は、先述の米国消費者信頼感指数の上振れや、米国長期金利上昇時のドル買いの影響で、ドルが欧州ユーロに対して反発上昇した。

なお、今日の午後15時に発表された欧州ユーロ圏主要国ドイツの6月の独自GFK消費者信頼感調査は前回の-24.2と前回修正の-24.0と市場予想の-22.5に対し-20.9に下げ幅を縮めたものの2桁のマイナス圏に留まり、15時45分頃のフランスの5月の仏消費者信頼感指数も市場予想の91に対し前回と横ばいの90であった。

ただし、欧州ユーロは、今夜この後の21時に、主要国ドイツの5月の独消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) 速報値の発表イベントを控えている。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は200円44〜50銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の200円35〜41銭付近と比べて約9銭の円安ポンド高であった。

主な要因は、2008年以来のおよそ16年ぶりの1ポンド200円台の円安ポンド高が進行した昨日に続き、先週の英国インフレの根強さを受けた英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE / Bank of England) の早期の英国利下げ予想の後退や、7月4日の英国総選挙を前に急な英国利下げ転換は起きにくいのではないかという市場予想により、今日も円安ポンド高の東京終値をつけていた。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年5月29日の日本時間(JST)18時34分(チャート画像の時間帯は、3月最終日曜日から英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間時差変更され、日本から時差8時間遅れになった英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の10時34分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月第二日曜日から、米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)

通貨ペア JST 18:34の為替レート 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比
ドル/円 157.15 〜 157.16 +0.27 (円安)
ユーロ/円 170.46 〜 170.48 -0.16 (円高)
ユーロ/ドル 1.0846 〜 1.0848 -0.0028 (ドル高)
英ポンド/円 200.46 〜 200.52 +0.11 (円安)
スイスフラン/円 172.16 〜 172.22 +0.07 (円安)
豪ドル/円 104.43 〜 104.47 -0.08 (円高)


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