FXニュース:米消費者物価指数(CPI)控え
2024年5月15日東西FXニュース – 2024年5月15日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米卸売物価指数(PPI)上振れ
- 米PPI前月分は大幅下方修正
- 米FRB議長発言は強弱混合
- 米長期金利反落と株価反発
- 日輸出企業の五十日円買い
- 日経平均株価上昇幅を縮小
- 英賃金上昇と夏利下げ予想
今日2024年5月15日水曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートは、円の安値でドルの高値の156円52銭付近から、円の高値でドルの安値の155円96銭付近の値幅約56銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は156円9〜10銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の156円46銭付近の前東京終値比では約37銭の円高ドル安であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と、時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析は、昨日の日本市場終了後の英国ロンドン外国為替市場後半の昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時156円45銭付近の始値であったが、昨夜21時30分に最新米国経済指標の4月の米国卸売 (生産者) 物価指数 (PPI / Producer Price Index) が発表され、前月比が前回の0.2%と前回下方修正の-0.1%と市場予想の0.3%を上回る0.5%に上昇し、食品とエネルギー除き基調を見る4月の米国卸売 (生産者) 物価指数 (PPI) コア指数の前月比も前回の0.2%と前回下方修正の-0.1%と市場予想の0.2%を上振れする0.5%の上昇率であったことでは、インフレ抑制のための米国政策金利の高金利長期化予想による主要通貨に対するドル買いが一時強まり、発表時の昨夜21時30分にドルは円相場で一時156円78銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
しかし、4月の米国卸売 (生産者) 物価指数 (PPI) と米国PPIコア指数の前月3月分の修正値がいずれも0.2%からマイナス圏の-0.1%に下方修正後されていたことから、その反発として今回の前月比の上昇値が市場予想を上振れした可能性があることが指摘され始めたことや、4月の米国卸売 (生産者) 物価指数 (PPI) の前年同月比は前回の2.1%と前回下方修正の1.8%に対して市場予想通りの2.2%で、4月の米国卸売 (生産者) 物価指数 (PPI) コア指数の前年同月比も前回の2.4%と前回下方修正の2.1%に対し市場予想通りの2.4%の想定範囲内だったことでは、一時上昇後のドルには利益確定売りの抵抗が入り始めた。
また、この後の時間には米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のジェローム・パウエル議長の発言を控えていたことや、翌米国市場にあたる今夜この後の米国市場では米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) が米国の新金融政策を決める上で重視している最新米国重要経済指標の4月の米国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) の発表を控えたドルのイベントリスクがあり、主要通貨に対する持ち高調整や様子見のドルの買い控えの抵抗も入った。
昨夜の米国ニューヨーク債券市場でも、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が、昨夜21時35分頃にはインフレ抑制のための米国政策金利の高金利長期化予想による金利先高感の影響で一時4.503%付近に上昇していたが、その後には反落し、昨夜22時10分頃には一時4.454%付近に急落したため、債券利回りを受けた金利差トレードでも日米金利差縮小時の円買いドル売りが起きたため、昨夜22時21分頃に対ドル円相場は一時156円23銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
昨夜23時頃からは、米国連邦準備制度理事会 (FRB) のジェローム・パウエル議長の発言があり、FRB高官達の中でも市場への影響力が強く、元々は中道派として知られているパウエル議長だけに、今回の発言ではタカ派とハト派のどちら側に傾くかが市場で注目されていたが、「ここ数カ月、米国インフレ抑制に進展がなかったことを踏まえると、我々FRBは忍耐強くあるべきで、米国政策金利を引き続き、高水準で維持する必要がある」と米国高金利長期化予想を継続させるタカ派寄りの発言があった一方で、「再度の追加利上げを迫られる可能性は低い」とのハト派寄りの発言もあり、先ほど発表された4月の米国卸売 (生産者) 物価指数 (PPI) については、「かなりまちまちな内容だった」と、市場予想の上振れと前回分の下方修正の下振れとの強弱混合の結果であったことを改めて指摘したため、市場では米国卸売 (生産者) 物価の上振れへの過度な警戒感がやや緩和され、同時進行していた米国ニューヨーク株式市場では、決算報告期で企業のローン金利上昇時の決算への影響を警戒していた投資家達が、追加利上げの可能性が低いと警戒感を緩和させ、米国主要株価三指数が揃って上昇したため、株式市場からの株価上昇時のリスク選好のリスクオン (Risk-on) の低リスク通貨の円売りと、追加利上げの可能性が低いことでのドル売りの強弱も混合した。
米国ニューヨーク株式市場では、米国主要株価三指数の米国ナズダック (NASDAQ Composite) が16,511ドル18セントの終値で、前日比122ドル94セント高の大幅高で、終値ベースで史上最高値を更新したほか、米国ダウ工業株30種 (Dow Jones Industrial Average) も39,558ドル11セントの終値で前日比126ドル60セント高の大幅高、米国S&P500種 (Standard and Poor’s 500) も5,246ドル68セントの終値で前日比25ドル26セント高と揃って上昇したため、リスク選好のリスクオンの低リスク通貨の円売りが入っていた。
