FXニュース:米国と英国政策金利据え置き

2024年3月21日
FXニュース:米国と英国政策金利据え置き

 

東西FXニュース – 2024年3月21日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米年内3回利下げ見通し維持
  • 来年以降の米金利予想は上昇
  • 米量的引き締めのQTを減速
  • 日米株価続伸時のリスク選好
  • 円安記録後の為替介入警戒感
  • 今日の日銀総裁発言も緩和的
  • 日経平均株価終値史上最高値
  • 2008年以来の円安ユーロ高

今日2024年3月21日木曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の150円26銭付近から、円の安値でドルの高値の151円24銭付近の値幅約98銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は151円23~24銭付近と、日本市場が祝日で休場中だった昨日17時の世界市場の151円48~49銭付近と比較すると約25銭の円高ドル安であるが、日本市場の昨日の祝日休場前の前営業日同時刻にあたる一昨日17時の150円24~25銭付近の前東京終値比では約99銭の円安ドル高であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、一昨日に日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) がマイナス金利政策解除後の金融正常化でも0%のゼロ金利から0.1%の低金利の無担保コール翌日物の日本の新政策金利を発表し、「緩和的な金融政策を継続」することを受けた世界市場では、昨日の英国ロンドン外国為替市場では今年最大の円安が対ドルだけでなく欧州ユーロや英国ポンドに対しても進行しており、英国市場の後半から始まった昨夜21時から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場の始値は一時151円71銭付近で、最近の米国インフレ指標を受けた米国の高金利の維持予想の高まりによる日米の金融政策の違いや日米金利差が意識され、昨夜22時41分頃にドルは円相場で一時151円82銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録し、昨年2023年11月以来の今年最大の円安ドル高の記録を更新した。

米国現地時間では時差遅れで昨日の午後にあたるが、日本時間の今朝未明の3時頃に、米国の中央銀行制度である米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) が、米国の新政策金利のフェデラル・ファンド・レート (FF / Federal Funds Rate) 誘導目標と金融政策を決める2日間の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) を終えて、市場予想通りの5.25〜5.50%の米国政策金利の据え置きを決定したが、米国政策金利の今後の見通しのドットチャート (Dot Chart / 点図表、ドットプロット (Dot Plot) とも呼ぶ) では、最近の米国インフレ指標上振れの警戒感から市場予想で高まっていた年内2回のタカ派の米国利下げ見通しへの修正はなく、以前と同じ年内3回の米国利下げ見通しが維持されたことを受けては、主要通貨に対してドルが売られて円相場でも発表時の午前3時0分頃に151円62銭付近から151円20銭付近に瞬時急落した。

しかし、年内以降の来年の2025年と再来年2026年の米国政策金利の見通しは上方修正されており、今後の米国利下げペースがより緩やかなものになる見通しになったことや、これまでに買い上げた米国債などの金融資産の売却などによりバランスシートを段階的に圧縮することで二重の金融引き締めになっていた量的引き締め (QT / Quantitative Tightening) を近いうちに減速する方針であることを示したことなどからは、ドルが買い戻されて円相場で反発し、午前3時30分頃から米国連邦準備制度理事会 (FRB) のジェローム・パウエル議長の定例記者会見の要人発言が始まり、今回の米国政策金利維持の決定と堅調な米国雇用市場や米国景気と上方修正された米国個人消費支出 (PCE /Personal Consumption Expenditures) のインフレ圧の見通しなどについての説明をすると、ドルは円相場で午前3時32分頃には一時151円71銭付近に買い戻されていた。

