FXニュース:米長期金利上昇で日米金利差

2024年2月28日
FXニュース:米長期金利上昇で日米金利差

 

東西FXニュース – 2024年2月28日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米経済指標は強弱入り混じる
  • 米耐久財受注が市場予想以下
  • 米ケースシラー住宅物価上昇
  • 米連銀製造業指数も想定以上
  • 米国債入札後利回り反発上昇
  • 日経平均株価続伸後の小反落
  • 米国重要経済指標の発表控え

今日2024年2月28日水曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の150円37銭付近から、円の安値でドルの高値の150円76銭付近の値幅約38銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は150円74~76銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の150円34~35銭付近の前東京終値比では約40銭の円安ドル高であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、昨夕の日本市場終了後で英国ロンドン外国為替市場の後半にあたる昨夜22時頃から米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時150円22銭付近から始まったが、昨夜22時30分に発表された最新米国経済指標の1月の米国耐久財受注の前月比が、前回の0.0%と前回修正の-0.3%と市場予想の-4.5%を下回る-6.1%に低下し、輸送用機器除く前月比も前回の0.6%と前回修正の-0.1%と市場予想の0.2%に対し-0.3%に低下したことを受けては、米国景気警戒感からドルが売られて低リスク通貨の円相場で下落し、発表時の昨夜22時30分に一時150円7銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。

しかし、同時進行の米国ニューヨーク債券市場では、その後の午前3時に米国7年債入札予定を控えていたため、他の種類の米国債にも全般的なイベント前の持ち高調整売りが優勢で、この時間にも米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.28%台に上昇していたため、日米金利差トレードでは円売りドル買い需要があり、市場安値圏からのドルの買い戻しがすぐに入り、ドルは円相場で反発し、下げ幅を縮め始めた。

また、昨夜の米国市場の早朝に次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のボウマン理事の発言があり、米国のインフレの上振れリスクを踏まえて、「将来的な米国金融政策スタンスの変更を検討する際には、慎重な姿勢を維持する」と、金融緩和や追加財政刺激策と地政学的リスク等によっても物価上昇圧が再度高まる恐れがあることを指摘しており、米国の利下げを急いでいないことを改めて示唆したことで、米国政策金利の先高感があったことも、米国長期金利上昇による日米金利差拡大に影響を与えていた。

続いて、昨夜23時に発表された最新米国経済指標の10〜12月四半期の米国住宅価格指数は前回の2.1%に対し1.5%であったものの、同時発表で市場ではより重要度が高いと考えられていた12月のS&Pケース・シラー (Standard & Poor’s CoreLogic Case–Shiller) 米国住宅価格指数は前回の5.4%と市場予想の6.0%を上回る6.1%に上昇していたため、この時間の米国長期金利が更に一時4.29%台方向に向けて上昇を続けていた日米金利差拡大の円売りドル買いもあり、150円中盤付近に向けた対円でのドルの買いが続いた。

昨夜23時5分頃からは同じく米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のバー副議長の発言もあったが、銀行監督担当のため米国ニューヨーク連銀主催のカウンターパーティーのクレジットリスク管理に関する会議で「米国の銀行や金融機関が賢明な意思決定を行うためには、取引相手に関しての信頼性が高く包括的、詳細かつ頻繁な情報が必要である」と、金融機関に対して取引先のクレジットリスクやレバレッジの評価方法を強化する必要があるとの考えを示しており、米国金融不安はドル売り材料ともなるために予防的措置への期待感と不安が市場で交錯していた。

深夜24時に発表された最新米国経済指標の全米産業審議会のコンファレンス・ボード (Conference Board) 調査による2月の米国消費者信頼感指数は、前回の114.8と前回修正の110.9と市場予想の115.0に対し106.7に低下していたことではやや抵抗が入ったが、同時発表だった2月の米国リッチモンド連銀製造業指数は前回の-15と市場予想の-9を上回る-5に大幅に改善されたことでは、深夜24時40分頃にはドルは円相場で一時150円55銭付近に上昇した。