ただし、その一方で、翌米国市場にあたる今夜この後の最新米国重要経済指標の4月の米国消費者物価指数 (CPI) や4月の米国小売売上高などの発表イベントを控えたイベントリスクがあったため、同時進行していた米国ニューヨーク債券市場では、世界的な安全資産の 米国債が買われて債券価格が上昇時の利回り低下が続いており、米国10年債の利回りが指標の米国長期金利は、米国ニューヨーク債券市場の終値時点では4.439%に低下していたため、円だけでなく欧州ユーロなどの主要通貨への金利差縮小時のドル売りがあったことは、先日の米国政府のジャネット・イエレン財務長官の為替介入牽制発言後にやや為替介入警戒感が緩和されていた昨夜の米国市場でも円相場を支えていた。
このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の156円78銭付近から、円の高値でドルの安値の156円23銭付近の値幅約55銭の値動きで、今朝6時頃のニューヨーク終値は156円42銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の156円22銭と比べて約20銭の円安ドル高をつけていた。
今朝9時頃から始まった今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時156円52銭付近の始値であったが、今朝早朝までの米国株式市場での米国主要株価三指数の上昇を受けた今朝9時台の東京株式市場でも日経平均株価が前日比で一時400円以上も大幅に上昇したため、日米株価上昇時のリスク選好のリスクオンの低リスク通貨の円売りが先行し、今朝9時2分頃と9時14〜15分頃にドルは円相場で一時156円56銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
しかし、今朝の日本市場の仲値決済では、今日は15日で5と10が付く日本の貿易企業の決算日が集中しやすい五十日 (ごとおび / ゴトーび) であったため、国内輸出企業のまとまった円買いドル売りが入り始めて、対ドルの円相場が反発と上昇に転じた。
また、今夜この後のドルのイベントリスクもあり、日本市場の時間外米国債券取引でも、安全資産の米国債が買われた影響で、米国長期金利が今朝に一時4.45%台に上昇後には反落し、午後には一時4.42%台に向けて低下を続けたため、イベントリスク回避によるドルの持ち高調整や買い控えに加えて、債券利回りを受けた日米金利差縮小時の円買いドル売りが加わり、ドルは円相場で下落した。
今朝は一時大幅に上昇していた日経平均株価も、午後には利益確定売りで一時は前日比でマイナス圏に差し掛かるほど売り込まれて上昇幅を失ったため、日本株価下落時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) による国内第一安全資産の低リスク通貨の円の買い戻しも強まり、主要通貨に対して円相場が反発上昇を見せたことも、対ドル円相場に円の上昇圧として影響が波及した。
日経平均株価は一時のマイナス圏からは小幅に反発し、午後15時台には3万8,385円73銭の終値をつけ、前日比29円67銭高の小幅高で大引けした。
午後からの欧州英国市場の参入では、前述のイベントリスクで世界的な安全資産でもある米国債が買われていた影響で、債券価格上昇に伴う利回り低下が続いていたため、金利差トレードで日米金利差縮小時の円に加えて、欧州ユーロなどの他の主要通貨にもドルが売られた影響が対ドル円相場に波及し、夕方の英国ロンドン外国為替市場の本格参入後の午後16時41分と43分頃にはドルは円相場で一時155円96銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録し、前東京終値比で円高ドル安に転じた。
このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は156円9〜10銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の156円46銭付近の前東京終値比で約37銭の円高ドル安になった。
今夜この後の米国市場では、先述の通り、最新米国重要経済指標の発表予定のイベントや、米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の発言予定などもあり、日本時間の経済カレンダーのスケジュールは、今夜21時30分に 注目の最新米国重要インフレ指標の4月の米国消費者物価指数 (CPI) とCPIコア指数と、最新米国重要景気指標の4月の米国小売売上高、5月の米国ニューヨーク連銀製造業景気指数が同時発表されるイベント時間があり、続いて今夜23時に3月の米国企業在庫、5月の全米住宅建設業者協会 (NAHB / National Association of Home Builders) 米国住宅市場指数と、今夜23時頃から次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) のバー副議長の発言予定、23時30分に米国週間原油在庫、25時頃から米国ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁の発言予定、28時20分頃から次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) のボウマン理事の発言予定、29時に3月の対米証券投資などが発表される予定であり、イベント前の調整や買い控えなどの後のイベント時の値動きには注意が必要である。また、米国株式市場でも米国主要企業の決算報告シーズンの影響が残っていることから、為替相場への影響にも注意が必要である。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は168円98〜99銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の168円76〜77銭付近と比べると約22銭の円安ユーロ高であった。