ただし、今回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) 参加メンバー19人のうち9人は米国インフレへの警戒感から市場のタカ派予想と同じ年内2回の利下げ予想をしていたとの情報も伝わる中で、今回年内3回の米国利下げ見通しが維持された理由について、市場への影響が最も大きいジェローム・パウエル議長の見解は、「以前の半年間の大きな流れではインフレ鈍化が順調に進んでいたが、先行きには不透明な部分もあり確信が持てなかった通り、最近2回の米国インフレ指標の上振れは、2%のインフレ目標達成の道のりには険しいも道のりもあることを示した。ただ、まだ2回くらいでは、季節的な一時影響があるかもしれないので、これまでの長期的なデータと比較すると無視することも可能だが、今後のデータを注視している」とやや楽観的なハト派発言を混ぜたことを受けては、タカ派の市場予想が後退し、これまで通りの今年の6〜7月頃からの年内3回の利下げ予想により、米国ニューヨーク債券市場で一時4.30%台だった米国長期金利が一時4.27%付近に急落したため、主要通貨に対してドルが売られて円相場でも一時反落し、午前3時53分頃にドルは円相場で一時150円72銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。

その一方で、パウエル議長は、これまでと同じく2%の目標達成の重要性も強調し、「米国のインフレは、依然として高過ぎる」ことや「継続的な進展は保証されていない」と、今後の不透明感にも言及しており、「今後のデータ次第」のこれまでと同じ慎重な中道的な姿勢も保っていたことを受けては、ドルの買い戻しが入り円相場で反発した。

また、日本の一部経済紙が、昨日の夕方頃に日本銀行 (日銀 / BoJ) の今後の利上げ観測記事を日本語で載せていたという記事の英訳版が話題になったことも一時的な円の買い戻しにつながったが、「まだ2回くらいでは」の最近の米国インフレ指標の上振れが、「今後のデータ次第」では、さらに継続する可能性のある米国のインフレ圧も一部の専門家達に指摘されており、2%目標への道のりの長期的な確信がまだ先行き不透明であることもあって、今回は年内3回の米国利下げの見通しを維持した一方で、来年以降の米国利下げ見通しがより穏やかなものになったことが再び市場では意識され、米国のインフレ圧を受けては日米の金利差が当面は続くという市場予想により、再びドルが買われて円相場で反発を始めた。

同時進行していた米国ニューヨーク株式市場でも、米国連邦準備制度理事会 (FRB) の量的引き締め (QT) 減速方針を受けて、国債以外にも株式などの保有金融資産の売却による価格急落への警戒感が緩和されたこともあって米国主要株価三指数が上昇し、米国ダウ工業株30種 (Dow Jones Industrial Average) と米国ナズダック総合 (NASDAQ Composite) が前日比で大幅高になったほか、S&500種 (Standard and Poor’s 500) も含めた三指数揃って続伸の終値に向かったことでも、ブル・マーケット (Bull Market / 強気市場) 特有のリスク選好のリスクオン (Risk-on) が起き、低リスク通貨の円が売られやすくなった。

日米株価上昇時のリスクオンの低リスク通貨の円売りで買われやすい欧州ユーロや英国ポンドに対しても、2008年以来の今年最大の円安ユーロ高と2015年以来の円安ポンド高を記録しており、主要通貨に対する円安の影響はドルだけでなく他の主要通貨にも波及した。

このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の151円82銭付近から、円の高値でドルの安値の150円72銭付近の値幅約1円10銭で、今朝6時頃の米国夏時間のニューヨーク終値は151円26銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の150円86銭付近と比べて約40銭の円安ドル高をつけていた。

今朝早朝のアジア・オセアニア市場でも時差遅れの反応で一時ドル売りが入ったため、今朝9時頃の祝日休場明けの今日の日本の東京外国為替市場の始値の対ドル円相場は一時150円74銭付近であったが、昨夜の米国市場で年内最大の円安が進行したニュースを受けては、今朝も日本政府の鈴木俊一財務相が最近の為替相場の円安について、「高い緊張感を持って、動きを注視している」と発言したため、為替介入警戒感による早期の利益確定や持ち高調整の円買いドル売りが円安抵抗となり、今朝10時33分頃に対ドルの円相場は一時150円26銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

また、今朝早朝に発表されていた日本の最新経済指標の2月の貿易統計はいずれも市場予想ほどは赤字額が増えておらず、季調後は前回よりも悪化したものの、季調前では前回よりも赤字額が大幅に改善されていたことも好感されていた。