午前3時には前述の米国7年債入札があり、入札時には一時買われて債券価格が上昇したものの入札後には全般的な米国債売りが入ってその後には債券価格が反落し、米国債券価格低下に伴う利回り上昇が起きて他の種類の米国債にも影響が波及したため、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は更に上昇し、午前4時台には一時4.315%付近に高騰したため、日米金利差拡大による円売りドル買いが勢いを増し、午前4時47分頃にドルは円相場で一時150円58銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。

しかし、米国ニューヨーク株式市場では、この日の強弱入り混じった経済指標や米国政策金利の先高感への警戒などから、米国主要株価三指数の一つの米国ダウ工業株30種 (Dow Jones Industrial Average) が前営業比で安値の終値に向かい、S&P500種 (Standard and Poor’s 500) とナズダック平均 (NASDAQ Composite) は小幅高の終値であったものの、一部株価の下落を受けたリスク回避のリスクオフ (Risk-off) では市場安値圏から低リスク通貨の円買いがあったことは抵抗になり、対ドルの円相場は反発した。

また、米国市場では、明日の29日の夜に米国連邦準備制度理事会 (FRB) が重視している最新米国重要経済指標の1月の米国個人消費支出 (PCE) 物価指数の発表予定も控えており、早期の利益確定と様子見やイベントリスクのドルの買い控えの値動きも入り始めていた。

安全資産の米国債買いの抵抗もあり、米国10年債の利回りは、米国ニューヨーク債券市場の終値では4.299%と前日比+0.018%と僅かな上昇幅に戻して為替市場よりも早く終値を迎えた。

このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の150円7銭付近から、円の安値でドルの高値の150円58銭付近の値幅約51銭で、今朝7時前頃のニューヨーク終値は150円51銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の150円70銭付近と比べると約19銭の円高ドル安をつけていた。

今朝早朝のアジア・オセアニア市場に続き、今朝9時頃から日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時150円51銭付近から始まったが、今朝早朝には一時4.30%台付近だった米国長期金利が、今朝9時16頃には大規模な米国債買いの影響で一時的な価格高騰に伴う利回り急落で一時3.82%に急落後にすぐにまた9時半頃には4.29〜4.30%台付近に戻すという一時急落が起きた日米金利差一時縮小による影響や、月末の今朝9時55分の仲値決済に向けた日本市場の輸入実需の円売りドル買いに対して、月末の日本の輸出企業のまとまった円買いドル売りが交錯していた今朝9時54分頃とその後の今朝11時14分頃にドルは円相場で一時150円37銭付近の今日の日本市場の円の高値とドルの安値を記録した。

ただし、2度目の対ドルの円の高値で上抜けできなかったことから、ダブルトップの毛抜き天井を打つ形となり、円の利益確定売りが入り始めて円相場が反落を始めたほか、日本市場時間の時間外の米国債券市場では、反発後の米国長期金利が4.29〜4.30%台周辺付近で高止まりしたまま安定した推移になっていたため、日米金利差拡大による円売りドル買いでドルは円相場で反発上昇した。

また、日本市場と同時進行中だった今朝のオセアニア市場では、ニュージーランド準備銀行 (RBNZ / Reserve Bank of New Zealand) が政策金利を5.50%の据え置きの決定を発表し、市場の一部では追加利上げ予想もあったことから、ニュージランドドル売りの影響も、世界的に流動性が高い基軸通貨であるドルなどの主要通貨に対して波及していた。

午後14時には、日本の最新経済指標の昨年12月の日本景気一致指数 (CI / Composite Index / コンポジット・インデックス) 改定値が発表されたが、前回の116.2から115.9に低下していたが、同月12月の日本景気先行指数 (CI) 改定値は前回の110.0をやや上回る110.2に上昇しており、強弱入り混じったことではやや横ばいに近い一時抵抗も混ざった。

午後15時台には東京株式市場で今日の日経平均株価が前日までの史上最高値続伸後に利益確定売りなどで小反落し、3万9208円3銭の終値と、前日比31円49銭安で大引けしたことでも、低リスク通貨の円の買い戻しがやや抵抗になっていた。