主な要因は、前述の米国長期金利低下時に欧州ユーロがドルに対して買われて上昇した影響がユーロ円でも欧州ユーロの上昇圧として波及したほか、日米株価上昇時のリスク選好の低リスク通貨の円売りでも欧州ユーロが買われていたことなどが為替相場に影響を及ぼした。
なお、今日の午後15時45分に発表された欧州ユーロ圏のフランスの最新経済指標の4月の仏消費者物価指数 (CPI) の改定値は、前月比が前回と市場予想通りの0.5%で、前年同月比も前回と市場予想一致の2.2%の横ばいであった。
日本市場終了後の今夜18時の英国ロンドン外国為替市場では、欧州ユーロ圏総合の最新重要経済指標の1〜3月四半期の欧州域内総生産 (GDP / Gross Domestic Product)の改定値が発表され、前期比は前回と市場予想通りの0.3%で前年同期比も前回と市場予想の0.4%の横ばいであった。
同時発表だった3月の欧州鉱工業生産は、前月比が前回の0.8%と前回上方修正の1.0%と市場予想の0.5%に対し0.6%と前回上方修正された上で前回は下回ったものの市場予想はやや上回ったが、前年同月比は前回の-6.4%と前回修正の-6.3%と市場予想の-1.2%に対し-1.0%と、前回と市場予想よりもマイナス幅を縮め改善したが、マイナス圏に留まっていたことでは欧州ユーロへの影響は限定的であった。
一方で、今夜19時台の英国ロンドン外国為替市場では、今夜のドルのイベントリスクにより、低リスク通貨の円買いが強まった影響が主要通貨に波及し、ユーロ円は前東京終値比で小幅な円高ユーロ安にも転じている。
ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0825〜1.0826ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.0785〜1.0787ドル付近と比べると約0.40セントのユーロ高ドル安であった。
主な要因は、今夜この後の米ドルのイベントリスクによる様子見のドルの買い控えや米国長期金利低下時の主要通貨に対するドル売りがあった中で、今朝の日米株価上昇時のリスク選好のリスクオンでも低リスク通貨の円だけでなく世界的に流動性が高い安全資産でもあるドルに対して欧州ユーロが買われやすかった。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は196円63〜69銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の196円35〜39銭付近と比べると約28銭の円安ポンド高であった。
主な要因は、欧州ユーロ同様に、日米株価上昇時のリスク選好の低リスク通貨の円売りやドル売りで英国ポンドも買われやすかっほか、昨日に英国国立統計局 (ONS) が発表した1~3月四半期の英国賃金上昇率は、ボーナスを除くベースの前年同期比が、市場予想の5.9%を上回る前回横ばいの6.0%の上昇率の高止まりで市場予想を上回っていたことで、昨夜に英国政府のハント財務相が、「英国の賃金上昇率は、10カ月連続で英国のインフレ率を上回り、生活費が圧迫されている家計に寄与するだろう」と発言したことで、英国の賃金インフレ圧が意識され、昨夜は英国ポンドが一時大幅な円安ポンド高だった影響が残った。
しかし、英国の高い賃金上昇率の傍らで、昨日の1~3月四半期の国際労働機関 (ILO / 英語:International Labour Organisation / 米語:International Labor Organization) 基準の英国失業率は4.3%に上昇していたため、英国中央銀行のイングランド銀行 (英中銀 / BoE / Bank of England) の利下げ開始時期の市場予想も注目されており、昨夜は英中銀金融政策委員会 (MPC / Monetary Policy Committee) メンバー兼チーフエコノミストのヒュー・ピル氏のハト派発言があり、「英国労働市場は、歴史的にみれば依然として引き締まった状態にある」が、英中銀 (BoE) が今年の夏に英国利下げを検討する可能性については、「不合理ではない」と発言したことで、今夏の英国利下げ開始の可能性が意識されたことでは、英国長期金利が一時低下し、日英金利差縮小時の円買いポンド売りの抵抗もあったことでは、今日の東京終値では小幅な円安ポンド高になっていた。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年5月15日の日本時間(JST)19時33分(チャート画像の時間帯は、3月最終日曜日から英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間時差変更され、日本から時差8時間遅れになった英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の11時33分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月第二日曜日から米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)
通貨ペア | JST 19:33の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 155.83 〜 155.84 | -0.63 (円高) |
ユーロ/円 | 168.72 〜 168.73 | -0.04 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.0824 〜 1.0828 | +0.0039 (ドル安) |
英ポンド/円 | 196.56 〜 196.62 | +0.21 (円安) |
スイスフラン/円 | 172.09 〜 172.15 | -0.16 (円高) |
豪ドル/円 | 103.47 〜 103.51 | +0.10 (円安) |
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