しかし、今朝は日本銀行 (日銀 / BoJ) の植田和男総裁の発言もあり、参院財政金融委員会で、先日の日銀金融政策決定会合の決定理由について、「先行き2%の物価安定の目標が、持続的、安定的に実現していくことが見通せる状況に至ったと判断」したと説明したが、先行きについては、「現時点での、経済と物価見通しを前提にすれば、当面、緩和的な金融環境は継続すると考えている」と、先日同様の発言を繰り返したため、改めて日銀のマイナス金利解除後にも低金利の緩和的な金融政策の継続が意識されたことでは、再び円売りドル買いが入り始めて、円相場が下落を始めた。

日本企業の主要取引先でもある米国の主要株価三指数の今朝の続伸の影響もあり、今日の東京株式市場では、日経平均株価 (Nikkei Stock Average) が大幅に続伸し、日米株価上昇時のリスク選好のリスクオンの米国トレンドを受けた低リスク通貨の円売りが再燃した。

昨夜の米国市場で一時151円82銭の今年最大の円安ドル高を記録した時でも為替介入が入っていなかったことからは、その辺りまではセーフゾーンと見込んだドルの押し目買いも入っていたほか、欧州ユーロや英国ポンドや豪ドルなどの主要通貨に対しても円相場が下落していた影響も対ドルの円相場に波及した。

午後15時台には、前述の今日の日経平均株価は4万815円66銭の史上最高値の終値を記録し、前営業日比で812円6銭高の大幅高で大引けしたことでも、日米株高時のリスク選好のリスクオンの低リスク通貨の円売りが続いたほか、今日の夕方までに今日発表されたオーストラリアの失業率が改善されていた豪ドルに対する円相場の豪ドル円も2014年以来のおよそ10年ぶりに一時100円台に乗せるなど、主要通貨全般に対する円安が進行した。

夕方からの欧州市場の参入では、時間外の米国債券市場で米国長期金利が低下したことや、夕方16時45分に発表された欧州ユーロ圏のフランスの最新経済指標の3月の仏企業景況感指数が前回の98と市場予想の99を上回る100に上昇し、対ドルではユーロが買われた一方で、主要通貨全般に対する円安の影響の波及では、ドルは円相場で上昇を続けており、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値時間の一時151円24銭付近が今日の日本市場の円の安値でドルの高値となった。

このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は151円23~24銭付近で、日本市場が祝日休場していた昨日17時の世界市場の151円48~49銭付近と比較すると約25銭の円高ドル安であったが、日本市場の前営業日同時刻にあたる一昨日17時の150円24~25銭付近の前東京終値比では約99銭の円安ドル高になった。

今夜17時30分には、スイス国立銀行が3カ月物銀行間取引金利誘導目標中心値を前回と市場予想の1.75%に対し0.25%利下げした1.50%に決定した。

今夜17時42分頃の英国ロンドン外国為替市場では、ドルは円相場で一時151円46銭付近に買われたが、今夜その後の21時には英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE / Bank of England) の新英国政策金利と金融政策発表イベントを控えているため、イベントリスクにより世界的な安全資産の米国債が買われて、米国債券価格上昇に伴う利回り低下の影響が米国長期金利の一時低下につながったことでは、その後には円相場もやや反発している。

今夜この後には、最新米国経済指標の発表予定と米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の発言予定があり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時30分に、10〜12月四半期の米国経常収支と、3月の米国フィラデルフィア連銀製造業景気指数と、前週分の米国新規失業保険申請件数と米国失業保険継続受給者数が同時発表される予定で、続いて、今夜22時45分に3月の米国製造業購買担当者景気指数 (PMI / Purchasing Managers’ Index) と米国サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) と米国総合購買担当者景気指数 (PMI) 、今夜23時に 2月の米国景気先行指標総合指数と米国中古住宅販売件数、そして、25時頃から次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) のバー副議長の発言予定を控えている。