しかし、午後からの欧州英国市場の参入では、米国長期金利が4.29〜4.30%台周辺で高止まりの推移を続けていたことから、日米金利差が意識されたトレードではドルは円相場で再び上昇し、英国ロンドン外国為替市場参入後の午後16時41分頃にドルは円相場で一時150円75銭付近に上昇後にも17時頃には一時150円76銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は150円74~76銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の150円34~35銭付近の前東京終値比で約40銭の円安ドル高になった。

今夜の英国ロンドン外国為替市場では、17時の東京終値後にも更にドルが円相場で上昇し、今夜18時31分頃には一時150円80銭付近も記録した。

今夜この後の米国市場では、最新米国経済指標の発表予定や米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達の発言予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時に米国MBA 住宅ローン申請指数、22時30分に最新米国重要経済指標の昨年10〜12月の第4四半期の米国実質国内総生産 (GDP / Gross Domestic Product) の改定値と、同四半期の米国GDP個人消費 (PCE / Personal Consumption Expenditures) の改定値と同四半期のコアPCEが発表され、同時刻に1月の米国卸売在庫、深夜24時30分に週間の米国原油在庫、26時頃から次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国アトランタ連銀のボスティック総裁の発言予定、26時15分頃から米国ボストン連銀コリンズ総裁の発言、26時45分頃から次回のFOMC投票権を持つ米国ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁の発言予定などが、世界FX市場では今夜の値動き予想材料として注目されている。

一方、今日の欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は163円16~17銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の163円19~21銭付近の前東京終値比で約3銭の小幅な円高ユーロ安であった。

主な要因は、昨夜の欧州株式市場では欧州ユーロ圏の主要国のドイツやフランスなどの欧州主要株価指数の上昇を受けたリスク選好のリスクオン (Risk-on) で欧州ユーロが買われたが、今日の日本市場では前日までに史上高値更新で続伸していた日経平均株価が小反落したため、欧州ユーロ売りで低リスク通貨の円が買い戻されたことなどが為替相場に影響を及ぼしていた。

一方で、最近の欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 理事会の高官達の欧州利下げに慎重なタカ派発言の影響も残っていたことでは、日欧金利差もあって、小幅域になっていた。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0822〜1.0824ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の1.0854〜1.0856ドル付近の前東京終値比では約0.32セントのユーロ安ドル高であった。

主な要因は、前述の米国長期金利上昇と高止まりによる金利差トレードでは、円だけでなく欧州ユーロなどの主要通貨に対してもドルが買われたことが為替相場に影響を及ぼした。

また、日本市場終了後の今夜19時に英国ロンドン外国為替市場で先ほど発表された欧州ユーロ圏総合の最新経済指標の2月の欧州消費者信頼感の確定値は、前回と市場予想通りの-15.5の横ばいであったが、同時発表の2月の欧州経済信頼感は前回の96.2が96.1に下方修正されたほか、市場予想の96.7を下回る95.4に低下していたことも、今夜の欧州ユーロ売りの一因になった。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は190円81〜87銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の190円71〜77銭付近の前東京終値比で約10銭の円安ポンド高であった。

主な要因は、昨夜の英国ロンドン外国為替市場では、英国10年債の利回りも上昇しており、日英金利差で日本円よりも高金利の英国ポンドが買われやすかった。

しかし、元欧州連合 (EU / European Union) で離脱後にも経済や地理的に近く、欧州ユーロの値動きの影響を受けやすい英国ポンドは、前述の19時の最新欧州経済指標の低下などを受けて、今夜20時台の英国ロンドン外国為替市場では低リスク通貨の日本円に対して小幅な円高ポンド安にも転じている。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年2月28日の日本時間(JST)20時44分(チャート画像の時間帯は、日本から時差で9時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の冬時間 (GMT / JST-9) の11時44分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:44の為替レート 前営業日JST 17:00の前東京終値比
ドル/円 150.62 〜 150.63 +0.28 (円安)
ユーロ/円 162.90 〜 162.91 -0.29 (円高)
ユーロ/ドル 1.0814 〜 1.0816 -0.0040 (ドル高)
英ポンド/円 190.52 〜 190.58 -0.19 (円高)
スイスフラン/円 171.11 〜 171.17 +0.09 (円安)
豪ドル/円 97.89 〜 97.93 -0.60 (円高)


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