一方、先述のリスクオンもあり、今年最大の円安ユーロ高を記録した今日の欧州ユーロの円相場は、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は165円23~25銭付近と、日本市場が祝日休場中だった世界市場の昨日17時の164円55~60銭付近と比較すると約68銭の円安ユーロ高で、日本市場休場前の前営業日同時刻にあたる一昨日17時の163円8~10銭付近の前東京終値比では約2円15銭の大幅な円安ユーロ高であった。

今日の日本市場終了後の今夜17時15分に発表された欧州ユーロ圏のフランスの3月の仏製造業購買担当者景気指数 (PMI) の速報値は、前回の47.1と市場予想の47.5を下回る45.8で、3月の仏サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) 速報値も前回の48.4と市場予想の48.7を下回る47.8で、続いて17時30分のドイツの3月の独製造業購買担当者景気指数 (PMI) 速報値も前回の42.5と市場予想の43.1以下の41.6であったが、3月の独サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) 速報値は前回の48.3と市場予想の48.8を上回る49.8であった。

今夜18時の欧州ユーロ圏総合の3月の欧州製造業購買担当者景気指数 (PMI) 速報値は前回の46.5と市場予想の47.0を下回る45.7であったが、3月の欧州サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) 速報値は前回の50.2と市場予想の50.5を上回る51.1に上昇し、強弱が入り混じった。

同時発表の1月の欧州ユーロ圏総合の経常収支は、季調済が前回の319億ユーロから394億ユーロに改善した。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0925〜1.0926ドル付近で、昨夜17時の世界市場の1.0864〜1.0866ドル付近と比較すると約0.61セントのユーロ高ドル安で、日本市場の前営業日同時刻にあたる一昨日17時の1.0853〜1.0855ドル付近の前東京終値比では約0.72セントのユーロ高ドル安であった。

主な要因は、先述の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の年内3回の米国利下げの見通し維持の影響が大きかった。

英国ポンドも、欧州ユーロ同様に今年最大の円安ポンド高を記録しており、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は193円32〜38銭付近で、昨夜17時の世界市場の192円56〜62銭付近と比較すると約76銭の円安ポンド高で、日本市場の前営業日同時刻にあたる一昨日17時の190円78〜84銭付近の前東京終値比では約2円54銭の大幅な円安ポンド高であった。

主な要因は、日本と欧米や英国の金利差が意識されたことに加えて、前述の日米株価続伸のリスクオン市場では低リスク通貨の円売りが起きやすく、今夜の英国中央銀行のイベントリスクの中でも、英国ポンドが買われていた。

また、今夜18時30分には最新英国経済指標の3月の英国製造業購買担当者景気指数 (PMI) 速報値が発表され、前回の47.5と市場予想の47.8を上回る49.9で、3月の英国サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) 速報値は前回と市場予想の53.8には届かなかったものの53.4と、景気ボーダーラインの50を上回り続けていた。

追記として、今夜21時には、英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE / Bank of England) の金融政策委員会 (MPC / Monetary Policy Committee) も英国の新政策金利や金融政策を決定し、前回と市場予想通りの5.25%の高金利を維持することを発表した。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年3月21日の日本時間(JST)20時57分(チャート画像の時間帯は、日本から時差で9時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の冬時間 (GMT / JST-9) の11時57分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、サマータイム制のある英国市場の英国夏時間 (BST / JST-8) への変更は3月最終日曜日の3月31日からであるが、米国市場では3月第二日曜日の3月10日から既に米国夏時間 (EDT / JST-13) になっており、日本市場や英国市場との時差が1時間変わっていることには注意が必要である。)

通貨ペア JST 20:57の為替レート 前営業日JST 17:00の前東京終値比
ドル/円 151.11 〜 151.12 +0.87 (円安)
ユーロ/円 164.86 〜 164.87 +1.78 (円安)
ユーロ/ドル 1.0908 〜 1.0910 +0.0055 (ドル安)
英ポンド/円 192.63 〜 192.69 +1.85 (円安)
スイスフラン/円 169.19 〜 169.25 +0.30 (円安)
豪ドル/円 99.72 〜 99.76 +1.82 (円安)


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